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コーポレート・ガバナンス

社外取締役 鼎談

自由闊達な議論を通じてリコーの変革を後押ししていく

谷 定文

社外取締役
報酬委員長

横尾 敬介

社外取締役
取締役会議長

石村 和彦

社外取締役
筆頭社外取締役

企業体質の強化と収益性向上に向けて取り組むべきこと

横尾:21次中経(2023~2025年度)で掲げていた財務目標については、事業環境の変化を踏まえ、下方修正することを発表しました。これに対して、投資家の皆様からは厳しいご意見をいただいており、社外取締役としても重く受け止めています。

石村:デジタル化の進展により、プリンティング需要が急速に減少するという事業環境において、取締役会では、リコーグループの目指す方向性や事業戦略について時間をかけて議論を重ねてきました。そのなかで、グループの強みは独自の技術力や顧客基盤、顧客接点力にあることを再確認しました。また、デジタルサービスの会社への変革に向けて必要な成長投資を行い、ビジネスモデルの転換を図るという方向性でも一致しています。一方で、収益性の向上につながる具体的な取り組みを明示した中長期戦略を、説得力をもって打ち出すことが資本市場からの信頼を得る上で不可欠であるという点についても指摘してきました。

横尾:そうですね。グローバルで140万社に及ぶ顧客基盤は他社には無い強みです。ハードウエア・ソフトウエア両面の技術力をベースとし、幅広い顧客接点を活かした収益の積み上げが着実に進展しています。しかしながら、よりスピード感をもって取り組む必要がありますし、収益性向上に向けた道筋をステークホルダーの皆様に納得いただけるように示すことが必要です。特に資本市場から関心の高いROEの改善を含め、将来の企業価値向上に向けたシナリオを明確に描き、積極的に発信していくことが重要だと感じています。

石村:一過性の外部要因を除いても当初の財務目標に至らない修正計画を発表している現状があります。デジタルサービスの会社への変革を確実なものとするためには、ストック収益の積み上げをより一層加速させていくことが不可欠です。

谷:不確実性の高い経営環境においては、地政学リスクや各国の関税政策など、さまざまな想定外の影響を受ける可能性があります。だからこそ、こうした想定外の事態が起こる前提で、判断し実行していかなければなりません。たとえ、ネガティブな影響を受ける外部要因が重なっても、それを跳ね除けられるような強靭な企業体質にしていくために、構造改革を進めてきました。こうした改革を推進する原動力となるのは社員に他なりません。デジタルサービスの会社への変革に向けて、人材の能力を最大限に発揮できる仕組みづくりが重要です。

石村:そうですね。ビジネスモデルの転換を実現するには、社員一人ひとりが自律的にリスキリングなどを通じて、デジタルサービスの会社としてふさわしい人材に成長していくことが必要です。また、縮小傾向にあるオフィスプリンティング市場では、競争力を維持・強化しつつ、事業の合理化を図るべく、2024年7月にエトリア株式会社を組成しました。これはリコーが業界のリーダーとしてイニシアチブを発揮していることを示すものであり、将来の成果創出のための基盤を築く取り組みです。

横尾:まさにそのとおりです。エトリアの組成を発表した際には外部から大きな期待が寄せられました。オフィスプリンティング市場は縮小傾向にあるものの、一定の規模の需要は今後も継続すると見込んでいます。こうしたなかで、開発・生産機能を集約する取り組みの中枢を担う存在としてリコーが位置付けられていることがとても重要であり、さらなる発展の可能性も十分あると見ています。今後は、収益性向上に向けた取り組みのスピードをいかに加速させていくかがカギとなります。

率直かつ本質的な議論を積み重ねることで、取締役会の実効性を高めていく

横尾:業務のデジタル化が急速に進むなかで、ビジネスモデルの転換は、リコーグループが直面する最も本質的かつ困難な課題です。私が務める取締役会議長の役割は、デジタルサービスの会社への変革を念頭に、取締役全員から忌憚のない意見を引き出し、透明性の高い、自由闊達な議論を促すことです。厳しい指摘も含め、取締役会では常に侃々諤々と意見が交わされています。

谷:2021年に社外取締役に就任した際、横尾さんから「リコーはとても真面目な会社です」と言われたのを今でも覚えていますが、本当にそのとおりです。真剣に議論した結果、取締役会の終了予定時刻を超過してしまうことも頻繁にあります。社内事情に熟知していない、我々社外取締役からの「本来はこうあるべき」といった意見や指摘は、執行メンバーにとって、ときに現実的ではないと受け取られることもあるでしょう。それでも、発言の意図をくみ取り、前向きに取り入れようとする姿勢には誠意を感じます。

石村:私は、耳の痛い内容であっても敢えてオブラートに包まず、率直に質問や指摘をするように心がけています。執行メンバーは常に真摯に受け止め、疑問にも丁寧かつ的確に対応しており、取締役会はオープンかつ建設的な議論の場となっています。

横尾:私も、社外取締役の皆さんの率直な発言や質問がきっかけとなって、議論が活性化されていると感じています。大山CEOはそれらの問いかけや指摘を丁寧に受け止めつつも、自身の考えを明確に示しており、議論の深化につながっています。今後も、緊張感のある対話を通じて取締役会の実効性を一層高めていきたいと考えています。

鼎談の様子 石村 和彦 社外取締役 筆頭社外取締役

資本市場からの信頼獲得に向け、変革を加速する

谷:不確実性が高まるなかでも目標達成にこだわり、資本市場からの信頼を得ることが何よりも重要であると思います。私の就任当初の2021年に比べて株価は上昇しており、一定の進捗は見られますが、依然として、マーケットの期待に十分応えられる水準には至っておらず、今後も継続的な経営努力が求められると認識しています。

横尾:私は、以前スモールミーティングで株主の皆様と直接対話をした際、デジタルサービスの会社への変革の方向性については理解を得られ、期待感をもってくださっていることを実感しました。しかしながら、変革は着実に進展しているものの、期待される成果が十分に伴っていないのではないかというご指摘をいただいています。資本市場の期待に応えるスピード感については、取締役会での議論にとどまらず、社外取締役からも頻繁に指摘や確認が行われています。特に、ストック収益の拡大や、基盤となるデジタル人材の獲得・育成など、成果の実現に時間を要する施策については、その進捗状況を確認し、取り組みの加速を促すための指摘が実効性評価会などさまざまな場でなされています。また、財務目標の未達については、計画どおりに数字が伴っていないことに対し、私も忸怩たる思いがあります。ただ、スピードが求められる領域には迅速に対応しながらも、時間をかけてでも確実に成果につなげるべき取り組みについては、じっくりと進めていくことも大切です。デジタルサービスの会社としての価値をさらに高めていくためには、社員一人ひとりがその方向性に適応できるよう、人材育成の強化が必要です。リコーグループでは、独自の「デジタルアカデミー」や、一定期間の異動を通じ集中的に研修を行う「スキルアッププログラム」などを通じて育成を進めています。こうした取り組みは、一朝一夕に成果が出るものではなく、一定の時間を要することも事実です。だからこそ、社外取締役として、執行メンバーに対して短期的な対応を求めるだけでなく、将来に向けて必要な取り組みを着実に進めることの重要性も強調しています。

石村:まずは、計画を達成できていない現状を真摯に受け止めた上で、実行したことがどのように結果に結び付いたのかをしっかり示していくことが重要ですね。資本市場からの信頼を獲得するためには、現状を検証した上で、次の計画の達成につなげていかなければなりません。

持続的な成長に向けて、果断な意思決定を行う

横尾:取締役会の実効性を高める上では、例えばAIや量子コンピューティングといった日々進化する技術の変化を見据え、次世代や次々世代のリコーがどうあるべきか、自由な発想で討論する場を設けてもよいかと思います。また、私たちが現場に赴き、ラウンドテーブルで社員と対話する機会も、もっと増やしていきたいですね。

谷:同感です。私たちは、現状の課題への対応だけでなく、会社の将来像を考える上でも、リコーグループのことをより理解したいという思いから現場訪問をしています。工場見学などで社員の皆さんと対話し、現場の声を直に聞けることは会社の現状を把握する上でもとても興味深く、有意義です。例えば、「レポートラインが複雑である」という率直な指摘から、リコーグループが抱える課題の一端が明らかになるなど、毎回大きな気づきを得ることができています。また、経営会議にも可能な限りオブザーバーとして出席するようにしています。そこでも将来の方向性をめぐり、白熱した議論が交わされています。先日も、事業ポートフォリオの検討に関する経営会議において、「原点に立ち返って、本当にこの会社が良くなるための実際的な議論をすることが大事」と熱意をもって訴えている執行メンバーの姿が印象的でした。取締役会に限らず、社内のさまざまな場面で、自由闊達な議論が行われている様子を目の当たりにし、組織として共通の方向を見据えながら、前進しようとする姿勢を感じています。

石村:まさにそのとおりですね。リコーのボードカルチャーでは「将来のための果断な意思決定を行う」と定めています。果断な意思決定とは、必要な時に踏み込んだ判断を下すことを意味しています。先ほどお話ししたエトリアについても、リコーが業界をリードしていくぞ、という強い意志を示すものであり、果断な意思決定を下したものと言えます。一方、現在の社内体制については、デジタルサービスの会社への変革という観点から改めて点検が必要であると感じています。また会社の将来像を実現するための研究開発体制についても、本社とビジネスユニットの役割分担をどう最適化するか、といった議論を深めていく必要があります。

横尾:私もそこは今後の検討課題だと思います。現在の社内体制は、これまでの議論を経て構築されてきたものですが、経営環境に合わせて常に進化させていくべきものだと思います。現場の声も踏まえて改善の余地があるのであれば、見直していく必要があると思いますね。会社全体の課題設定は本来執行メンバーが主体的に進めるべきことですが、私たち社外取締役からも疑問に感じる点は積極的に課題を提起していきます。

透明性の高い評価と報酬制度でガバナンスの実効性を高める

谷:私は報酬委員会の委員長として、自分の考えはもちながらも、委員の意見を尊重し、くみ取る運営に努めています。一委員としては、経営陣にはその責任の重さに見合った業績連動型の報酬比率を高め、執行役員についても雇用型でなく委任型とすることで、より強い覚悟をもって職務に臨んでもらいたいと考えています。委員会では、自由闊達に意見交換がなされているがゆえに、議論が白熱して予定時間を超えることもありますが、企業価値向上に資する適切なインセンティブ設計を第一に慎重に審議を進めています。同時に、株主や社員をはじめとするステークホルダーの皆様にご納得いただける報酬水準とすることも重要な視点として意識しています。

鼎談の様子 谷 定文 社外取締役 報酬委員長

石村:私は2023年6月から2025年6月まで指名委員長として指名委員会の運営にあたってきました。委員会の最大の使命はCEOの選任ですが、それに加えて選任後も継続の可否を含めた評価を毎年実施しています。2023年4月に大山CEOが就任して以降、就任1年目から、継続の可否を含めた評価を行ってきました。諮問委員会として取締役会に答申する上で、継続可否の説明責任を果たすことは重要かつ重責です。これはCEOに限らず、取締役を兼務する執行役員に対しても同様に、継続の妥当性を検討しています。CEO選任時には、コンプライアンスに関する意識、傾聴力、さらにはリーダーシップなどの資質に加え、必要なスキルを総合的に評価・検討しましたが、選任後の評価においては、責任を果たしたかどうかが最も重要な視点です。大山CEOについては誠実に責務を遂行していることを委員会として評価しています。また現在、指名委員会と報酬委員会合同で、企業価値向上を後押しする、経営幹部の評価や報酬など包括的なインセンティブのあり方についても、議論を行っているところです。

企業価値向上に向け、ステークホルダーとの真摯かつ積極的な対話を推進していく

横尾:ステークホルダーの皆様にリコーグループの現状をしっかりご理解いただくためには、適切なタイミングでの丁寧なコミュニケーションが非常に重要です。その意味でも、今後も株主の皆様や現場の社員との対話の機会を積極的に設けていきたいと考えています。

鼎談の様子 横尾 敬介 社外取締役 取締役会議長

石村:私も同様の考えです。株主をはじめとしたステークホルダーの皆様が社外取締役との対話を望まれる背景には、執行メンバーとは異なる視点からの意見を聞きたいというご期待と、ご自身の想いや意見を直接伝えたいという意図があるのではないでしょうか。企業価値向上に向け、ステークホルダーとの対話は今後も積極的に実施していきたいと思います。

谷:ステークホルダーの中でも、社員の皆さんに最も伝えたいのは、デジタルサービスの会社への変革を進めているのは、決して現状を否定しているのではないということです。それは縮小均衡に陥ることなく、将来の持続的な成長を実現するためです。会社を変えるためには、一人ひとりが現状に安住することなく、未来のより良い姿をポジティブに思い描きながら、自らの成長を志してもらいたいと願っています。

横尾:そうですね。これまでの取り組みを決して否定しているのではないということです。社員の皆さんには、会社の向かう方向性に自信をもって、デジタルサービスの会社への変革の担い手として、未来に向けて変化を恐れず、前向きに取り組んでもらいたいですね。

コーポレート・ガバナンス体制

基本的な考え方

リコーグループは、多様なステークホルダーの期待に応えられるように、経営者の活動を含む企業活動全体が、企業倫理と遵法の精神に基づく経営の透明性を確保しつつ、競争力の強化を目指したコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。これにより、持続的な成長と株主価値・企業価値の向上を図っています。また、企業活動の基礎となる理念・価値観である「リコーウェイ」は、自律的なコーポレート・ガバナンスの根本的な考え方となっています。

リコーは会社法上の監査役会設置会社を採用しています。また、取締役会による経営監督の強化、および執行役員制度による経営執行の効率化を図っています。取締役および執行役員の指名・報酬については、取締役会の諮問機関であり、委員の過半数を独⽴社外取締役で構成する「指名委員会」「報酬委員会」において審議を行い、取締役会へ答申しています。

リコーグループのコーポレート・ガバナンスや機関設計の在り方については、経営環境や会社形態の状況から現状の点検を定期的に行い、最適な機関設計の評価・検討を実施しています。

コーポレート・ガバナンス体制

リコーのボードカルチャー

取締役会は、取締役会ならびに取締役が、企業価値向上に資する審議・判断・行動をするにあたっての礎となる考え方や姿勢について、創業の精神に立ち戻って議論し、取締役会が維持・醸成していくべき「ボードカルチャー」として、以下のとおり定めました。

取締役会は、

1.「三愛精神」を尊び、株主、お客様、従業員、協力会社、地域・社会などさまざまなステークホルダーとの対話を踏まえ、その利益を尊重するとともに、社会課題の解決につながる経営戦略・計画となるよう監督する。

2.議長による中立的な運営のもと、多様性・独立性の高い構成メンバーによって、オープンで自由闊達かつ多面的な視点を尊重した建設的議論を行い、その結果を真摯に経営に反映する。

3.事業成長・資本収益性・ESGを高次元で実現することを通じた中長期的な企業価値の向上に向け、社会的責任を自覚し、将来のための果断な意思決定を行うとともに、その遂行に対する監督を行う。

経営環境や経営体制が変わる中で、取締役会は常にボードカルチャーに立ち返り、審議や意思決定はもとより、取締役の選任や、株主をはじめとするステークホルダーとの対話などにおける指針とします。

リコーのボードカルチャーの概念図
リコーのボードカルチャーの概念図

取締役会

取締役会では経営監督およびグループ経営に関わる重要な意思決定を行っています。取締役会の構成、運営については、リコーのボードカルチャーに掲げた考え方や姿勢を念頭に、取締役会に占める独立社外取締役の割合を過半数とし、議長を独立社外取締役とすることにより、経営の透明性の確保と公正な意思決定の一層の向上を図っています。2024年度は取締役8名のうち、5名を独立社外取締役とする体制です。あわせて、取締役会における社外取締役の役割・機能をより発揮できるよう、筆頭社外取締役を選任しています。筆頭社外取締役は、取締役会議⻑と協働してガバナンスの整備・⾼度化を担うほか、リコーにおける独⽴社外取締役の職務を主導する役割を果たします。なお、筆頭社外取締役の選任は、取締役会がリコーの経営状況、議⻑および取締役の就任状況などに照らして、必要に応じて決定します。議長と筆頭社外取締役による適切な協働・役割分担のもと、取締役会の円滑な運営と機能発揮を確保します。

取締役会の審議においては、独立社外取締役を中心とした執行役員を兼務しない取締役と執行を担う取締役が、それぞれの専門性や経験などを活かし、重要案件に対して深い議論を行うことで、企業価値向上に向けた適切な意思決定と、株主をはじめとする多様なステークホルダーの視点で経営の監督が行われる体制を構築しています。

また、すべての取締役に対し、取締役会への出席率が原則80%を下回らないことを求め、経営に対する実効的な監督機能を果たすよう要請しています。

指名委員会/報酬委員会

CEOをはじめとした経営幹部の指名・報酬などの決定については、取締役会の経営監督の最重要事項の1つとして、独立社外取締役を委員長、委員の過半数を独立社外取締役とする「指名委員会」ならびに「報酬委員会」を設置することで、取締役・執行役員などの選解任や報酬の透明性・客観性を確保しています。また、指名委員会・報酬委員会の審議には、毎回社外監査役1名がオブザーバーとして出席しています。2024年度の指名委員会・報酬委員会は、それぞれ独立社外取締役4名、社内取締役1名の体制で構成しています。

2024年度の活動状況
委員会 主な審議項目
指名委員会
(計8回開催)
[定例項目]
  • 年間運営方針・アジェンダ
  • CEO/執行兼務取締役の実績評価(一次評価/二次評価)
  • CEOサクセッション(CEO候補者の選定・育成・評価状況)
  • スキルマトリックス、取締役会・委員会構成
  • 取締役候補者の指名
  • 監査役候補者の確認
  • 取締役・執行役員などの選解任などの重要人事
  • 非執行取締役(会長)の評価、役位および委嘱内容の見直し
  • 執行役員のパフォーマンス結果の確認
  • 取締役・執行役員などの兼職・副業の確認
[個別項目]
  • 取締役・執行役員のインセンティブ制度設計
  • 執行役員の委任契約化
報酬委員会
(計9回開催)
[定例項目]
  • 年間運営方針・アジェンダ
  • CEO・非執行取締役(会長)・その他取締役の個別報酬額
  • 取締役・執行役員などの報酬ポリシー(ピアグループ、報酬サーベイ報告の確認を含む)
  • 取締役の賞与支給(定時株主総会への付議内容)
[個別項目]
  • 取締役の報酬額改定(定時株主総会への付議内容)
  • 取締役・執行役員のインセンティブ制度設計

監査役会

監査役は、株主の皆様の負託を受けた独立の機関であり、監査役および監査役会は、その独立性および各監査役による独任制、社外監査役が半数以上であるといった監査役制度・体制の利点を活かし、取締役会と協働して会社の監督機能の一翼を担っています。また、取締役の職務の執行を監査するほか、リコーの会計監査人、および内部監査部門と連携し、リコー各組織・⼦会社監査を通じて、社会的信頼に応える良質な企業統治体制を確立する責務を果たしています。

リコーの監査役は5名で、社内の事情に通じた社内監査役2名(常勤)と、リコーの定める独立役員の要件を満たす社外監査役3名としており、過半数が独立社外監査役です。また、監査役会として必要な知識・経験・専門能力をバランスよく確保して、監査役会を構成することとしており、各監査役の専門分野における豊富な経験と幅広い見識、および独立した客観的な視点で深い議論が行える体制を構築しています。

監査役および監査役会の活動状況については、監査実績説明書をご参照ください。

その他の主な会議体等

取締役検討会

取締役会における会社の重要なテーマ(経営計画など)の決議に向けて、取締役と監査役が事前に十分な議論を尽くすための機会として開催しています。

ガバナンス検討会

リコーグループのガバナンスの方向性や課題について、取締役と監査役などが包括的な議論を行う場として開催しています。実施した検討会の概要はコーポレート・ガバナンスに関する報告書などで開示しています。

社外役員会議

独立した客観的な立場に基づく情報交換・認識共有を図り、取締役会における議論に積極的に貢献するとの観点から、社外役員間、または社外取締役と監査役などとの間で情報共有・意見交換を図る場として開催しています。

取締役選任の考え方

取締役の選任基準

[経営能力]

(経営機能の適切な遂行にあたっての高い洞察力および判断力)

1.事業・機能の広い領域に識見を持ち、全社的・長期的視点に⽴って適切に思考し、判断する能力を有すること

2.本質を見極め、課題を明らかにする洞察力を有すること

3.グローバルに発想し、グローバルに最適な判断を行うことができること

4.判断力・洞察力の基点として幅広い経験を有し、企業価値および競争力の飛躍的向上につながる高い実績をあげていること

5.コーポレート・ガバナンスのあり方をしっかり認識した上で、株主および顧客をはじめとする多様なステークホルダーの視点に⽴って、適切に思考し判断を行うことができること

[⼈格・⼈間性]

(監督機能の円滑な遂行にあたっての取締役相互および経営執行との良好な信頼関係)

1.高潔(誠実かつ高い道徳観・倫理観を有する)であり、法令および社内ルールの厳格な遵守はもとより、高い道徳観、倫理観に基づくフェアで誠実な判断・行動を率先していること

2.人間尊重の精神に⽴って、他者に対し敬意と信頼を持って接するとともに、多様な価値観や考え方を深く理解・受容し、個々の人格と個性を尊重した判断・言動・行動を率先していること

社外取締役の選任基準

社外取締役の選任基準は、社内取締役と同じ上記の基準に加え、異分野に関する専門性、問題の発見、および解決能力、洞察力、戦略的思考能力、リスク管理能力、指導力などに優れていること、さらに、リコー所定の「社外役員の独⽴性基準」に照らしあわせ、独⽴性に問題がないことを付加的な基準としています。

ダイバーシティについて

取締役の選任にあたっては経営能力や人格・人間性などのほかに、多様な視点や経験、さらに多様かつ高度なスキルを持った取締役で構成されることが必要であると考えています。

加えて、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、それぞれの人格および識見に基づいて候補者を選定し、これらの属性に関する多様性を確保することを方針としています。

リコーグループは現在事業構造の変⾰を通した企業価値の向上を⽬指しており、取締役会はその実現に向け多様かつ多⾯的なスキル、経験などを有している人材により構成されています。今後も、リコーを取り巻く環境変化や事業戦略の進展などにあわせて、必要なダイバーシティのあり⽅について継続的に議論を⾏い、女性や外国籍、年齢など、多様な視点を意識した取締役の候補者選定や、若⼿幹部の育成や重要ポストへの任命などを継続し、最適な⼈材を登⽤した体制を構築していきます。

取締役の選任プロセス

取締役候補者

指名委員会における数回の審議を経て厳選な審査を行い、指名する根拠を明確にした上で取締役会へ答申しています。

指名委員会から取締役会を経て取締役候補を決定するプロセス図。指名委員会は取締役の役割・責務を果たすために必要不可欠となる経営能力や人格・人間性を基本要件とし、当社の取締役として求められる資質・経験・スキル・多様性などを多面的に審査。 取締役会の構成や取締役に求められる専門性・経歴(スキルマトリックス)などについて継続的に審議。取締役会は、指名委員会からの答申を踏まえ株主視点で審議を行い、株主総会へ付議する取締役候補者を決定。

CEO評価とサクセッションプラン

リコーグループが中長期にわたり、継続的に株主価値・企業価値を高め、社会の構成員としてその社会的責任を果たし永続していくための重要な取り組みとして、CEOサクセッションプランを位置付けています。

コーポレート・ガバナンスの強化の観点から、客観性、適時性、透明性の高い手続きによるCEOサクセッションプランの構築を目指しています。

1.CEO評価

CEO評価プロセスを示す図。取締役会と指名委員会による一次評価・二次評価の流れ。一次評価: CEOの職務継続の妥当性について慎重かつ適正に審議することで、選解任の適時性を確保。二次評価: 実績を多面的に評価し、課題などを明確にして、本人へ評価結果のフィードバックを行うことにより、経営の質的向上を図る
  • CEOの評価は取締役会から諮問を受けた指名委員会が毎年実施しており、二段階による評価を行っています。なお、CEOの評価にあたっては、執行役員を兼務する取締役と同様、「取締役としての経営監督の遂行状況」「業績・資本収益性・その他の主要経営指標など財務の視点」、ならびに「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」に基づく評価に加え、「将来財務の視点」に基づく評価を組み合わせることで、CEOとしての総合的な経営監督ならびに業務執行能力の評価を行っています。
  • 指名委員会での評価に関する審議の結果は、取締役会に報告され、CEOに対する実効性の高い監督を行うこととしています。
CEO評価の主な項目
評価の視点 カテゴリー 評価項目(代表的なもの) 評価項目の詳細の一例
経営監督の遂行 資質・能力 株主価値・企業価値の最大化に向けた行動、執行監督と取締役間での相互牽制の姿勢、リスクマネジメント、会社経営に必要な見識
財務指標 業績 連結業績推移 売上高、営業利益、当期利益、ROE、ROIC、FCF
年度事業計画の状況 ビジネスユニット別、地域別、主要施策
中期経営戦略に対する実績 財務、主要施策、資本収益性
その他 資産効率性、生産性、他社比較水準など
資本市場・株主指標 資本市場 株式指標推移 株価、時価総額、PBR、PER、EPS
格付け S&P、R&I
株主 TSR・株主還元 単年・経年TSR、配当
将来財務指標(ESG) 環境 環境パフォーマンス実績 CO2排出量削減、製品省資源化、用水量・排出物削減、汚染予防、環境社会貢献
社員 人材の育成・活躍 デジタル人材育成、女性管理職比率、リコー式ジョブ型人事制度の定着
グローバル社員意識調査 社員エンゲージメント
処遇 社員の給与・賞与、昇給率、初任給
安全・健康 労災件数、感染症対策、メンタルヘルスへの取り組み
顧客 顧客重大事故 重大な製品・情報セキュリティ事故
顧客満足度調査 製品・サービスに関する第三者調査結果
ガバナンス ガバナンスの適正化・強化 ガバナンス制度改革・体制強化
コンプライアンス 法令違反件数、インシデント報告件数

CEOの評価にあたっては、「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」の基準の1つとしてTSRを採用していますが、突発的な株価変動の影響を避けるため年度平均株価により算出したTSR(下表参照)を使用しています。

保有期間 1年 2年 3年 4年 5年 6年
リコー(配当込み) 132.0% 155.6% 148.4% 215.6% 166.5% 162.5%
TOPIX(配当込み) 118.8% 147.9% 149.7% 178.5% 192.1% 187.1%
  • TSRの保有期間は2025年3⽉末⽇を基準としています
  • TSRについては、期初・期末当⽇の株価の影響を平準化する目的で、年間の⽇次の配当込み株価の平均を用いて算出しています

2.CEO候補者の選定・育成・評価  

<指名委員会および取締役会の位置づけ>

年に1回、CEOは将来のCEO候補者案を作成するとともに、それらのCEO候補者に対する育成計画を策定し、指名委員会でCEO候補者案および育成計画について説明を行っています。

指名委員会は、CEO候補者案ならびに育成計画の妥当性を審議するとともに、CEOに対して育成に関する助言を行い、適時その結果を取締役会に報告しています。取締役会は、指名委員会からの報告を受けて候補者選定および育成計画の妥当性を確認するなど、CEO候補者の選定・育成に主体的に関与しています。

<候補者の選定>

CEO候補者の選定にあたっては、交代時期を想定し以下のタームごとの候補者を選定しています。なお、事故あるときの交代候補者1名は、CEOの選定と同時に取締役会の決議により決定しています。

ターム 選定人数
事故あるときの交代候補者 1名
次期交代候補者 数名程度
次々期交代候補者 数名程度

<候補者の育成>

CEOは、将来のCEO候補者の育成計画についての指名委員会での審議・助言を踏まえて、次年度、CEO候補者それぞれの課題に応じた当人の成長に必要なチャレンジの場を付与し、実績を積ませるとともに、CEO候補者のアセスメントを踏まえ当人の成長に必要な助言などを実施しています。

<候補者の評価>

CEO候補者の評価は毎年実施し、CEOはCEO候補者の育成期間における実績および育成状況について指名委員会へ報告を行っています。指名委員会は、CEO候補者の継続・交代などについて審議を行うとともに、必要に応じて、外部専門家の助言なども活用しながら、CEO候補者の評価を実施し、適時その結果を取締役会に報告しています。取締役会は、指名委員会からの報告を受けてCEO候補者の評価および継続・交代における審議の妥当性を確認するなど、CEO候補者の評価プロセスに主体的に関与しています。

監査役選任の考え方

監査役の選任基準

監査役会は、監査役としての職務の遂行を通じて、リコーの健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に貢献できる人材であることに加え、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されることなど、監査役会としての知識、経験、専門能力のバランスを考慮して、監査役候補者を選定します。

なお、監査役候補者の選定にあたって、監査役会は以下の基準を定め、これらを総合的に判断しています。

監査能力

1.適切な経験、能力および必要な財務・会計、法務、企業経営等に関する知識を有していること

2.職業的懐疑心をもち、真摯な態度で事実を正しく調査し、客観的に物事の判断ができること

3.自らの信念に基づいて使命感と勇気をもって、取締役または従業員に対し能動的・積極的な助言・提言ができること

4.株主の立場で考え、行動し、現場・現物・現実から学ぶ姿勢に基づいた監査ができること

素養・人間性

1.心身ともに健康であり、監査役の任期4年を全うできること

2.常に向上心をもち、新たなことに対する学習意欲をもっていること

3.各地域のマネジメントと英語によるコミュニケーションができること

社外監査役の選任基準

社外監査役候補者の選定に際しては、上記の基準に加え、リコー所定の「社外役員の独立性基準」と照らし合わせ、会社との関係、代表取締役その他の取締役および主要な従業員との関係などを勘案して、独立性に問題がないことを付加的な基準とし、あわせて取締役会および監査役会等への出席可能性を検討するものとしています。

ダイバーシティについて

監査役の選任にあたっては、上記の監査能力や素養・人間性などの他に、多様な経験や視点をもった監査役で構成されることが必要であると考えています。

加えて、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、それぞれの人格および識見に基づいて候補者を選定することで、これらの属性に関する多様性を確保することを方針としています。

監査役の選任プロセス

監査役候補の選定にあたっては、監査役の独立性確保を重視し、「候補者の推薦」「候補者の指名・提案」を監査役会主導で行っています。取締役会では、監査役会の提案を踏まえ、株主総会への監査役選任議案が決議されています。

監査の選任プロセス。監査役 候補者のリストアップ → 監査役会 候補者の推薦(CEOとの協議) → 指名委員会 協議内容の共有と推薦理由の確認 → 監査役会 候補者の指名・提案 → 取締役会 候補者の決定 → 株主総会 監査役の選任。

取締役・監査役の報酬等に係る事項

1.役員の報酬等に関する考え方

リコーは、リコーグループの業績向上と中長期にわたって持続的な株主価値の増大を実現することに対する有効なインセンティブとして、役員報酬を位置付けています。また、コーポレート・ガバナンス強化の視点から、報酬水準の設定や個別報酬の決定について、客観性・透明性・妥当性の確保を図るための取り組みを行っており、以下の基本方針に基づいて報酬を決定しています。

報酬構成
  • 執行役員を兼務する社内取締役の報酬は、「期待される役割・責任を反映する基本報酬」「会社業績を反映する賞与(業績連動型株式報酬)」「中長期的な株主価値向上を反映する報酬」の3つの要素で構成する
  • 執行役員を兼務しない社内取締役の報酬は、常勤取締役として会社の実情に精通した上で業務執行の監督を担う役割を踏まえて、基本報酬と賞与および株式報酬で構成する*
  • 経営の監督を担う社外取締役および監査を担う監査役の報酬は、公正な監督や監査に専念するため、基本報酬のみとすることで業務執行からの独立性を確保する
ガバナンス
  • 適切な外部ベンチマークおよび報酬委員会による継続的な審議・モニタリングにより、報酬制度設計、報酬水準設定および個別報酬決定の客観性・透明性・妥当性を確保する
  • 取締役の個別の報酬額は、指名委員会における取締役評価の結果などを踏まえて、報酬委員会および取締役会で妥当性を審議する
  • 次年度の執行役員を兼務しない社内取締役(会長)の報酬は、会長の役位・委嘱内容の見直しに伴い、基本報酬と株式報酬にて構成予定

2.取締役の報酬等

(1)取締役の個⼈別の報酬等の内容についての決定に関する方針の決定方法

当該方針は、取締役会の諮問機関である報酬委員会において審議を行い、取締役会へ答申し、これを踏まえ取締役会で決定しています。

(2)取締役の個⼈別の報酬等の内容についての決定に関する方針ならびに2024年度に係る業績連動報酬等および非⾦銭報酬等に関する事項

1)報酬の決定プロセス

リコーは、インセンティブ付与を通じた収益拡大と企業価値向上およびコーポレート・ガバナンス強化に向け、より客観的で透明性のある報酬の検討プロセスを構築するために、報酬委員会を設置しています。報酬委員会は、取締役の報酬基準および業績に基づき、また、指名委員会における取締役の評価結果などを踏まえ、複数回にわたる審議を経た上で、基本報酬・賞与・株式取得目的報酬・業績連動型株式報酬に関する各々の報酬案を決定し、取締役会へ答申します。

取締役会は、報酬委員会から答申のあった各報酬議案について、審議・決定を行います。賞与については、取締役賞与フォーミュラに基づく個人別賞与額が適切であることを確認の上、賞与支給総額ならびに株主総会への取締役賞与支給議案および付議の要否を決定します。株主総会で取締役賞与支給議案が決議された後、取締役会で決定された個人別賞与額が支払われます。

2)報酬水準の決定方針

基本報酬、短期・中長期インセンティブいずれについても、企業業績との適切な連動性確保の観点から、毎年の報酬委員会でリコーの業績に対して狙いとする水準を報酬区分ごとに確保できているかを判定しています。その際に、外部専門機関の調査結果に基づくピアグループの役員の報酬水準を目安とし、短期・中長期インセンティブについては、リコーの業績に応じて支給率が変動するように設定しています。

3)取締役の報酬

報酬区分 報酬名称 社内取締役 社外取締役 備考
固定 基本報酬 役割・責任に応じた報酬
変動(短期) 業績連動型賞与 業績目標の達成に連動
変動(中長期) 株式取得目的報酬 役員持株会を通じて支給全額を当社株式の取得に充当
業績連動型株式報酬 中長期的な株主価値・企業価値向上へのインセンティブ
① 基本報酬

取締役に期待される役割・責任を反映する報酬として、在任中に支払う金銭報酬です。株主総会で決定された報酬総額の範囲内で支給額を決定し、2024年度の支給総額は2億8,320万円になります。

なお、2025年6月24日開催の第125回定時株主総会の決議により、基本報酬の限度額は、年額5億5,200万円以内(うち社外取締役分年額1億4,400万円)となっています。

報酬構成 報酬水準の主な設定方法
社内取締役 「経営監督の役割に対する報酬」「経営責任や役割の重さを反映する報酬」を軸とし、「代表取締役や指名委員や報酬委員などの役割給」を加算
  • 執行役員を兼務する取締役の経営責任や役割の重さは、外部専門機関の職務グレードフレームワークを参考にして設定
  • 執行役員を兼務しない取締役の報酬は常勤としての会社の実情に精通した上で業務執行の監督を担う役割を踏まえて設定
社外取締役 「経営監督の役割に対する報酬」「経営への助言に対する報酬」を軸とし、「取締役会議長・指名委員長・報酬委員長などの役割給」を加算
  • 外部専門機関の客観的なデータを参照した上で設定
② 業績連動型賞与(短期)

業績連動型賞与は対象事業年度の会社業績と株主価値向上を反映する報酬として、事業年度終了後に支払う⾦銭報酬となり、2024年度は以下を評価指標として設定しています。

評価指標 設定理由
連結営業利益の目標達成率 時価総額と相関を有し、かつ事業活動による成果を示す営業利益を評価指標とすることで、取締役が利益成長と収益性向上に責任をもつことを明確にする
ROEの目標達成率 資本収益性向上の重要指標であるROEを評価指標に設定することにより、取締役が株主価値向上に責任をもつことを明確にする
DJSIの年次Rating 全社的なESGの取り組みの確認ツールとして活用しているDJSIの年次Ratingを評価指標とすることで、ESG向上へのインセンティブとする

また、報酬委員会においては、下記取締役賞与フォーミュラにより算出された結果に基づき、指名委員会における取締役評価の結果なども含めて、個別賞与支給額の妥当性を審議の上、取締役会に答申し、取締役会は、これを踏まえ、株主総会への取締役賞与支給議案付議の要否を決定しています。

2024年度の賞与については、報酬委員会の審議において取締役賞与フォーミュラにより算出された結果が適切であると判断され、支給総額は7,186万円になります。

(ご参考)取締役の賞与フォーミュラ
取締役の個人賞与額算定式。算定基礎として年間基本報酬の一定%を基に、営業利益係数と資本収益性係数を考慮し、さらにESG係数を掛けて決定。営業利益係数は連結営業利益の目標達成率に応じ0.5から2.0、資本収益性係数はROEの達成率に応じ0.5から2.0、ESG係数はDJSI RatingによりWorld1.05、AP1.00、組入なし0.95を乗算。
各評価指標の目標値と実績値(2024年度)
評価指標 目標値* 実績値 係数
連結営業利益の目標達成率 700億円 638億円 0.78
ROEの目標達成率 4.6% 4.4% 0.96
DJSIの年次Rating World World 1.05
  • 目標値:2024年度5月7日公表の、2023年度通期決算説明における2024年度の見通しの数値
③ 株主価値向上を反映する報酬(中長期)

株主価値向上を反映する報酬は、中長期的な企業価値向上へのコミットメントを強化する目的として、「株式取得目的報酬」と「業績連動型株式報酬」で構成されます。

(ご参考)業績連動型株式報酬における権利付与から株式交付までのイメージ(2024年度)
業績連動型株式報酬における権利付与から株式交付までのイメージ
  • X年度分の付与ポイントは、X年度とその後2事業年度(X+1年、X+2年)の期間を含めた3事業年度分の業績評価対象期間で評価され、業績評価対象期間(3事業年度分)が終了した3年後(X+3年)にX年度の単年度分の付与ポイント数が確定し、株式交付されます。同様に、X+1年度分の付与ポイントも、X+1年度とその後2事業年度(X+2年、X+3年)の期間を含めた3事業年度分の業績評価対象期間で評価され、業績評価対象期間(3事業年度分)が終了した3年後(X+4年)にX+1年度の単年度分の付与ポイント数が確定し、株式交付されます。
(ご参考)取締役の業績連動型株式報酬のフォーミュラ
取締役の業績連動型株式報酬算定式。職務グレード別の株式報酬基準額を基に基準株価で換算したうえで、TSR対TOPIX40%、TSR対ピアグループ40%、ESG目標20%を考慮して決定。TSR対TOPIXは成長率の対比に応じて支給率0から200%、TSR対ピアグループは順位に応じて支給率0から200%、ESG目標は当社目標の達成項目数に応じて支給率0から200%。

(3)取締役の固定報酬と変動報酬の支給割合の決定に関する方針

役割・責任ごとの業績に対する責任を明確にするため、固定報酬(基本報酬)と変動報酬(業績連動型賞与、株式取得目的報酬、業績連動型株式報酬)の支給割合は、経営責任の重い者ほど変動報酬の割合が増える設計としています。今後も中長期的な株主価値・企業価値の向上を重視し、株主価値や業績に連動した変動報酬の割合を一層高めていく方針で、報酬区分ごとの適切な報酬額の検討を継続審議していきます。

3.監査役の報酬等

監査役の報酬は、適切に監査を⾏う役割に対する基本報酬のみで構成されています。各監査役の報酬については、外部専⾨機関による報酬⽔準の客観的なデータを踏まえて、あらかじめ株主総会で決議された監査役報酬枠の範囲内で、監査役の協議により決定しています。

なお、2025年6月24日開催の第125回定時株主総会の決議により、基本報酬の限度額は、年額1億5,000万円以内(決議がなされた時点における対象者数:5名)となっています。

2024年度 取締役会の実効性評価結果の概要

リコーは、2024年度(2024年4月から2025年3月まで)に開催された取締役会の実効性評価会を2025年5月14日に実施しました。結果の概要は以下のとおりです。

1.2024年度 取締役会の実効性評価にあたって

評価については、取締役会の実効性に留まらず、指名・報酬委員会および取締役会における執行の対応も対象としました。また、2024年度より、新たに取締役・監査役へのインタビューを行い、その結果を実効性評価会の審議に反映しました。具体的な評価プロセスは、以下のとおりです。

【2024年度の評価プロセス】

1)自由記述形式の評価

全ての取締役・監査役による自由記述形式の評価を実施しました。設問については、監督に対する視点と、執行に対する視点の両面から評価を行う内容としました。具体的な項目は以下のとおりです。

① 監督・監査を担う立場として、取締役会における審議・意思決定・モニタリングなどにおける、実績、評価、また今後に向けた課題など

② 執行(上程)側の対応に関して、2024年度において改善された点、また今後に向けた課題など

2)第三者によるアンケート・評価

実効性評価の客観性の確保に加え、評価結果の経年変化や、他社との比較結果を把握するため、第三者によるアンケートと評価を実施しました。

設問数:40問

質問の対象分野:12分野(取締役会の構成・運営・議論、取締役のパフォーマンス、支援体制、トレーニング、株主との対話、指名委員会・報酬委員会の運営など)

3)自由記述形式の評価内容をもとにしたインタビュー

実効性評価会をより実質的な議論の場とするために、取締役会事務局による各取締役・監査役への個別インタビューを行い、評価や課題認識に関する深掘りを行いました。

対象者:取締役・監査役

形式:個別実施(30~40分/人)

4)実効性評価会の開催

2024年度の基本方針や対応項目*に対する取締役会の取り組みを振り返るとともに、主に「取締役会構成」「指名/報酬委員会の実効性」「戦略の評価・検証」「経営・組織体制」「企業価値向上の施策」「事業計画のモニタリング」などの論点を踏まえ、実効性向上に向けた評価と課題について認識を共有し、議論を行いました。

5)2025年度の取締役会の方針・審議計画の決定

実効性評価会で行った議論を踏まえ、評価の結果、ならびに2025年度の取締役会の基本方針と対応項目、取締役会で重点的に議論・決議する議案や、継続して報告・フォローする議案の年間計画を審議・決定しました。

  • 2024年度の取締役会の基本方針・対応項目
  • <2024年度の基本方針>
    1) 企業価値向上のための施策の実行と成果の創出に向けた監督を行う
    2) ステークホルダーの期待に応えうる会社の将来像をより鮮明化するための審議の充実と支援を行う
    <2024年度の対応項目>
    ① 2023年度に審議を重ねた企業価値向上に向けた諸施策の執行を重要課題と位置づけ、2024年度事業計画の進捗とあわせてモニタリングと支援を行う
    ② ステークホルダーからの成長期待を獲得しうる会社の将来像をより鮮明化するための議論を深めるとともに、その実現に向けた施策の策定および実行を監督・支援する
    ③ 事業構造の転換を加速するための、人財をはじめとする経営資本の充実、および組織体制の最適化、リスク管理体制などに関する点検を行い、継続的な整備・改善を促す

2. 2024年度「取締役会実効性評価」の結果概要

2-1.取締役会の運営実績

2024年度は、企業価値向上に向けた諸施策の実行に関するモニタリングと支援に多くの時間をかけ、株主や社員などステークホルダーの視点から助言・指摘を行い、必要に応じて施策の軌道修正を促すなど、着実に成果が創出できるよう、取締役会の運営に努めました。また、会社の将来像をより鮮明化するため、デジタルサービスの会社としての事業構造や収益構造などについて、合宿形式で終日議論を行うなど、審議の充実を図りました。

さらに、社外取締役・社外監査役による現場視察や現地の社員とのラウンドテーブル、経営会議へのオブザーブ参加などによる会社の実態把握を継続的に実施したことに加え、書面報告や事前説明の有効活用による取締役・監査役への情報共有の充実を図ることで、取締役会における議論の質の向上と実効的な監督機能の発揮に努めました。

取締役会における審議状況の透明性の確保を目的として、2024年度取締役会の議案に関する時間配分を以下のとおり示します。

決議/報告議案の時間配分
2023年度は報告議案35.3%、決議議案64.7%。2024年度は報告議案34.2%、決議議案65.8%。
議案カテゴリー別の時間配分
2023年度は中長期議案(企業価値向上プロジェクトなど)38.2%、決算・業績報告28.0%、ESG関連25.3%、その他8.5%。2024年度は中長期議案43.9%、決算・業績報告22.5%、ESG関連22.3%、その他11.3%。
  • *1
    決議議案:取締役会での決議議案に加え、決議に向けた審議を行う取締役検討会およびガバナンス検討会を含む
  • *2
    その他;会社法上の規定などに則った決議・人事案件・その他個別案件など
2-2.総括

取締役・監査役による自由記述形式の評価、第三者による評価、および個別インタビューの内容をもとに、取締役会のメンバーで討議した結果の総括は以下のとおりです。

  • 多様な経験や専門性を有する社外取締役を過半とするリコー取締役会の構成は適切であり、社外取締役の議長による適切な議題設定と中立的な議事運営のもと、多面的な視点から自由闊達な議論を通じて監督と意思決定がなされ、また、執行も取締役会で深い議論ができるよう適時適切な報告を行うとともに、審議結果を経営に反映するよう努めており、引き続き取締役会の実効性は確保されている、との結論に至りました。
  • 指名委員会では、CEOを含む執行体制の評価と経営改善に向けたフィードバックが厳正に行われ、報酬委員会では、企業価値向上に向けたインセンティブ制度のあり方に関する審議を重ねました。両委員会ともに、社外取締役が委員長かつ過半数の構成において、各委員の専門性や知見をもとに充実した審議が行われ、取締役会の諮問機関として有効に機能している、と評価されました。
  • 一方で、企業価値向上に向けた施策が着実に実行され、株主との対話も充実し、株式市場では一定の評価を得ているものの、21次中経の最終年度の見通しは、当初の期待に応えられる水準ではなく、収益性をさらに高める必要があり、そのためには、21次中経の振り返りと検証を行った上で、次期経営戦略の策定を進めることが重要であるとの指摘がありました。
  • 加えて、経営環境の不確実性が高まる中、次期経営戦略では確実に資本収益性を向上し、企業価値向上につながる経営戦略の立案、戦略を実現するための経営・組織体制、資源配分、経営資本の強化を行っていく必要があるとの指摘がありました。

<2024年度の対応項目①②>について

  • 構造改革をはじめ、企業価値向上プロジェクトの諸施策の展開にあたり、株主をはじめとするステークホルダーの視点から時間をかけて活発な審議を行い、非執行取締役を中心とした助言・指摘を通じて軌道修正を促しながら、適切かつ着実な実行を支援したとの評価がされました。
  • 取締役検討会など自由討議の場を設けて、リコーの事業構造・収益構造の現状と課題、目指す姿に関して集中的に議論を行い、将来像の具体化に向けた戦略・施策の策定を監督・支援した点が評価されました。
  • 一方で、不確実性が高まる経営環境下において、2025年度の事業計画の達成に向けた支援・モニタリングを強化するために、課題を構造的に捉えた上で議論のさらなる高度化を図るとともに、事業環境の変化に備え、複雑化、高度化するリスクに対して臨機に対応するべきであるとの指摘がありました。
  • また、企業価値向上に向けた施策を的確かつ迅速に実行し、ステークホルダーからの成長期待に応えることが重要であるとの認識が共有されました。加えて、21次中経を振り返り、必要に応じた戦略のアップデートを行うとともに、その実現の源泉となる体制や経営諸資本に関する議論を充実させる必要があるとの指摘がありました。

<2024年度の対応項目③>について

  • グローバル市場での事業展開を進める中、リスク管理体制の点検と見直しが実施され、特にサイバーセキュリティや地政学リスクへの対応強化の重要性について議論された点が評価されました。
  • 一方で、事業構造・収益構造の転換に適した組織体制や本社機能のあり方、グローバルでのリスク管理、内部監査・内部統制の継続的な実効性向上などの観点から、モニタリングと改善に向けた議論の充実が重要であるとの指摘がありました。

3.2025年度 取締役会 実効性向上に向けた取り組み

上記の評価を踏まえ、取締役会は、以下の〈基本方針〉にもとづいて運営し、3つの具体的な〈対応項目〉を軸として取締役会の実効性向上に取り組みます。

<2025年度の基本方針>

1) 第21次中期経営戦略の最終年度として、監督とともに適切に執行と連携を図り、計画達成に向けたスピードのある実行を後押しする

2) 次期経営計画の策定にあたり、持続的な企業価値向上に向けた事業成長と資本収益性を実現する経営戦略の審議の充実を図る

<2025年度の対応項目>

① 不確実性が高まる経営環境下において、事業環境の変化に応じた迅速かつ的確な施策・オペレーションのモニタリングを行うとともに、グローバルの動向を注視し、プロアクティブな提言や働きかけを行う

② 第21次中期経営戦略を検証のうえ、会社の将来像を見据えた戦略の策定と、その実現のための経営・組織体制、資源配分、人財をはじめとする経営資本に関する議論の充実を図る

③ 事業構造の転換に向けたリスクテイクを支えるため、複雑化・高度化するリスクに対応できる体制やプロセスへの継続的な整備を促す

株主との建設的な対話に関する方針

リコーは、株主と積極的かつ建設的な対話を行い、その対話を通して得られた意見を企業活動に反映させるサイクルを通じ、相互理解による信頼関係の醸成を行います。また、そのサイクルに基づく企業活動を通じて、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供し続けることで、人々の生活の質の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献し、長期的な企業価値の向上に努めます。

株主との対話の責任者 社長執行役員・CEO
対話の主体 IR・SR専任部署のほか、対話の目的や株式保有数に応じて、社長執行役員・CEO、CFO、CTO、CHRO、ESG担当役員、各ビジネスユニットプレジデント、社外を含めた取締役/監査役が行います
主な対話の機会 中長期戦略説明会・決算説明会・事業説明会などのラージミーティング・スモールミーティング、1on1による個別対話を実施しています。また、外部主催のIRイベント・カンファレンスでの説明会も適宜行っています
経営層へのフィードバック ① 四半期決算や中長期戦略説明会などのラージミーティング実施後には、株主・投資家の皆様との対話内容やアナリストレポートなどを踏まえ、資本市場の反応を報告しています
② マネジメントおよびIR・SR専任部署による対話や、パーセプションスタディ調査など資本市場との対話から得られた当社に対する見解を、経営層および執行部門と共有し、CEO・CFOが中心となって、より建設的な対話につながる開⽰の改善に取り組んでいます
③ 主にマネジメントが対話した際のご意見などは、株主・投資家の皆様の意図を明確に相違なく経営層へフィードバックする観点から、内容について基本的に変更することなく報告しています
インサイダー情報について インサイダー情報取り扱いに関する内規を遵守し、個別株主との対話ではインサイダー情報の開⽰は行いません。なお、インサイダー情報漏洩を防止し情報開⽰の公平性を保つため、決算期末日の翌日から決算発表日までを沈黙期間とします

2024年度の対話実績

2024年度の情報発信、対話実績は以下のとおりです。

ラージミーティング 4回(決算説明会 4回)
スモールミーティング 4回(マネジメント* 4回)
1on1ミーティング 258件(マネジメント* 51件 [IR 19件/ SR 32件 ]/ IR・SR専任部署 205件/ ESG推進部門 2件)
  • マネジメント:CEO・CFO・CHRO

政策保有株式に関する方針

リコーグループは、業務提携や、協働ビジネス展開などの円滑化および強化の観点から、配当などのリターンも勘案しつつ、今後のリコーグループの発展に必要かつ有効と認められる場合に限り、関連するパートナーの株式などを保有することができるものとします。

具体的には、毎年取締役会において個別銘柄ごとに保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかなどを検証し、中長期的に保有の意義が認められなくなったと判断される銘柄については縮減を図るものとします。

政策保有株式の議決権行使の基準

政策保有株式の議決権行使に際しては、提案されている議案ごとに、当該企業の中長期的な企業価値の向上を図るものか、株主価値の毀損につながらないかを精査した上で、賛否を判断し、議決権を行使します。

政策保有株式の保有状況
政策保有株式の保有状況を示すグラフ。2020年3月末から2025年3月末にかけて、保有銘柄数は60社から45社に減少傾向。貸借対照表計上額は100億円前後で推移し、2025年3月末は119億円。なお、純資産に占める割合は1.2%となっている。

役員一覧 2025年6月24日現在
(所有株式数は、2025年3月31日時点のものです)

取締役会

山下 良則

取締役、会長

指名委員

1957年8月22日生
1980年入社
所有株式数* 170,298株


主な経歴

Ricoh Electronics, Inc. 社長、株式会社リコー 代表取締役CEO、CHROなど

重要な兼職の状況

野村不動産ホールディングス株式会社 社外取締役、旭化成株式会社 社外取締役、株式会社クボタ 社外取締役

大山 晃

代表取締役、社長執行役員、CEO

1961年1月6日生
1986年入社
所有株式数* 102,593株


主な経歴

株式会社リコー 欧州販売事業本部 事業本部長、Ricoh Europe PLC CEO、リコージャパン株式会社 取締役会長など

重要な兼職の状況

川口 俊

取締役、コーポレート専務執行役員、CFO、財務統括部 部長、RICOH AMERICAS HOLDINGS, INC.会長 兼 社長

1963年1月29日生
1986年入社
所有株式数* 36,141株


主な経歴

株式会社リコー 経理法務本部 財務部 部長 兼 CEO室室長、リコーリース株式会社 取締役 専務執行役員など

重要な兼職の状況

横尾 敬介

取締役(社外)

取締役会議長
指名委員
報酬委員

1951年11月26日生
2020年6月 取締役就任
所有株式数 5,000株


重要な兼職の状況

ソナー・アドバイザーズ株式会社 取締役会長、株式会社産業革新投資機構 代表取締役社長 CEO、株式会社髙島屋 社外取締役

谷 定文

取締役(社外)

報酬委員長
指名委員

1954年9月15日生
2021年6月 取締役就任
所有株式数 7,300株


重要な兼職の状況

株式会社時事総合研究所 顧問·客員研究員

石村 和彦

取締役(社外)

筆頭社外取締役
指名委員
報酬委員

1954年9月18日生
2022年6月 取締役就任
所有株式数 200株


重要な兼職の状況

国立研究開発法人産業技術総合研究所 理事長 兼 最高執行責任者

石黒 成直

取締役(社外)

指名委員長
報酬委員

1957年10月30日生
2023年6月 取締役就任
所有株式数 1,400株


重要な兼職の状況

株式会社NTTデータグループ 社外取締役

武田 洋子

取締役(社外)

指名委員
報酬委員

1971年4月13日生
2023年6月 取締役就任
所有株式数 100株


重要な兼職の状況

株式会社三菱総合研究所 執行役員 兼 研究理事 シンクタンク部門長、ファナック株式会社 社外取締役

*潜在株式数(株式報酬制度における権利確定ポイント数に対応する株式数)を含む

監査役会

佐藤 愼二

監査役

1960年5月2日生
2017年入社
2021年6月 監査役就任
所有株式数 9,000株


主な経歴

株式会社リコー 経理法務本部 本部長、執行役員など

重要な兼職の状況

西宮 一雄

監査役

1960年8月22日生
1983年入社
2024年6月 監査役就任
所有株式数 17,900株


主な経歴

株式会社リコー 生産本部 本部長、コーポレート執行役員など

重要な兼職の状況

太田 洋

監査役(社外)

1967年10月3日生
2017年6月 監査役就任
所有株式数 0株


重要な兼職の状況

西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー、一般社団法人日本取締役協会 幹事、一般社団法人日本取締役協会 コーポレート・ガバナンス委員会 副委員長、公益財団法人ロッテ財団 評議員、日本化薬株式会社 社外取締役

鈴木 国正

監査役(社外)

1960年8月7日生
2024年6月 監査役就任
所有株式数 0株


重要な兼職の状況

株式会社JTB 社外取締役、半導体後工程自動化・標準化技術研究組合 理事長、Apollo Global Management, Inc. シニアアドバイザー

大塚 敏弘

監査役(社外)

1960年12月2日生
2024年6月 監査役就任
所有株式数 0株


重要な兼職の状況

株式会社みずほ銀行 社外取締役、監査等委員

スキルマトリックス

取締役会、監査役会の構成および各役員の専門性は、以下のとおりです。なお、以下の一覧表は各取締役・監査役の有するすべての知見・経験を表すものではなく代表的と思われるスキルを表したものです。

在任年数 指名委員会 報酬委員会 主要なスキル 特記すべき専門分野
企業経営 ガバナンス・リスクマネジメント 財務・会計・ファイナンス サステナビリティ 技術・デジタル
取締役
山下 良則 男性 非執行役員 13年 SCM、マーケティング
大山 晃 男性 4年 グローバルマーケティング
川口 俊 男性 2年 財務、ファイナンス、投資管理
横尾 敬介 議⻑
男性 社外 独立
5年 ファイナンス、投資管理
谷 定文 男性 社外 独立 4年
委員長
情報分析/発信/管理、経済/国際情勢
石村 和彦 筆頭社外取締役
男性 社外 独立
3年 技術経営、ESG経営
石黒 成直 男性 社外 独立 2年
委員長
グローバルビジネス、製造管理
武田 洋子 女性 社外 独立 2年 経済/金融分析
監査役
佐藤 愼二 男性 4年 経理、財務、内部統制
西宮 一雄 男性 1年 SCM、生産技術
太田 洋  男性 社外 独立 8年 企業法務
鈴木 国正 男性 社外 独立 1年 オブザーバー グローバル経営、デジタルビジネス
大塚 敏弘 男性 社外 独立 1年 オブザーバー 会計監査
  • 非執行取締役:当社において執行役員を兼務せず、日常の業務執行に関与しない社内取締役
  • 独立:東京証券取引所が定める独立役員

リスクマネジメント

リスクマネジメントの考え方

企業を取り巻く環境が複雑かつ多様化するなか、リコーグループでは「リスクマネジメント」を事業に関する社内外のさまざまな不確実性を適切に管理し、経営戦略や事業目的を遂行していく上で不可欠のものと位置付け、リコーグループすべての役員および従業員で取り組んでいます。

リスクマネジメントを具現化する方法として、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)の考え方をベースに全社目標に影響を与えるさまざまなリスク(脅威・機会)を適切にコントロールし、達成確度を維持・向上する仕組みを構築しています。具体的には、グループ全体のリスクを把握・評価した上で、リスクマネジメント推進計画を立て施策を実行し、モニタリングと改善を行いPDCAサイクルを回しています。

リスクマネジメントシステム

リリコーグループのリスクマネジメントシステムには、大きく2つの層があります。

1. GMCがリコーグループの経営において、重要度が高いと考える管理項目を主体的に選択し、管理する重点経営リスク

2. グループ本部またはビジネスユニットの各組織⻑の責任下で管理される、各々の担当領域における重要度の高いリスク(機能別組織リスク・ビジネスユニットリスク)

この2つの層により管理主体を明確にするとともに、リスクのレベルごとの機動的な意思決定と迅速な活動が可能となり、全体で1つのリスクマネジメントシステムを構成しています。また、環境変化に応じた影響度の変化によって、各層で扱うリスクの入替えなどを年に2回以上行います。

リスクマネジメント体制
経営が主体的に選択し管理する「重点経営リスク」と各事業執行組織が責任を持って管理する「機能別組織リスク・ビジネスユニットリスク」によって、全体で一つのリスクマネジメントシステムを構成する図
ERM推進に関わる主な役割
取締役会
  • リスクマネジメント原則を定め、経営者の職務の執行において、リスクマネジメントが有効かつ効率的に行われているかを監督
  • 重点経営リスクの対応状況(当年度の進捗状況、次年度の内容)やインシデント管理状況については、取締役会における定期報告のみならず、必要に応じて適宜報告を受け、指摘・アドバイスを行う
監査役会
  • リスクマネジメントに関する取締役の職務を監査
  • 経営者を含む執行部門におけるリスクマネジメントシステムの整備・運用状況を監視・検証
内部監査室
  • リスクマネジメントの妥当性と有効性について、独立した立場から客観的な保証とアドバイスを提供
経営者
(CEO・GMCメンバー)
  • リコーグループ全体のリスクマネジメント活動方針の決定
  • 全社リスクマネジメント活動の整備、運用状況/体制の定期的な評価・是正
  • 重点経営リスクを決定
リスクマネジメント委員会
  • リコーグループの経営において対応、重点化すべきリスクをGMCに提案
  • リスクマネジメントシステムの見直しによる実効性の高い仕組みづくり
  • 機能別組織・ビジネスユニットと連携し、リコーグループ全体のリスクマネジメント活動を強化
機能別組織・ビジネスユニット
  • 各組織における自律的なリスク管理体制の整備、リスクマネジメントの推進
  • 管掌⼦会社の活動情報の把握、必要な情報の共有

「重点経営リスク」の選定プロセス

GMCとリスクマネジメント委員会は、経営理念や事業⽬的などに照らし合わせ、経営に大きな影響を及ぼすリスク(利害関係者への影響含む)を網羅的に識別した上で、重点経営リスクを決定し、その対応活動に積極的に関与しています。

重点経営リスクの選定プロセス
当年度の10月から来年度の4月にかけて、次年度のリスク決定に関する流れの中でPDCAサイクルが回っていることと、当年度の活動報告の流れを説明する図

また、外部環境、内部環境の変化に加え、経営のリスクに対する見解を加味してリスクの特定と分類を行い、それぞれのリスクにおいて緊急度・影響度・リスクマネジメントレベルを検討し、リスクの評価を行っています。詳しくはウェブサイトの評価プロセスの図をご参照ください。

事業等のリスク

リコーグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況などに重要な影響があると経営者が認識し、株主・投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下の3つに分類し詳細をウェブサイトで開示しています

(1) リコーグループの経営上重要なリスク(重点経営リスク)

重点経営戦略リスク

① デジタルサービスの会社としての収益構造の移行

② デジタル技術の活用とデータ利活用の促進

③ デジタルサービスの会社としてのR&Dプロセスの確立

④ 情報セキュリティ対応強化

⑤ 人材の確保・育成・管理

⑥ ESG/SDGsの深化

⑦ 地政学リスクへの適切な対応

重点経営オペレーショナルリスク

① 製品の長期供給遅れ・停止

② 国内外の大規模な災害/事件事故

③ 役員・従業員に関わるコンプライアンスリスク

④ グループガバナンスに関するリスク

(2) 事業領域固有の重要なリスク(ビジネスユニットリスク)

(3) その他各機能領域のリスク(機能別組織リスク)

セキュリティ

情報セキュリティの取り組み

昨今、情報セキュリティに対するリスクは、さらに急増しています。サイバー攻撃の頻発、不正技術の多様化・高度化(ランサムウェアなど)、各国規制の強化・多様化 、地政学リスクの顕在化など、企業の対応範囲も拡大しています。

デジタルサービスの会社への変革を目指すリコーは、「セキュリティ」を企業価値の1つと位置付けています。これは、デジタルサービスにおける地政学リスクの軽減にとどまらず、既存事業の収益性をより盤石なものとするためでもあります。その一例として、2021年に独自の自然言語処理AIなどを活用して業務支援を図る新サービス「仕事のAI」シリーズを発売し、データビジネスに本格参入しました。

また、全社情報セキュリティに対する素早い経営判断と各国法規制への対応戦略を明確にし、セキュリティを企業価値向上につなげることを目的として「情報セキュリティ統括センター」を創設しました(2023年6月に「セキュリティ統括センター」に変更)。官民あげてのセキュリティ水準強化などの外部環境の変化を常に注視しながら、デジタルサービスの会社として柔軟に対応できるよう、継続的にセキュリティの取り組みを強化・改善し、それを実現するための情報セキュリティ体制を強化しています。

情報セキュリティの基本方針/基本ポリシー

継続的な企業価値の向上を図るとともに、お客様に安心・安全な製品・サービスを提供し、自社の事業基盤を守るため、情報セキュリティに関する方針・ポリシーを策定しています。

  • 商品・サービスの情報セキュリティ
  • リコーグループ情報セキュリティ基本方針
  • リコーグループデータプライバシーポリシー
  • リコーグループAI活用基本方針

情報セキュリティの体制/組織

リスクマネジメント項目のなかでも情報セキュリティは重点経営リスク管理項目の1つに位置付けられ、統括責任者が評価者として取り組み状況の確認を行っています。経営層・推進組織・事業部に所属するリコーグループの全員が継続的な情報セキュリティ強化に向けて取り組んでいます。

また、CEOの直轄に、グループ全体のセキュリティ戦略の立案・推進およびプライバシー保護戦略の立案・推進を担う「セキュリティ統括センター」を設置しています。

セキュリティ統括センターは、製品のセキュリティを担うプロダクトセキュリティ推進機能、事業全体の情報セキュリティを担うコーポレートセキュリティ推進機能、工場などの生産拠点のセキュリティを担うファクトリーセキュリティ推進機能をもち、各ビジネスユニットに設置されたセキュリティチームと連携しながら、グループ全体の活動の強化に取り組んでいます。

リコーグループの情報セキュリティ組織体制図
セキュリティ統括センターの組織図

セキュリティ強化に向けた具体的な取り組み

プロダクトセキュリティ

リコーグループの「製品・サービス」は、セキュリティを企画・設計段階から確保するセキュリティ・バイ・デザインの実践を国際標準ISO/IEC*1 27034-1に基づき取り組んでいます。脆弱性対策については、国際基準ISO/IEC29147/30111に基づき脆弱性への早期対応を図り、サイバー攻撃リスクに対する注意喚起、脆弱性報告の受付窓口の設置、脆弱性対策情報を提供しています。 さらには、各国で強化が進んでいる法規制対応を進めています。

  • *1
    ISO/IEC(International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission):国際標準化機構/国際電気標準会議

コーポレートセキュリティ

サイバーセキュリティ対策をグローバルで推進しています。2013年度よりRICOH-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を組織し、SOC (Security Operation Center)からのインシデント報告、社外CSIRT組織からの情報、セキュリティ情報サイトからの情報をもとに脅威を分析し、迅速かつ最適な対応を主導しています。リコーグループの保有するITシステムを常時監視することで、外部からの不正侵入、内部からの不正利用をいち早く検知し、インシデントの早期対応を実現しています。

ファクトリーセキュリティ

工場ネットワークOT(Operational Technology)を対象とするセキュリティ強化を推進しています。各工場が活動の主体となり、セルフアセスメントや第三者アセスメントによる状況把握、課題に対する対策強化活動を実施するとともに、組織によるガバナンスを強化する取り組みを継続的に実施しています。

データプライバシーポリシー

デジタル化の進展やビッグデータの利活用の広がりを背景に、データプライバシーや個人情報を含むパーソナルデータの保護への関心が高まっています。リコーグループは、個人情報保護法などの法令に則り、お客様のパーソナルデータ全般に対してデータプライバシーポリシーを定義して情報管理に取り組んでいます。さらに、データビジネス事業を本格始動させ、AI活用による新たな価値を創出し、お客様の成長と課題の解決に貢献していきます。

国際的なセキュリティ基準準拠に向けて

サイバー攻撃の増加と高度化に伴い、その標的は業種を問わず、無差別かつあらゆる産業に拡大しています。リコーグループでは、お客様の情報資産を守ることを第一に配慮したセキュリティ活動を行い、国際的な基準・ガイドラインである、NIST*2 SP 800-171への準拠を目指します。この活動は「コーポレート」「プロダクト」「ファクトリー」「データプライバシー」を包括したセキュリティ強化の一環です。リコーグループの「製品・サービス」は、セキュアな「事業環境」やNIST SP 800-171に準拠した「事業環境」を目指しているお客様を想定し、NIST SP 800-171に必要な機能を搭載した製品を提供していきます。また、「事業環境」においても、お客様の守るべき情報資産を厳格に管理し、保護するため、NIST SP 800-171に準拠した施策を継続的に行っていきます。これらセキュリティ強化への取り組みは、リコーグループの「製品・サービス」の導入を検討されるお客様のセキュリティニーズに対応し、情報資産を守ることに貢献し、お客様のビジネスリスクを低減します。

  • *2
    NIST(National Institute of Standards and Technology):米国国立標準技術研究所
セキュリティ統括/ガバナンス強化活動
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