リコーグループは、多様なステークホルダーの期待に応えられるように、経営者の活動を含む企業活動全体が、企業倫理と遵法の精神に基づく経営の透明性を確保しつつ、競争力の強化を目指したコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。これにより、持続的な成長と株主価値・企業価値の向上を図ってまいります。
また、企業活動の基礎となる理念・価値観を「リコーウェイ」として定めています。「リコーウェイ」は、「創業の精神」および「使命と目指す姿」「価値観」で構成されています。経営の方針・戦略は「リコーウェイ」に基づき策定されるなど、「リコーウェイ」は自律的なコーポレート・ガバナンスの根本的な考え方となっています。
当社は会社法上の監査役会設置会社を採用しています。また、取締役会による経営監督の強化、および執行役員制度による経営執行の効率化を図っています。さらに、取締役の過半数となる独立社外取締役を招聘し、取締役会議長を独立社外取締役とすることで、当社から独立した客観的な立場での議論を通じた意思決定および経営監督により、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化を図っています。
取締役および執行役員の指名・報酬については、取締役会の諮問機関であり、委員長および委員の過半数を独立社外取締役で構成する「指名委員会」、「報酬委員会」において審議を行い、取締役会へ答申しています。
「デジタルサービスの会社」への変革に向けた監督体制の強化と意思決定の迅速化を図るガバナンス体制取締役は8名で構成され、そのうち女性は1名です。
執行役員は14名で構成され、そのうち外国籍の役員は2名、女性は2名です。
図中の黄緑の枠は外国籍の役員を、黄色の枠は女性の役員を示しています。
リコーの取締役会は、取締役会ならびに取締役が、企業価値向上に資する審議・判断・行動をするにあたっての礎となる考え方や姿勢について、創業の精神に立ち戻って議論し、取締役会が維持・醸成していくべき「ボードカルチャー」として、以下のとおり定めました。
取締役会は、
経営環境や経営体制が変わる中で、取締役会は常に上記ボードカルチャーに立ち返り、審議や意思決定はもとより、取締役の選任や、株主をはじめとするステークホルダーとの対話などにおける指針とします。
リコーのボードカルチャーの概念図
リコーグループはデジタルサービスの会社への事業構造の転換と資本収益性の向上をさらに進めるため、2021年4月1日より社内カンパニー制に移行しました。各ビジネスユニットと本社機能は以下の機能に重点を置くことで、グループ全体の企業価値向上を目指しています。
社内カンパニー制を採用したことを踏まえ、当社は監督・執行・監査の各視点から、以下のようなガバナンスに関する取り組みを進めています。
取締役会では経営監督およびグループ経営に関わる重要な意思決定を行っています。
取締役会の構成、運営については、当社のボードカルチャーに掲げた考え方や姿勢を念頭に、取締役会に占める独立社外取締役の割合を過半数とし、議長を独立社外取締役とすることにより、経営の透明性の確保と公正な意思決定の⼀層の向上を図っています。2025年度は取締役8名のうち、5名を独立社外取締役とする体制です。あわせて、取締役会における社外取締役の役割・機能をより発揮できるよう、筆頭社外取締役を選任しています。筆頭社外取締役は、取締役会議長と協働してガバナンスの整備・高度化を担い、当社における独立社外取締役の職務を主導する役割として、当社の経営状況、議長および取締役の就任状況などに照らして、取締役会の判断に基づき、必要に応じて選任を行います。議長と筆頭社外取締役による適切な協働・役割分担のもと、取締役会の円滑な運営と機能発揮を確保します。
取締役会の審議においては、独立社外取締役を中心とした執行役員を兼務しない取締役、執行を担う取締役がそれぞれの専門性や経験などを活かし、重要案件に対して深い議論を行うことで、企業価値向上に向けた適切な意思決定と、株主をはじめとする多様なステークホルダーの視点で経営の監督が行われる体制を構築しています。また、すべての取締役に対し、取締役会への出席率が原則80%を下回らないことを求め、経営に対する実効的な監督機能を果たすよう要請しています。
定数:15名以内人数:8名(うち社外取締役5名)任期:1年
2025年6月24日現在
監査役は、株主の皆様の負託を受けた独立の機関であり、監査役および監査役会は、その独立性および各監査役による独任制、社外監査役が半数以上であるといった監査役制度・体制の利点を活かし、取締役会と協働して会社の監督機能の一翼を担っています。また、取締役の職務の執行を監査するほか、当社の会計監査人、および内部監査部門と連携し、当社各組織・子会社監査を通じて、社会的信頼に応える良質な企業統治体制を確立する責務を果たしています。リコーの監査役は5名で、社内の事情に通じた社内監査役2名(常勤)と、当社の定める独立役員の要件を満たす社外監査役3名としており、過半数が独立社外監査役です。また、監査役会として必要な知識・経験・専門能力をバランスよく確保して、監査役会を構成することとしており、各監査役の専門分野における豊富な経験と幅広い見識、および独立した客観的な視点で深い議論が行える体制を構築しています。
定数:5名以内人数:5名(うち社外監査役3名)任期:4年
2025年6月24日現在
監査役による監査、内部監査室による内部監査、会計監査人による監査において、それぞれの監査の効率性、有用性を高め、実効的な職務遂行、ならびに監査機能全体の強化・充実を図るため、三者で適切な連携を行っています。
監査役、会計監査人および内部監査部門である内部監査室は、監査方針・計画・方法について相互に擦り合わせを行っています。また、四半期ごとに三様監査会議を開催し、監査内容および監査結果について情報交換を行うほか、内部統制の状況やリスクの評価などに関しても意見交換し、課題の共有を図っています。
目的:社内と社外の取締役・監査役それぞれの役割や状況に応じた知識の習得・更新を行うことにより、取締役会における監督機能を発揮し、株主価値・企業価値の向上に資する議論を建設的に行い、会社の重要な統治機関の⼀翼を担う者として期待される役割・責務を適切に果たす
| 就任時 | 就任後 |
|---|---|
| 役割と責務の確認、コーポレート・ガバナンスや法務・財務などの責務の履行に必要な知識を習得するための研修 | 最新の知識の更新を目的に、各取締役・監査役に適合した社内外の研修やeラーニング |
| 就任時 | 就任後 |
|---|---|
| リコーグループの状況に関する理解を深めるための知識として、事業戦略・財務状況・組織体制などの説明や、必要に応じて主要拠点の現場視察 | すべての社外取締役・監査役を対象に、毎年度、リコーグループの状況や経営環境、事業運営上のリスクなどを定期的に提供・共有することに加えて、経営会議(グループマネジメントコミッティ:GMC)へのオブザーブ参加や現場視察など会社の実態を把握する機会を提供 |
CEOをはじめとした経営幹部の指名、報酬などの決定については、取締役会の経営監督の最重要事項の1つとして、独立社外取締役を委員長、委員の過半数を独立社外取締役とする「指名委員会」、ならびに「報酬委員会」を設置することで、取締役、執行役員などの選解任や報酬の透明性、客観性を確保しています。また、指名委員会、報酬委員会の審議には、毎回社外監査役1名がオブザーバーとして出席しています。
2024年度の指名委員会・報酬委員会は、それぞれ独立社外取締役4名、社内取締役1名の体制で構成しています。
計8回の指名委員会を開催し、主に以下の審議項目について審議しました。
定例項目
個別項目
計9回の報酬委員会を開催し、主に以下の審議項目について審議しました。
定例項目
個別項目
取締役会における会社の重要なテーマ(経営計画など)の決議に向けて、取締役および監査役が事前に十分な議論を尽くすための機会として開催しています。
| 構成 | 開催月 | 主な議題 |
|---|---|---|
| 取締役 監査役 |
2024年10月 | 収益構造の深掘 |
| 2025年1月 | リコーグループの目指す姿と実現のための戦略 | |
| 2025年3月 | 次年度事業計画 |
リコーグループのガバナンスの方向性や課題について、取締役・監査役などが包括的な議論を行う場として開催しています。実施した検討会の概要はコーポレート・ガバナンスに関する報告書などで開示しています。
| 構成 | 開催月 | 主な議題 |
|---|---|---|
| 取締役 監査役 コーポレート執行役員(ESG担当) |
2024年10月 | 情報セキュリティ活動状況の報告 |
| 2025年3月 | 次年度 重点経営リスクおよびESG開⽰規制について |
独立した客観的な立場に基づく情報交換・認識共有を図り、取締役会における議論に積極的に貢献するとの観点から、社外役員間、または社外取締役と監査役などとの間で情報共有・意見交換を図る場として開催しています。
| 構成 | 開催月 | 主な議題 |
|---|---|---|
| 社外取締役 監査役 |
2024年5月 | 会計監査人との意見交換
|
| 2024年12月 | リコー懇談会制度の概要と活動内容について |
◎:委員長 ●:メンバー △:事務局(2025年度)
| GMC | 内部統制委員会 | ESG委員会 | セキュリティ委員会 | リスクマネジメント委員会 | 投資委員会 | 開示委員会 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CEO | 大山 晃 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |||
| CFO | 川口 俊 | ● | ● | ● | ● | ◎ | ◎ | |
| CTO・セキュリティ統括担当 | 野水 泰之 | ● | ● | ● | ● | |||
| CHRO | 長久 良子 | ● | ● | ● | ● | |||
| ESG・リスクマネジメント担当 | 鈴木 美佳子 | ● | ● | ● | ● | ◎ | ● | |
| ビジネスユニットプレジデント | 入佐 孝宏 | ● | ● | ● | ● | |||
| 中田 克典 | ● | ● | ● | ● | ||||
| 宮尾 康士 | ● | ● | ● | |||||
| 塩川 恵一 | ● | ● | ● | |||||
| 小林 一則 | ● | ● | ● | |||||
| 機能別組織 | ガバナンス | ● | ||||||
| IR・情報開示 | ●△ | |||||||
| ビジネスユニット | ● | |||||||
| 経営企画 | △ | ● | ● | ● | ●△ | ●△ | ● | |
| 経理・財務 | ● | ● | ● | |||||
| 人事 | ● | |||||||
| ESG | △ | ● | ||||||
| リスクマネジメント(内部統制含む) | △ | △ | ||||||
| 法務 | ● | ● | ● | |||||
| 技術・開発 | ● | ● | ||||||
| IT | ● | ● | ||||||
| SCM | ● | ● | ● | ● | ||||
| 内部監査 | △ | |||||||
| シンクタンク | ● | |||||||
| 広報 | ● | ● | ||||||
| 情報セキュリティ | △ | ● | ||||||
GMCは、リコーグループ全体の経営に関する審議および意思決定を行うために設置される機関です。取締役会での決裁必要項目は取締役会規程にて定めていますが、その基準に満たない決裁案件や事業執行に関する重要事項はGMCにて意思決定がなされます。また、GMCによる業務執行に関する以下の事項について、3か月に1回以上取締役会に報告を行っています。
GMCにおける審議対象事項は以下のとおりです。
また、GMCには執行業務の理解を深める目的で、社外取締役もオブザーブ参加しています。
| 開催年月 | 社外取締役オブザーブ参加人数 | |
|---|---|---|
| 2024年 | 5月 | 1名 |
| 6月 | 2名 | |
| 7月① | 1名 | |
| 7月② | 2名 | |
| 8月 | 1名 | |
| 9月 | 1名 | |
| 10月① | 1名 | |
| 10月② | 1名 | |
| 11月① | 2名 | |
| 11月③ | 1名 | |
| 11月② | 1名 | |
| 12月① | 1名 | |
| 12月② | 2名 | |
| 2025年 | 1月 | 1名 |
| 2月① | 2名 | |
| 2月② | 1名 | |
| 3月 | 3名 | |
内部統制委員会は、リコーグループの内部統制に関する審議および意思決定を行うために設置される機関です。四半期ごとの開催を原則としていますが、状況に応じて臨時あるいは緊急で開催しています。
当委員会における審議内容は以下のとおりです。
特にリコーグループ全体への影響が懸念される重大なインシデントについては、発生の背景・要因、再発防止策などの詳細を確認し、その再発防止策の有効性やリコーグループ内での同インシデントの再発に対する懸念が残る場合は、必要な対策を速やかに決定し、トップダウンで確実な実行につなげています。
また、内部監査で報告された内部統制の課題やリスクマネジメントおよびコンプライアンス活動などを勘案し、インシデントの未然防止につなげるための議論と対応策の決定をしています。
| 2024年度 | 主な議題 | |
|---|---|---|
| 第1回 | 4月 |
|
| 第2回 | 6月 |
|
| 第3回 | 8月 |
|
| 第4回 | 11月 |
|
| 第5回 | 2月 |
|
| 2024年度 | 主な議題 | |
|---|---|---|
| 臨時第1回 | 11月 | (インシデント事例に基づく経営層トレーニング)危機対応時のメディアトレーニング |
内部監査については、独立した専任組織である本社の内部監査室(2025年3月末現在21名)と各グローバル拠点の監査担当組織が連携する体制で、「内部監査規程」および「年間監査計画」に基づき、法令などの遵守、業務の有効性と効率性、報告の信頼性、および資産の保全の観点からのリスクアプローチによりリコーグループの事業執行状況の内部監査を実施し、公正かつ客観的な立場で改善のための助言・勧告を行っています。また、内部監査の結果については、個々の監査が完了したタイミングで監査報告書を書面で被監査組織長と関連区へ共有し、監査結果のサマリーを四半期ごとに内部統制委員会・監査役会へ、さらに半年ごとに取締役会へ報告しています。このように、取締役会・監査役会に対して直接報告を行うデュアル・レポーティング体制を構築・運用しています。加えて、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価および報告も内部監査室で実施しています。
これらの監査において指摘された事項については、主管管理部門やリスク主管部門にも四半期ごとに報告し、リコーグループにおいて改善の検討を行い、必要な改善・対策が講じられているか再確認するフォローアップのサイクルを通して、内部統制の強化および業務遂行の質の向上を図っています。
ESG委員会は、環境・社会・ガバナンス分野におけるリコーグループの課題を経営レベルで継続的に議論し、グループ全体の経営品質の向上につなげていくことで、ステークホルダーからの期待・要請に迅速かつ適切に応えていくことを目的とする意思決定機関です。当委員会は、具体的に以下の役割を担っています。
四半期に⼀度開催される委員会では、議論するテーマに応じて該当する事業部門の責任者を招集するなど、ESG課題を横断的に検討・議論する体制を整えています。
| 2024年度 | 主な議題 | |
|---|---|---|
| 第1回 | 5月 |
|
| 第2回 | 8月 |
|
| 第3回 | 11月 |
|
| 第4回 | 2月 |
|
セキュリティ委員会は、リコーグループのセキュリティに関する審議および意思決定を行うために設置される機関です。
当委員会は具体的に以下の役割を担っています。
四半期に一度開催される委員会では、議論するテーマに応じて該当する事業部門の責任者を招集するなど、セキュリティおよび地政学リスク課題を横断的に検討・議論する体制を整えています。
昨今、情報セキュリティに対するリスクは急速に高まっており、サイバー攻撃の頻発、不正技術の多様化・高度化(ランサムウェア*1など)、各国規制の強化・多様化、地政学的リスクの顕在化など、企業の対応範囲も拡大しています。また、企業がDX化による企業競争力の向上を狙う一方で、解決すべきセキュリティの課題も生じています。このような状況を受け、デジタルサービスの会社への変革を目指す上で、既存事業における収益性をより盤石なものとするため、デジタルサービスにおけるセキュリティリスクの軽減のみならず、事業成長に向けた投資として捉え、セキュリティ対策に取り組んでいます。加えて、CEOの直轄に、リコーグループ全体のセキュリティおよび地政学リスク戦略、さらにプライバシー保護戦略の立案・推進を担うセキュリティ推進部門を設置し、セキュリティに対する素早い経営判断や、各国法規制への対応戦略の明確化などに対応できる体制を整えています。
また、全社セキュリティの観点で各ビジネスユニット・各組織に部門セキュリティ委員会を設置し、ガバナンス体制を強化しています。さらに、今後はグローバルにおけるガバナンス強化、サプライチェーンリスク管理強化、教育体系整備によるさらなる人材強化を進めます。加えて、サプライチェーンリスクに関しては、委託先の自己診断と外部のレーティングサービスを活用し、リスク把握と対応に取り組んでいます。教育体系整備に関しては、全社のセキュリティレベルの底上げと専門性教育プランを作成しその実行に取り組んでいます。
| 2024年度 | 主な議題 | |
|---|---|---|
| 第1回 | 6月 |
|
| 第2回 | 8月 |
|
| 第3回 | 11月 |
|
| 第4回 | 2月 |
|
リスクマネジメント委員会は、リコーグループ全体のリスクマネジメントプロセス強化のため設置しているGMCの諮問機関です。当委員会は、リスクマネジメント担当役員を委員長とし、各組織の有識者を委員とすることで、リスクの網羅性確保と議論の充実を図り、リコーグループの経営において対応・重点化すべきリスクをGMCに提案しています。
また、リコーグループのリスクマネジメントの実効性強化のため、必要に応じて図1に示すリスクマネジメントシステムの見直し・再構築を行います。経営と各組織の連携を取り、より実効性の高い⼀気通貫のリスクマネジメントシステムとするために、当社の各組織からリスクマネジメント責任者・推進者を選任し、管理監督する関連会社を含め各組織における自律的なリスク管理体制を整備しています。
さらに、各リスクマネジメント推進者を主な対象としたリスクマネジメント連携強化会議において、リスク管理に関連する勉強会や情報共有を行い、リスクに対し対応力のある組織になるための継続的な取り組みを進めています。
| 2023年度 | 主な議題 | |
|---|---|---|
| 第1回 | 4月 |
|
| 第2回 | 10月 |
|
| 第3回 | 12月 |
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| 第4回 | 1月 | |
| 第5回 | 3月 |
|
投資委員会は、GMCの諮問委員会として、資本コストも踏まえた財務的視点での妥当性、事業戦略視点での収益性や成長性リスクなどの観点で投資計画の検証を行います。多様化する外部への投資や売却案件について、機能別組織のメンバーが事前に確認・協議することにより、経営戦略との整合性や投資効果を高め、投資判断のスピードと的確性を向上させることを狙いとしています。
立案部門との関係では、事前協議先として対象案件の投資価値を総合的に審議の上、評価、アドバイスすることを役割としているため、投資案件についての決定権および拒否権は有しません。審議結果は投資委員会委員長より、案件に応じてGMCまたは取締役会へ報告し、決裁者の客観的判断をサポートします。
当社全体の外部投資判断の的確性を向上させるために、GMC決裁基準⾦額以下の案件も審議の対象とすることが可能で、必要に応じて立案部門の投資判断や検討内容、案件交渉に対する助言を行います。
投資実行後は、当委員会の審議プロセスを経てGMCなどの決裁機関で承認を得た事業計画・定量指標(KPI)の内容・時期に沿って、半期に一度を目途として定期的に進捗状況を取りまとめ、GMCおよび監査役会に対してモニタリング報告を行います。
2019年度からM&AやPMI*を成功に導くことのできる人材を体系的に育成しています。立案部門のレベルアップにより、投資案件の質を向上させ、当委員会での議論・審議の充実化を図っています。
育成プログラムは、当社の過去事例などを踏まえ、当社独自のプログラム(18講座)を用意しており、これまでに214名が修了認定を取得しています。
また、本育成プログラムの修了認定後も、企業価値評価や財務分析の講座、人事・環境・ITなど機能別の専門講座を開設し、受講者への継続的な支援を行いさらなる能力向上を図っています。
これらの取り組みにより、立案部門の投資検討のスピードと的確性が向上しています。
開示委員会は、投資家の投資判断に影響を与える情報の適切な開示に加え、投資家の投資判断に資する会社情報の主体的な開示を行うために設置される機関です。株主および資本市場との対話を促進し、それを通じて株主および資本市場との信頼関係を構築し、当社に対する適正な評価の獲得を実現することを目的としています。
当委員会では、年次報告書類や適時開示書類の適切性・正確性の判断、開示手続きにおける情報開示の要否判断に加えて、投資家の投資判断に資する会社情報の積極的な開示に関する審議や開示手続きのモニタリングを実施しています。主に年次報告書類や開示書類の適切性・正確性が担保できるプロセスで情報が作成されているかの判断、開示手続きのモニタリング、および株主・投資家の皆様の投資判断に資する適切かつ戦略的な会社情報の開示について、審議を行っています。2024年度は、開示プロセス、各部門の開示担当者の開示に関する知識と意識向上施策について、レビューを実施しました。
また、開⽰情報の適時性、開⽰書類の内容の正確性・妥当性、開⽰判断の合理性などに関して、内部統制部門が定期的に評価を行い、取締役会・内部統制委員会へ報告を行います。
| 2024年度 | 主な議題 | |
|---|---|---|
| 第1回 | 4月 | 招集通知の開示内容 |
| 第2回 | 6月 | 有価証券報告書の開示内容 |
| 第3回 | 8月 | リコーグループ統合報告書の開示内容 |
| 第4回 | リコーグループESGデータブックの開示内容 | |
| 第5回 | リコーグループ環境報告書の開示内容 | |
| 第6回 | 3月 | 年度実績報告 |
社外取締役の選任基準は、社内取締役と同じ上記の基準に加え、異分野に関する専門性、問題の発見、および解決能力、洞察力、戦略的思考能力、リスク管理能力、指導力などに優れていること、さらに、当社所定の「社外役員の独立性基準」に照らしあわせ、独立性に問題がないことを付加的な基準としています。
取締役の選任にあたっては経営能力や人格・人間性などの他に、多様な視点や、経験、さらに多様かつ高度なスキルを持った取締役で構成されることが必要であると考えています。
加えて、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、それぞれの人格および識見に基づいて候補者を選定し、これらの属性に関する多様性を確保することを方針としています。
リコーグループは現在事業構造の変革を通した企業価値の向上を目指しており、当社取締役会はその実現に向け多様かつ多面的なスキル、経験などを有している人材により構成されています。今後も、当社を取り巻く環境変化や事業戦略の進展などにあわせて、必要なダイバーシティのあり方について継続的に議論を行い、女性や外国籍、年齢など、多様な視点を意識した取締役の候補者選定や、若手幹部の育成や重要ポストへの任命などを継続し、最適な人材を登用した体制を構築していきます。
持続的な成長と企業価値・株主価値の向上のためコーポレート・ガバナンスの強化・充実に継続して取り組んでいます。
取締役会は、取締役・CEO・経営幹部などの選解任・評価における手続きの客観性・透明性・適時性を確保するため、取締役会の諮問機関である指名委員会を設置しています。
指名委員会は、客観性・独立性を高めるために、独立社外取締役を委員長、過半数を独立社外取締役で構成しています。また、委員会には社外監査役1名が同席し、審議の透明性の確保に努めています。
指名委員会は、以下の諮問事項について審議を行い、取締役会へ審議内容および結果を報告・答申しています。
指名委員会における数回の審議を経て厳選な審査を行い、指名する根拠を明確にした上で取締役会へ答申しています。
サクセッションプランにおける適切な経営人材の登用・育成を図ることを目的に、CEOが経営人材候補者の選抜や育成方針について指名委員会へ報告しています。
執行兼務取締役の評価は、取締役会から諮問を受けた指名委員会が毎年実施しており、二段階による評価を行っています。指名委員会での取締役の評価に関する審議の内容および結果は取締役会に答申され、取締役会で取締役の職務継続の妥当性について、監督を徹底することとしています。
なお、評価にあたっては、「取締役としての経営監督の遂行状況」、「業績・資本収益性・その他の主要経営指標など財務の視点」、ならびに「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」などを基準としています。
| 評価の視点 | カテゴリ | 評価項目(代表的なもの) | 評価項目の詳細の一例 |
|---|---|---|---|
| 経営監督の遂行 | 資質・能力 | 企業価値、株主価値の最大化に向けた行動、執行監督と取締役間での相互牽制の姿勢、リスクマネジメント、会社経営に必要な見識 | |
| 財務指標 | 業績 | 連結業績推移 | 売上高、営業利益、当期利益、ROE、ROIC、FCF |
| 年度事業計画の状況 | ビジネスユニット別、地域別、主要施策 | ||
| 中期経営戦略に対する実績 | 財務、主要施策、資本収益性 | ||
| その他 | 資産効率性、生産性、他社比較⽔準など | ||
| 資本市場・株主指標 | 資本市場 | 株式指標推移 | 株価、時価総額、PBR、PER、EPS |
| 格付け | S&P、R&I | ||
| 株主 | TSR・株主還元 | 単年・経年TSR、配当 |
なお、執行兼務取締役の評価にあたっては、「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」の基準の1つとしてTSRを採用していますが、突発的な株価変動の影響を避けるため年度平均株価により算出したTSR(下表参照)を使用しています。
| 保有期間 | 1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | 6年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| リコー(配当込み) | 132.0% | 155.6% | 148.4% | 215.6% | 166.5% | 162.5% |
| TOPIX(配当込み) | 118.8% | 147.9% | 149.7% | 178.5% | 192.1% | 187.1% |
リコーグループが中長期にわたり、継続的に株主価値・企業価値を高め、社会の構成員としてその社会的責任を果たし永続していくための重要な取り組みとして、CEOサクセッションプランを位置付けています。
コーポレート・ガバナンスの強化の観点から、客観性、適時性、透明性の高い手続きによるCEOサクセッションプランの構築を目指しています。
| 評価の視点 | カテゴリー | 評価項目(代表的なもの) | 評価項目の詳細の一例 |
|---|---|---|---|
| 経営監督の遂行 | 資質・能力 | 株主価値・企業価値の最大化に向けた行動、執行監督と取締役間での相互牽制の姿勢、リスクマネジメント、会社経営に必要な見識 | |
| 財務指標 | 業績 | 連結業績推移 | 売上高、営業利益、当期利益、ROE、ROIC、FCF |
| 年度事業計画の状況 | ビジネスユニット別、地域別、主要施策 | ||
| 中期経営戦略に対する実績 | 財務、主要施策、資本収益性 | ||
| その他 | 資産効率性、生産性、他社比較⽔準など | ||
| 資本市場・株主指標 | 資本市場 | 株式指標推移 | 株価、時価総額、PBR、PER、EPS |
| 格付け | S&P、R&I | ||
| 株主 | TSR・株主還元 | 単年・経年TSR、配当 | |
| 将来財務指標(ESG) | 環境 | 環境パフォーマンス実績 | CO2排出量削減、製品省資源化、用水量・排出物削減、汚染予防、環境社会貢献 |
| 社員 | 人材の育成・活躍 | デジタル人材育成、女性管理職比率、リコー式ジョブ型人事制度の定着 | |
| グローバル社員意識調査 | 社員エンゲージメント | ||
| 処遇 | 社員の給与・賞与、昇給率、初任給 | ||
| 安全・健康 | 労災件数、感染症対策、メンタルヘルスへの取り組み | ||
| 顧客 | 顧客重大事故 | 重大な製品・情報セキュリティ事故 | |
| 顧客満足度調査 | 製品・サービスに関する第三者調査結果 | ||
| ガバナンス | ガバナンスの適正化・強化 | ガバナンス制度改革・体制強化 | |
| コンプライアンス | 法令違反件数、インシデント報告件数 |
年に1回、CEOは将来のCEO候補者案を作成するとともに、それらのCEO候補者に対する育成計画を策定し、指名委員会でCEO候補者案および育成計画について説明を行っています。
指名委員会は、CEO候補者案ならびに育成計画の妥当性を審議するとともに、CEOに対して育成に関する助言を行い、適時その結果を取締役会へ報告しています。取締役会は、指名委員会からの報告を受けて候補者選定および育成計画の妥当性を確認するなど、CEO候補者の選定・育成に主体的に関与しています。
CEO候補者の選定にあたっては、交代時期を想定し下表のタームごとの候補者を選定しています。なお、事故あるときの交代候補者1名は、CEOの選定と同時に取締役会の決議により決定しています。
| ターム | 選定人数 |
|---|---|
| 事故あるときの交代候補者 | 1名 |
| 次期交代候補者 | 数名程度 |
| 次々期交代候補者 | 数名程度 |
CEOは、将来のCEO候補者の育成計画についての指名委員会での審議・助言を踏まえて、次年度、CEO候補者それぞれの課題に応じた当人の成長に必要なチャレンジの場を付与し、実績を積ませるとともに、CEO候補者のアセスメントを踏まえ当人の成長に必要な助言などを実施しています。
CEO候補者の評価は毎年実施し、CEOはCEO候補者の育成期間における実績および成長状況について指名委員会へ報告を行っています。指名委員会は、CEO候補者の継続・交代などについて審議を行うとともに、必要に応じて、外部専門家の助言なども活用しながら、CEO候補者の評価を実施し、その結果を取締役会へ報告しています。取締役会は、指名委員会からの報告を受けてCEO候補者の評価および継続・交代における審議の妥当性を確認するなど、CEO候補者の評価プロセスに主体的に関与しています。
当社は、リコーグループの業績向上と中長期にわたって持続的な株主価値の増大を実現することに対する有効なインセンティブとして、役員報酬を位置づけています。また、コーポレート・ガバナンス強化の視点から、報酬⽔準の設定や個別報酬の決定について、客観性・透明性・妥当性の確保を図るための取り組みを行っており、以下の基本方針に基づいて報酬を決定しています。
| 報酬構成 |
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|---|---|
| ガバナンス |
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当該方針は、取締役会の諮問機関である報酬委員会において審議を行い、取締役会へ答申し、これを踏まえ取締役会で決定しています。
インセンティブ付与を通じた収益拡大と企業価値向上およびコーポレート・ガバナンス強化に向け、より客観的で透明性のある報酬の検討プロセスを構築するために、報酬委員会を設置しています。報酬委員会は、取締役の報酬基準、および業績に基づき、また、指名委員会における取締役の評価結果などを踏まえ、複数回にわたる審議を経た上で、基本報酬、賞与、株式取得目的報酬、および株価条件付株式報酬に関する各々の報酬案を決定し、取締役会へ答申しています。
取締役会は、報酬委員会から答申のあった各報酬議案について、審議・決定を行います。賞与については、取締役賞与フォーミュラに基づく個人別賞与額が適切であることを確認の上で、賞与支給総額ならびに株主総会への取締役賞与支給議案および付議の要否を決定します。株主総会で取締役賞与支給議案が決議された後、取締役会で決定された個人別賞与額が支払われます。
基本報酬、短期・中長期インセンティブいずれについても、企業業績との適切な連動性確保の観点から、毎期の報酬委員会で当社の業績に対して狙いとする水準を報酬区分ごとに確保できているかを判定しています。その際に、外部専門機関の調査結果に基づくピアグループの役員の報酬水準を目安とし、短期・中長期インセンティブについては、当社の業績に応じて支給率が変動するように設定しています。
| 報酬区分 | 報酬名称 | 社内取締役 | 社外取締役 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 固定 | 基本報酬 | 〇 | 〇 | 役割・責任に応じた報酬 |
| 変動(短期) | 業績連動型賞与 | 〇 | ― | 業績目標の達成度に連動 |
| 変動(中長期) | 株式取得目的報酬 | 〇 | ― | 役員持株会を通じて支給全額をリコー株式の取得に充当 |
| 業績連動型株式報酬 | 〇 | ― | 中長期的な企業価値・株主価値の向上へのインセンティブ |
取締役に期待される役割・責任を反映する報酬として、在任中に支払う月次金銭報酬です。
株主総会で決定された報酬総額の範囲内で支給額を決定し、2024年度の支給総額は、2億8,320万円になります。
| 報酬構成 | 報酬水準の主な設定方法 | |
|---|---|---|
| 社内取締役 | 「経営監督の役割に対する報酬」、「経営責任や役割の重さを反映する報酬」を軸とし、「代表取締役や指名委員や報酬委員などの役割給」を加算。 |
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| 社外取締役 | 「経営監督の役割に対する報酬」、「経営への助言に対する報酬」を軸とし、「取締役会議長・指名委員長・報酬委員長などの役割給」を加算。 |
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業績連動型賞与は対象事業年度の会社業績と株主価値向上を反映する報酬として、事業年度終了後に支払う金銭報酬となり、2024年度は以下を評価指標として設定しています。
| 評価指標 | 設定理由(狙い) |
|---|---|
| 連結営業利益の目標達成率 | 時価総額と相関を有し、かつ事業活動による成果を示す営業利益を評価指標とすることで、取締役が利益成長と収益性向上に責任を持つことを明確にする。 |
| ROEの目標達成率 | 資本収益性向上の重要指標であるROEを評価指標に設定することにより、取締役が株主価値向上に責任を持つことを明確にする。 |
| DJSI*の年次Rating | 全社的なESGの取り組みの確認ツールとして活用しているDJSIの年次Ratingを評価指標とすることで、ESG向上へのインセンティブとする。 |
また、報酬委員会においては、下記取締役賞与フォーミュラにより算出された結果に基づき、指名委員会における取締役評価の結果なども含めて、個別賞与支給額の妥当性を審議の上、取締役会に答申し、取締役会は、これを踏まえ、株主総会への取締役賞与支給議案付議の要否を決定しています。
2024年度の賞与については、報酬委員会の審議において取締役賞与フォーミュラにより算出された結果が適切であると判断され、支給総額は7,186万円になります。
| 評価指数 | 目標値* | 実績値 | 係数 |
|---|---|---|---|
| 連結営業利益の目標達成率 | 700億円 | 638億円 | 0.78 |
| ROEの目標達成 | 5.3% | 4.4% | 0.96 |
| DJSIの年次Rating | World | World | 1.05 |
株主価値向上を反映する報酬は、中長期的な当社の企業価値向上へのコミットメントを強化する目的として、以下の「株式取得目的報酬」と「株価条件付株式報酬」で構成されます。
(株式取得目的報酬)
株式取得目的報酬は、取締役の保有株式数を着実に増やし、株価の変動による利益・リスクを株主と共有することを目的とした金銭報酬となります。在任中に定額を毎月支給し、その同額を当社役員持株会を通じて自社株式の取得に充当します。報酬額は、株主総会で決定された報酬総額の範囲内で役位別に設定しており、2024年度の支給総額は、1,212万円です。
(業績連動型株式報酬)
業績連動型株式報酬(以下、本制度)は、当社が金銭を拠出することにより設定する株式交付信託(以下、本信託)が取引所市場(立会外取引を含む)から当社の普通株式(以下、当社株式)を取得し、当社が各取締役に付与するポイント数に相当する数の当社株式が本信託を通じて各取締役に対して交付される制度です。なお、取締役が当社株式を受け取る時期は、原則として業績評価対象期間(各年の4月1日を開始日とする連続する3事業年度単位の各期間を指す。)の終了の都度とします。また、当社が各取締役に付与するポイント数は、取締役会決議により定められた株式交付規程に基づく職務グレード別の基準となる金額を元に、業績評価対象期間における当社のTSR成長率とTOPIX(配当込み)のTSR成長率との相対評価、およびピアグループのTSR成長率との相対順位、ならびにESG目標達成度合いに応じて(0~200%の範囲で変動)決定し、1ポイント1株として当社株式を交付します。そして、取締役在任期間中に、会社に影響を及ぼす重大な不適切行為があった場合などには、株式報酬の返還要請を行うべく、マルス・クローバック条項を定めています。
なお、本制度は、2023年6月23日開催の第123回定時株主総会決議により、株価条件付株式報酬制度を⼀部改定し、2023年9月1日付で導入したものです。変更前の制度については、原則として、2023年9月1日以降の新たなポイント付与を停止し、累積ポイントに対応する数の当社株式は、変更前の制度の規定に従い、退任時に交付します。
| 1 | 評価指標(設定理由・狙い) | 業績評価対象期間における当社のTSR成長率とTOPIX(配当込み)のTSR成長率との相対評価、およびピアグループのTSR成長率との相対順位、ならびにESG目標達成度合(株主価値向上および持続可能な開発目標達成に対する経営責任と株式報酬との連動強化のため) |
|---|---|---|
| 2 | ポイント付与基準 | 職務グレード別の株式報酬基準額および基準株価を元に、上記評価指標に応じたポイントを0%~200%の範囲で付与 |
| 3 | 対象となる取締役に対する当社株式の交付時期 | 原則として各業績評価対象期間終了の都度(業績評価対象期間の始期から3年経過後) |
(参考)本制度における権利付与から株式交付までのイメージ
X年度分の付与ポイントは、X年度とその後2事業年度(X+1年、X+2年)の期間を含めた3事業年度分の業績評価対象期間で評価され、業績評価対象期間(3事業年度分)が終了した3年後(X+3年)にX年度の単年度分の付与ポイント数が確定し、株式交付されます。同様に、X+1年度分の付与ポイントも、X+1年度とその後2事業年度(X+2年、X+3年)の期間を含めた3事業年度分の業績評価対象期間で評価され、業績評価対象期間(3事業年度分)が終了した3年後(X+4年)にX+1年度の単年度分の付与ポイント数が確定し、株式交付されます。
役割・責任ごとの業績に対する責任を明確にするため、固定報酬(基本報酬)と変動報酬(業績連動型賞与、株式取得目的報酬、業績連動型株式報酬)の支給割合は、経営責任の重い者ほど変動報酬の割合が増える設計としています。最上位の社長執行役員は、2024年度業績目標の標準達成時(営業利益700億円、ROE4.6%)には、概ね固定・変動の比率が5:5の割合となり、業績目標の最大達成時(営業利益840億円以上、ROE6.9%以上)には固定・変動の比率が3:7の割合となります。
今後も中長期的な株主価値・企業価値の向上を重視し、株主価値や業績に連動した変動報酬の割合を一層高めていく方針で、報酬区分ごとの適切な報酬額の検討を継続審議していきます。
業績連動型株式報酬においては、当社取締役会にて決議する株式交付規程のマルス条項およびクローバック条項の定めに従い、当社に影響を及ぼす重大な不適切行為があった場合などには、取締役会の決議により、その該当した時点において、それまでに付与されていたポイントの全部または一部を失効させ、対象となる取締役は、失効したポイントに係る受益権を取得しないものとします。
また、当社株式の交付、および当社株式に代わる金銭の交付を既に受けた者においても、ポイントの総数に請求日の東京証券取引所における当社株式の終値を乗じて得た額について、返還を請求することができるものとします。
業績連動型株式報酬においては、インサイダー取引規制への対応として、当社株式交付後も、退任の翌日から1年間が経過するまでは当該株の売買を行ってはならないものとします。
著しい環境変化や、急激な業績の悪化、企業価値を毀損するような品質問題・重大事故・不祥事などが発生した場合には、取締役会の決議により、臨時に取締役報酬を減額または不支給とすることがあります。
2024年度の取締役の個人別の報酬等の内容の決定にあたっては、報酬委員会が上記決定方針との整合性を含めた多角的な検討を行い、取締役会は基本的にその答申を尊重した上で審議・決定を行っているため、2024年度の取締役の個人別の報酬等の内容は、上記決定方針に沿うものであると判断しています。
監査役の報酬は、適切に監査を行う役割に対する基本報酬のみで構成されています。各監査役の報酬については、外部専門機関による報酬水準の客観的なデータを踏まえて、あらかじめ株主総会で決議された監査役報酬枠の範囲内で、監査役の協議により決定しています。
| 種類 | 報酬枠の内容 | 決議時期 | 決議がなされた時点における対象者数 |
|---|---|---|---|
| 取締役報酬 | 基本報酬の限度額は、年額552,000,000円以内(うち社外取締役分年額144,000,000円以内) | 2025年6月24日開催の第125回定時株主総会 | 8名(うち社外取締役は5名) |
| 株価条件付株式報酬における拠出金額の限度額および取締役に付与されるポイントの総数の上限は、当初対象期間(2020年3月31日で終了する事業年度から2022年3月31日で終了する事業年度まで)について、合計3億円(1事業年度あたり1億円)および合計300,000ポイント(1事業年度あたり100,000ポイント) 当社の取締役会の決議により、対象期間を5事業年度以内の期間を都度定めて延長する場合は、当該延長分の対象期間中の事業年度数に1億円を乗じた金額および同事業年度数に100,000ポイントを乗じたポイント数 |
2019年6月21日開催の第119回定時株主総会 | 3名 | |
| 業績連動型株式報酬において取締役へ付与するポイント総数の上限は1つの業績評価期間に対して200,000ポイント、そのポイント数に相当する数の当社株式の取得資金として拠出する上限額は2億円 | 2023年6月23日開催の第123回定時株主総会 | 3名 | |
| 監査役報酬 | 基本報酬の限度額は、年額150百万円以内 | 2025年6月24日開催の第125回定時株主総会 | 5名 |
リコーは、2024年度(2024年4月から2025年3月まで)に開催された取締役会の実効性評価会を2025年5月14日に実施しました。結果の概要は以下のとおりです。
評価については、取締役会の実効性に留まらず、指名・報酬委員会および取締役会における執行の対応も対象としました。また、2024年度より、新たに取締役・監査役へのインタビューを行い、その結果を実効性評価会の審議に反映しました。具体的な評価プロセスは、以下のとおりです。
全ての取締役・監査役による自由記述形式の評価を実施しました。設問については、監督に対する視点と、執行に対する視点の両面から評価を行う内容としました。具体的な項目は以下のとおりです。
実効性評価の客観性の確保に加え、評価結果の経年変化や、他社との比較結果を把握するため、第三者によるアンケートと評価を実施しました。
設問数:40問
質問の対象分野:12分野(取締役会の構成・運営・議論、取締役のパフォーマンス、支援体制、トレーニング、株主との対話、指名委員会・報酬委員会の運営など)
実効性評価会をより実質的な議論の場とするために、取締役会事務局による各取締役・監査役への個別インタビューを行い、評価や課題認識に関する深掘りを行いました。
対象者:取締役・監査役
形式:個別インタビュー(30~40分/人)
2024年度の基本方針や対応項目*に対する取締役会の取り組みを振り返るとともに、主に「取締役会構成」「指名/報酬委員会の実効性」「戦略の評価・検証」「経営・組織体制」「企業価値向上の施策」「事業計画のモニタリング」などの論点を踏まえ、実効性向上に向けた評価と課題について認識を共有し、議論を行いました。
実効性評価会で行った議論を踏まえ、評価の結果、ならびに2025年度の取締役会の基本方針と対応項目、取締役会で重点的に議論・決議する議案や、継続して報告・フォローする議案の年間計画を審議・決定しました。
2024年度は、企業価値向上に向けた諸施策の実行に関するモニタリングと支援に多くの時間をかけ、株主や社員などステークホルダーの視点から助言・指摘を行い、必要に応じて施策の軌道修正を促すなど、着実に成果が創出できるよう、取締役会の運営に努めました。また、会社の将来像をより鮮明化するため、デジタルサービスの会社としての事業構造や収益構造などについて、合宿形式で終日議論を行うなど、審議の充実を図りました。
さらに、社外取締役・社外監査役による現場視察や現地の社員とのラウンドテーブル、経営会議へのオブザーブ参加などによる会社の実態把握を継続的に実施したことに加え、書面報告や事前説明の有効活用による取締役・監査役への情報共有の充実化を図ることで、取締役会における議論の質の向上と実効的な監督機能の発揮に努めました。
取締役会における審議状況の透明性の確保を目的として、2024年度取締役会の議案に関する時間配分を以下のとおり示します。
取締役・監査役による自由記述形式の評価、第三者による評価、および個別インタビューの内容をもとに、取締役会のメンバーで討議した結果の総括は以下のとおりです。
上記の評価を踏まえ、取締役会は、以下の〈基本方針〉にもとづいて運営し、3つの具体的な〈対応項目〉を軸として取締役会の実効性向上に取り組みます。
監査役会は、監査役としての職務の遂行を通じて、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に貢献できる人材であることに加え、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されることなど、監査役会としての知識、経験、専門能力のバランスを考慮して、監査役候補者を選定します。
なお、監査役候補者の選定にあたって、監査役会は以下の基準を定め、これらを総合的に判断しています。
社外監査役候補者の選定に際しては、上記の基準に加え、企業経営・財務会計・法律における高い専門的知見および豊富な経験を有していること、および当社所定の「社外役員の独立性基準」と照らし合わせ、会社との関係、代表取締役その他の取締役および主要な従業員との関係などを勘案して、独立性に問題がないことを付加的な基準としています。
監査役の選任にあたっては、上記の監査能力や素養・人間性などのほかに、多様な経験や視点を持った監査役で構成されることが必要であると考えています。
加えて、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、それぞれの人格および識見に基づいて候補者を選定することで、これらの属性に関する多様性を確保することを方針としています。
監査役候補者の選定にあたっては、監査役の独立性確保を重視し、「候補者の推薦」「候補者の指名・提案」を監査役会主導で行っており、そのプロセスは下図のとおりです。
監査役候補者の選定基準に基づき、監査役会は、監査役がリストアップした監査役候補者について検討し、必要に応じてCEOと協議の上、候補者の推薦を行い、指名委員会で監査役会における検討内容や推薦理由の確認を経て、候補者の指名および取締役会への提案を行います。取締役会では、監査役会の判断を尊重した上で、株主総会への監査役選任議案を決議し、株主総会にて選任されます。
当社は、業務提携や、協働ビジネス展開などの円滑化および強化の観点から、配当等のリターンも勘案しつつ、今後のリコーグループの発展に必要かつ有効と認められる場合に限り、関連するパートナーの株式等を保有することができるものとします。
具体的には、毎年取締役会において個別銘柄ごとに保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかなどを検証し、中長期的に保有の意義が認められなくなったと判断される銘柄については縮減を図るものとします。
政策保有株式の議決権行使に際しては、提案されている議案ごとに、当該企業の中長期的な企業価値の向上を図るものか、株主価値の毀損につながらないかを精査した上で、賛否を判断し議決権を行使します。
リコーは、株主と積極的かつ建設的な対話を行い、その対話を通して得られた意見を企業活動に反映させるサイクルを通じ、相互理解による信頼関係の醸成を行います。また、そのサイクルに基づく企業活動を通じて、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供し続けることで、人々の生活の質の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献し、中長期的な企業価値の向上に努めます。
| 株主との 対話の責任者 |
社長執行役員・CEO |
|---|---|
| 対話の主体 | IR・SR*専任部署のほか、対話の目的や株式保有数に応じて、社長執行役員・CEO、CFO、各ビジネスユニットプレジデント、CHRO、ESG担当役員、社外を含めた取締役/監査役が行います。 |
| 主な対話の機会 | 中長期戦略説明会・決算説明会・事業説明会などのラージミーティング・スモールミーティング、1on1による個別対話を実施しています。また、外部主催のIRイベント・カンファレンスでの説明会も適宜行っています。 |
| 経営層への フィードバック |
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| インサイダー 情報について |
インサイダー情報取り扱いに関する内規を遵守し、個別株主との対話ではインサイダー情報の開示は行いません。なお、インサイダー情報漏洩を防止し情報開示の公平性を保つため、決算期末日の翌日から決算発表日までを沈黙期間とします。 |
当社の2024年度の情報発信、対話実績は以下のとおりです。
| ラージ ミーティング |
4回(決算説明会 4回) |
|---|---|
| スモール ミーティング |
4回(マネジメント* 4回) |
| 1on1 ミーティング |
258件(マネジメント* 51件[IR 19件/ SR 32件]/ IR・SR専任部署 205件 / ESG推進部門 2件) |
リコーグループは従業員の企業年金として規約型の確定給付型企業年金を実施しています。
最終受益者である加入者・受給者等に対する給付の支払いを将来にわたり確実に行うため、資産運用に取り組んでいます。
法令や原則・指針に則り、「資産保有者としての機関投資家」(アセットオーナー)としての責任を果たしていくことに努めていきます。