リコーグループは、強みである顧客基盤と顧客接点、自社IPを活かし、「ワークプレイスサービスプロバイダー」として、お客様に寄り添いながら継続的に価値を創造し、提供します。
変わりゆく“はたらく”に寄り添い、はたらく人の創造力の発揮を支えるデジタルサービスの会社として、事業成長と ESGに同軸で取り組み、企業価値を向上させていきます。
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近年、雇用や組織、業務プロセス、コミュニケーションのあり方など、人々の働き方に大きな変化が起こっており、ワークプレイス(従来のオフィスに限らず、働く人がいるあらゆる場所や空間)に求められるお客様のニーズも多様化してきています。こうした変化に対して、デジタル技術を活用した課題解決が一層求められています。
お客様のニーズ
雇用・組織 | 柔軟でオープンな働き方に適合したフレキシブルなIT環境およびデータ管理やセキュリティ担保 |
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業務プロセス | 単純な業務プロセスの自動化と、データドリブンで継続的に業務改善・最適化される仕組みの構築 |
コミュニケーション | 言語・文化・専門性・認識などのギャップを埋める、働く人の創造力発揮の支援 |
リコーグループは、ワークプレイスにおいて、デジタルの力を使い、業務プロセスの最適化による組織の生産性向上と、質の高いコラボレーションの促進により、お客様の創造力の発揮を支援する会社を目指します。自社の強みである顧客基盤と顧客接点、そして自社IPによるデジタルサービス提供能力を活かし、世界中のはたらく人へ価値を提供します。
中でも、成長領域であるプロセスオートメーションと、ワークプレイスエクスペリエンス、それらを支えるITサービスの提供に注力し、お客様のはたらく歓びの実現を目指します。
デジタルによる業務プロセスの最適化を通じ、単純作業を減らし生産性の向上を実現するとともに、AI・データの活用により新たな価値を提供し、お客様の創造力の発揮を支援
これまで培ってきたドキュメント・プロセス領域の技術とAI技術を活用して最適なワークフローを構築し、マネージドサービスにより常に最適な状態を維持します。また、お客様の業務プロセスやドキュメントに埋没・蓄積されているデータや日々生成されるさまざまなデータの価値を最大化します。
これによりお客様は、やらなければならないタスクを減らす・なくすことができ、生産性が向上し、コスト削減、セキュリティとコンプライアンスの強化も実現できます。また、意思決定の品質を向上し、より付加価値の高い活動につなげることができます。
デジタルの力で、場所にとらわれない円滑なコミュニケーション、質の高いコラボレーションを可能とする最適な働く環境を提供。これによりお客様の創造力の発揮を支援
ハードウェア、ソフトウェア、ソリューションの提供およびこれらが常に快適にご利用いただける環境を提供するマネージドサービスを通じ、従来のオフィスに限らず、働く人がいるあらゆる場所や空間におけるITサービスの最適化やシームレスなコミュニケーションを実現します。
これによりお客様は、本来やりたい・やるべき仕事に集中し、最適なコラボレーションにより、生産性高く創造的なアウトプットを創出することができます。
デジタルサービスの会社としての価値創造は、従来のOAメーカー型の本社主導のものとは異なり、お客様の価値をお客様との接点で創りあげます。各地域には主体的に価値創造に取り組み、地産地消型のソリューションを開発する役割が求められます。
一方、本社部門は、グループ共通のプラットフォームの提供に加え、自社開発あるいは他社から獲得したソフトウェアのグローバル展開、そして地域間連携での共創活動を加速する役割を担い、グループ全体視点での付加価値を創出します。
リコーグループには、複合機を導入いただいている世界140万社の「顧客基盤」があり、そこで培った信頼関係とお客様の業種・業務の知識が強みです。グローバルで均質なサービスを提供できる「顧客接点」を活かし、お客様の課題を深く理解してソリューションを提案する価値共創パートナーとして、共に価値を創造します。
お客様が抱えるさまざまな課題に向き合い、課題解決を積み重ねていくことで提供価値を高めていきます。また、同様の課題をおもちの他のお客様に対してもソリューションを水平展開していくことで、価値を提供する導入企業数を拡大していきます。
それぞれの地域で生み出したソリューションを、「自社IP」やコア技術を活かして他の地域にも展開します。グローバルで均質なサービスを提供するワークプレイスサービスプロバイダーとして、価値の提供範囲を拡げていきます。
リコーグループは多様なリソース(資本)をもとに、強みである「顧客基盤」「顧客接点」「自社IP(ソフトウエアやハードウエア)」を掛け合わせることで、お客様に最適な課題解決を提供しています。また、より質の高いサービスを提供すべく、リソースの拡充も進めています。顧客価値を生み出すデジタル人材の育成のほか、自社IPに関しては、自社開発に加え、M&Aや業務提携を通じ強化しています。
デジタル人材の育成・リスキリング、さらにはM&Aでグループに加わった新たな人材を通じて、お客様のニーズ理解、ソリューション設計・構築能力の強化を図っています。
利益率の高い自社ソフトウェアの展開を拡大することで、オフィスサービス事業の収益性を高めます。自社開発に加え、引き続きM&Aや業務提携を通じた自社ソフトウェアのラインアップを強化します。
例:DocuWare、RICOH kintone plus、RICOH Spaces など
ストック収益の拡大で鍵となるのが、RICOH Smart Integration (RSI) を活用したエコシステムです。エッジデバイスやソフトウェア、サービスをRSIでつなぎ、お客様への提供価値をさらに進化させていきます。また、RSIにより各地域で生み出されたソリューションを他の地域にも展開することでグループ全体のシナジー発揮を加速させます。
デジタルサービスの会社として成長するためには、アナログとデジタルの情報をシームレスにつなぐデバイスが不可欠です。2024年7月に始動したエトリア株式会社が、業界のリーダーとして、魅力的なデバイスを効率的に生み出していきます。
デジタルサービスの会社として継続的な成長を図るためには、ストック収益を地層のように積み重ねていくことが重要です。下支えとなるプリンティングビジネスを徹底的に効率化するとともに、同じお客様に複数のソリューションを導入いただくことで、ストック収益を積み上げていきます。加えて、共通する課題をお持ちの他のお客様にもソリューションを水平展開し、導入企業数を増やしていく「One to Many」により事業を拡大していきます。このように、お客様のさまざまな課題に応えるサービスを顧客接点で開発し、多くのお客様に効率的に展開することにより、グループ全体での収益性の向上を図っていきます。
オフィスサービス事業では、利益成長の進捗を図るため、「顧客数」「オフィスサービス導入率」「ストック売上成長率」の3つをKPIとして設定し、ストック収益の向上に取り組んでいます。
140万社の顧客基盤のうち、オフィスサービスを導入していただいている企業の割合を増やし、ストック売上を成長させていきます。
KPIと2023年度実績
利益成長の進捗を測るKPI | 顧客数 | オフィスサービス 導入率* |
ストック売上 成長率* |
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商談対象となる全顧客数 | オフィスサービス導入顧客の割合 | 継続的な収益基盤となるストック売上の成長率 (オフィスサービス) |
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2023年度実績 | 140万社 | 35% | +10% (為替込+17%) |
リコーグループは成長領域と定めるプロセスオートメーションやワークプレイスエクスペリエンスにおいて、幅広い統合的なソリューションの提供を通じて、世界中のお客様の業務の効率化や高度化を支援しています。自社での製品・サービスの開発に加え、戦略的な投資を行い、さまざまな技術やサービスを獲得することでお客様への提供価値を高めています。
リコーグループは、成長投資の一環として、2024年4月、ドイツのソフトウェア・スタートアップ企業Natif.ai GmbH(以下natif.ai)の全株式を取得しました。インテリジェントキャプチャーと呼ばれるAIを活用した先進的な画像認識やOCR*の技術の獲得によって、紙文書や手書き文書を含むさまざまなドキュメントからの情報抽出機能を強化し、幅広い業務プロセスにおいて自動化・高度化を実現します。
今回の株式取得は、リコーグループのDocuWare社によるものです。DocuWareとnatif.aiのもつインテリジェントキャプチャー関連の技術を掛け合わせることで、請求書処理や契約書管理など、紙帳票ベースの一連のワークフローをデジタル化し、お客様を単純作業から解放することで、生産性向上に貢献します。
プロセスオートメーションにおける強化領域
企業のドキュメント管理やワークフローの自動化を支援するプラットフォームを開発・販売。グローバル45カ国でサービスを展開し、有資格者(販売プレセールス/構築SE)も500人超に増加
RICOH kintone plusの導入で、手入力による見積もり作成や契約書の紙での管理をなくし、業務を効率化。システムとのシームレスな連携が決め手となり、他社複合機からの入替も実現
課 題
→手入力や紙での管理など、非効率な業務をなくしたい
提供価値
サイボウズ株式会社が提供する「kintone®」をベースにリコー独自の機能を追加したクラウド型の業務改善プラットフォーム。業務を自動化・効率化するアプリケーションをプログラミングなしで作成できるため、中堅中小企業を中心としたお客様のDXを強力に後押し。2024年3月時点で1,700社を超えるお客様が採用
リコーグループのグローバルでの顧客接点力および提案力とCenero社のケイパビリティ活用で、お客様の“はたらく”を支援するグローバルパートナーへ
課 題
→ベンダー管理業務の削減、簡素化およびサービスレベル向上を図りたい
提供価値
2022年にリコーグループに加わったCeneroは米州を中心にマネージドAVサービスプラットフォームを展開。AV技術に特化したサービスプロバイダーとして、最適なハイブリッドワーク環境の構築と運用を支援
提供する働く空間のイメージ
リコーグループは、お客様の経営課題や業務課題の可視化から、解決策の提案、課題解決まで、お客様に寄り添ったビジネスを展開しています。
課題解決にあたっては、最新のAI技術を活用しながら、お客様との価値共創活動を強化する施設として「RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO(以下RICOH BIL TOKYO)を、2024年2月1日にリニューアルオープンしました。新しいRICOH BIL TOKYOは、リコーグループのEBC(Executive Briefing Center)に位置付けられます。企業の経営幹部をお迎えし、専門技術者との対話やデザイン思考を取り入れたワークショップを通して、AIを活用した価値シナリオづくりやビジネスデザインの設計から実装に至るまでを伴走支援します。「DXのありたい姿を描けない」「DX以前の足元の課題が大量」というお客様に、本質的な経営課題の解決支援するとともに、ビジネス共創を実現しています。
RICOH BIL TOKYOでは、リコーグループの強みである顧客接点力を活かした、100以上ある各業種の課題解決シナリオと、自然言語処理や空間認識分野に強みをもつリコー独自のAI技術などを掛け合わせて、お客様と価値を共創します。お客様の顕在課題に対してソリューションやユースケースを提案するだけでなく、デジタルに精通した技術者である、ビジネスデザイナーやDXコーディネーターといった専任のビジネスアーキテクトが潜在課題までも可視化しています。また、これら専門性のある人材を計画的に育成するために、RICOH BIL TOKYOへ有期異動する社内留学や、社内副業制度を活用して案件ベースで参画するチャレンジャー制度、さらに独自の認定制度などのプログラムを構築、展開しています。
価値共創の領域は、大量の紙ドキュメントのデジタル化ニーズを起点にしたプロセスDXから、デジタル化されたドキュメントのAI/データ利活用、さらには、お客様の働く空間のデジタル化・管理、リニューアルなどにまで拡げており、今後もお客様と社会的インパクトを生み出す共創を目指します。
このような共創の取り組みは国内にとどまらず、オランダのエクスペリエンスセンターや英国のデジタルエクスペリエンスセンターなど、海外でも始まっています。これらの場を活用して、ワークプレイスにおける最新テクノロジーの紹介や体験を提供しています。
リコーグループはこれらの活動を通じて、お客様の生産性向上や業務効率化を実現し、その先にある創造力の発揮を支援することで、お客様のはたらく歓びを実現する新たな価値創造に取り組んでいます。RICOH BIL TOKYOでは、DXにおけるお客様の潜在的な課題について、「対話」と「おもてなし」を通じて変革の意識を醸成し、共創による課題解決の起点を生み出していきます。
取り組みのポイント
リコーグループは東芝テックとオフィス向け複合機やプリンター、周辺機器および、関連消耗品の開発・生産に関する事業を統合し、「エトリア株式会社」(代表取締役 社長執行役員 中田 克典)を2024年7月1日にスタートさせました。
エトリア組成の狙い
リモートワークの普及など、働き方の変化に伴うペーパーレス化の加速により、オフィスプリンティングの市場規模が縮小傾向にあります。エトリア組成においては、リコーと東芝テックが両社の技術の融合を進め、競争力の高い共通エンジンの開発に取り組みます。これにより、商品力の強化とともに、スケールメリットを活かして開発や調達、生産コストの低減を図ります。
エトリアが創り出す提供価値
ワークフローをデジタル化する企業に対して、文字や紙文書や会議の音声、現場の状況など、人が知覚できるアナログ情報をデジタル化してシームレスにつなげ、情報価値を高めるためのデバイスを提供します。これらによりお客様との接点が生まれ、その顧客基盤を足掛かりにデジタルサービスを積み重ね提供していきます。この点でも、デバイスは重要な役割を担っています。また、お客様からの要望が高まっている環境性能の向上においても、継続的に投資していきます。
サーキュラーエコノミーを見据え、将来の完全リサイクルを意識した製品の設計・生産の抜本的見直しを行います。従来どおりの効率化はもとより、今後は回収した製品を分解し、再生しやすいかを重視したモノづくりを強化します。再生品の品質と信頼性を向上させ、付加価値の高い再生ビジネスを拡げ、お客様の要望に応えていきます。
お客様からのESG要求の高まり
世界各地でESGに関する法規制が厳しくなり、お客様からのESG要求が飛躍的に高まっています。特に欧州では、サーキュラーエコノミー、人権の法規制が非常に厳しくなっており、日本でも公共調達においてカーボンフットプリントの開示、あるいはカーボンオフセットが要求されるようになってきています。ESG対応が商談の評価基準に設定されている場合や、商談の参加要件となるケースも出てきています。
欧州の調達案件でのESG評価事例
総合評価方式で2割が環境(再生材含有率、再生機提供など)と社会(製品のアクセシビリティなど)に関する配点の中、環境・社会分野が高く評価され、複合機約1万台の商談獲得
環境の取り組み(製品の環境性能、段ボール/プラスチック包装の再生材使用率、カートリッジの回収など)を金額換算し、総合評価に反映。環境項目が評価され、複合機100台以上の商談を獲得