リコーグループが目指す姿を実現するには、私たちだけでなく、社会全体が循環型社会に向かって変化していく必要があります。1994年に制定されたコメットサークルは、循環型社会実現のコンセプトとして、製品メーカー・販売者としてのリコーグループの領域だけでなく、その上流と下流を含めた製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らしていく考え方を表したものです。環境負荷に最も大きな影響を及ぼすのは、製品の基本設計を握っている私たち製品メーカーであることを自覚し、主体となってこのコメットサークルを回しています。
図のそれぞれの球体は、循環型社会を実現するためのパートナーです。右上の「原材料供給者」によって自然環境から取り出された「新規資源」は、一番上のルートを右から左に流れる間に「製品」となってユーザー(お客様)に届けられます。大量生産、大量消費の社会では、使用済み製品は、一番下のルートを左から右へと流れ「エネルギーリカバリー」、「埋立」されます。
リコーグループの考える循環型社会では、使用済みの製品は、「回収センター」、「リサイクルセンター」で選別され上のルートに戻ります。製品、部品に選別されなかったモノは材料として上のルートに戻ります。
この上のルートに戻るオレンジ色の矢印を、ここではループとよび、製品の再使用、マテリアルリサイクルなどのループがあります。
環境負荷を削減するためには、ライフサイクル全体で取り組んでいくことが必要です。そのためには、リコーグループはもちろん、仕入先企業、お客様、輸送業者、リサイクル事業者など、事業プロセスにおける全ての関係者との間で発生する環境負荷を把握する必要があります。
このため、ライフサイクル全体における環境負荷を把握し、環境技術開発や製品の3R(リデュース・リユース・リサイクル)設計、工場やオフィスでの排出物の発生抑制や、資源循環を考慮したPP&E*の調達などを推進し、環境負荷の総量削減に努めます。
資源の経済的価値が最も高いのは、「製品としてお客様に使用していただいている状態」です。
コメットサークルの最も内側のループである「自家再使用」は、お客様先でのメンテナンスなどによって最も小さい環境負荷とコストで「価値の高い状態」を維持できます。
次に、製品が使用済みになった場合はなるべく小さい環境負荷で製品を再び経済価値の高い状態にすることが重要です。
「製品の再使用」、「部品の再使用」のループを優先して実施、また1回だけでなく、2回、3回とできる限り繰り返し再使用します。
そして再使用できないものは、「マテリアルリサイクル」、「ケミカルリサイクル」の順に実施します。
資源循環が進むためには、経済合理性が欠かせません。使用済みの製品を廃棄物として扱うのではなく、様々な工夫により、再び価値あるものとして扱われるようにする必要があります。製造者は再生製品や再生材料をできるだけ低コストで提供する努力をし、購入者は適正な対価を支払うようにする必要があります。
リコーグループは、コメットサークルのループに沿って、モノ作りの段階から3R設計を積極的に行い、高度化させることで、長期使用を可能にし、製品・部品を繰り返し使えるような製品開発を行っています。また、リサイクル事業者とのパートナーシップにより、再生資源の品質向上と、再使用やリサイクルにかかるエネルギーやコストの最小化を図るなど、ライフサイクルで経済合理性が高く、環境負荷が小さいビジネスモデルを確立します。
環境負荷を効率的に下げるためにはパートナーとの情報のやり取りや連携を密にすることが重要です。
たとえば調達時では、材料・部品メーカーとの協力により、CO2排出量、新規資源の消費、環境影響化学物質の少ない材料、部品の調達が可能となります。
輸送時では、荷主と輸送事業者で協力して環境負荷低減を考慮した、コスト効率のよい輸送方法にしていくことが重要です。
製品・サービスの使用段階では、お客様が最も重要なパートナーです。環境負荷の小さい製品・サービスをお客様に選択・活用していただくことが重要です。そのためには、製品情報をわかりやすく伝え、お客様と共に業務の環境負荷を分析、改善していく必要があります。
また、国や自治体、業界団体などに働きかけて環境負荷の小さい基準の策定や社会の仕組みづくりを進めていくことも重要です。
このようにステークホルダーとのパートナーシップにより、オフィス・現場・社会の環境負荷を削減します。
気候変動の激化、資源の枯渇、人口増加、途上国の経済成長などを考えると、大量生産・大量消費型の社会は持続可能とは言えません。
リコーグループは、コメットサークルの4つの行動指針を実践し、再生資源の利用を拡大し、新規資源の使用を抑制していきます。
1994年のコメットサークル制定以来、天然資源はかけがえのないものという認識のもと、市場から回収した製品を再生し、再度市場に供給する仕組みを構築し、資源の有効活用に努めてきました。
今後もライフサイクル全体を俯瞰して活動し、資源の価値を最大化していきます。