出典:2024年度有価証券報告書「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」より
(提出日 2025年6月20日)
事業の状況、業績の状況等に関する事項のうち、株主・投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のとおりです。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響があると経営者が認識しているリスクを以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現時点で未知のリスク・重要と⾒なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、事業等のリスクは、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 5 | 3 | C |
デジタルサービスの会社として成長するため収益構造変革に取り組んでいるが、印刷量の減少加速をオフィスサービス事業などの成長でカバーしきれないことによる収益性の向上が実現できず、中期の財務目標(営業利益/ROE)の達成に遅れが生じることで企業価値の低迷につながるリスクがある。
PBR低迷の要因は収益性の低さにあるという分析結果を基に、収益構造の転換に向けて、企業価値向上プロジェクトで以下のテーマに取り組んでいる。
これらを実現するための人材ポートフォリオの最適化や新たなリソースを獲得するためのM&A人材の育成強化も進めている。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル | |
|---|---|---|---|
| 実践型デジタル⼈材 | 5 | 2 | B |
| データコンテンツ利活用推進と基盤強化 | 4 | 3 | B |
| オペレーショナルエクセレンスの実現 | 4 | 3 | B |
デジタル技術(AIなど)とデータを活用するデジタル戦略の推進加速に向け、本社機能と各ビジネスユニットが一体となり、実践型デジタル人材の育成、事業におけるデータ利活用の推進、オペレーショナルエクセレンスの実現を継続して行わなければ、リコーグループの業績、成長に影響を及ぼすリスクがある。
グローバルでの競争激化の中でレジリエンスを高めていくために、デジタル戦略の推進加速が重要であり、例えば以下のような施策の強化に努めている。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 4 | 3 | C |
デジタルサービスの会社として、マーケットイン型/オープンイノベーション型のR&Dプロセスにシフトできないことにより、技術投資における投資利益率の向上を実現できないリスクがある。また、AI応用などでのELSI*2対応力不足による企業信頼失墜・事業機会損失発生のリスクもある。
R&D投資の注力領域への集中と、投資配分のガバナンス強化を進め、マーケットイン型/オープンイノベーション型のR&Dプロセスへの移行を進める。また、技術倫理についての推進体制のもと、倫理啓発活動に加え、価値創出プロセスにおける技術倫理活動など、さらなる強化を図る。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル | |
|---|---|---|---|
| NIST SP800-171準拠対応 | 5 | 3 | C |
| セキュリティ対応 | 4 | 2 | C |
デジタルサービスの会社への変革に向け、さまざまなデジタルサービスの活用・提供、自社業務のデジタル化の実践などを行っている。その上で、情報セキュリティを確保する体制・運用を重視し取り組んでいるが、以下のようなリスクがある。
各国、国策レベルで対策が求められてきている中、変化し続ける情報セキュリティ情勢を常に把握した上で、グローバルに活動拠点のあるリコーグループにとって適切な対策を検討・推進していくことを、最重要課題の1つと位置づけている。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 4 | 2 | C |
デジタルサービスの会社への事業変革を成し遂げ、中長期的に成長を続けることは、人材に大きく依存している。特に将来の経営人材の育成を継続して行わなければ、リコーグループの業績、成長に悪影響を及ぼすリスクがある。
前年度から次世代リーダー候補の定義を見直し、役職や年代、ジェンダーなどの切り口から課題を可視化できる形に改善し、その上で中長期的なリーダーシップパイプライン構築のための選抜研修・アセスメント・若手リーダーの育成などを包括的に進めている。
また、管理職研修も当年度一新し、自律を促す環境をつくるために必要な管理職の意識変革のための研修を国内リコーグループ各社*4の管理職に実施した。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル | |
|---|---|---|---|
| 人権 | 5 | 2 | C |
| 環境保全 | 4 | 2 | C |
| ESG情報開示 | 4 | 2 | C |
ESG/SDGsへの対応は、リコーグループの事業活動に対して中長期的影響を及ぼすリスクであり、特に人権、脱炭素、厳格化が進む環境規制・規格への対応を重要なリスクと捉え、活動している。加えて従来、任意であったESG関連の情報開⽰がグローバルに義務化されつつあり法定開⽰化が進んでいる。
これらの対応を競合に遅れることなく進めなければ商談機会の損失など、ビジネスへの悪影響にとどまらず、社会的信用の失墜、ブランド価値の毀損など、会社に甚大な損害を与える可能性がある。
以下の対応を強化している。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 4 | 4 | C |
予防・対応プロセスを強化している。各国の法規制情報収集の強化、重要部品別に複数仕入先の選定など、今後も円滑な事業活動を行うため、経営にて審議し、迅速かつ適切な対応に取り組む。また、米国新政権の政策や多様なリスクの連鎖が国際情勢に及ぼす影響について、短期的な視点とともに、中長期的な視点も含め、対応体制を整備している。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル | |
|---|---|---|---|
| 地震・噴⽕・台⾵ | 3 | 2 | B |
大規模地震、津波、洪水、サプライヤーの供給停止および地政学リスクによる不測の事態により、以下のような事象が発生し、ビジネス機会を損失するリスクが考えられる。
リスク発生時を想定した以下の予防・対応プロセスを強化している。
加えて、机上訓練のみならず一定の実践を常態的に行っている。従来時間を要していた仕入先の状況確認を、ツールの導入で短縮した。今後も有効性の確認と改善を継続的に行う。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル | |
|---|---|---|---|
| 国内:地震・噴火 | 1 | 3 | C |
| 国内:風水雪害 | 5 | 1 | C |
| 国外:大規模な自然災害/事件事故 | 3 | 1 | C |
国内外で発生する大規模な自然災害・事件・事故において、人的/物的被害が生じ、経営に著しい影響を及ぼすリスクを想定している。
当該リスク対応において、以下のような対策を行っている。
国内
国外
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 5 | 1 | C |
コンプライアンス問題(法令違反、ハラスメント、社内ルールやリコーグループ企業行動規範に反する行動)が発生し、適切な対応がされなかった場合、社会的問題に拡大するリスクなどが考えられる。
国内・国外
国内
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 5 | 1 | C |
社内外の環境変化が激しい時代において、健全な成長を維持するためにグループガバナンスの強化が非常に重要であるが、本社のガバナンスが適切に機能していない場合、以下のようなリスクが生じる可能性がある。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 4 | 2 | C |
オフィス向け複合機やプリンター市場において、リモートワークの増加やペーパーレス化に伴いプリント出力が減少し、業績に影響を与える可能性がある。
既存のオフィスプリンティング事業の顧客基盤の維持・拡大に取り組み、社内プロセスはSCMの徹底効率化やオペレーショナルエクセレンスにより、さらなる収益性の向上を図っている。あわせてオフィスサービス事業においては、プロセスオートメーションとワークプレイスエクスペリエンスを中心に着実に成長を実現しており、オフィスサービス事業のストック収益の拡大を加速させることでオフィスプリンティング領域のリスクヘッジを進めている。
また、複合機を含むエッジデバイスの供給体制については、他社との協業を進めて最適な生産・開発体制を構築することで競争力のある製品を提供し、利益率の向上によるリスクヘッジを行っている。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 4 | 2 | C |
デジタルサービスの成長に向けてはコンサルティング・インテグレーションができるデジタル人材の確保が必要要件の1つとなっている。慢性的な人手不足を背景にしたIoTやAIを活用した業務改革の潮流はより一層強まっており、デジタル人材を確保する動きがより高まっているため十分に確保できない可能性がある。
優秀なデジタル人材の流出防止および獲得のために、プロフェッショナル人事制度の構築などの人事制度改革を進めている。また、人的資本戦略を策定し、グループ全体の社員のスキルの底上げに加え、デジタルアカデミーやスキルアッププログラムの策定・実施を通じて、プロセスDXの実践人材やデジタルエキスパート人材の育成に努めている。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 4 | 2 | C |
リモートワークやペーパーレスの拡大により企業内の大量印刷需要の減少やプリント出力量の集約・統合により、商用印刷事業領域における企業内印刷事業の業績が下振れするリスクがある。
企業内印刷事業での業績下振れリスクを低減するために、未開拓の欧米代理店や新興国の開拓を進めるとともに、事業ポートフォリオマネジメントの実施により今後も市場成長が見込まれる商用印刷事業の高付加価値領域やインクジェット技術・製品へのリソース投入を強化し、事業構造変革を進めている。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 3 | 2 | C |
サーマル市場は世界的な人口増加に伴う消費財の増加により堅調に成長しているものの、コモディティ化が進行している。グローバルに事業を展開しているが、各地域の景気回復が遅れて成長が鈍化し、収益性悪化や過剰在庫・設備稼働率悪化となる可能性がある。
市場動向のモニタリング体制を強化し、需要予測の精緻化と日常管理体制の強化を進めている。各地域の景気動向による需要の増減がある中で、グローバルの販売網・生産インフラを活用し、最適な地域での生産・供給オペレーションを実施することで業績変動リスクの最小化に努めている。
また、包装資材に直接印字するスマートパッケージング事業を拡大することにより社会課題の解決に貢献すると同時に収益の安定化を図っている。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 2 | 3 | B |
企業買収の際に生じたのれん、事業用のさまざまな有形固定資産および無形資産を計上している。これらの資産については、今後の事業計画との乖離や市場の変化などによって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
資産の取得に際して、投資⾦額および内容に応じた所定の手続きを実施し、投資対効果の検討などさまざまな点を考慮し実行の是非を決定している。また、外部への投資案件は、GMCの諮問委員会である投資委員会にて、財務・戦略・リスク視点での妥当性を審議し、GMCへ見解を上申している。決裁された投資案件に関して、同委員会が進捗モニタリングを定期的に行うことによりリスクへの対策を講じていく仕組みを構築している。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 2 | 3 | C |
税効果会計を適用し、将来減算一時差異および繰越欠損⾦などに対して繰延税⾦資産を計上している。繰延税⾦資産は、事業計画を基礎とした将来の課税所得に対して回収可能性を検討している。将来の課税所得の見積りが、現在の課税所得の見積りよりも低下した場合、繰延税⾦資産の回収可能額が減少し、繰延税⾦資産を減額することになり、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
繰延税⾦資産の評価にあたり、繰延税⾦負債の実現予定時期、将来の課税所得の見積りおよび税務戦略を考慮している。将来の課税所得の見積りに関しては事業計画を基礎として、各ビジネスユニットが業績の進捗をモニタリングし、計画の達成を阻む要因があれば、自律的かつ迅速に対応できる体制を構築している。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 2 | 1 | B |
知的財産権を重要な経営資源と捉え、現在および将来の自社事業とそれを支える技術などの保護、差別化とその拡大のために、特許権、意匠権、商標権などの知的財産権を獲得しているが、競合他社が同等の技術などを開発して独自性が低下するリスクや、各国特許庁の審査で狙いどおりの権利獲得ができず十分な保護が得られないリスクがある。また、リコーグループが第三者の知的財産権を侵害するとして、第三者から販売の差し止めや損害賠償⾦の支払いなどを求める警告を受けるリスクや、訴訟を提起されるリスクがある。さらに、新規事業立上げで、他社との協業、共同研究や共同開発が活性化していることに伴い、知的財産権に関する契約が増えているが、当該契約でトラブルなどが発生すると、自社事業に悪影響を与えるリスクが大きくなる。
特許などの出願前に先行技術調査を徹底するとともに、各国の知的財産に係る法律、審査基準やプロセスを把握し、知的財産権獲得の精度向上に努めている。また、自社製品・サービスを市場に提供する前に、第三者の知的財産権の調査と、自社製品・サービスと第三者の知的財産権との対比検討を徹底している。第三者の知的財産権を侵害するリスクがある場合、外部の弁護士や弁理士による鑑定、必要であれば設計変更、ライセンス交渉やライセンス取得を行い、第三者との係争リスクを低減している。
「知的財産権の保護」を業績に影響を及ぼすリスクとして重要視し、過去に発生した、知的財産権に関する契約トラブル事例を形式知化し、トラブルの予防とリスク低減をしている。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 2 | 2 | B |
製造・販売する製品に、以下のような事象が発生することで、お客様の信頼や社会的信用を失墜させ、企業ブランドや製品ブランドが毀損され事業継続が困難になるリスクが考えられる。
「製品品質・製造物責任」に対する予防・対応プロセスを強化している。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 5 | 3 | B |
事業活動を行う中で、以下のような要因により会社に甚大な損害を与えるリスクがある。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 5 | 2 | B |
事業活動を行う中で、独占禁止法および競争法の違反が発生した場合、課徴⾦納付命令などの行政当局による処分や刑事罰、官公庁との取引停止、社会的信用の失墜によるビジネスへの悪影響など、会社に甚大な損害を与えるリスクがある。
独占禁止法および各国競争法の遵守徹底のため、各地域の法務部門が主導し、各国競争法の遵守、教育活動および発生時対応の強化に努めている。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 5 | 2 | B |
事業活動を行う中で、各種環境関連法の違反が発生した場合、行政処分などによる生産への影響、課徴⾦の負担、刑事罰、社会的信用の失墜やブランド価値の毀損によるビジネスへの悪影響など、会社に甚大な損害を与えるリスクがある。
環境マネジメントシステムを構築し、定期的なアセスメントによる環境関連法の遵守徹底とともに、規制変化などのタイムリーな把握・対応を行っている。また、M&Aにおいても環境デュー・ディリジェンスを適切に実施しリスクの未然防止に努めている。
収集した環境パフォーマンスデータを積極的に開⽰するとともに、主要データに関しては第三者検証を受けるなど、透明性・信頼性の確保に努めている。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 4 | 3 | C |
生産活動および販売活動の相当部分を日本以外の米国、欧州などその他地域で行っており、事業活動において以下のような為替レートの変動による影響を受ける。
| 緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
|---|---|---|
| 2 | 2 | B |
確定給付制度債務および年⾦制度の資産に関し、一定の会計方針に基づいてこれらの給付費用を負担し、政府の規制に従って資⾦を拠出している。
現時点では、直ちに多額の資⾦は不要であるが、株式や債券市場などの予測し得ない市況変動により制度資産の収益性が低下すれば、追加的な資⾦拠出と費用負担が必要になるリスクがある。
政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施している。
緊急度、影響度、リスクマネジメントレベルの詳細については、リスクマネジメント「重点経営リスク」の決定プロセスを参照ください。