過去・現在・将来への道筋

第19次・20次中期経営計画の振り返り

19次中計では、2017年度に「リコー再起動」を掲げ、コスト構造改革、業務プロセス改革、事業の選別を断行し、オフィスサービス事業を成⾧軌道に乗せました。20次中計ではコロナ影響などの対策を柔軟かつタイムリーに展開しましたが、事業成⻑で⽬標未達となりました。社内カンパニー制や事業ポートフォリオマネジメント、ジョブ型⼈事制度の導⼊など、経営基盤の強化は順調に進展し、OAメーカーからデジタルサービスの会社への変革を着実に進めてきました。

第19次中期経営計画
2017年度~ 2018年度~2019年度

市場拡大を前提とした5大原則を見直し、収益構造を改革

  • 5大原則:「マーケットシェア追求」「MIF拡⼤」「フルラインナップ」「モノづくり⾃前主義」「直販・直サービス」

稼ぐ力の向上とガバナンスの強化

外部環境
  • 世界金融危機以降、複合機市場の成長鈍化や価格競争の激化により、売価が下落
  • モバイル環境の整備による働き方の多様化、ペーパーレス化の加速
  • 安全・安⼼な社会づくりに寄与するグローバルな社会課題解決への注目の高まり
  • 嗜好の多様化によるカスタマイゼーションとデジタル化ニーズの高まり
基本方針 ❶構造改革
❷成長事業の重点化
❸経営システムの強化
❶強みに立脚した事業展開
❷オープンな経営スタイル
❸メリハリのついた成長投資
成果
  • 事業選別による基盤事業の収益改善と成⾧事業の収益拡大
  • お客様ニーズの変化をとらえたオフィスサービス事業の成長
  • ガバナンス改革
    (取締役任期1年化、株式連動報酬制度導入、リスクマネジメント強化、社外取締役過半数化など)
危機対応、変革加速の一年 第20次中期経営計画
2020年度 2021年度~2022年度

変わっていくお客様の“はたらく”に寄り添い続ける

社会課題解決による持続的な企業価値向上

外部環境
  • コロナ発生により、リモートワークなど、“いつでも、どこでも働ける”環境が常態化
  • 非接触ニーズの高まりにより、テレワークやそれに伴うクラウドニーズが拡大
  • Withコロナがノーマルとなり、働き方改革とそれに伴うデジタル化が進展
  • コロナ拡大によるサプライヤーの生産活動の遅延・停止や、物流費⾼騰
基本方針 ❶コロナ禍での危機対応
❷アフターコロナを見据えた変革加速
❶事業競争力の向上
❷経営基盤の強化
❸資本収益性の向上
成果
  • オフィスサービス事業の成長
  • 経営基盤の強化
    モノづくり体制強化とコストダウン、オフィスサービス領域でのM&A投資
    社内カンパニー制・事業ポートフォリオマネジメント・ジョブ型人事制度の導入
    デジタル人材育成、基幹システム刷新など

第21次中期経営戦略の概要と進捗

リコーグループは2023年4⽉からの3カ年を第21次中期経営戦略(以下、21次中経)とし、デジタルサービスの会社への変革における「実行」の3年間として、従来のオフィスプリンティング事業を主とした収益構造からの変革を加速させています。

中長期目標

「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」となること

2025年度財務目標:営業利益 1,300億円、ROE 9%超(2023年3月 会社説明会での発表)

3つの基本方針の取り組み状況

❶地域戦略の強化とグループ経営の進化

高収益体質への変革:オフィスプリンティング以外の収益を積み上げ、顧客接点における価値創造能力の向上、リコーグループ内でのシナジー発揮、継続した収益改善のために環境変化への対応力強化を推進

収益構造の変革:「プロセスオートメーション*1」「ワークプレイスエクスペリエンス*2」「ITサービス」を注力領域に設定。地域の特性を重視しながらリソースを集中投下し、サービス分野のストック契約・売上を積み上げる戦略を実行

❷現場・社会の領域における収益の柱を構築

  • デジタルサービスの領域を拡げ、より幅広いお客様に価値を提供
  • 商用印刷事業を中心に「現場・社会」領域での収益の柱を構築
  • 事業ポートフォリオマネジメントにより、注力する事業領域を見極めるとともに、出口プロセスへの移行を判断した事業については、適切な出口戦略を探索

❸グローバル人材の活躍

事業構造を変化させ、グローバルでの提供価値を拡大させるために、社員の能力やスキルを資本ととらえ、人に対して積極投資をしていく人的資本戦略を策定。

  • *1
    プロセスオートメーション:ビジネスプロセスオートメーションより名称変更
  • *2
    ワークプレイスエクスペリエンス:コミュニケーションサービスより名称変更

オフィスサービスの成長

  • オフィスサービス事業を中心とした事業成長と体質強化に取り組み、業績が堅調に推移。2022年度の業績に影響を与えた複合機やICT商材の供給制約が解消、販売活動が正常化
  • 日本ではインボイス制度をはじめとした法改正対応など、お客様に寄り添ったサービス・ソリューションが好調に推移
  • 欧米では⼀部のICT商材需要の弱含みが見られたものの、買収企業を中心にサービスビジネスの成長が継続

デジタルサービス売上高構成比の現状と目標

  • その他事業を除く
デジタルサービス売上高構成比 2022年度実績44% 2023年度実績48% 2025年度目標60%超

企業価値向上プロジェクト

リコーグループではデジタルサービスの会社への変革に向けて、2023年4月から「企業価値向上プロジェクト」に取り組んでいます。株主・投資家・アナリストの皆様との対話や資本市場目線での分析など、さまざまな角度から企業価値向上のために当社が取り組むべき課題について検討を進めました。PBRが低い最大の要因は収益性の低さにあり、デジタルサービスの会社として成長を実現するためには、各事業のビジネスモデルに適合した収益構造の確立が必要であることから、抜本的な収益構造変革を推し進めています。

具体的には、収益性向上に向けた抜本的な改革として、「オフィスサービス利益成長の加速」と、それを支える「本社改革」「事業の『選択と集中』の加速」「オフィスプリンティング事業の構造改革」の4本柱でプロジェクトを推進することで、2025年度には、2023年度比で600億円を超える効果を創出します。

収益構造変革の全体像

収益構造変革プログラムによる主な取り組み

1本社改革

R&D最適化

  • R&D(研究・開発)投資を、デジタルサービスの会社と親和性の高い「ワークプレイス」領域に集中

間接機能適正化

  • 顧客接点でより多くの価値を創造するデジタルサービス型へリコーグループの経営体制をシフト
  • サプライチェーンマネジメント(SCM)統括で、CoE*機能を強化するなど、2024年4月より新しい本社体制へ移行中
  • CoE:Center of Excellence

2事業の「選択と集中」の加速

事業ポートフォリオマネジメント

  • デジタルサービスの会社への変革・資源配分の最適化に向けて、従前から進めていた事業ポートフォリオマネジメントの取り組みをさらに加速
  • 当社の強みが活きる「ワークプレイス」領域にリソースを戦略的に配分するとともに、事業ポートフォリオマネジメントにより求める水準に達しない事業については、出口プロセスへの移行を判断

3オフィスプリンティング事業の構造改革

合弁会社を通じた収益改善

  • オフィスプリンティング市場は縮小するという認識のもと、売上高が減少しても収益を確保できるよう、経営体質を強化
  • 東芝テック株式会社との合弁会社、エトリア株式会社が7月1日に始動。サプライチェーンマネジメントの最適化など、バリューチェーン全体を俯瞰した取り組みを実施。競争力の高い共通エンジンの開発に取り組むとともに、調達コストの低減や開発・生産体制の効率化を推進

4オフィスサービス利益成長の加速

主要KPIの設定

  • デジタルサービスのコアであるオフィスサービスについて、お客様のオフィスサービスの導入率・ストック売上成長率の向上をKPIに設定し、継続的な収益性向上施策の実行

人的資本適正化

  • リスキリングプログラムを通じ、顧客接点で売上に貢献できるデジタル人材とプロセスDXによる業務効率化に貢献できる人材を育成。また、M&Aでグループに加わった人材の活用を促進

34共通

SCMの最適化

  • オフィスサービス商材調達費の削減、需要予測プロセスの最適化、物流費の削減に向けた取り組みを実施

販売・サービス体制の見直し

  • 販売・サービスや支援業務を適正化を推進
  • プロセスDXを通じ、業務の効率化を推進
  • インサイドセールスなどを活用した、より効率的な販売モデルの構築

リコーグループは「ワークプレイスサービスプロバイダー」として、2024年度は収益構造変革に最優先で取り組みます。利益成長を着実に進めるための継続的な収益改善と合わせ、中長期の視点を見据えた成長施策にも取り組むことで、継続的な企業価値向上を実現します。

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