リコーグループでは、パリ協定やIPCC等科学的知見に基づき、2050年バリューチェーン全体の温室効果ガス(以下GHG)排出実質ゼロとすることを定めました。脱炭素方針に沿って中長期の環境目標や脱炭素ロードマップを策定し、全社で具体的な施策を展開しています。
脱炭素方針
1.徹底的な省エネ・燃料転換の推進
2.再生可能エネルギーの積極的な利活用
3.サプライチェーンにおけるGHG排出量の可視化と削減
スコープ1*1、2*2のGHG実質排出ゼロと、事業活動における使用電力を100%再生可能エネルギーに移行(RE100*4達成)する達成時期を、2050年度から10年前倒しする2040年度目標として新たに設定しました。
スコープ1、2の2040年度目標に対しては、排出量を自助努力で基準年*5比90%削減し、残余排出量については、国際的に認められる方法*6でオフセットすることで実質ゼロを達成します。
スコープ3*3についても対象範囲を従来のカテゴリー1(調達)、4(輸送)、11(使用)から全カテゴリーに拡大し、2040年度までに基準年比削減率65%を新たに設定し、対応を強化します。また、従来設定している2050年のスコープ1、2および3のネットゼロ目標についても、排出量を自助努力で基準年比90%削減する数値目標を追加設定しました。
2023年度は、脱炭素ロードマップに基づき、再エネ率向上につながるVPPA*7や自己託送の運用を開始しました。
また、激甚化傾向にある自然災害に対しては、グローバル主要拠点における自然災害リスクの分析、リスク結果を踏まえた拠点改善活動を進めました。
スコープ1、2
スコープ3*8
再生エネルギー使用率
リコーグループは、1994年に循環型社会実現のコンセプトとして「コメットサークル」を制定しました。製品のライフサイクル全体での資源の有効活用を推進するため、省資源方針やプラスチック方針に基づき、2030年および2050年の省資源目標を設定し、新規資源使用量の削減や資源の循環利用、化石資源由来バージンプラスチックの削減・代替の取り組みを進めています。
【省資源方針】
1.徹底的な資源の効率利用と循環の推進
2.再生製品の提供と、低環境負荷で持続可能な資源への切替・積極利用
【プラスチック方針】
1.脱・化石資源由来バージンプラスチックの推進
2.材料リサイクル可能な設計の推進
【製品における省資源目標】
製品の新規資源使用率*1
2030年:60%以下 2050年:12%以下
プラスチックに関する目標
2025年:プラスチック部品・包装材の材質表示と単一素材化完了
2030年:画像製品におけるプラスチック回収材使用率50%以上
製品包装における「化石資源由来バージンプラスチック」使用量の2020年比50%以上削減
【事業活動における省資源目標】
排出物削減目標
発生量を前年度実績未満に削減
水使用目標
使用量を前年度実績未満に削減
製品の取り組みでは、2030年および2050年省資源目標の達成に向け、組織横断型のワーキンググループ活動を推進しています。2023年度は再生製品の販売、再生材料の使用ともにほぼ計画通り進捗し、目標達成に向かって順調に推移しています。
事業活動において、資源ロスを最小化する生産工程や処方の開発に取り組み、生産効率の向上と排出物削減の同時実現を目指しています。また、水の再使用や再生利用による水使用量の削減にも取り組んでいます。2023年度には、排出物発生量と水使用量の目標をともに達成しました。
新規資源使用量・使用率
排出物
水
リコーグループは、生物多様性の損失を止め回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」「森林破壊ゼロ」を目指し、自然と共生する社会の実現に向けた積極的な活動を行っています。生物多様性リスクを把握し、ステークホルダー連携して事業活動に伴う環境負荷を削減すると同時に、地球の再生能力の維持・向上に取り組んでいます。2024年8月、生物多様性に関わる国際動向や自社事業での貢献領域を踏まえて、目指すべき社会の姿を反映し「リコーグループ生物多様性方針」を改訂しました。
リコーグループ生物多様性方針 (2024年8月改訂)
基本方針
1.経営課題としての取り組み
2.リスクと機会の把握と改善
3.ステークホルダーとの協働
4.啓発活動
5.情報開示とコミュニケーション
持続可能な社会のためには持続可能な調達が重要と考え、2022年には、ESG・購買・生産・販売など関連部門のメンバーを集めて、「グローバル紙調達プロジェクト」を発足しました。サプライヤーサーベイを通じて、リスクマネジメントの強化と課題共有を図っています。再生紙やECF紙*などの環境に配慮した製品調達を進め、お客様に安心して用紙を使用していただきたいと考えています。
環境面に加え、人権や地域での操業にも配慮した「用紙調達方針」を2023年に制定し、事業活動での環境負荷削減に取り組んでいます。
目標 | 持続可能な紙の調達 100%(~2026年度) |
---|---|
実績 | 2023年度 60% |
2014年度より、地域コミュニティ発展の貢献を目的として、自治体・企業・地域住民など地域を主体としたステークホルダーと社員が協働する「ステークホルダー協働による森づくり」を全国で推進しています。2023年度には、リコーグループの「えなの森」「リコー環境事業開発センター」が環境省の「自然共生サイト」30by30に認定されました。この活動は、生物多様な里山の回復と人々のコミュニティの活性化を目指しています。
目標 | 新たに100万本の植林(2020年度~2030年度) |
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実績 | 2023年度 115千本(進捗45.3%) |
化学物質がもたらす人の健康や環境への影響を最小化することを目指した「化学物質管理基本規定」を定め、事業活動や製品に使用される化学物質を適正に管理し、環境への影響を抑制することで経営リスクの低減に取り組んでいます。
事業所では、化学物質の使用前アセスメントを実施し、安全に取り扱うための管理項目を明らかにした上で使用しています。アセスメントで汚染につながる可能性が確認された場合は、改善を行うか使用せず代替物質を検討するなど、事業所周辺の生物多様性にも配慮し化学物質管理の徹底を図っています。
リコーグループでは、マテリアリティとして「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」を定めています。また生物多様性への関心や開示要請も高まってきているため、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」を重要な環境課題として取り組んでいます。
2050年を見据えた中長期の環境目標を設定するとともに、中期経営戦略においてもESG目標を設定し、目標達成に向けた具体的な施策を展開しています。ESG目標の進捗状況についてはESG委員会や取締役会を通じ、経営レベルで監督が行われています。また、環境対応を重点経営リスクの一つとしてリスク管理を行っております。
環境分野において財務にも影響を与えうる重要なリスクを特定しました。気候変動、資源循環、生物多様性それぞれのリスクを洗い出し重複するリスクについては統合した上で移行リスクと物理リスクに分類し、全社リスクマネジメントシステムの考え方に則って影響度(財務インパクト)と緊急度(発現可能性)を見積もりました。また、気候変動、資源循環、生物多様性における環境影響は単に事業リスクだけではなく、自社製品・サービスの提供価値および企業価値を高める機会につながると認識しています。
「気候変動」「資源循環」「生物多様性」におけるリスクと機会は以下のとおりです。
分類 | 環境分野 | 事業リスク | リコーグループへの影響 | 影響度 | 緊急度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
移行リスク | 政策・規制 | 気候変動/資源循環 | 政策強化による調達コストの上昇 | サプライヤーへのカーボンプライシング(炭素税・排出量取引)やサーキュラーエコノミー政策(再生材利用促進、プラ包装材課税など)により原材料への価格転嫁が進み調達コストが上昇 | 10億円~200億円 | 5年以内 |
政策・規制 | 気候変動/資源循環 | 規制強化、顧客要求への対応遅れ | 1.5℃目標達成、循環型社会構築に向けた製品/企業の環境規制の強化、顧客要求も厳格化。対応遅れにより商機を逃し、収益減少 | 200億円~500億円 | 3年以内 | |
市場 | 気候変動/資源循環 | 消費者行動の変化に伴う業績影響 | リモートワークの増加や資源の無駄を省くためにプリントアウトを控えるペーパーレス化が進むことによる収益減 | 10億円~200億円 | 3年以内 | |
評判 | 気候変動/資源循環/生物多様性 | 社会的信用の失墜、ブランド価値の毀損 | 不法投棄などの環境関連法の違反、森林破壊への関与、グリーンウォッシュなどによる社会的信用の失墜 | 10億円~200億円 | 1年以内 | |
物理リスク | 急性 | 気候変動 | 自然災害の急激な増加 | 気候変動により異常気象の激甚化が進み、自社生産拠点やサプライヤーにて想定以上の風水害が発生することでサプライチェーンの寸断などにより生産停止・販売機会の損失が拡大、気候変動対応費用(災害対策、事業所移転、電力費)の増大 | 10億円~200億円 | 5年以内 |
急性 | 気候変動 | 感染症の地域性流行 |
感染症の拡大による不測の事態より以下の事象が発生
|
10億円~200億円 | 10年以内 | |
急性 | 気候変動/資源循環/生物多様性 | 森林資源の減少 | 温暖化により森林火災、害虫などの森林被害が増えるとともに、規制が強化され、紙の調達コストが上昇 | ~10億円 | 10年以内 |
活動内容 | 2023年度 財務貢献効果 | |
---|---|---|
気候変動/資源循環緩和に貢献する活動 | 環境ラベル認定製品売上 | 約12,300億円 |
ESG対応を伴う商談売上 | 約400億円 | |
製品再生・部品再生事業 | 約300億円 | |
省エネ創エネ関連事業 | 約300億円 |
活動内容 | 2023年度 財務貢献効果 | |
---|---|---|
気候変動/資源循環適応に貢献する活動 | DXを支援するソリューション | 約1,700億円 |
多様な人材が生き生きと活躍できる環境づくりやイノベーション創出の促進、バリューチェーン全体を通した人権の尊重や公正な事業慣行の徹底など、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでいます。
2023年度の取り組みと成果
イノベーションの創出を促進するためには、多様な社員それぞれが自身のパフォーマンスを最大限発揮して活躍できる環境が必要です。この実現に向け、「ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)」と「ワークライフ・マネジメント」を経営戦略の一つと位置づけて取り組みを進めています。
その一環として、あらゆる多様性や価値観を互いに受け入れ、グローバルの社員が一つのチームとして働く決意を表す「ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン ステートメント」を22言語で、明確な行動規範2として「グローバル DEI ポリシー」を17言語で定めています。
2023年度からはそれまでのダイバーシティ&インクルージョン(D&I)から一歩進め、「エクイティ(公平性)」の概念を加え、DEIとして一層取り組みを強化しており、「エクイティ」の概念におけるトップからのメッセージの展開や国際女性デーにあわせたグローバル全社でのイベントなどを実施しています。
DEIは、リコーの創業の精神である「三愛精神」や「リコーウェイ」に通じるものであり、事業戦略の中核をなすものです。グローバルでDEIを展開することにより、多様な人材が尊重され、一人ひとりが存分に力を発揮できる職場が構築されます。また、多様な人材が集まり、イノベーションと課題解決力を高めることで、世界中のお客様や地域社会との関係性を強化し、他の模範となることを目指します。DEIの取り組みと行動は、共創、イノベーション、そして卓越した顧客体験を促進し、これらすべてが私たちのビジネスの成功の鍵となっています。
Lorna Hernandez
Global DEI Council Lead VP, Human Resources, Ricoh Latin America, Inc.
「リコーグループでは、世界中すべての人びとのユニークな才能、経験、知見を結集し、新たなイノベーション創出に取り組みます。」
このステートメントは、リコーグループがあらゆる多様性や価値観を互いに受け入れ、グローバルの社員が一つのチームとして働く決意を表すものとして制定したもので、22言語でグローバルに発信しています。
リコーグループにおけるDEIをグローバルに推進する機能として、2023年3月にグローバルDEIカウンシルを立ち上げました。CEOとCHROがリーダーを務め、女性リーダーであるヨーロッパ地域の統括長を含めた経営陣、ならびに各地域から選出されたメンバー11人で構成されています。1年間にわたってリコーグループのDEIにおける課題を討議し、グループ全体として多様性を当然のこととして受け止められる組織カルチャーづくりに向け、さまざまな活動をリードしています。2023年度のグローバルDEIカウンシルのテーマは、2023年国際女性デーのテーマでもあった「エクイティ」でした。リコーグループにおける「エクイティ」を掘り下げ、常に「エクイティ」が担保された組織づくりを強化する必要性について合意し、実行をリードしています。
国際女性デーに実施した社内イベント
2024年のテーマは、「Inspire Inclusion(インスパイア・インクルージョン)」。リコーグループとしては初となる世界同時中継のイベントを実施しました。
全世界のメンバーがメッセージビデオを発信するとともに、外部からゲストを招待し、リコーグループのリーダーたちによるパネルディスカッションが行われ、ビジネスや組織におけるDEI推進についてさまざまな視点から対話を深めました。また、本社のイベント会場では参加者がDEIの理解や考えを深め、学びあうことを目的に、グループディスカッションを実施しました。
DEIエンパワーメント月間
国際女性デーイベントに先立ち、2024年2月を「DEIエンパワーメント月間」と定め、キャンペーンを展開しました。多様な社員の活躍の様子や、2023年度からD&Iに加えた「エクイティ」について理解を深める動画や解説記事、リーダーたちからのDEIに関するメッセージをイントラネットで公開しました。
DEIエンパワーメント月間の社内イベントの様子
リコーグループでは、早くから働き方の選択肢の一つとしてリモートワークの導入を進めてきました。2019年には全社一斉のリモートワークを試行しており、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大していった際もスムーズにリモートワークへ移行することができました。デジタルサービスの会社への移行に必要な、社員の自律性を強める狙いからも、新しい働き方を全社で積極的に進めています。
リコーは、2017年度から全社で「働き方変革」に取り組み、職種や仕事内容に合わせて、社員一人ひとりが自律的に時間と場所を選べる働きやすい環境づくりから、意識·風土の変革による「働きがい」の向上に至るまで、さまざまなチャレンジを続けています。そのコア·コンセプトは「ワークライフ·マネジメントの実現」です。国内グループ全社員を対象に毎年実施している「ワークライフ·マネジメント意識調査」では、仕事のみならず生活全般の充実度や満足度を調査しています。2023年度の調査では回答者の半数以上が「仕事と生活の両方が充実している」と回答。生産性に関しても約9割の社員が「前年と比較して自身の生産性が維持もしくは向上している」と回答しています。
また、2019年度に導入した「社内副業制度」は、勤務時間の20%以内を使って、社内でやってみたい仕事にチャレンジできる仕組みです。社内外起業家とスタートアップを支援する事業共創プログラム「TRIBUS(トライバス)」では、社員が事業提案を実施し、400人以上の社員がサポーターとしてこのプログラムに参加しています。チャレンジする文化の醸成や、イノベーションの創出を促進する取り組みとして根付いています。
リコーグループでは、グローバルで職種や仕事内容に応じて出社とリモートワークを効果的に組み合せるハイブリッドワークを実践し、それぞれのチームが最大のパフォーマンスを発揮して最適な成果を出す働き方を目指しています。ラテンアメリカの一部の国では、週4日勤務を実験的に実施するなど、新しい働き方に取り組んでいます。
社員が育児·介護と仕事を両立できるように、リコーでは、育児·介護休業法施行前の1990年度から休業や短時間勤務の制度を導入してきました。社員のニーズや社会環境の変化に応じて随時見直しを図りながら、制度を利用しやすい職場環境づくりを進めています。
男性の育児参加促進もその一つで、2019年度から育児休業取得率がほぼ100%になっています。育児参加をきっかけに男性自身の意識が変わることで、徐々に職場全体の働き方にも変化が表れています。
管理職向けには、360度評価*項目への「ダイバーシティマネジメント」の追加やセミナー開催などにより、「支援するマネジャー」へと意識・行動変容を促す施策を展開しています。
このような取り組みを通じ、女性の育児休業の利用率および復職率はほぼ100%になり、2015年度から女性の平均勤続年数が男性を上回っています。
育児休業取得率
男女別平均勤続年数
リコーグループの人権尊重の原点は、創業の精神である三愛精神にある“人を愛し”にあります。グローバルにビジネスを展開している当社では、各国の法令遵守はもちろん、国際的規範に準拠した人権尊重の実践に取り組んでいます。
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、 2021年4月に「リコーグループ人権方針」を定めました。本方針は、日英含む10言語で国内外の主要グループ会社に周知、サプライヤーおよびビジネスパートナーにも本方針を支持・実践いただくよう努めています。
リコーグループは、経営層の責任のもと、サプライチェーン全体で人権DDに継続して取り組んでいます。
CHRB*メソドロジーへの対応を通じて人権尊重の取り組みを強化し、人権リスクの低減を図る事を目標としています。全社ESG目標として、ICTセクタートップのスコアとなることを掲げています。
①人権影響評価:人権リスクアセスメントの実施
2023年度は非生産会社(58社)に人権影響評価を実施しました。評価結果を考慮し、顕著な人権課題(下表)について再評価を行う予定です。
②負の影響防止・軽減:人権尊重のためのガイドの発行
人権課題の防止、軽減措置として、遵守すべき人権基準を定めた「リコーグループ人権尊重のためのガイド」を 2024年8月に発行しました。今後も継続的に人権リスクの未然防止・低減を図ります。
③モニタリング:社員インタビュー
2023年10月にはタイにある2つの生産拠点にて、リスクアセスメントで特定した人権リスクの改善状況の確認および社員インタビューを実施しました。
④情報開示:ESG委員会における経営層への報告
2024年2月に人権DDを踏まえた今後の人権リスク低減策をESG委員会に報告し了承されました。
顕著な人権課題 | 想定される負の影響例 | 負の影響を受けるステークホルダー | |||
---|---|---|---|---|---|
社員 | サプライヤー/ビジネスパートナー | 先住民族、地域社会の人々 | お客様 | ||
強制労働 |
|
✓ | ✓ | ||
過剰・不当な労働時間 |
|
||||
労働安全衛生 |
|
||||
児童労働・若年労働 |
|
✓ | ✓ | ✓ | |
差別・ハラスメント |
|
✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
プライバシーの権利 |
|
||||
サプライチェーン上の人権問題 |
|
リコーは、グローバルなサプライチェーンにおける企業の社会的責任を推進する「責任ある企業同盟(RBA:Responsible Business Alliance)」に加盟しています。人権・労働・環境等の国際的なガイドラインに照らしながら、自社の生産工場のみならず、サプライヤー・パートナー企業も含めた倫理的な行動を徹底し、継続的に活動のレベルアップを図っています。
重要サプライヤー約290社を対象に、「リコーグループサプライヤー・パートナー行動規範同意署名率」「ESGリスクアセスメント ローリスク率」「脱炭素目標設定率」「紛争鉱物調査票回収率」について、2025年度までの年度ごとの社内目標を設定し、PDCAを回して取り組みを加速しています。
サプライヤーと共により良い社会・地球環境づくりと企業の持続的な発展の実現を目指して、2006年度に「リコーグループサプライヤー行動規範」を制定しました。2022年度にはビジネスパートナーにも取り組みをお願いする行動規範として「リコーグループ サプライヤー・パートナー行動規範」に改訂しました。
サプライヤー・パートナーの皆様には、本行動規範を実践することについての同意書への署名を依頼しており、 2023年度の重要サプライヤーの署名率は目標90%に対して、実績は97%でした。
リコーグループ サプライヤー・パートナー
行動規範同意確認書提出率
2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
---|---|---|---|
目標 | 90% | 98% | 100% |
実績 | 97% | - | - |
「リコーグループ サプライヤー・パートナー行動規範」の遵守状況をモニタリングするため、同意署名をいただいた重要サプライヤーを対象にESGリスクセルフアセスメントへの回答を依頼しています。ローリスクサプライヤー率を高めるために、改善指摘事項があったサプライヤーに対して、改善を働きかけます。こうした努力の結果、2023年度の重要サプライヤーのローリスク率は、目標70%に対して、実績は76%でした。
リコーグループでは、脱炭素に向けたCO2 削減活動をグループ単独で進めるだけでなく、サプライヤーの皆様と連携して進めていくため、一部の重要サプライヤーに対して脱炭素目標の設定状況の調査を行っています。2023年度の脱炭素目標設定率の実績は、約53%でした。
リコーグループ各社の役員・社員による、法令・規則、「リコーグループ企業行動規範」、取引契約に関する違反行為をサプライヤー様よりご報告いただく窓口として「サプライヤーホットライン」を設置しています。
世界の紛争地域および高リスク地域における鉱物採掘や取引が、人権侵害や労働問題等の源になるのを防ぐために、サプライチェーンにおける責任ある鉱物資源調達の調査を実施しています。2023年度の調査票の回収率は、目標97%に対して98%でした。
紛争鉱物の使用撲滅に向け、部品単位での含有状況の調査や、RMAP*認証を取得した製錬所への取引切り替えを要請しています。
紛争鉱物調査実績
2023年度実績 | ||
---|---|---|
4鉱物 | コバルト | |
製錬所・精製所総数 | 344 | 79 |
RMAP認証取得(コンフリクトフリー)精錬所・精製所数 | 222 | 45 |
RMAP認証取得製錬所率 | 65% | 57% |
調査票回収率 | 98% | 97% |
リコーグループでは、主要な生産拠点に対して、RBAのリスクセルフアセスメントを用いたESGリスク評価を年次で実施しています。また、一部の生産拠点においては、2年ごとに第三者監査(RBA VAP)の継続受審を通じて、国際的なESG要件への適合状況を確認しこれまで監査を受審した5拠点すべてで認証を取得しています。
RBA VAP 受審拠点 | 所在国 | 認証ランク | 認証期限 |
---|---|---|---|
リコーインダストリー 東北事業所 | 日本 | Silver | 2026年 5月 |
Shanghai Ricoh Digital Equipment Co., Ltd. | 中国 | Silver | 2024年11月 |
Ricoh Manufacturing(Thailand)Ltd. | タイ | Gold | 2025年 4月 |
リコー環境事業開発センター | 日本 | Gold | 2024年10月 |
Ricoh Manufacturing(China)Ltd. | 中国 | Silver | 2024年12月 |
リコーグループは、「良き企業市民」として、国または地域の文化や習慣を尊重し、志を同じくする人々とのパートナーシップのもと、会社と社員が協力し合い、地球・社会の持続的発展に貢献します。世界各国・地域における持続可能な社会実現のために、重点分野を定め、各地で活動を行います。
総支出額:567,743千円(寄付金、寄付物品額、社員参加金額換算の合計)
社員参加人数:51,200人(のべ参加人数)
事業活動への好影響:71%(ビジネスにつながった、お客様との関係構築につながったなど)
❶ はたらく人のインクルージョン
❷ 地域·社会の発展(教育、ヘルスケア、まちづくり)
❸ 気候危機への対応と生物多様性保全
重点分野の活動事例
困難を抱える若者の生活と就業機会の向上(Ricoh UK Ltd., Ricoh Europe PLC)
Ricoh UK Ltd.は、13歳から30歳の失業中や困難を抱える若者の生活と就業機会を向上させるため、支援団体のThe Prince Trustと連携し、寄付に加えて面接訓練や履歴書レビューを実施しています。5年間で225人を支援し、そのうちRicoh UK Ltd.に就職した16人を含む180人が就労もしくは進学することができました。
東南アジアでのマングローブ植林(リコージャパン)
リコージャパンではお客様と共にSDGsに貢献する活動として、2020年2月から対象製品の導入ごとに1本のマングローブを東南アジアに植林しており、2023年度までに42万本の植林を行いました。生物多様性保全や気候変動への貢献とともに、漁獲量拡大による収入の増加や防災機能向上など持続可能な地域の発展を目指しています。