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  • リコーグループ技術倫理憲章

    リコーグループ技術倫理憲章

    AIや映像デバイスを活用したさまざまなデジタルサービスの研究から開発・販売・運用までを網羅した「技術倫理憲章」を定めています。

序論

リコーグループは創業の精神である三愛精神に則り、社員一人ひとりが高い倫理観を持ち、誠実で公正な行動を重んじて事業に取り組んできました。2016年のヘルスケア事業への参入に伴い、2017年より国が定める「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従ってリコー倫理審査委員会を発足させ、医学的研究のみならず、人間工学研究の倫理審査制度による研究開発を行っています。

近年、デジタルサービスはモノ・コトの提供による仕事の効率化はもとより、働く人々の心や感情の予測といった領域まで適用されつつあります。その一方で、デジタルサービスを構成する重要な技術であるAIの活用に関しては、細心の注意を払う必要があります。システムが外部から悪意をもった行為を受けることにより、利用者個人の人権や社会全体に関わる重大な影響を及ぼすリスクや、システム開発の誤りにより差別や偏見、格差を助長してしまう恐れなどがあるからです。

リコーグループはこれらの課題を強く自覚し、デジタルサービスの開発や社会実装、および運用に内在する倫理的リスクを抑制するため、2023年、倫理リスクの抑制の推進を担う専門部署として倫理統括室を設置し、新たにAIや映像デバイスを活用したさまざまなデジタルサービスの研究から開発・販売・運用までを網羅した「技術倫理憲章」を制定しました。

リコーグループは「“はたらく”に歓びを」を実現するために、今後もお客様やパートナーから信頼を得て、安心して共創活動に取り組めるように、デジタルサービス、およびその核になるAIに内在するリスク評価や対策を実践し、レジリエントな社会の実現に貢献していきます。

技術倫理3原則

1. 社会課題解決と人間中心のサービス開発による「はたらく歓び」の提供

デジタルサービスの核になるAIによる判断は、人を尊重し、社会の利益に資するよう責任をもって実装することが重要です。リコーグループは人権の尊重・善行(有益性)・正義(公正性)の理念に則り、人を起点としたデジタルサービスを提供するとともに、その質を保証するために、常にお客様の利用シーンを想定したデジタルサービスの開発に努め、はたらく歓びを提供します。

2. 多様な人々の価値観を尊重したサービスの提供と啓発

デジタルサービスの提供にあたって、潜在的かつ倫理的なリスクを抑制し、新たな価値の創出を図るには、研究や企画開発の時点において、システムやプロダクトにAI利活用する目的の適切さを担保することが重要です。リコーグループは、多様な社会課題を解決し、持続可能な社会の実現や、さまざまな背景を持つ世界中の人々のはたらく歓びの輪を広げるために、デジタルサービスの利活用の提案と関係者への啓発を行います。また、「人を対象とした」研究開発や実証実験においては、その国や地域、学協会が定める倫理指針に従い、倫理審査を実施します。

3. 高い信頼性と安心感の維持管理が可能なサービス運用

お客様に提供したデジタルサービスを使い続けていただくためには、社会実装後のシステムの信頼性確保(長期的かつ安定的に価値を提供し続けること)が重要です。リコーグループは、提供するデジタルサービスが社会や環境の変化に適応して継続的に受け入れられるような設計を心がけ、オフィス機器などのメンテナンスで育んできたサービス技術により維持改善に努めます。

7つのクレド(信条)

1. 適正な開発と適切な利活用の推進

デジタルサービスが本来デザインされた用途や動作条件から逸脱した使い方をされることで利用者に不利益をもたらさないよう、デジタルサービスの具体的な利活用シーンを開発要件の中に盛り込み、各利活用シーンにおけるリスクを踏まえた開発を行うように努めます。また、利用者や運用者などに対し、利用方針や利用条件などを示すことでデジタルサービスの適切な運用を推進します。さらに、デジタルサービスが利用される動作環境の変化、デジタルサービスの核になるAIが行う判断結果に対する人々の意識や社会状況の変化などを随時確認し、デジタルサービスの適切な維持管理と学習に努めます。

2. 公平性の実現

デジタルサービスの核になるAIの判断結果が、多様なステークホルダーの利益に資するとともに、人種・性別・国籍などによる差別や偏見を発生・助長することがないように、リコーグループはAI技術の教育・開発・運用に努めます。

3. プライバシー保護を徹底した開発と運用

デジタルサービスの学習・評価・運用に利用する入力データおよびサービスが出力するデータに関して、個人情報を適切に扱い、プライバシーを含む権利を保護するように努めます。

4. セキュリティ重視のデジタルサービスの開発と提供

情報漏洩や改ざん、システムの破壊、サービスの妨害などを防止するよう、システムや運用レベルでの対策も含め、セキュリティを重視したデジタルサービスの実現・運用に努めます。

5. 安全重視

提供したデジタルサービスが想定通りの動作をするよう品質を検証し、利用者や運用者など関係者の生命や健康をはじめとする人権・財産・名誉・信頼・信用を守ることに努めます。同時に、地球環境や社会への悪影響を防止し、かつ、心地よく働けるワークプレイスを提供するデジタルサービスの実現・運用に努めます。

6. 透明性、および説明責任の実行

デジタルサービスの核になるAIの判断結果の根拠などを検証し、透明性の確保に努めるとともに、提供するサービスに関する説明責任を果たすよう努めます。

7. 法令遵守の事業活動

利用される国や地域の法令を遵守し、基本的な倫理観に則り、社会からの期待に応えるデジタルサービスの実現・運用を行います。そのために、研究・開発・設計・営業・保全などの関係者に対するリテラシーを育む教育環境を提供し、人材育成に努めます。

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