リコーグループでは、基本理念である「リコーウェイ」において、使命を果たし目指す姿を実現するための社員の行動指針として、7つの価値観を定めており、そのうちの一つ、「ETHICS AND INTEGRITY」は、誠実に、正直に、責任を持って行動することが示されています。従業員の評価制度においても、顧客への提供価値などを含むリコーウェイ7つの価値観を体現し高いパフォーマンスを発揮できている社員が高く評価される仕組みとなっています。
また、腐敗行為を防止し法令だけでなく社内規則や社会倫理を遵守することを“コンプライアンス”と考え、リコーグループの各社の行動原則と、リコーグループの役員および従業員の基本的な行動の規範を定めた「リコーグループ企業行動規範」をグループ全員に徹底し、一人ひとりが日常の活動の中で確実に遵守していくことに努めています。
企業活動を展開していくにあたって、社会的責任を果たすために、2003年に「リコーグループ行動規範」を策定しました。2018年には「リコーグループCSR憲章」と統合のうえ、「リコーグループ企業行動規範」として改訂し、2023年に昨今の社会動向を踏まえた最新版を発効しています。
腐敗行為の防止や法令および社内ルールを遵守し、高い倫理観をもって行動するという観点から、リコーグループの各社の行動原則、それらの役員、従業員(契約社員、パートタイマー、アルバイトを含む)の基本的な行動の規範を定めたものです。
「リコーグループ企業行動規範」の遵守については、リコーグループ各社の経営トップを責任者とし、リコーグループ各社は、役員および従業員に対し「リコーグループ企業行動規範」の遵守徹底に努めています。
企業行動規範7章では、「公正な企業活動の徹底」を掲げており、リコーグループすべての役員・従業員は法規制や社会で尊重されているルールを遵守し、誠実に、正直に、責任を持って行動することを記載しています。
なお、企業行動規範に違反する行為が発覚した際には、業績評価において考慮される場合や、もしくは就業規則に基づき懲戒処分の対象となる場合があります。
リコーグループでは2018年度にリコーグループ企業行動規範を改訂し、2019年度にグローバル全従業員に対して企業行動規範教育を実施しました。
新たにリコーグループの従業員になったメンバーへは入社時に必ず行動規範教育を行うことで全従業員が規範に沿った行動ができるよう推進しています。
また、2019年度より毎年、 コンプライアンス月間を設定し、 国内外でコンプライアンスに特化した教育・研修を企画・実施しています。これまでに腐敗行為防止やハラスメントなどをトピックとして取り上げ、トップメッセージの発信やWebベースによる包括的な教育・研修を役員・従業員(契約社員、パートタイマー、アルバイトを含む)に実施し、一人ひとりのコンプライアンス意識向上を促進しました。
日本国内では、リコーグループの全ての役員・従業員(契約社員、パートタイマー、アルバイトを含む)に対して、eラーニングによる企業行動規範教育を定期的に実施しています。企業行動規範の各条項の内容確認に加え、法令の施行等に合わせたトピックを重点項目として取り上げ、事例を交えて学習し、理解度を確認するテストを行います。
リコーグループは、「リコーウェイ」に込められた価値観に立脚して、企業倫理と遵法の精神に基づき、経営の透明性を確保しつつ、競争力の強化を目指した内部統制システムを整備・運用し、その継続的な改善に努めています。活動の指針として「リコーグループ経営管理基本原則」を制定し、その中の「内部統制原則」に沿って活動を展開しています。
内部監査については、独立した専任組織の内部監査室が「内部監査規程」及び「年間監査計画」に基づき、法令等の遵守、業務の有効性と効率性、財務報告の信頼性、及び資産の保全の観点からリスクアプローチにより当社グループの事業執行状況の内部監査を毎年実施し、公正かつ客観的な立場で改善のための助言・勧告を行っております。
監査対象先は、当社の各組織および全ての子会社を対象に、リスク評価や有効性・効率性を踏まえて毎年選定し、計画的に監査を実施しています。なお、監査内容は、財務監査に加えて、コンプライアンス推進体制(不正行為防止や企業行動規範の周知徹底等)や情報セキュリティ管理体制(プライバシーポリシーの遵守等)を含む業務監査のリコーグループ各社への実施になります。その結果については、社長執行役員のもとに設置された「内部統制委員会」では四半期毎、取締役会においても半期毎に報告し助言を仰いでおります。
内部監査室は、監査役との定期的な情報交換会を実施し、当社グループの監査結果や内部統制状況を報告しております。また、日常においても、共通のデータベースを活用し、双方の情報閲覧を可能としており、緊密な連携の下に監査を実施しております。
また、監査役及び監査役会、並びに内部監査室は、会計監査人である監査法人と、監査実施内容に関する情報交換会を定期、不定期に実施しております。この情報交換会を通して、監査結果や監査法人が把握した内部統制の状況及びリスクの評価等に関する意見交換を行い、緊密な連携を維持しております。
これらの監査において指摘された事項については、各部門及び連結子会社において改善の検討が行われ、必要な改善がなされているか再確認するというサイクルを通して、当社グループの内部統制の強化、及び業務遂行の質の向上が図られております。
リコーグループでは、法令違反・人権侵害・ハラスメント・贈収賄・不正な取引・包括的な腐敗行為などコンプライアンス違反に関する通報・相談窓口として、国内のリコーグループ全ての役員・従業員(パートタイマー、アルバイト、人材派遣社員、退職者(退職後1年以内)含む)が、原則としては実名で、通報者が希望する場合は匿名で利用できる「リコーグループほっとライン」を設置しています。初期受付窓口は、社外に設置しており、電話やWebページでの連絡が可能です。いずれも専用の番号やWebページを設けて、相談内容へのセキュリティ保護を図ることはもちろん、通報・相談したこと自体を理由とした相談者への不利益な取り扱いや報復措置の禁止についても定め、通報者の保護を図っています。受付時間については、電話の場合は就業時間に加えて夜間や休日、Webページの場合は24時間と、相談者がより利用しやすいよう見直しを行っています。
加えて2018年11月から、国内外のリコーグループ全ての役員・従業員が利用できる「リコーグループグローバル内部通報制度」を設置し、リコー常勤監査役に直接Webページから 報告できる仕組みを構築しました。また、2020年5月から、国内外のリコーグループに関係するサプライヤー企業がリコーのウェブサイトから通報できる「サプライヤー・パートナーホットライン」を設置しています。
通報・相談内容は、経営層へ定期的に報告し、リコーグループとしての課題改善や未然防止策の水平展開に繋げています
「リコーグループほっとライン」の他、国内・海外の主要各社が組織や地域の特性に合わせて、自社内に通報・相談窓口を設置し、運用しています。また、内部通報制度の周知状況を内部監査実施時に確認しています。2023年度の内部通報件数は1,255件でその内重大なインシデントに繋がった事象は2件ありました。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|
内部通報件数 | 941件 | 1,143件 | 1,255件 |
リコーグループ社員が尊重すべき、リコーウェイ7つの価値観のうちの一つが「Ethics And Integrity(誠実に、正直に、責任をもって行動する)というコンプライアンスマインドであり、それが全グループ社員に浸透するよう、啓発活動を行っています。この活動を通じて、全グループ社員が高い倫理観と遵法精神をもち、常に誠実で責任ある行動により業務に取り組むことを動機づけています。
また、実際にグループ内で起こりトップに報告された不正等を英訳してグループ内で情報を共有しています。
「リスクマネジメント」でも述べたように、経営に重大な影響を及ぼすリスク管理項目の一部としてコンプライアンス違反に関するリスクを設定し、未然防止と発生時の迅速な対応に努めてリスクマネジメントを実施しています。
グローバルな基本方針と具体的行動を「リコーグループ企業行動規範」で定め、更なる対応が必要なものについては、グループ標準やガイドライン等を制定しています。
以下は、一部のコンプライアンス関連リスクへの対応例です。
リコーグループでは、「リコーグループ企業行動規範」に規定している「7.公正な企業活動の徹底」に則り、グループ標準「リコーグループ贈収賄防止規定」を制定しています。
本標準は、リコーグループの贈収賄行為防止に向けた対応について定め、事業を展開する全ての国・地域において適用される米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)や英国贈収賄禁止法(Bribery Act2010)などの腐敗・贈収賄禁止法を遵守することを求め、リコーグループ各社ならびに全ての役員および従業員の贈収賄防止を図っています。
また、リコーグループの取引先(※)による贈賄を防止する目的とした、取引先様用「リコーグループ贈収賄防止ガイドライン」も併せて制定し、取引先の皆様に対してリコーグループの贈収賄防止方針の周知・徹底を図っています。
また、政治献金その他の寄付や後援を行う場合は、当該国・地域に適用される法令に従うほか、事前にリコーグループ各社における決裁権限者の承認を得た上で適正に実施することが贈収賄防止規定で定められています。
2023年度政治献金実績:0円
2023年度寄付金実績:すべての寄付は決裁権限に従って適正に審査されました。
行動規範の教育に加え、各地域の必要性に応じた贈収賄防止についての教育を実施し、周知と発生防止に努めています。米国や欧州では、海外腐敗行為防止法や英国贈収賄禁止法に対応する為、腐敗防止や接待・贈答についてのポリシーを策定し、教育も実施しています。
また、企業による不正な取引を防止するための法律へ適切に対応するために、弁護士などの有識者と連携を取りながら不正発生の防止に取り組んでいます。
グループ標準内に対応部門の役割や日常の心構えを定めたガイドブックの制定や、取引先との各種契約に暴排条項を盛り込む等の未然防止活動を行っています。
企業として、警察、顧問弁護士、その他外部機関との連携により、反社会的勢力からの接触に適時適切に対応できるよう体制を構築しています。
日本国内については、グループ本社が存在することでインサイダー取引発生の可能性が他の地域より高いことを考慮し、eラーニングによる教育の実施やグループ標準を制定して具体的な規則を定め対応しています。
グループ標準では、リコーグループ上場会社株の売買に関して、売買の際の事前申請ルールを定め、株主総会前や決算発表日前等のインサイダー情報が発生しやすい時期を、リコーグループ関係者(役員、社員、パートタイマー、人材派遣社員)による売買禁止期間として定める等して、インサイダー取引の未然防止に努めています。
リコーグループは公的機関との取引及び政治献金について関連法令を遵守し 1)厳正な対応を行う 2)不法な政治献金及び選挙活動を行わないことをリコーグループ企業行動規範で定めています。毎年各団体の加盟の意義や必要性を見直すとともに、拠出金の支払いが適正であることを確認しています。
リコーの直近4年間における政治献金やその他の支出実績は以下の通りです。
項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|
ロビー活動 | 0 | 0 | 0 | 0 |
政治活動・政治団体への支出 | 0 | 0 | 0 | 0 |
業界団体などへの支出 | 76.4 | 75.4 | 84.1 | 79.7 |
その他 (投票法案又は国民投票に関連する支出) | 0 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 76.4 | 75.4 | 84.1 | 79.7 |
団体名(支出額) | 加盟団体及び役割 |
---|---|
一般社団法人 ビジネス機械・情報システム産業協会 <JBMIA> |
ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)は、ビジネス機械とそれに付随する情報システム産業の発展を通じて日本経済の発展と快適なオフィス環境の実現に貢献することを目的とする産業団体です。リコーは、代表取締役会長の山下が2018年度、2019年度の2年間にわたりこの協会の会長を務め、同会の活動をリードしました。 リコーからは100名を超える研究開発や事業戦略等のスタッフが、新しいワークスタイルを提案し、活力あるグローバル社会を創るというJBMIAが掲げる理念のもと、お客様の安心・安全の追求、脱炭素社会・循環型社会の実現、国際協力、標準化、通商などに関する政策提言をはじめ、幅広い活動に参画しています。 |
一般社団法人 電子情報技術産業協会 <JEITA> |
電子情報技術産業協会(JEITA)は、電子機器産業、電子部品産業、ITソリューションサービス産業及びこれらの技術を利活用して新たな付加価値を創出・拡大する全ての産業(電子情報技術産業)の総合的な発展に資し、もって我が国経済の発展と文化の興隆に寄与することを目的とする団体です。 リコーはこの団体の会員企業であり、JEITAの「責任ある鉱物調達検討会」のメンバーとしても活動しており、他のメンバー企業と緊密に連携して、紛争鉱物に関連する人権などの諸問題についてリスクを最小限に抑える方策を検討しています。これらの活動を通じてサプライチェーンの透明性を確保し責任ある鉱物調達の実践を業界としてリードしています。 |
一般社団法人 日本経済団体連合会 |
経団連は、日本の代表的企業、主要な業種別全国団体、地方別経済団体など1,600を超える企業と団体で構成されています。経団連は経済界が直面する重要課題の着実かつ迅速な実現を働きかけています。また政治、行政、労働組合、市民等のステークホルダーとの対話を進めています。さらには、会員企業に対して「企業行動憲章」の遵守を促し、企業への信頼の確立に努めるとともに、各国の政府・経済団体や国際機関との対話を通じて、国際的な問題の解決と諸外国との経済関係の緊密化を図っています。 リコーは経団連のすべての分野における政策提言や報告書を審議する幹事会および重要な政策課題の解決方策を審議、検討する常任幹事会メンバーとして活動しています。 |
公益社団法人 経済同友会 |
公益社団法人経済同友会は、1946年に設立された非営利、非営利の民間組織です。約1,500名の企業経営者等が個人として参加し、自由社会における経済社会の牽引役であるという自覚と連帯の下に、一企業や特定業種の利害を超えた幅広い先見的な視野から、変転きわまりない国内外の諸問題について考え、議論し政策提言をおこなうことを目的としています。 リコーは4名の経営幹部が会員となり、それぞれが各種政策委員会の委員長や副委員長を歴任するなど積極的に活動しています。2021年度より、リコー代表取締役会長の山下が本会の副代表幹事を務めています。また2007年から2010年に当時リコー会長の桜井正光氏が本会の代表幹事を務めました。 |
日本機械輸出組合 <JMC> |
日本機械輸出組合(JMC:Japan Machinery Center for Trade and Investment)は、機械輸出貿易の健全な発展を図るために、1952年12月に輸出入取引法に基づき、経済産業大臣の認可により設立された非営利団体です。 主な活動内容は会員企業へ貿易に関する最新動向や情報の提供、セミナーや研修会による支援、産業界の意見集約と政府への提言になります。 リコーは安全保障貿易や通商に関する委員会組合の委員であり、会員企業と連携し、輸出管理の改善や通商問題の情報討議等の活動に参画しています。 |
以下を目的として、医療機関等に対する資金提供を情報公開します。
コンプライアンス関連事案の発生件数は以下を参照ください。
リコーグループの税務ガバナンスは代表取締役 社長執行役員・CEO(以下CEO)により承認・定められた税務方針を基本とし税務の透明性を担保する仕組みを構築しています。
具体的なグループ税務政策・手続きは、CEOに権限を委譲された最高財務責任者(CFO)が税務の責任を負い、社内規定に基づいて履行しています。
また、税務に関する課題については、監査役に報告しています。監査役は会計監査人に対し、必要に応じて税務上の課題についての説明を求め、状況を確認しています。 重要な業務執行の意思決定は、社内規定に基づき取締役会またはGMC(グループマネジメントコミッティ)に対して上程され、その中で関連した税務課題の確認や抽出された税務課題に対する対応についても報告した上で実施しております。
リコーグループは、国、地域ごとの税務関連法令、国際ルール等に照らして常に税務コンプライアンスの維持・向上に努め、適正な納税を行い、企業の社会的責任を果たします。
2022年度におけるリコーグループの国別報告事項(居住地国等、収入金額、税引前当期損益額、発生税額、納付税額)については、添付ファイル(RICOH_FY2022 CbCR_jp)をご覧ください。