NHK BSプレミアム 魔改造の夜
“Rコー”
開発マシンに迫る
超一流のエンジニアたちが極限のアイデアとテクニックを競う、NHK BSプレミアムの技術開発エンターテインメント番組。“子どものおもちゃ”や“日常使用の家電”がえげつないモンスターへと姿を変える興奮と感動の夜会。
その第4弾「DVDプレーヤーボウリング」と「ペンギンちゃん大縄跳び」に、コピー機や事務機器の巨大メーカー・Rコーとしてリコーグループのエンジニアが出演し、わずか1か月半での魔改造に挑んだ。
ペンギンちゃん人形・5体を魔改造し、1分間でいかに数多く縄跳びができるかを競った。Rコーは1分間に240回という高い目標を掲げ、マシンの開発者と縄の回し手のアスリートが連携して記録に挑戦した。
ペンギンのPEN
ギリシャ語で5を表すPENTA
クロスしたフォーメーションXから、
リコーのカメラブランドへの愛着を込めてPENTA-Xと命名
PENTA-Xを上から見た図
素早く・数多く縄を跳ぶという機能を実現するために、縄の挙動を徹底的に解析し、ばらつきを極限まで抑えた縄回しの条件とペンギンの要求仕様を導き出した。
設計ポイント
1
解析
縄回しの最適な条件を
見つける縄解析
産業用ロボットの動作解析にも使われるモーションキャプチャーで縄の挙動を解析。
実験を重ね、PENTA-Xの最適寸法、そして縄の跳ね返りの少ない回し方を導き出した。
設計ポイント
2
エレキ
縄が通過したことを知らせる
縄検知センサーと
高ノイズ耐性制御回路
ジャンプのONとOFFを正確に切り替えるため、センサーを2か所設置。複合機内での紙検知に用いる反射型センサーを使用し、高い応答性を実現。
高出力モーターの絶縁制御回路により、高いノイズ耐性と応答性を両立させた。
設計ポイント
3
メカ
高速かつ高いジャンプ力を
生み出す
間欠スコッチヨーク機構
回転する縄に収まるコンパクトな形状でも安定した高いジャンプ力を備えるため、回転運動を直線運動に変えるシンプルな機構を採用。両側のアームを逆方向に回転させることで、バランスを取って真上にジャンプする。
リンクをアーチ状にし、1/3回転分(120deg)を不感帯とすることで、ジャンプに必要な時間を削減、高速ジャンプを可能にしている。
設計ポイント
4
メカ
高く飛んでも踏ん張れる
脚設計
高いジャンプの後でも安定して着地するために、エネルギーを分散させるBB弾を内蔵。衝撃を吸収し、すぐに次のジャンプの体勢に入ることができる。
製品に搭載されている技術だけでなく、身の回りにあるものを参考にした自由な発想を取り入れ、具現化することで効果を最大限に引き出すことに成功。
設計ポイント
5
ソフト
パラメーター調整が容易な
制御アルゴリズム
小型で反応速度が十分な制御マイコンを採用。センサー反応からモーター駆動までの時間や、モーター出力などのパラメーターを誰でも簡単に変更できるようにUIを実装。縄を回してみながらパラメーターのチューニングが可能。
身の回りの家電やおもちゃを怪物マシンに改造して戦わせる「魔改造の夜」。今回は、ペンギンちゃん大縄跳び競争に敗れたエンジニアたちのその後の物語。オフィス機器メーカーのRコーがリベンジをはかる!
1月22日、29日の両日に渡ってNHK BSプレミアム『魔改造の夜』に“Rコー”が登場したのは皆さんもよくご存知のこと。社内副業制度やTRIBUSなど、自由な働き方や新規事業創出などを進めるリコーにとって、魔改造に取り組むのは渡りに船というか、ある意味“望むところ”だったのではないか。今回、魔改造に取り組んだ2チームの面々の思いや、映像にはならなかった裏側をご紹介する。
2022年3月5日、有志の技術者を中心にしたリコー制作陣は、リコーグループのものづくり拠点である神奈川県海老名市リコーテクノロジーセンターにてギネス世界記録「一分間に最も多くロボットが縄跳びを跳んだ回数」に挑戦しました。悔しさをかみしめた「魔改造の夜」を経て、制作陣が感じた思いとは。今回はその中心メンバーでもあった緑川 瑠樹、亀井 謙二の両名に、番組終了後からギネス世界記録への挑戦までについて聞きました。
株式会社リコーは、有志の技術者が制作したペンギンちゃん大縄跳びマシン「PENTA-X(ペンタ・エックス)」で、ギネス世界記録「1分間に最も多くロボットが縄跳びを跳んだ回数」に挑戦し、170回の記録で認定されました。
DVDプレーヤーで動画を30秒以上再生してから、イジェクトボタンを押す流れでDVDを取り出して投げ、25m先のボウリングピンを倒す本数を競った。Rコーはコピー・プリンター(複合機)の紙搬送の技術をベースとして、持ち前の解析技術を駆使して挑戦した。
当初イメージしたサッカーのシュートのような軌道を達成する狙いから。メンバー間ではシュータ君という愛称で親しまれていました。また、コンシューマーにも親しみがある全天球カメラへの愛着も込めています。そして最後にリコーのR、またDVD-“R”を飛ばすマシンとしてRを付けました。
THOOTA-Rの外観
リコーの強みであるコピー・プリンター(複合機)の紙搬送のメカをベースとし、多くの試射の結果から品質ブレが限りなく少なくなるパラメータを導き出した。それを実現するため、各パラメータを調整できるような設計としている。例えば、モーターの回転数はセンサーとマイコンで柔軟かつ厳密に制御可能。
設計ポイント
1
メカ
加圧ローラーによる
加速機構
ディスク表裏の素材の違いによりローラーの回転数を上げてもDVDとローラー間でスリップしてしまい、飛距離が伸びない、また飛距離がばらつく、という課題があった。複合機の紙搬送機構を応用し、上下のローラーで挟み込み、上側のローラーをバネで圧力を加えるという機構を採用した。
設計ポイント
2
解析
シミュレーターによる
パラメータ探求
開発初期は実機や評価環境がなく、速度やディスク回転数の目標決定が困難だった。物理演算シミュレーターで簡易的な評価環境を作り目標を決定した。ピンの狙い、ディスク回転数など実機では観測が困難であるパラメータの評価にも有効。シミュレーションはリコー内でもトナーやインクジェットの挙動を解析するためにも活用される。
設計ポイント
3
解析
高速度カメラによる解析
同じパラメータなのにディスクの軌道が異なっている場合、ディスクと加速ローラー間で想定外の異常が起きている場合がある。普通に見てもわからないが、高速度カメラで1/4000秒毎に撮影すると違いがはっきりわかる。解析を通じて加圧ローラーやレールなどの機構にフィードバックし、精度を向上させた。
設計ポイント
4
エレキ・ソフト
人にわかりやすいUI/UX
ローラーの回転数を容易に調整できるようにモニター付きのマイコンを使用。わかりやすいUI設計、本番でのオペレーションミス防止にも貢献した。安全性を高めるため、ディスクを射出する前に遠くからでも視認しやすいようにパトランプを搭載。パトランプは業務用複合機に使用されるものと同一。
1月22日、29日の両日に渡ってNHK BSプレミアム『魔改造の夜』に“Rコー”が登場したのは皆さんもよくご存知のこと。社内副業制度やTRIBUSなど、自由な働き方や新規事業創出などを進めるリコーにとって、魔改造に取り組むのは渡りに船というか、ある意味“望むところ”だったのではないか。今回、魔改造に取り組んだ2チームの面々の思いや、映像にはならなかった裏側をご紹介する。
つくる~む海老名はRコーのものづくりFabスペースです。手を動かしながら考える社員を増やし、イノベーションを創出できるマインドを醸成することを目指し2020年よりボトムアップで提案し設立・活動しています。具体的には、3Dプリンター・レーザーカッター・カッティングマシンなどを筆頭に各種機材や工具を取り揃え、初心者の方でも使えるように定期的にワークショップを開催したり、運営チームで随時フォローを行なったりしています。