リコーグループは「ESGと事業成長の同軸化」を方針に掲げ、ESGを非財務ではなく、数年後の財務につながる「将来財務」と位置づけています。ESGと事業成長は、それぞれ別々に進めるものではなく、お互いが両輪で噛み合って成り立つものと考えています。
デジタルサービスの提供によるお客様の生産性向上や創造性の発揮の支援、環境に配慮した製品・サービスの提供など、事業を通じた社会課題解決による「ESGと事業成⾧の同軸化」を進めています。
持続可能な社会の実現に向け、リコーグループでは7つの重要社会課題(マテリアリティ)を設定しています。 「“はたらく”の変革」「地域・社会の発展」「脱炭素社会の実現」 「循環型社会の実現」の4つを“事業を通じた社会課題解決”とし、それを支える“経営基盤の強化”の3つの重要社会課題とあわせて構成しています。
重要社会課題は、オフィスや現場、社会といったワークプレイスにおける課題とつながっています。こうした課題解決を一つ一つ積み重ねることが社会課題の解決と事業成長を同時に実現します。リコーグループは今後も社会課題解決型事業で事業成長を加速し、持続可能な社会づくりに貢献していきます。
労働人口が減少し続けている日本において、生産性向上は喫緊の課題。ICT利活用の促進によるDXの加速が求められています。一方で、DXを推進するデジタル人材、ノウハウの不足が課題となっており、特に中小企業でICT活用がいまだ不十分と言われる要因となっています。
中小企業を対象に業種業務ごとのソリューションをパッケージ化して提供。リコーの強みを活かして中小企業のDXを支えています。
モノ売りからコト売りへのセールス体質変換を推進。価値共創パートナーとしてお客様の変化し続ける課題をタイムリーかつ的確にとらえ、業務の効率化や創造力の発揮に貢献します。これにより、成長領域であるデジタルサービスで新たなストック収益の創出を加速し、中長期の利益成長を実現していきます。
デジタルの力で中小企業のDXを支え、“はたらく”の変革に貢献
建設業等、現場作業のある業種では、長時間労働の是正や人手不足への対応に迫られる一方、現地調査、施工管理など現場作業が多岐に渡り、生産性の大幅な改善が課題です。DXによる現場のワークフローの変革、生産性向上が急務となっています。
360度画像を活用して、現場状況をデジタル化。業種業務ソリューションを有するパートナー企業との連携によりワークフロー全体をカバーし、現場状況の共有や生産性・労務環境の向上に貢献します。
すでに導入が進んでいる建設業や不動産業、中古車販売に加えて、医療、物流、製造等、現場確認に課題を抱える業種を中心に、360度画像活用の市場創出を図っていきます。またグローバル販売網との連携強化でさらなる販売拡大につなげていきます。
日本の医療においては、高度な技術革新を伴う構造変化が加速しており、デジタルやAIを駆使した革新性の高い装置やシステムの導入による運営効率の改善、それに伴う働き方改革への対応が求められています。
この中で、医療機器の設置やネットワークへの接続、また稼働開始後の定期点検や故障時の修理などオンサイトでの対応の質の確保が、医療の質や効率、さらには患者や医療従事者の安全性の面からも重要視されるようになりつつあります。
カスタマーエンジニアのリスキリングを展開。保守対象領域を従来のオフィスから医療機器に拡大し、安心・安全な医療のためのインフラ維持に貢献しています。
医療機器サービス人材を2025年度末までに倍増。医療機器パートナー拡大による新たな顧客の獲得と、医療機器メンテナンスを切り口にした顧客の深耕により事業成長につなげていきます。
カスタマーエンジニアのリスキリングをさらに進め、医療機器以外(ex.太陽光パネル、スマートロッカー)にも保守対象領域を拡大。オフィスから現場・社会へと価値提供領域を拡大していきます。
地方都市では過疎化や労働力不足、産業の空洞化が進行しています。このような状況の中、特に小規模自治体職員は限られた予算と人材の中で様々な日常業務に追われており、新たな取り組みに割く時間が不足しています。そのため、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入・推進が課題となっています。
全国の自治体に対して、公文書管理や住民窓口改革、庁内ネットワークの整備などさまざまなソリューションの提供を通じて自治体のDXを支援しています。
政府の「デジタル田園都市国家構想」(交付金予算1,000億円規模*)の後押しにより自治体DXの市場拡大が期待される中、リコーグループの強みを活かして事業を拡大していきます。
さらに、取引自治体との連携を通じて、IT導入補助金を活用した域内民間企業へのDXビジネス拡大にもつなげています。(IT導入支援事業者として、補助金申請・採択件数トップクラスの実績あり)
*令和6年度予算。内閣官房・内閣府総合サイト地方創生より
教育現場では、デジタルリテラシー教育や主体的かつ協働的に課題を解決するための探究・STEAM教育の推進が重要視されてきています。
GIGAスクール構想の実現により一人一台端末が整備されましたが、今後は生徒のIT活用力の育成や教師の指導力向上、ICT環境のさらなる充実も課題になっています。
ICT環境整備のサポートだけでなく機器の活用までをトータルで提案。さらには探究力や創造力を育成する探究型STEAM教育カリキュラムの支援することで教育の質の向上に貢献しています。
*CAI:Computer Assisted Instruction の略 コンピュータを用いた教育
国内教育DX/ICT市場は2030年までに3,644億円規模(2021年度比149.7%成長)*に拡大すると言われています。リコーグループは強みを活かしてGIGAスクール整備を支援した260自治体を中心としたデバイス買替需要に対応し、事業を拡大していきます。
*富士キメラ総研調べ
豪雨・熱波などの異常気象をはじめとした気候変動問題は、地球沸騰化と表現されるほど切迫したものとなっています。持続可能な地球環境を維持していくためには、温室効果ガスの排出削減をさらに強化していくと同時に、限られた資源を有効に活用する仕組み、技術も不可欠となっており、自社にとどまらずライフサイクル全体で取り組みを進めていくことが重要となっています。
ライフサイクル全体(原材料調達から廃棄・リサイクルまで)の環境負荷低減を意識した長年の製品づくりの知見、ノウハウを活かし、製品開発と同時並行で、材料メーカーと共同でプラスチック回収材を新規で使用。
サーキュラーエコノミーや人権DDに関する法規制、環境性能要求の動向などを先取りしたモノづくりで商品力を強化しています。
また、アナログとデジタルをシームレスにつなぎ、お客様業務のDX支援を担うエッジデバイスとして、お客様のよりよい働き方の実現を支援しています。
*世界銀行2024年版「カーボンプライシングの現状と傾向」EU ETS価格より算出
持続的な社会の実現に向け、市民・企業・行政などの各主体が社会のあらゆる面で自主的かつ積極的に環境への負荷の低減に取り組むことが求められるようになってきました。
これに併せて消費者の意識も変化しており、エシカル消費などの機運も高まってきています。企業はこうした消費者意識の変化に対応した商品の開発やビジネスモデルの転換が求められています。
透明フィルムに直接印字できる技術を開発し、包装のラベルレス化を実現しました。「ラベル・リボンごみ削減による環境負荷低減」「商品ごとに異なる包装材の統一化によるデッドストック削減」「ラベルやリボンの準備・交換作業がなくなることによる生産性向上」に貢献しています。
コンビニ業界を皮切りに、大手・中堅スーパーへ展開。また、食品包材だけでなく、医薬包材・物流包材など他業種への展開も可能。2023年4月に新会社「RNスマートパッケージング株式会社」を立ち上げ、事業を拡大中。2025年100億円以上の売上を目指しています。
脱炭素社会・循環型社会の実現に向け、企業が積極的に環境への負荷の低減に取り組むことが求められるようになってきました。その中で商品包装の資源削減も重要なテーマになっています。また人体や環境への悪影響が懸念される化学物質の使用に対しての法規制も強化され、関心が高まっています。
剥離紙を用いない感熱ラベル「シリコーントップライナーレスラベル」によって包装工程の資源削減に貢献しています。また化学物質規制に先行して、フェノールフリー製品を日本市場から展開開始しております。
日本では食品POSラベルでのライナーレスの使用が約40%まで高まる中、国内シェア60%を保持。(2024年度現在、自社調べ)グローバルでも同様に普及が進んでおり今後の伸びが予想されています。またフェノール系材料を使用しないことを採用条件とする大手流通企業もあり、今後も拡大が見込まれます。
*2024年度現在、自社調べ