リコーグループは、経営者の活動を含む企業活動全体を通じて、企業倫理と遵法の精神に基づく経営の透明性を確保しつつ、競争力の強化を目指したコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。これにより、持続的な成長と株主価値・企業価値の向上を図っています。
また、企業活動の基礎となる理念・価値観を「リコーウェイ」として定めています。「リコーウェイ」は、「創業の精神」および「私たちの使命・私たちの目指す姿・私たちの価値観」で構成されています。経営の方針・戦略はリコーウェイに基づき策定されるなど、リコーウェイは自律的なコーポレート・ガバナンスの根本的な考え方となっています。
当社は監査役制度を採用しています。また、取締役会による経営監督の強化、および執行役員制度による経営執行の効率化を図っています。さらに、社外取締役を招聘し、当社から独立した客観的な立場での議論を通じた意思決定および経営監督により、コーポレート・ガバナンスを一層強化しています。
取締役および執行役員の指名・報酬については、取締役会の諮問機関であり、委員の過半数を独立社外取締役で構成する「指名委員会」、「報酬委員会」において審議を行い、取締役会へ答申しています。
(2023年6月23日現在)
コーポレートガバナンス報告書(2023年6月26日)
リコーの取締役会は、取締役会ならびに取締役が、企業価値向上に資する審議、判断、行動をするにあたっての礎となる考え方や姿勢について、創業の精神に立ち戻って議論をしました。その結果、取締役会が維持・醸成していくべき「ボードカルチャー」として、2022年度に明文化しました。
取締役会は、
経営環境や経営体制が変わる中で、取締役会は常に上記ボードカルチャーに立ち返り、審議や意思決定はもとより、取締役の選任や、株主をはじめとするステークホルダーとの対話などにおける指針とします。
リコーグループはデジタルサービスの会社への事業構造の転換と資本収益性の向上をさらに進めるため、2021年4月1日より社内カンパニー制に移行しました。
各ビジネスユニットが自律的に事業運営を行い、本社部門は中長期戦略の立案や各ビジネスユニットへの資本配分、および成長性・資本収益性による厳格な事業管理に重点化し、グループ全体の企業価値の向上を実現します。
今回の組織体制の刷新を踏まえ、当社は監督・執行・監査の各視点から、以下のようなガバナンスに関する取り組みを進めています。
取締役会では経営監督およびグループ経営に関わる重要な意思決定を行っています。独立性の高い社外取締役を招聘することにより、経営の透明性の確保と公正な意思決定の一層の向上を図っています。独立社外取締役を含む非執行取締役、執行を担う取締役がそれぞれの専門性や経験などを活かし、重要案件に対して深い議論を行うことで、成長につながる新たな挑戦を促すとともに、株主をはじめとする多様なステークホルダーの視点で経営の監督が行われる体制を構築しています。また、すべての取締役に対し、取締役会への出席率が原則80%を下回らないことを求め、経営に対する実効的な監督機能を果たすよう要請しています。取締役会の議長を独立社外取締役とし、取締役会に占める独立社外取締役の割合を過半数としています。
2022年度は取締役8名のうち、5名が独立社外取締役の体制で構成しています。あわせて、取締役会における社外取締役の役割・機能をより発揮できるよう、筆頭社外取締役を選任しています。筆頭社外取締役は、取締役会議長と協働してガバナンスの整備・高度化を担い、当社における独立社外取締役の職務を主導する役割を担います。
なお、筆頭社外取締役は、当社の経営状況、議長および取締役の就任状況などに照らして、取締役会の判断に基づき、必要に応じて選任を行います。議長と筆頭社外取締役による適切な協働・役割分担のもと、取締役会の円滑な運営と機能発揮を確保します。
さらに、当社では、2023年4月に代表取締役会長(以下、会長)を選任しました。会長の選任に際して、CEOとの権限および責任関係が不明瞭にならないよう、会長の果たすべき役割について、取締役会および指名委員会において慎重な審議を重ねました。その結果、当社における会長の役割は、主として経営の監督を行い、執行役員を兼務せず、日常の業務執行には関与しない社内取締役とし、その旨を社内規程などに明記しました。上記の役割に基づき、会長の職務の委嘱内容は、監督機能の強化の視点、執行への支援の視点、対外活動の視点を踏まえたものとしています。また、代表権を付与することで、会長による執行への支援および対外活動の機能を一段と強化し、企業価値向上の実現に向けて、その責務を果たしていく立場を明確にしました。会長の役位・委嘱内容については、経営環境や執行の状況を踏まえ、定期的に見直しを行います。
2023年6月23日現在
監査役会では、監査の方針および業務の分担などを協議決定し、取締役の職務の執行を監査するほか、当社の会計監査人、および内部監査部門との連携や、当社各部門・子会社監査を通じて、経営への監督機能を果たしています。監査役は、取締役会およびその諮問委員会に加え、重要な会議に出席し、また、代表取締役や社外取締役とも定期的な情報交換を行っています。当社の監査役は5名で、社内の事情に通じた常勤監査役2名と、当社の定める独立役員の要件を満たす社外監査役3名としており、過半数が独立社外監査役です。また、監査役会として必要な知識、経験、専門能力をバランスよく確保して、監査役会を構成することとしており、各監査役の専門分野における豊富な経験と幅広い見識、および独立した客観的な視点で深い議論が行える体制を構築しています。
2023年5月19日現在
監査役会が、監査役の実効的な職務遂行のため、監査実績説明書で報告している活動を行うとともに、監査役、会計監査人および内部監査室においても、当社の監査機能全体の強化・充実を図るため、適切な連携を行っています。
監査役、会計監査人および内部監査部門である内部監査室は、監査方針・計画・方法について相互に擦り合わせを行っています。加えて、これまで分散管理されていた子会社の基本情報、リスク情報を「拠点リスクマップ」として一元的に整備し、それぞれの監査活動で有効活用できるよう情報共有を行っています。また、四半期ごとに三様監査会議を開催し、監査内容および監査結果について情報交換を行うほか、内部統制の状況やリスクの評価などに関しても意見交換し、課題の共有を図っています。
月次で常勤社内監査役と内部監査室との定例会を実施し、監査結果や課題認識の共有を行っています。また、内部監査室より監査役会において四半期ごとに活動状況などの報告を行い、独立社外監査役の視点を取り入れた意見交換を行っています。
監査結果や情報の共有は三様監査会議にて実施しています。また、特定のテーマに関しては、必要に応じて適宜会議を設定し、速やかな情報交換と議論を行っています。
会計監査人との監査結果や情報の共有は定期的に実施しています。加えて、特定のテーマに関しては、速やかな情報交換と議論を行っています。
当社の取締役・監査役に向けたトレーニングは、社内と社外の取締役・監査役それぞれの役割や状況に応じた知識の習得・更新を行うことによって、取締役会における監督機能を発揮し、株主価値・企業価値の向上に資する議論を建設的に行い、会社の重要な統治機関の一翼を担う者として期待される役割・責務を適切に果たすことを目的としています。
社内取締役・監査役の就任に際しては、役割と責務の確認、コーポレート・ガバナンスや法務・財務などの責務の履行に必要な知識を習得するための研修を実施しています。また、就任後においても、最新の知識の更新を目的に、各取締役・監査役に適合した社内外の研修やeラーニングなどによるトレーニングの機会を確保しています。
社外取締役・監査役には、責務の履行にあたって十分な知見と経験を有する者から選任しています。就任に際しては、当社の状況に関する理解を深めるための知識として、事業戦略・財務状況・組織体制などの説明や、必要に応じて主要拠点の現場視察などの機会を設けています。また、就任後においても、当社の状況や経営環境、事業運営上のリスクなどを定期的に提供・共有することに加えて、経営会議(グループマネジメントコミッティ:GMC)へのオブザーバー参加や現場視察など会社の実態を把握する機会を提供することにより、取締役会の経営監督機能および監査役の監査の実効性確保、向上を図っています。
上記対応が適切に行われていることを確認するため、これらの実績を、取締役会に報告しています。
2022年度実績(対象:社外取締役・監査役)CEOをはじめとした経営幹部の指名、報酬などの決定については、取締役会の経営監督の最重要事項の1つとして、独立社外取締役を委員長、委員の過半数を独立社外取締役とする「指名委員会」、ならびに「報酬委員会」を設置することで、取締役、執行役員などの選解任や報酬の透明性、客観性を確保しています。また、指名委員会、報酬委員会の審議には、毎回社外監査役1名がオブザーバーとして出席しています。
2022年度の指名委員会・報酬委員会は、それぞれ独立社外取締役4名、社内取締役1名の体制で構成しています。
ガバナンス検討会は、リコーグループのガバナンスの方向性や課題について、取締役、監査役などが包括的な議論を行う場として開催しています。実施した検討会の概要はガバナンス報告書などで開示しています。取締役検討会は、取締役会における会社の重要なテーマ(中期経営戦略など)の決議に向けて、取締役および監査役が事前に十分な議論を尽くすための機会・時間として開催しています。社外役員会議は、取締役会における議論に積極的に貢献する観点から、社外役員間、または社外役員と常勤監査役などとの間で独⽴した客観的な⽴場に基づく情報交換・認識共有を図る場として開催しています。
リコーグループ全体の経営について全体最適の観点での審議および意思決定を迅速に行うために、取締役会から権限委譲された社長執行役員が主催する意思決定機関として、一定の資格要件を満たす執行役員で構成される「グループマネジメントコミッティ(以下、GMC)」を設置しています。取締役会での決裁必要項目は取締役会規程にて定めており、その基準に満たない決裁案件や事業執行に関する重要事項はGMCにて意思決定がなされます。また、GMCによる業務執行に関する以下の事項について、3か月に1回以上取締役会に報告を行っています。
GMCにおける審議対象事項は以下のとおりです。
また、GMCには執行業務の理解を深める目的で、社外取締役もオブザーブ参加しています。
開催年月 | 社外取締役オブザーブ参加人数 | |
---|---|---|
2022年 | 4月 | 1名 |
5月① | 3名 | |
5月② | 2名 | |
6月 | 2名 | |
7月① | 2名 | |
7月② | 3名 | |
9月 | 2名 | |
11月 | 3名 | |
12月 | 2名 | |
2023年 | 1月 | 2名 |
2月① | 2名 | |
2月② | 1名 | |
2月③ | 2名 | |
3月 | 1名 |
内部統制委員会は、リコーグループの内部統制に関する審議および意思決定を行うために当社の社長執行役員のもとに設置される機関です。当委員会は、一定の資格要件を満たす執行役員で構成されており、四半期ごとの開催を原則としていますが、状況に応じて臨時あるいは緊急で開催しています。
当委員会における審議内容は以下のとおりです。
特にリコーグループ全体への影響が懸念される重大なインシデントについては、発生の背景・要因、再発防止策などの詳細を確認し、その再発防止策の有効性やリコーグループ内での同インシデントの再発に対する懸念が残る場合は、必要な対策を速やかに決定し、トップダウンで確実な実行につなげています。
また、内部監査で報告された内部統制の課題やリスクマネジメントおよびコンプライアンス活動などを勘案し、インシデントの未然防止につなげるための議論と対応策の決定をしています。
2022年度 | 主な議題 | |
---|---|---|
第1回 | 4月 |
|
第2回 | 6月 |
|
第3回 | 8月 |
|
第4回 | 11月 |
|
第5回 | 2月 |
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2022年度 | 主な議題 | |
---|---|---|
臨時第1回 | 10月 |
|
臨時第2回 | 12月 |
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臨時第3回 | 3月 |
|
ESG委員会は、環境・社会・ガバナンス分野におけるリコーグループの課題を経営レベルで継続的に議論し、グループ全体の経営品質の向上につなげていくことで、ステークホルダーからの期待・要請に迅速かつ適切に応えていくことを目的としています。当委員会は、具体的に以下の役割を担っています。
当委員会はCEOを委員長とし、GMCメンバーとビジネスユニットプレジデントおよび監査役から構成されます。四半期に一度開催される委員会では、議論するテーマに応じて該当する事業部門の責任者を招集するなど、サステナビリティ課題を横断的に検討・議論していく体制を整えています。2022年度は当委員会を4回開催し、以下について議論を行いました。
2022年度 | 主な議題 | |
---|---|---|
第1回 | 5月 |
|
第2回 | 8月 |
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第3回 | 11月 |
|
第4回 | 2月 |
|
情報セキュリティ委員会は、リコーグループのセキュリティに関する審議および意思決定を行うために当社の社長執行役員のもとに設置される機関として、2022年度下期に新設しました。当委員会は、一定の資格要件を満たす執行役員で構成されており、2023年度から原則四半期ごとに開催します。
当委員会では、主に、リコーグループのセキュリティ戦略、セキュリティガバナンス、セキュリティオペレーションについて審議を行います。
昨今、情報セキュリティに対するリスクは急速に高まっています。サイバー攻撃の頻発、不正技術の多様化・高度化(ランサムウェア*など)、各国法規制の強化・多様化、地政学的リスクの顕在化など、企業の対応範囲も拡大しています。
また、デジタルサービスの会社への変革を目指す上で、既存事業における収益性をより盤石なものとするため、デジタルサービスにおけるセキュリティリスクの軽減のみならず、事業成長に向けた投資として捉え取り組む必要があります。
近年、企業がDX化による企業競争力の向上を狙う一方で、解決すべきセキュリティの課題も生じています。
このため、2022年度からセキュリティ統括担当であるCEOの直轄に、リコーグループ全体のセキュリティ戦略およびプライバシー保護戦略の立案・推進を担うセキュリティ推進部門を設置しました。当該部門は、セキュリティに対する素早い経営判断や、各国法規制への対応戦略の明確化など、当委員会の運営を支えています。
2022年度 | 主な議題 | |
---|---|---|
第1回 | 11月 | 現状の課題と今後の対応について |
第2回 | 12月 | セキュリティレーティングに関する討議 |
リスクマネジメント委員会は、リコーグループ全体のリスクマネジメントプロセス強化のため設置しているGMCの諮問機関です。当委員会は、リスクマネジメント担当役員を委員長とし、各組織の有識者を委員とすることで、リスクの網羅性確保と議論の充実を図り、リコーグループの経営において対応・重点化すべきリスクをGMCに提案しています。また、リコーグループのリスクマネジメント実効性強化のため、必要に応じてリスクマネジメントシステムの見直し・再構築を行います。
また、経営と各事業執行組織の連携を取り、より実効性の高い一気通貫のリスクマネジメントシステムとするために、各組織からリスクマネジメント責任者・推進者を選任し、各組織における自律的なリスク管理体制を整備しています。
さらに、各リスクマネジメント推進者を対象とした“リスクマネジメント連携強化会議”において、リスク管理に関連する勉強会や情報共有を行い、リスクに強い組織になるため継続的な取り組みを進めています。
2022年度 | 主な議題 | |
---|---|---|
第1回 | 4月 |
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第2回 | 10月 |
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第3回 | 11月 |
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第4回 | ||
第5回 | 1月 | |
第6回 | 3月 |
|
投資委員会は、GMCの諮問委員会として、資本コストも踏まえた財務的視点での妥当性、事業戦略視点での収益性や成長性リスクなどの観点で投資計画の検証を行います。多様化する外部への投資案件について、機能別組織のメンバーが事前に確認・協議することにより、経営戦略との整合性や投資効果を高め、投資判断のスピードと的確性を向上させることを狙いとしています。
当委員会は、戦略・財務・リスクを主な審議の視点としており、メンバーは、CEOの指名する委員長、各視点の専門家として経営企画・経理・法務・内部統制の各機能別組織の選抜メンバー、案件に応じた有識者から構成されています。立案部門との関係では、事前協議先として対象案件の投資価値を総合的に審議の上、評価、アドバイスすることを役割としているため、投資案件についての決定権および拒否権は有しません。各案件に対し、審議結果を明確に示すことで、各案件決裁者の客観的判断をサポートします。
当社全体の外部投資判断の的確性を向上させるために、GMC決裁基準金額以下の案件も審議の対象とし、立案部門の投資判断や検討内容、案件交渉に対する助言を行います。
投資実行後は、当委員会の審議プロセスを経てGMCなどの決裁機関で承認を得た事業計画・定量指標(KPI)の内容・時期に沿って、半期に一度を目途として定期的に進捗状況を取りまとめ、GMCに対してモニタリング報告を行います。
2019年度からM&AやPMI*を成功に導くことのできる人材を体系的に育成しています。立案部門のレベルアップにより、投資案件の質を向上させ、当委員会での議論・審議の充実化を図っています。
育成プログラムは、当社の過去事例などを踏まえ、当社独自のプログラム(20講座/6か月間コース)を用意しており、これまでに156名が修了認定を取得しています。2023年度も継続的に実施する予定です。
また、本育成プログラムの修了認定後も、企業価値評価や財務分析の講座、人事・環境・ITなど機能別の専門講座を開設し、受講者への継続的な支援を行いさらなる能力向上を図っています。
これらの取り組みにより、立案部門の投資検討のスピードと的確性が向上しています。
開示委員会は、投資家の投資判断に影響を与える情報の適切な開示に加え、投資家の投資判断に資する会社情報の主体的な開示を実施することで、株主および資本市場との対話を促進し、それを通じて株主および資本市場との信頼関係を構築し、リコーグループに対する適正な評価の獲得を実現することを目的としています。
当委員会は、開示統括・経理・法務・経営企画・取締役会運営・広報・内部統制の各組織、情報発生・情報認知部署、関連会社の主管管理部門の各機能別組織の代表と、開示責任者であるCFOで構成されています。
2022年度は、当委員会の実効性を高めるために、社内プロセスおよび社内規定の見直しに取り組みました。
年次報告書類や適時開示書類の適切性・正確性の判断、開示手続きにおける情報開示の要否判断に加えて、投資家の投資判断に資する会社情報の積極的な開示に関する審議や開示手続きのモニタリングを実施しています。また、開示情報の適時性、開示書面内容の正確性・妥当性、開示判断の合理性などに関して、内部統制部門が定期的に評価を行い、取締役会・内部統制委員会へ報告を行います。
2022年度 | 主な議題 | |
---|---|---|
第1回 | 4月 | 招集通知の開示内容 |
第2回 | ||
第3回 | 6月 | ディスクロージャーポリシーの改訂 |
第4回 | 企業調査の回答内容 | |
第5回 | 8月 | リコーグループ統合報告書の開示内容 |
第6回 | リコーグループTCFDレポートの開示内容 | |
第7回 | 12月 | 開示規定の改訂 |
第8回 | 3月 | 年度実績報告 |
社外取締役の選任基準は、社内取締役と同じ上記の基準に加え、異分野に関する専門性、問題の発見、および解決能力、洞察力、戦略的思考能力、リスク管理能力、指導力などに優れていること、さらに、当社所定の「社外役員の独立性基準」に照らしあわせ、独立性に問題がないことを付加的な基準としています。
取締役の選任にあたっては経営能力や人格・人間性などの他に、多様な視点や、経験、さらに多様かつ高度なスキルを持った取締役で構成されることが必要であると考えています。
加えて、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、それぞれの人格および識見に基づいて候補者を選定し、これらの属性に関する多様性を確保することを方針としています。
持続的な成長と企業価値・株主価値の向上のためコーポレート・ガバナンスの強化・充実に継続して取り組んでいます。
取締役会は、取締役、CEO、および経営陣幹部等の選解任・評価における手続きの客観性・透明性・適時性を確保するため、取締役会の諮問機関である指名委員会を設置しています。
指名委員会は、客観性・独立性を高めるために、独立社外取締役を委員長、過半数を独立社外取締役で構成しています。また、委員会には社外監査役1名が同席し、審議の透明性の確保に努めています。
指名委員会は、以下の諮問事項について審議を行い、取締役会へ審議内容および結果を報告・答申しています。
取締役候補者の指名に先立って、取締役会の実効性評価会で認識された課題などを踏まえ、指名委員会は、取締役会が経営判断および執行監督を適切かつ有効に行うことができる体制を維持するために、取締役会の構成や取締役に求められる専門性・経歴(スキルマトリックス)などについて継続的な審議を行っています。取締役候補者の指名に関しては、指名委員会における数回の審議を経て、厳選な審査を行っています。
取締役の役割・責務を果たすために必要不可欠となる経営能力や人格・人間性を基本要件とし、当社における経営環境・目指す方向性・課題などに応じた当社の取締役として求められる資質・経験・スキル・多様性などについて多面的に審査するとともに、指名の根拠を明確にした上で取締役会へ答申しています。
取締役会は、指名委員会からの答申を踏まえ株主視点で審議を行い、株主総会へ付議する取締役候補者を決定しています。
なお、執行体制においても、GMCが的確かつ迅速な意思決定を行える体制を構築するとともに、サクセッションプランにおける適切な経営人材の登用・育成を図ることを目的に、人材と役割・スキル・キャリアなどを俯瞰したスキル・キャリアマトリックスを活用し、CEOが経営人材候補者の選抜や育成方針について指名委員会へ報告しています。
取締役の評価は、取締役会から諮問を受けた指名委員会が毎年実施しており、二段階による評価を行っています。一次評価は、取締役の職務継続の妥当性について慎重かつ適正に審議することで、選解任の適時性を確保しています。また、二次評価においては、実績を多面的に評価し、課題などを明確にして、本人へ評価結果のフィードバックを行うことにより、経営の質的向上を図っています。なお、指名委員会での取締役の評価に関する審議の内容および結果は、取締役会に答申され、取締役会で取締役の職務継続の妥当性について監督を徹底することとしています。
なお、評価にあたっては、「取締役として経営監督の遂行状況」、「業績・資本収益性・その他の主要経営指標など財務の視点」、ならびに「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」などを基準としています。
評価の視点 | カテゴリ | 評価項目(代表的なもの) | 項目の詳細・補足 |
---|---|---|---|
経営監督の遂行 | 資質・能力 | 企業価値、株主価値の最大化に向けた行動、執行監督と取締役間での相互牽制の姿勢、リスクマネジメント、会社経営に必要な見識 | |
財務指標 | 業績 | 連結業績推移 | 売上高、営業利益、当期利益、ROE、ROIC、FCF |
年度事業計画の状況 | ビジネスユニット別、地域別、主要施策 | ||
第20次中期経営計画に対する実績 | 財務、主要施策 | ||
資本市場・株主指標 | 資本市場 | 株価指標推移 | 株価、時価総額、PBR |
格付 | |||
株主 | TSR・株主還元 |
なお、取締役の評価にあたっては、「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」の基準の1つとしてTSRを採用していますが、突発的な株価変動の影響を避けるため年度平均株価により算出したTSR(下表参照)を使用しています。
保有期間 | 1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | 6年 |
---|---|---|---|---|---|---|
リコー(配当込み) | 95.4% | 138.6% | 107.0% | 104.5% | 113.1% | 126.0% |
TOPIX(配当込み) | 101.2% | 120.7% | 129.9% | 126.5% | 128.9% | 158.3% |
リコーグループが中長期にわたり、継続的に株主価値・企業価値を高め、社会の構成員としてその社会的責任を果たし永続していくための重要な取り組みとして、CEOサクセッションプランを位置付けています。
コーポレート・ガバナンスの強化の観点から、客観性、適時性、透明性の高い手続きによるCEOサクセッションプランの構築を目指しています。
CEOの評価は指名委員会が毎年実施しており、二段階による評価を行っています。一次評価は、職務継続の妥当性について慎重かつ適正に審議することで、選解任の適時性を確保しています。また、二次評価においては、実績を多面的に評価し、課題などを明確にして、本人へ評価結果のフィードバックを行うことにより、経営の質的向上を図っています。なお、指名委員会での評価に関する審議の結果は、取締役会へ報告され、CEOに対する実効性の高い監督を行うこととしています。
なお、CEOの評価にあたっては、執行役員を兼務する取締役と同様、「取締役としての経営監督の遂行状況」、「業績・資本収益性・その他の主要経営指標など財務の視点」、ならびに「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」(上記参照)に基づく評価に加え、「将来財務の視点」に基づく評価を組み合わせることで、CEOとしての総合的な経営監督ならびに業務執行能力の評価を行っています。
評価の 視点 |
カテ ゴリ |
評価項目 (代表的 なもの) |
項目の 詳細・ 補足 |
---|---|---|---|
経営監督 の遂行 |
取締役評価と同一カテゴリ・評価項目 | ||
財務指標 | 同上 | ||
資本市場・ 株主指標 |
同上 | ||
将来 財務指標 |
ESG | 環境 | 環境経営の取り組み |
社会 | SDGsの取り組み | ||
ガバナンス | 制度・開示・IR・コンプライアンス | ||
社員 | 人材の育成・活用 | 人事制度・職場環境 | |
社員エンゲージメント | 外部調査 | ||
安全・健康 | 職場の安全管理・健康管理 | ||
顧客 | 重大事故 | 製品・情報セキュリティ | |
顧客満足 | 外部調査 |
なお、当年度のCEO評価については、2023年3月31日をもって前CEO山下がCEOを退任することに伴い、同氏については、通常の評価項目に加え、2017年4月1日のCEO就任からの6年間の総括として、下記項目についての振り返りを実施し、現CEO大山をはじめとする新たな経営体制へのフィードバックとして、その実施内容を指名委員長から取締役会に報告しました。
CEO就任期間の総括として加えた就任期間6年間の評価項目CEOサクセッションについては、指名委員会を中心に計画的に後継候補の育成・検討を行い、候補者の入れ替え・絞り込み、および各候補者の課題に基づいたトレーニングを進めてきました。特に、前CEO山下が就任5年目を迎え、後継CEO選考を本格化した2021年度以降、指名委員会でのサクセッションに係る審議を計12回開催し、評価・議論を尽くしてきました。指名委員会では、社外取締役の委員長による公正かつ客観的な審議主導、社外取締役(委員)による面談、第三者アセスメントの実施など、選考プロセスの透明性や客観性を確保してきました。
指名委員会において、複数名の候補者の実績・経験・資質・人物などについて、慎重な審議を行った結果、デジタルサービスの会社への変革を加速するにあたって、海外での事業拡大やオフィスサービスの収益力強化などの実績、グローバルでの事業経験に加えて、CFOや経営企画などの全社を統括する役割の経験、海外のマネジメントを含めた求心力、グローバルな視点で潜在ニーズを把握してサービスにつなげる能力などを評価し、大山晃氏が後継CEOとして適任であるとの結論に至りました。前CEO山下の在任年数、第21次中期経営戦略の開始年度などを総合的に勘案し、2023年4月1日付での新たなCEOが率いる新経営体制に移行することが、デジタルサービスの会社に向けた施策の確実な実行に必要と判断した結果、指名委員会からの答申に基づき、2023年1月30日開催の取締役会において、大山晃氏が後継CEOに選定されました。
年に1回(9月頃)、CEOは将来のCEO候補者案を作成するとともに、それらのCEO候補者に対する育成計画を策定し、11月初めの指名委員会でCEO候補者案および育成計画について説明を行っています。
指名委員会は、CEO候補者案ならびに育成計画の妥当性を審議するとともに、CEOに対して育成に関する助言を行い、その結果を取締役会へ報告しています。取締役会は、指名委員会からの報告を受けて候補者選定および育成計画の妥当性を確認するなど、CEO候補者の選定・育成に主体的に関与しています。
CEO候補者の選定にあたっては、交代時期を想定し下表のタームごとの候補者を選定しています。なお、事故あるときの交代候補者1名は、CEOの選定と同時に取締役会の決議により決定しています。
ターム | 選定人数 |
---|---|
事故あるときの交代候補者 | 1名 |
次期交代候補者 | 数名程度 |
次々期交代候補者 | 数名程度 |
CEOは、将来のCEO候補者の育成計画についての指名委員会での審議・助言を踏まえて、次年度、CEO候補者それぞれの課題に応じた当人の成長に必要なチャレンジの場を付与し、実績を積ませるとともに、CEO候補者のアセスメントを踏まえ当人の成長に必要な助言などを実施しています。
CEO候補者の評価は毎年実施し、CEOはCEO候補者の育成期間(4月から翌年3月)における実績および成長状況(評価期間は4月から指名委員会開催前月である10月まで)について11月初めの指名委員会へ報告を行っています。指名委員会は、CEO候補者の継続・交代などについて審議を行うとともに、必要に応じて、外部専門家の助言なども活用しながら、CEO候補者の評価を実施し、その結果を取締役会へ報告しています。取締役会は、指名委員会からの報告を受けてCEO候補者の評価および継続・交代における審議の妥当性を確認するなど、CEO候補者の評価プロセスに主体的に関与しています。
当該方針は、取締役会の諮問機関である報酬委員会において審議を行い、取締役会へ答申し、これを踏まえ取締役会で決定しています。
株主価値の増大にむけて、中長期にわたって持続的な業績向上を実現することに対する有効なインセンティブとして、役員報酬を位置付けています。また、コーポレート・ガバナンス強化の視点から、報酬水準の設定や個別報酬の決定について、客観性・透明性・妥当性の確保を図るための取り組みを行っており、以下の基本方針に基づいて報酬を決定しています。
報酬構成 |
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---|---|
ガバナンス |
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インセンティブ付与を通じた収益拡大と企業価値向上およびコーポレート・ガバナンス強化に向け、より客観的で透明性のある報酬の検討プロセスを構築するために、報酬委員会を設置しています。報酬委員会は、取締役の報酬基準、および業績に基づき、また、指名委員会における取締役の評価結果などを踏まえ、複数回にわたる審議を経た上で、基本報酬、賞与、株式取得目的報酬、および株価条件付株式報酬に関する各々の報酬案を決定し、取締役会へ答申しています。
取締役会は、報酬委員会から答申のあった各報酬議案について、審議・決定を行います。賞与については、取締役賞与フォーミュラに基づく個人別賞与額が適切であることを確認の上で、賞与支給総額ならびに株主総会への取締役賞与支給議案および付議の要否を決定します。株主総会で取締役賞与支給議案が決議された後、取締役会で決定された個人別賞与額が支払われます。
基本報酬、短期・中長期インセンティブいずれについても、企業業績との適切な連動性確保の観点から、毎期の報酬委員会で当社の業績に対して狙いとする水準を報酬区分ごとに確保できているかを判定しています。その際に、外部専門機関の調査結果に基づくピアグループの役員の報酬水準を目安とし、短期・中長期インセンティブについては、当社の業績に応じて支給率が変動するように設定しています。
報酬 区分 |
報酬 名称 |
社内取締役 | 社外 取締役 |
備考 | |
---|---|---|---|---|---|
執行 | 非執行 | ||||
固定 | 基本 報酬 |
〇 | 〇 | 〇 | 役割・責任に応じた報酬 |
変動 (短期) |
業績 連動型 賞与 |
〇 | 〇 | ― | 業績目標の達成度に連動 |
変動 (中長期) |
株式 取得 目的 報酬 |
〇 | ― | ― | 役員持株会を通じて支給全額をリコー株式の取得に充当 |
業績 連動型 株式 報酬 |
〇 | ― | ― | 中長期的な企業価値・株主価値の向上へのインセンティブ |
取締役に期待される役割・責任を反映する報酬として、在任中に支払う月次金銭報酬です。
株主総会で決定された報酬総額の範囲内で支給額を決定し、2022年度の支給総額は、2億6,301万円になります。
報酬構成 | 報酬水準の主な設定方法 | |
---|---|---|
社内取締役 | 「経営監督の役割に対する報酬」、「経営責任や役割の重さを反映する報酬」を軸とし、「代表取締役や指名委員や報酬委員などの役割給」を加算。 |
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社外取締役 | 「経営監督の役割に対する報酬」、「経営への助言に対する報酬」を軸とし、「取締役会議長・報酬委員長などの役割給」を加算。 |
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業績連動型賞与は対象事業年度の会社業績と株主価値向上を反映する報酬として、事業年度終了後に支払う金銭報酬となり、2022年度は以下を評価指標として設定しています。
評価指標 | 設定理由(狙い) |
---|---|
連結営業利益 の目標達成率 |
時価総額と相関を有し、かつ事業活動による成果を示す営業利益を評価指標とすることで、取締役が利益成長と収益性向上に責任を持つことを明確にする。 |
ROEの 目標達成率 |
資本収益性向上の重要指標であるROEを評価指標に設定することにより、取締役が株主価値向上に責任を持つことを明確にする。 |
DJSI*の 年次Rating |
全社的なESGの取り組みの確認ツールとして活用しているDJSIの年次Ratingを評価指標とすることで、ESG向上へのインセンティブとする。 |
また、報酬委員会においては、下記取締役賞与フォーミュラにより算出された結果を踏まえ、指名委員会における取締役評価の結果なども含めて、個別賞与支給額の妥当性を審議の上、取締役会に答申し、取締役会は、これを踏まえ、株主総会への取締役賞与支給議案付議の要否を決定しています。
2022年度の賞与については、報酬委員会の審議において下記取締役賞与フォーミュラにより算出された結果が適切であると判断され、支給総額は7,494万円になります。
評価指数 | 目標値* | 実績値 | 係数 |
---|---|---|---|
連結営業利益の目標達成率 | 900億円 | 787億円 | 0.69 |
ROEの目標達成 | 7.0% | 5.9% | 0.84 |
DJSIの年次Rating | World | World | 1.05 |
株主価値向上を反映する報酬は、中長期的な当社の企業価値向上へのコミットメントを強化する目的とし て、以下の「株式取得目的報酬」と「株価条件付株式報酬」で構成されます。
(株式取得目的報酬)
株式取得目的報酬は、取締役の保有株式数を着実に増やし、株価の変動による利益・リスクを株主と共有することを目的とした金銭報酬となります。在任中に定額を毎月支給し、その同額を当社役員持株会を通じて自社株式の取得に充当します。報酬額は、株主総会で決定された報酬総額の範囲内で役位別に設定しており、当年度の支給総額は、1,043万円です。
(業績連動型株式報酬)
2019年6月21日開催の第119回定時株主総会において、当社の取締役に対する報酬として、信託を用いた株価条件付株式報酬制度(以下、本制度)を株主の皆様のご承認をいただき導入していますが、株主の皆様との利益・リスクの共有意識を一層強化するとともに、当社の持続的な成長と適切な株主還元も含めた株主価値向上へのコミットメントを示すことを目的として、第4号議案「取締役に対する株式報酬制度の一部変更および継続の件」にあるとおり、本制度を一部改定し、2023年9月1日から業績連動型株式報酬制度として継続します。業績連動型株式報酬は、当社が金銭を拠出することにより設定する株式交付信託(以下、本信託)が取引所市場(立会外取引を含む)から当社の普通株式(以下、当社株式)を取得し、当社が各取締役に付与するポイント数に相当する数の当社株式が本信託を通じて各取締役に対して交付される制度です。なお、取締役が当社株式を受け取る時期は、原則として業績評価対象期間(2023年以降の各年の4月1日を開始日とする連続する3事業年度単位の各期間を指す。以下も同様。)の終了の都度とします。また、当社が各取締役に付与するポイント数は、取締役会決議により定められた株式交付規程に基づく職務グレード別の基準となる金額を元に、業績評価対象期間における当社のTSR成長率とTOPIX(配当込み)成長率との相対評価、およびピアグループのTSR成長率との相対順位、ならびにESG目標達成度合いに応じて(0~200%の範囲で変動)決定し、1ポイント1株として当社株式を交付します。そして、取締役在任期間中に、会社に影響を及ぼす重大な不適切行為があった場合などには、株式報酬の返還要請を行うべく、マルス・クローバック条項を定めています。
なお、変更前の本制度については、原則として、2023年9月1日以降の新たなポイント付与を停止し、累積ポイントに対応する数の当社株式は、変更前の本制度の規定に従い、退任時に交付します。変更前の本制度における2022年度の付与ポイントに基づく費用計上額は3,203万円であり、2022年度退任取締役(1名)に対しては、累積ポイントに、当該取締役の在任期間中における当社株価成長率(95.7%)とTOPIX成長率(122.0%)の比較結果に応じた株式(4,000株)を交付しています。
監査役の報酬は、適切に監査を行う役割に対する基本報酬のみで構成されています。報酬水準は、監査役会が外部ベンチマークの調査結果を踏まえて協議し、第84回定時株主総会で決議された監査役報酬枠の範囲内で決定しています。
役割・責任ごとの業績に対する責任を明確にするため、固定報酬(基本報酬)と変動報酬(業績連動型賞与、株式取得目的報酬、業績連動型株式報酬)の支給割合は、経営責任の重い者ほど変動報酬の割合が増える設計としています。最上位の社長執行役員は、2022年度業績目標の標準達成時(営業利益900億円、ROE7.0%)には、概ね固定・変動の比率が5:5の割合となり、業績目標の最大達成時(営業利益1,080億円以上、ROE10.5%以上)には固定・変動の比率が3:7の割合となります。
今後も中長期的な株主価値・企業価値の向上を重視し、株主価値や業績に連動した変動報酬の割合を一層高めていく方針で、報酬区分ごとの適切な報酬額の検討を継続審議していきます。
業績連動型株式報酬においては、当社取締役会にて決議する株式交付規程のマルス条項およびクローバック条項の定めに従い、当社に影響を及ぼす重大な不適切行為があった場合などには、取締役会の決議により、その該当した時点において、それまでに付与されていたポイントの全部または一部を失効させ、対象となる取締役は、失効したポイントに係る受益権を取得しないものとします。
また、当社株式の交付、および当社株式に代わる金銭の交付を既に受けた者においても、ポイントの総数に請求日の東京証券取引所における当社株式の終値を乗じて得た額について、返還を請求することができるものとします。
業績連動型株式報酬においては、インサイダー取引規制への対応として、当社株式交付後も、退任の翌日から1年間が経過するまでは当該株の売買を行ってはならないものとします。
著しい環境変化や、急激な業績の悪化、企業価値を毀損するような品質問題・重大事故・不祥事などが発生した場合には、取締役会の決議により、臨時に取締役報酬を減額または不支給とすることがあります。
当年度の取締役の個人別の報酬等の内容の決定にあたっては、報酬委員会が上記決定方針との整合性を含めた多角的な検討を行い、取締役会は基本的にその答申を尊重した上で審議・決定を行っているため、当年度の取締役の個人別の報酬等の内容は、上記決定方針に沿うものであると判断しています。
種類 | 報酬枠の内容 | 決議時期 | 決議がなされた時点における対象者数 |
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取締役報酬 | 基本報酬の限度額(株式取得目的報酬の金銭支給部分を含む)は、月額46百万円以内(うち社外取締役分は月額7百万円以内) | 2016年6月17日開催の第116回定時株主総会 | 11名(うち社外取締役は4名) |
株価条件付株式報酬における拠出金額の限度額および取締役に付与されるポイントの総数の上限は、当初対象期間(2020年3月31日で終了する事業年度から2022年3月31日で終了する事業年度まで)について、合計3億円(1事業年度あたり1億円)および合計300,000ポイント(1事業年度あたり100,000ポイント) 当社の取締役会の決議により、対象期間を5事業年度以内の期間を都度定めて延長する場合は、当該延長分の対象期間中の事業年度数に1億円を乗じた金額および同事業年度数に100,000ポイントを乗じたポイント数 |
2019年6月21日開催の第119回定時株主総会 | 3名 | |
監査役報酬 | 基本報酬の限度額は、月額9百万円以内 | 1984年6月29日開催の第84回定時株主総会 | 4名 |
評価にあたっては、引き続き、取締役会の実効性に留まらず、任意の指名・報酬委員会および取締役会における執行の対応も対象とした評価を行いました。あわせて、評価の客観性を確保するため、第三者による評価を実施しました。
取締役・監査役による記述評価、および匿名性を確保した第三者によるアンケートの分析結果を共有した上で、すべての取締役と監査役が参加した討議により評価を行いました。討議では、前回の実効性評価で当社取締役会が設定した以下の取締役会運営の基本方針および3つの対応項目について、2022年度の取締役会を振り返って評価を実施しました。
〈2022年度の基本方針〉
〈2022年度の対応項目〉
2022年度は、20次中計の最終年度として、各ビジネスユニットの重要な指標や施策の進捗のモニタリングを行うとともに、21次中経の策定年度として、年間計画に基づき中長期の経営方針や戦略の審議を重ねました。CEO交代に伴うサクセッションプランでは、指名委員会の回数や審議時間を十分に確保し、後継CEOの最終選定や新たな経営体制などの議論を行いました。
また、社外取締役・社外監査役による現場視察や現地の社員とのラウンドテーブル、経営会議へのオブザーブ参加などによる会社の実態把握に加え、株主の声を経営に反映することを目的に、株主と社外取締役とのスモールミーティングによる対話の機会を設け、株主視点での議論を深めました。
当社取締役会における審議状況の透明性の確保を目的として、2022年度 取締役会の議案に関する時間配分を以下のとおり示します。
取締役・監査役による記述評価ならびに第三者による評価を取締役会のメンバーで討議した結果の総括は以下のとおりです。
<2022年度の対応項目①②>について
<2022年度の対応項目③>について
上記の評価を踏まえ、当社取締役会は、以下の〈基本方針〉に基づいて運営し、3つの具体的な〈対応項目〉を軸として取締役会の実効性向上に取り組みます。
<2023年度の基本方針>
<2023年度の対応項目>
監査役会は、監査役としての職務の遂行を通じて、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に貢献できる人材であることに加え、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されることなど、監査役会としての知識、経験、専門能力のバランスを考慮して、監査役候補者を選定します。
なお、監査役候補者の選定にあたって、監査役会は以下の基準を定め、これらを総合的に判断しています。
社外監査役の選任に際してはは、上記の基準に加え、企業経営・財務会計・法律における高い専門的知見および豊富な経験を有していること、および当社所定の「社外役員の独立性基準」と照らし合わせ、会社との関係、代表取締役その他の取締役および主要な従業員との関係などを勘案して独立性に問題がないことを付加的な基準としています。
監査役の選任にあたっては、上記の監査能力や素養・人間性などのほかに、多様な経験や視点を持った監査役で構成されることが必要であると考えています。
加えて、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、それぞれの人格および識見に基づいて候補者を選定することで、これらの属性に関する多様性を確保することを方針としています。
監査役候補者の選定にあたっては、監査役の独立性確保を重視し、「候補者の推薦」「候補者の指名・提案」を監査役会主導で行う下図のようなプロセスとしています。
監査役会は、監査役の選任基準に基づき監査役候補者をリストアップし、それらをもとに必要に応じてCEOと協議の上、候補者の推薦を行い、指名委員会による確認を経て、候補者の指名・提案を行います。
取締役会では、監査役会の判断を尊重し、株主総会への監査役選任議案が決議されます。
当社の取締役・監査役に向けたトレーニングは、社内と社外の取締役・監査役それぞれの役割や状況に応じた知識の習得・更新を行うことによって、取締役会における監督機能を発揮し、株主価値・企業価値の向上に資する議論を建設的に行い、会社の重要な統治機関の一翼を担う者として期待される役割・責務を適切に果たすことを目的としています。
社内取締役・監査役の就任に際しては、役割と責務の確認、コーポレート・ガバナンスや法務・財務などの責務の履行に必要な知識を習得するための研修を実施しています。また、就任後においても、最新の知識の更新を目的に、各取締役・監査役に適合した社内外の研修やeラーニングなどによるトレーニングの機会を確保しています。
社外取締役・監査役には、責務の履行にあたって十分な知見と経験を有する者から選任しています。就任に際しては、当社の状況に関する理解を深めるための知識として、事業戦略・財務状況・組織体制などの説明や、必要に応じて主要拠点の現場視察などの機会を設けています。また、就任後においても、当社の状況や経営環境、事業運営上のリスクなどを定期的に提供・共有することに加えて、経営会議(グループマネジメントコミッティ:GMC)へのオブザーバー参加や現場視察など会社の実態を把握する機会を提供することにより、取締役会の経営監督機能および監査役の監査の実効性確保、向上を図っています。
上記対応が適切に行われていることを確認するため、これらの実績を、取締役会に報告しています。
当社は、業務提携や、協働ビジネス展開等の円滑化および強化の観点から、配当等のリターンも勘案しつつ、今後のリコーグループの発展に必要かつ有効と認められる場合に限り、関連するパートナーの株式等を保有することができるものとします。
具体的には、毎年取締役会において個別銘柄ごとに保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を検証し、中長期的に保有の意義が認められなくなったと判断される銘柄については縮減を図るものとします。
政策保有株式の議決権行使に際しては、提案されている議案ごとに、当該企業の中長期的な企業価値の向上を図るものか、株主価値の毀損につながらないか精査した上で、賛否を判断し議決権を行使します。
当社は、株主と積極的かつ建設的な対話を行い、その対話を通して得られた意見を企業活動に反映させるサイクルを通じ、相互理解による信頼関係の醸成を行います。また、そのサイクルに基づく企業活動を通じて、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供し続けることで、人々の生活の質の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献し、中長期的な企業価値の向上に努めます。
当社の当年度の情報発信、対話実績は以下のとおりです。