事業を通じた社会課題解決

リコーグループは「ESGと事業成長の同軸化」を方針に掲げ、ESGを非財務ではなく、数年後の財務につながる「将来財務」と位置づけています。ESGと事業成長は、それぞれ別々に進めるものではなく、お互いが両輪で噛み合って成り立つものと考えています。
デジタルサービスの提供によるお客様の生産性向上や創造性の発揮の支援、環境に配慮した製品・サービスの提供など、事業を通じた社会課題解決による「ESGと事業成⾧の同軸化」を進めています。

事業を通じて解決に貢献する4つの重要社会課題

持続可能な社会の実現に向け、リコーグループでは7つの重要社会課題(マテリアリティ)を設定しています。 「“はたらく”の変革」「地域・社会の発展」「脱炭素社会の実現」 「循環型社会の実現」の4つを“事業を通じた社会課題解決”とし、それを支える“経営基盤の強化”の3つの重要社会課題とあわせて構成しています。
重要社会課題は、オフィスや現場、社会といったワークプレイスにおける課題とつながっています。こうした課題解決を一つ一つ積み重ねることが社会課題の解決と事業成長を同時に実現します。リコーグループは今後も社会課題解決型事業で事業成長を加速し、持続可能な社会づくりに貢献していきます。

画像:リコーはデジタルサービスの提供を通じて、お客様に“はたらく”の変革を提供しています。オフィスや現場のデジタル化やDXの推進による生産性向上やデータ利活用の促進による新たな価値創造などの「お客様価値の拡がり」と、オフィスから現場、社会へと広がる「ワークプレイスの拡がり」 の2軸によって価値提供領域を拡大しています。リコーの重要社会課題(マテリアリティ)は、さまざまなワークプレイスの課題とつながっています。「“はたらく”の変革」は、オフィスサービスやドキュメントイメージング、スマートビジョンなどに注力し、課題解決に貢献しつつ、事業成長していきます。この領域での事業売上を2022年度実績の7,800億円から、2025年度には10,500億円まで伸ばします。「地域・社会の発展」は、オフィス以外を対象とした保守・サービスであるGEMBAやバイオメディカル、自治体ソリューションなどに注力し、2022年度の売上130億円から2025年度は500億円まで伸ばします。「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」関しては、環境配慮型複合機、商用印刷、ラベルレスなどに注力し、2022年度の売上1,560億円から2025年度5,500億円まで伸ばします。

“はたらく”の変革

人とデジタルの力で、はたらく人やはたらく場をつなぎ、お客様の“はたらく”を変革するデジタルサービスを提供し、生産性向上・価値創造を支援します

地域・社会の発展

技術 × 顧客接点力で、地域・社会システムの維持発展、効率化に貢献し、価値提供領域を拡大します

脱炭素社会の実現

バリューチェーン全体の脱炭素化に取り組み、カーボンニュートラルへの貢献を通じたビジネス機会を創出します

循環型社会の実現

自社および顧客のサーキュラーエコノミー型ビジネスモデル構築によりビジネス機会を創出します

“はたらく”の変革

事例のご紹介 業種業務ごとに課題解決をサポートするソリューションパッケージを提供
中小企業のワークプレイスのDXを支え、“はたらく”の変革に貢献

画像:8.働きがいも経済成長も
画像:9.産業と技術革新の基盤をつくろう

社会課題・顧客課題

労働人口が減少し続けている日本において、生産性向上は喫緊の課題。ICT利活用の促進によるDXの加速が求められています。一方で、DXを推進するデジタル人材、ノウハウの不足が課題となっており、特に中小企業でICT活用がいまだ不十分と言われる要因となっています。

リコーグループの取り組み・強み

中小企業を対象に業種業務ごとのソリューションをパッケージ化して提供。リコーの強みを活かして中小企業のDXを支えています。

<リコーの強み>
  • お客様の現場の課題の深掘り・業種業務のニーズ把握と商品開発
  • オフィス事業で培った中堅・中小顧客基盤
  • 全国に広がる販売・サービス網、導入から運用まで顧客に伴走する力

社会課題解決と事業成長の同軸化

モノ売りからコト売りへのセールス体質変換を推進。価値共創パートナーとしてお客様の変化し続ける課題をタイムリーかつ的確にとらえ、業務の効率化や創造力の発揮に貢献します。これにより、成長領域であるデジタルサービスで新たなストック収益の創出を加速し、中長期の利益成長を実現していきます。

社会課題解決への貢献

デジタルの力で中小企業のDXを支え、“はたらく”の変革に貢献

  • 2023年度は86,769件導入、計5,672万時間の創出に貢献
  • 移動減に伴うGHG排出量の削減にも貢献
事業成長
  • スクラムパッケージの継続伸長により、利益率の高いストック収益の積み上げを加速、年間売上594億円に伸長(2023年度)

関連情報

事例のご紹介 現地に行かなくても現場状況の確認・記録ができるソリューションを提供​
情報共有の強化や、生産性・労務環境の向上に貢献​

画像:8.働きがいも経済成長も
画像:9.産業と技術革新の基盤をつくろう

社会課題・顧客課題

建設業等、現場作業のある業種では、長時間労働の是正や人手不足への対応に迫られる一方、現地調査、施工管理など現場作業が多岐に渡り、生産性の大幅な改善が課題です。DXによる現場のワークフローの変革、生産性向上が急務となっています。

リコーグループの取り組み・強み

360度画像を活用して、現場状況をデジタル化。業種業務ソリューションを有するパートナー企業との連携によりワークフロー全体をカバーし、現場状況の共有や生産性・労務環境の向上に貢献します。​

<リコーの強み>
  • AIを活用した360度画像技術
  • 360度画像に関わるハードウェア、アプリケーション、クラウドサービスを一気通貫で提供

社会課題解決と事業成長の同軸化

すでに導入が進んでいる建設業や不動産業、中古車販売に加えて、医療、物流、製造等、現場確認に課題を抱える業種を中心に、360度画像活用の市場創出を図っていきます。またグローバル販売網との連携強化でさらなる販売拡大につなげていきます。

社会課題解決への貢献
  • ワークフロー変革による現場業務の生産性・労務環境の向上
  • 移動減に伴うGHG排出量の削減にも貢献
事業成長
  • ターゲット業種拡大による360度画像活用の新たな市場創出
  • グローバル販売網との連携強化による販売拡大​

関連情報

地域・社会の発展

事例のご紹介 カスタマーエンジニアのリスキリングにより保守対象を医療機器に拡大
安心・安全な医療のためのインフラ維持に貢献

画像:3.全ての人に健康と福祉を

社会課題・顧客課題

日本の医療においては、高度な技術革新を伴う構造変化が加速しており、デジタルやAIを駆使した革新性の高い装置やシステムの導入による運営効率の改善、それに伴う働き方改革への対応が求められています。
この中で、医療機器の設置やネットワークへの接続、また稼働開始後の定期点検や故障時の修理などオンサイトでの対応の質の確保が、医療の質や効率、さらには患者や医療従事者の安全性の面からも重要視されるようになりつつあります。

リコーグループの取り組み・強み

カスタマーエンジニアのリスキリングを展開。保守対象領域を従来のオフィスから医療機器に拡大し、安心・安全な医療のためのインフラ維持に貢献しています。

<リコーの強み>
  • 遠隔地も含めた広範囲をカバーできる保守サービス網
  • オフィス事業で培ったカスタマーエンジニアのネットワークスキル

社会課題解決と事業成長の同軸化

医療機器サービス人材を2025年度末までに倍増。医療機器パートナー拡大による新たな顧客の獲得と、医療機器メンテナンスを切り口にした顧客の深耕により事業成長につなげていきます。
カスタマーエンジニアのリスキリングをさらに進め、医療機器以外(ex.太陽光パネル、スマートロッカー)にも保守対象領域を拡大。オフィスから現場・社会へと価値提供領域を拡大していきます。

社会課題解決への貢献
  • 広範囲をカバーできる保守サービス網、医療機器のネットワーク接続にも対応できるスキルで安心・安全な医療のためのインフラ維持に貢献
  • 医療・教育・まちづくり分野で2030年までに3,000万人の生活基盤向上へ貢献
事業成長
  • 医療機器パートナー拡大による新たな顧客の獲得
  • 医療機器メンテナンスを切り口にした、オフィスプリンティング事業・オフィスサービス事業のアドオン
  • 医療機器以外にも保守対象領域を拡大

関連情報

事例のご紹介 人手不足に悩む小規模自治体にも対応可能なDX支援サービスにより、
住民サービス向上と庁内働き方改革を実現​

画像:人手不足に悩む小規模自治体にも対応可能なDX支援サービスにより、<br>
            住民サービス向上と庁内働き方改革を実現
画像:11. 住み続けられるまちづくりを

社会課題・顧客課題

地方都市では過疎化や労働力不足、産業の空洞化が進行しています。このような状況の中、特に小規模自治体職員は限られた予算と人材の中で様々な日常業務に追われており、新たな取り組みに割く時間が不足しています。そのため、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入・推進が課題となっています。

リコーグループの取り組み・強み

全国の自治体に対して、公文書管理や住民窓口改革、庁内ネットワークの整備などさまざまなソリューションの提供を通じて自治体のDXを支援しています。

<リコーの強み>
  • 小規模自治体もカバーできる販売・サービス網​
  • 働き方改革・セキュリティ・インフラ・業務効率化の各課題に対するソリューションの提供(マルチベンダー)​
  • 自治体DXの基盤である文書電子化について社内実践を通じた提案が可能
  • 全国80団体との連携協定締結実績に基づく自治体との関係力

社会課題解決と事業成長の同軸化

政府の「デジタル田園都市国家構想」(交付金予算1,000億円規模*)の後押しにより自治体DXの市場拡大が期待される中、リコーグループの強みを活かして事業を拡大していきます。
さらに、取引自治体との連携を通じて、IT導入補助金を活用した域内民間企業へのDXビジネス拡大にもつなげています。(IT導入支援事業者として、補助金申請・採択件数トップクラスの実績あり)

*令和6年度予算。内閣官房・内閣府総合サイト地方創生より

社会課題解決への貢献
  • 人手不足に悩む小規模自治体のDX支援
  • 自治体職員の業務効率化による住民サービス向上への貢献​
事業成長
  • デジタル田園都市国家構想(交付金予算1000億円規模)の後押しによる小規模自治体のDX加速
  • 取引自治体と連携した域内民間企業へのビジネス拡大​

関連情報

事例のご紹介 教育現場においてICT機器を活用した様々なソリューションを提供
デジタルリテラシー強化や探究・STEAM教育の充実に対応

画像:教育現場においてICT機器を活用した様々なソリューションを提供デジタルリテラシー強化や探究・STEAM教育の充実に対応
画像:4.質の高い教育をみんなに
画像:11. 住み続けられるまちづくりを

社会課題・顧客課題

教育現場では、デジタルリテラシー教育や主体的かつ協働的に課題を解決するための探究・STEAM教育の推進が重要視されてきています。
GIGAスクール構想の実現により一人一台端末が整備されましたが、今後は生徒のIT活用力の育成や教師の指導力向上、ICT環境のさらなる充実も課題になっています。

リコーグループの取り組み・強み

ICT環境整備のサポートだけでなく機器の活用までをトータルで提案。さらには探究力や創造力を育成する探究型STEAM教育カリキュラムの支援することで教育の質の向上に貢献しています。

<リコーの強み>
  • CAI*およびGIGAスクール商談で培った関係力・提案力・伴走力
  • 各都道府県に拠点を有する販売網・サポート網​

*CAI:Computer Assisted Instruction の略 コンピュータを用いた教育​

社会課題解決と事業成長の同軸化

国内教育DX/ICT市場は2030年までに3,644億円規模(2021年度比149.7%成長)*に拡大すると言われています。リコーグループは強みを活かしてGIGAスクール整備を支援した260自治体を中心としたデバイス買替需要に対応し、事業を拡大していきます。

*富士キメラ総研調べ

社会課題解決への貢献
  • デジタルリテラシー教育・探究STEAM教育の推進
  • 教師の指導力向上やICT環境のさらなる充実による教育の質の向上
事業成長
  • GIGAスクール整備を支援した260自治体を中心にデバイス買い替え需要への対応
  • 拡大市場におけるICT環境整備やカリキュラム支援などのアドオン提案

関連情報

脱炭素社会・循環型社会の実現

事例のご紹介 業界最高水準の環境性能を実現したA3カラー複合機を開発
脱炭素社会や循環型社会の実現に貢献

画像:7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
画像:12.つくる責任。つかう責任
画像:13.気象変動に具体的な対策を

社会課題・顧客課題

豪雨・熱波などの異常気象をはじめとした気候変動問題は、地球沸騰化と表現されるほど切迫したものとなっています。持続可能な地球環境を維持していくためには、温室効果ガスの排出削減をさらに強化していくと同時に、限られた資源を有効に活用する仕組み、技術も不可欠となっており、自社にとどまらずライフサイクル全体で取り組みを進めていくことが重要となっています。

リコーグループの取り組み・強み

ライフサイクル全体(原材料調達から廃棄・リサイクルまで)の環境負荷低減を意識した長年の製品づくりの知見、ノウハウを活かし、製品開発と同時並行で、材料メーカーと共同でプラスチック回収材を新規で使用。

<リコーの強み>
  • 複合機本体のプラスチック総量に対してA3複合機で業界最高水準となる50%以上のプラスチック回収材を使用。
  • ライフサイクル全体でのカーボンフットプリントを従来機より約27%削減。
  • 生産工場の使用電力は100%再生可能エネルギーを使用

社会課題解決と事業成長の同軸化

サーキュラーエコノミーや人権DDに関する法規制、環境性能要求の動向などを先取りしたモノづくりで商品力を強化しています。
また、アナログとデジタルをシームレスにつなぎ、お客様業務のDX支援を担うエッジデバイスとして、お客様のよりよい働き方の実現を支援しています。

社会課題解決への貢献
  • 50%以上のプラスチック回収材を使用
  • ライフサイクル全体でのカーボンフットプリントを従来機より約27%削減
  • 製品カーボンフットプリント低減により2023年度約59,000t-CO2排出量削減に貢献
  • CO2排出削減により2023年度約5.3億円*の推定社会コストを抑制​

*世界銀行2024年版「カーボンプライシングの現状と傾向」EU ETS価格より算出

事業成長
  • 高まる脱プラ、カーボンフットプリント開示、カーボンオフセット要求への先行対応による差別化
  • ESG要求を伴うグローバル商談の獲得にも寄与

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事例のご紹介 包材に直接印字できるラベルレスサーマル技術を開発
顧客の製品・ビジネスモデルのサーキュラーエコノミーへの対応を支援

画像:8.働きがいも経済成長も
画像:12.つくる責任。つかう責任
画像:13.気象変動に具体的な対策を

社会課題・顧客課題

持続的な社会の実現に向け、市民・企業・行政などの各主体が社会のあらゆる面で自主的かつ積極的に環境への負荷の低減に取り組むことが求められるようになってきました。
これに併せて消費者の意識も変化しており、エシカル消費などの機運も高まってきています。企業はこうした消費者意識の変化に対応した商品の開発やビジネスモデルの転換が求められています。

リコーグループの取り組み・強み

透明フィルムに直接印字できる技術を開発し、包装のラベルレス化を実現しました。「ラベル・リボンごみ削減による環境負荷低減」「商品ごとに異なる包装材の統一化によるデッドストック削減」「ラベルやリボンの準備・交換作業がなくなることによる生産性向上」に貢献しています。

<リコーの強み>
  • 業界初の部分塗工技術により、中身の見やすさと成分表示を両立
  • 世界トップシェアのサーマルペーパー・熱転写リボンで培った物流・流通・医療・交通インフラ業界の顧客課題解決ノウハウ

社会課題解決と事業成長の同軸化

コンビニ業界を皮切りに、大手・中堅スーパーへ展開。また、食品包材だけでなく、医薬包材・物流包材など他業種への展開も可能。2023年4月に新会社「RNスマートパッケージング株式会社」を立ち上げ、事業を拡大中。2025年100億円以上の売上を目指しています。

社会課題解決への貢献
  • 環境負荷低減(感熱ラベル比カーボンフットプリント80%以上削減)
  • デッドストック削減
  • 生産性向上
事業成長
  • 2022年より大手コンビニ2社へ採用
  • 他業種への展開・海外展開も視野に2025年売上高100億円以上へ拡大

関連情報

事例のご紹介 剥離紙のない感熱ラベルで紙の使用量を削減し、脱炭素にも貢献​​

画像:剥離紙のない感熱ラベルで紙の使用量を削減し、脱炭素にも貢献​​
画像:12.つくる責任。つかう責任
画像:13.気象変動に具体的な対策を

社会課題・顧客課題

脱炭素社会・循環型社会の実現に向け、企業が積極的に環境への負荷の低減に取り組むことが求められるようになってきました。その中で商品包装の資源削減も重要なテーマになっています。また人体や環境への悪影響が懸念される化学物質の使用に対しての法規制も強化され、関心が高まっています。

リコーグループの取り組み・強み

剥離紙を用いない感熱ラベル「シリコーントップライナーレスラベル」によって包装工程の資源削減に貢献しています。また化学物質規制に先行して、フェノールフリー製品を日本市場から展開開始しております。​

<リコーの強み>
  • 長年培った感熱紙の技術により剥離紙除去を実現​
  • 剥離紙付きラベルに対し、GHG排出量を約30%削減

社会課題解決と事業成長の同軸化

日本では食品POSラベルでのライナーレスの使用が約40%まで高まる中、国内シェア60%を保持。(2024年度現在、自社調べ)グローバルでも同様に普及が進んでおり今後の伸びが予想されています。またフェノール系材料を使用しないことを採用条件とする大手流通企業もあり、今後も拡大が見込まれます。

社会課題解決への貢献
  • 剥離紙をなくし資源削減に貢献。これにより従来品よりGHG排出量を30%低減。
事業成長
  • 食品POSのライナーレスラベルでは60%のシェアを保持*
  • 食品POSではライナーレス化が進み(約40%*)、今後グローバルに伸長の見込み
  • フェノール系材料を使用しないことを採用条件とする企業も増加
  • *2024年度現在、自社調べ

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