リコージャパンでは、事業を通じた社会課題解決の取り組みを「製品・サービスを通じてお客様と進めるSDGsへの貢献」と捉え、主にお客様の生産性向上、働き方改革、産業の基盤づくり、医療・福祉・教育の質の向上、持続可能な地域づくり、環境負荷削減などの活動を進めています。
社会の変化に伴い、企業を取り巻く経営課題はますます多様化しています。リコージャパンは、お客様の困りごとの本質を捉えながら、課題を解決するためのデジタルサービスを提供しています。
リコージャパンがデジタルサービス主体のビジネスに転換する中で、重要な役割を果たしているのが「スクラムシリーズ」です。これは、中小企業向けの「スクラムパッケージ」と中堅企業向けの「スクラムアセット」から成り立っています。
スクラムパッケージは、業種・業務別にソリューションをパッケージ化し、業務フロー全体を捉えた課題解決策を提供するもので、リコージャパンの豊富な実践事例が活かされています。2025年2月には環境課題に取り組む中小および中堅企業に向けた「脱炭素貢献パック」をリリースしました。また、スクラムアセットは、約1,300名のシステムエンジニアのノウハウと最新技術を活用し、お客様のニーズに合わせたカスタマイズソリューションの提案と構築をご支援します。累計販売本数は2025年3月末時点で52万本を超え、多くのお客様から支持をいただいています。
スクラムシリーズは、デジタル技術を活用して業務効率化と生産性向上を実現し、イノベーション創出に貢献します。今後はこれまで得たノウハウをもとに、社会全体のDX推進とデジタルによる社会課題解決、さらにお客様の脱炭素経営に向けて提供価値を拡大していきます。
各業種に向けたスクラムシリーズ例
昨今、サプライチェーンを標的としたサイバー攻撃や内部不正による情報漏洩などが頻発し、企業にとって情報セキュリティは重要な経営課題の一つとなっています。セキュリティ対策を自社で行なうためには、高度な知識を持つITエンジニアを採用または育成する必要がありますが、コストや人手不足の面から現実的ではありません。そこで、情報セキュリティシステムの運用・管理を、社外のサービス事業者に委託する「マネージドセキュリティ」という考え方が注目されています。
リコージャパンでは、経済産業省の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に準じたセキュリティサービスをレイヤー別にラインアップしています。また、すべてのレイヤーに対して、高度な分析・監視・運用を行なうマネージドサービスを付帯しており、最新の情報セキュリティに必要な「多層防御」を可能にしています。さらに、業種特有のリスクを考慮した現場向けセキュリティサービスも提供しており、お客様の負担を抑えながらトータルなセキュリティ対策を構築することができます。
セキュリティ対策の重要性は理解していても、どの領域まで対応するべきか、どこまで強化するべきかの答えを簡単には導きにくいものです。そこでリコージャパンは、全27問の質問に5分程度で回答していただくだけで、NIST(米国立標準技術研究所)の「サイバーセキュリティフレームワーク」に沿ってお客様の現状を可視化する「セキュリティ課題診断」サービスを提供し、優先的に取り組むべき対策についてのソリューションをご案内しています。
| 多層防御レイヤー | 対象ソリューション | ||
|---|---|---|---|
| 特定 | 現状把握 | 共通 | セキュリティ対策状況把握 |
| 共通 | 従業員リテラシー把握 | ||
| 共通 | 企業対応力把握 | ||
| 共通 | IT機器接続把握 | ||
| 攻撃者把握 | 共通 | 脆弱性把握 | |
| 共通 | |||
| 共通 | |||
| 共通 | セキュリティ強度把握 | ||
| 防御・検知 | 防御・検知 | クラウドセキュリティ | 統合ID管理 |
| インターネットセキュリティ | ネットワーク制御 | ||
| ネットワークセキュリティ | 出入口対策 | ||
| デバイスセキュリティ | エンドポイントセキュリティ対策 | ||
| 端末管理・制御 | |||
| 対応 | インシデント対応 | 共通 | インシデント初動支援 |
| 共通 | 事故対応 | ||
| 共通 | |||
| 共通 | |||
診断結果レポート:設問別レーダーチャート(例)
診断結果レポート:優先度の高いセキュリティ対策が必要な診断結果(例)
次世代ワークプレイスの実現を支援し続けているリコージャパンでは、時間や場所にとらわれない働き方のコンセプトとして「RICOH Smart Huddle」をリリースしました。これは、デジタルサービスとワークプレイスデザインを融合させることにより、リモートワークの普及により失われつつあった社員同士のつながり、社内文化や理念の共有、フェイス・トゥ・フェイスによる生産性や創造性の高いコミュニケーションを提供するものです。エッジデバイスとデジタルサービスを活用して時間と場所を自由に選択できる働き方を実現し、個人の能力を最大限に発揮させることで生産性や従業員エンゲージメントの向上を目指します。またフェイス・トゥ・フェイスによるハイブリッドなコミュニケーション環境の構築により、専門性を活かした新しい価値の創造を支援します。さらに地域間の格差や情報リテラシーの差を解消するワークプレイスや、環境に配慮したサステナブルなオフィス空間を提供することで、社会課題解決に貢献していきます。
デジタルサービス
多様化するコミュニケーションに柔軟に対応する各種サービスを包括的に提供
ワークプレイスデザイン
多様化する働き方に合わせたオフィス環境の構築をワンストップで提供
リコージャパン本社事業所では2024年10月、一部フロアへの営業部門の移転に伴い、「RICOH Smart Huddle」を取り入れたオフィスを構築しました。移転前のオフィスには、部門を超えたコミュニケーションが取りづらい、集中できる環境が欲しい、といった課題がありました。そこで、異なる部門を同じフロアに配置し、中央のコミュニケーションエリアで必要なメンバーがすぐに集まれる環境を実現。また、フォーカスエリアでは、会話・通話を禁止のルールとし集中できる空間を確保しました。会議室にはマイクスピーカーや「RICOH Collaboration Board」を設置し、オンラインでも円滑にコミュニケーションが取れる環境を構築したほか、会話のしやすいハイカウンターも設置しています。
コミュニケーションエリア
フォーカスエリア
社内実践で蓄積している多種多様なAI活用の知見とノウハウを活かし、お客様の課題に合わせて、最適なAIソリューションを提供しています。
リコーは1980年代にAI開発をスタートさせ、強みを持つ画像処理技術に加えて、自然言語処理技術を進化させ、国内でもいち早く日本語に対応した大規模言語モデル(LLM)を発表しました。2024年にはカスタマイズを容易に行なえる700億パラメータのLLMを開発しました。このLLMは、複雑な日本語文章や図表の処理能力が大幅に強化され、英語や中国語の多様な表現も学習しています。さらに、大規模でありながら省リソース設計により、高速処理と低消費電力を同時に実現し、クラウド環境だけでなく社内サーバーを持つオンプレミス環境にも導入可能なため、クローズドな環境で機密情報や個人情報などを扱いたいというお客様の要望に対応しています。
こうした中、リコージャパンはAIソリューションのラインアップを拡充しており、企業固有の情報をAIが学習して社員の質問に回答する「RICOH デジタルバディ」、プログラミングの専門知識がなくても業務を効率化するAIをお客様自身で開発できる「Dify(ディファイ)」、さらに、高セキュリティのプライベートLLMを必要とするお客様向けに「RICOH オンプレLLMスターターキット」の提供も開始しています。また、社内にAIエンジニアがいないお客様を支援するため、全国のお客様に寄り添うリコージャパンはAIエバンジェリストを育成し、業種業務に合わせて利用できる「使える・使いこなせるAI」の提供を目指しています。
「RICOH デジタルバディ」は、生成AIがまるで自分のバディ(相棒)のようにはたらいてくれる、そんなコンセプトをもって2024年6月に提供を開始したリコーの生成AI活用サービスです。回答のもとになる情報として、規定や過去事例、業務報告書など既存ドキュメントをアップロードするだけで、ユーザーの質問に対し、社内のデータ資産を活用したより正確な回答を作成します。待望のファイル共有サービス(SharePointやBox®など)に保存されたファイルとの連携にも対応を開始し、面倒な連携操作を意識することなく、「RICOH デジタルバディ」が作成可能となりました。今後もますますお客様のニーズや環境に合わせた、さまざまな生成AIの活用に応えていきます。
外部サービスにも連携開始した「RICOH デジタルバディ」
リコージャパンが目指す“CSのありたい姿”は、お客様の経営課題や業務課題の解決を支援し、お客様の企業価値向上のため、共に考え、共に創る“良き相談相手、協力者”という存在「価値共創パートナー」になることです。
お客様とのコミュニケーションにより得られた課題に基づき「最適なソリューション」を提供。納入後の活用状況を精査し、「効果検証」までの5つのプロセスを回すことで、お客様の経営課題や業務課題解決を支援しています。また、さらなる期待に応えられるよう、「CS調査」を継続的に実施することで、お客様の声を重視したCS向上を目指しています。
お客様へのヒアリング、継続的なCS調査
最適なソリューション提供、ワンストップサービス
企画設計、ネットワーク構築
モニタリング、トラブルの未然防止
使用状況調査、レポーティング
「お客様の声」が私たちの改善活動のベースとなっています。毎年、リコージャパンは自社独自のお客様満足度調査を実施し、日頃の活動に対するお客様の評価を収集しています。この調査と第三者機関による調査の結果を照らし合わせ、お客様の期待と私たちが改善すべき点を明確にしています。さらに、お客様訪問で得たご要望やコールセンターに寄せられた声も含めて総合的に分析し、営業・保守サービスや社内プロセスの改善、商品づくりへの反映などの改善サイクルを回し、さらなるお役立ちに努めています。
営業・保守サービスのプロセスの改善や商品づくりへの
反映によるお客様へのさらなるお役立ち
CSに関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. パワーが国内で実施した2024年顧客満足度調査において2分野で第1位の評価を受けました。
サーバー保守サービス
カラーレーザープリンター
J.D.パワージャパン 2024年顧客満足度調査にて
第1位を受賞(2分野)
リコージャパンは、お客様のビジョン実現に向けた協力者「価値共創パートナー」になることを目指しています。これは、モノ(製品・サービス)を提供する存在から、「モノの価値」の利活用により得られる「コトの価値」を協働して創造し、お客様の成功や発展にお役立ちする“良き相談相手・支援者・協力者”という存在に進化することを意味します。その実現度合いは、毎年実施しているお客様満足度調査により測定。お客様との関係性を4つの段階に分け、「現在の関係注1」と「期待の関係注2」それぞれについて評価をいただきます。そして「現在」と「期待」の評価結果(ギャップ)を埋めるべく、支社単位で施策と目標を設定し、年間を通じて活動。お客様の期待に応えられるようレベルアップを図ることで、お客様の企業価値向上のために無くてはならないパートナーになることを目指しています。
お客様との関係性(4つの分類)
支社別目標コミットメントシート
(イメージ)
お客様はパートナーに課題解決や企業価値向上の良き相談者・支援者としての役割を期待するようになってきました。こうした変化は「お客様業務の深い理解」や「タイムリーで適格な提案」がより重要になってきたことを意味します。広島西グループでは、現場の営業の自発的な発案により高度な案件が生じた場合は営業が集まり、自らの知識や経験を共有。必要に応じ、技術担当やICT専任、マーケティング部門などさまざまな役割を持った社員が集まり、多角的な視点でのアドバイスや、アイデアを出し合い、協力しています。
高度案件時のフォーメーション
さまざまな役割を持ったメンバーが集まり、知見を結集し課題解決に取り組む様子
全国に拠点を持つリコージャパンは、さまざまな分野や地域でのパートナーシップを活かし、地域社会が抱える課題解決のために最適なソリューションを提供します。
地域の中核である自治体のDX推進と、地域企業のデジタル化推進を土台に課題解決と活性化に取り組みます。
2024年11月、広島大学病院で最大震度6強の地震を想定した防災訓練が実施されました。この訓練では、院内災害対策本部とDMAT(災害派遣医療チーム)活動拠点本部を同じ部屋に配置し、負傷者のトリアージを行なったほか、行政機関や医療機関との緊密な連携を確認しました。
重症者の対応を行なうエリアでは、活動状況をリアルタイムに可視化するために「RICOH eWhiteboard」を使用しました。ここに書き込まれた氏名や傷病名の情報が本部で共有され、誰をどの病床に搬送すべきかを判断するのに役立ちました。また、負傷者の受け入れ状況や混雑の度合いは、360度カメラ「RICOH THETA」を活用した双方向型ライブ
システム「RICOH Remote Field」を使い、本部の「RICOH Interactive Whiteboard」に共有し映像で確認できるようにしました。本部の皆様からは「実際に災害が起こった際にも、今どのような状況にあるのかを把握することに使えるのではないか」との評価をいただきました。
広島大学病院防災訓練・中国地区DMAT実動訓練
2020年12月に策定された総務省の「自治体DX推進計画」では、デジタル社会の構築に向けた取り組みを全自治体において推進し、住民の利便性や行政サービスの向上につなげることが求められています。
そうした中、岐阜県坂祝(さかほぎ)町役場では、各種申請時に読み間違いや言い間違い、登録内容の相違などが原因でトラブルが発生しており、窓口対応の改善が急務となっていました。そこで「坂祝(さかほぎ)町DX推進計画」の一環として、住民と職員双方の負担を軽減するため、2023年12月から役場ロビーに申請書作成支援機が設置され、申請書に記入せずに各種証明書の発行手続きができる「書かない窓口」がスタートしました。当初はマイナンバーカードを活用した申請手続きの導入を検討していましたが、これを所持していないケースも考慮し、多券種に対応可能な「申請書作成ソリューション Caora(カオラ)」を導入することで、より効率的なフロントヤード改革を実現しました。
職員の皆様からは「スタンドアローンで使いやすく、拡張性もあるので申請書の変更があった場合でも簡単に修正できる」との評価をいただき、住民の皆様からも肯定的な声が寄せられています。
ロビーに申請書作成支援機を設置
生徒たちが自ら問いを立て解決する「問題解決能力」や「考える力」といった「生きる力」を身に付けることを目指し、STEAM教育に先進的に取り組んでいる福島大学附属中学校。同校は、「デジタル技術を活用することでリアルがより豊かになり、真正の理解へとつながる」との考えから、3Dプリンターを積極的に活用しています。
例えば、地形や気象を学ぶ理科の授業では、平面図だけでは理解しづらいため生徒が3Dプリンターを用いて火山の立体模型を作成し、火山泥流の流れ方や被害の範囲についての理解を深めています。ほかにも、植物への水やりを自動的に行なう散水機の部品づくりや、教材で使用するさまざまな部品づくりに3Dプリンターが活用されています。そして、こうした活動は生徒の学習意欲の向上にもつながっています。
リコージャパンはICT環境の整備にとどまらず、教材や授業支援を含め、デジタルの力で次世代教育の実現に貢献したいと考えています。
3Dプリンターを活用した授業の様子
医療・介護現場の過重労働や人手不足を解消するべく、ICTの活用によって、従事する方の負担軽減につながるサービスを提供しています。
医療従事者の時間外労働に対する上限規制により、医師や看護師の過重労働は緩和されつつあります。一方で、限られた人員体制の中でも、質の高い医療サービスを維持し、人々の命と健康を守るためには、AIやRPA注1を活用した業務の効率化やタスクシフトの推進が不可欠です。また、急速に進む高齢化に伴い、慢性的な人手不足に直面している介護現場では、生産性の向上が喫緊の課題となっています。リコージャパンは、デジタル技術を活用した業務変革の支援を通じて、医療・介護分野におけるこうした社会課題の解決に貢献しています。
日本赤十字社那須赤十字病院に「RICOH オンプレLLMスターターキット」を提供し、高セキュリティなオンプレミス環境での生成AI活用を導入から運用までワンストップで支援することにより、退院サマリー作成の効率化に貢献しました。
退院サマリーは、患者様が退院する際に、他の医療機関やケア施設との情報共有を効率的に行なうため主治医が作成する文書です。同病院は、栃木県北部地域で唯一の三次救急医療機関として地域の医療機関と緊密に連携しており、入院中のさまざまな情報を参照しながら退院サマリーを作成する作業が、医師にとって大きな負担となっていました。
今回、リコー製のLLM(大規模言語モデル)および生成AIアプリ開発プラットフォーム「Dify」と電子カルテシステムを連携させることで、退院サマリーに必要な情報を要約し、ドラフトを自動生成するアプリケーションの導入を支援しました。これにより、医師の皆様が診療などに多くの時間を割けるようになっています。
医療現場では多数の医療機器が稼働しますが、各医療機器メーカーではそれらの医療機器の保守体制整備が課題となっています。リコージャパンは、オンサイトでの対応が可能な医療機器の設置・点検・修理サービスを提供することで医療機器メーカーの保守体制を支援し、医療機器の安定稼働に貢献しています。本サービスは、医療やME注1機器をはじめとするさまざまなモダリティの専門研修を受講した医療機器保守専任エンジニア注2が行なっており、リコーグループでは同エンジニアを、2024年度141名から2025年度160名に拡充する予定です。
リコー製双方向ライブ配信システム「RICOH Remote Field」が、奈良県立医科大学附属病院のドクターカーに導入されました。生命に関わる対応が必要な第三次救急医療の分野で正式導入されるのは、今回が初となります。
360度カメラ「RICOH THETA」のリアルタイム映像を、4Kの高画質で閲覧しながら通話することができる遠隔コミュニケーションシステムです。第三次救急医療において最適な処置を実現するには、ドクターカーと受け入れ先の医療機関による患者様の情報共有が特に重要となります。従来の車両搭載電話を利用した音声のみでのコミュニケーションでは、十分な情報共有は難しく情報の質および現場にかかる負担面で課題がありました。本システムを提供することで、救急医療の機能強化と医療現場の働き方改革に貢献します。
厚生労働省は2021年より、介護サービス利用者の状態やケア内容のデータを蓄積し、全国の介護施設にフィードバックする科学的介護情報システム(LIFE)の運用を開始しています。そして、2024年の介護報酬改定では、生産性向上推進体制加算が新設され、見守り機器、インカム注1、介護記録ソフトウェアなどのテクノロジーを導入し、生産性向上ガイドラインに基づいた業務改善を継続的に行ない、その効果に関するデータの提出を評価するとしています。
こうした中、長年にわたり介護施設のデジタル化を支援しているリコージャパンは、センサー、インカム、記録を統合運用する見守りシステム「リコーけあマルシェ」を、通信ネットワークの構築を含めワンストップで提供しています。このシステムは、センサーやカメラの情報から施設利用者の離床、心拍、睡眠などの状況を把握し、精度の高い見守りと施設従事者の業務効率化を実現します。実際に本システムの導入施設では、日中の訪室回数が24%、夜間は72%削減されました。また、日々の記録に要する時間が42%、事故発生時の業務報告書作成は83%短縮され、事故そのものの発生も減少しています。
「リコーけあマルシェ」の構成例
自ら実践して得た経験・スキルを活かし、リコージャパンならではのSTEPにより、お客様ごとに最適な脱炭素経営の取り組みをワンストップで支援します。
政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、社会全体が大きく脱炭素へと舵を切っています。今後、サプライチェーンでの脱炭素の情報開示が要請されるなど、多くの企業にとって経営の脱炭素化は避けて通れない課題であるとともに、新たなビジネスチャンスを創出する機会にもなっています。
リコージャパンでは、お客様の目的統合から可視化、導入、ステークホルダーへの情報開示までのステップを支援する「シン・脱炭素コーディネーター」が、お客様に寄り添って脱炭素経営の実現に貢献します。
STEP2からSTEP3の情報をもとに、中長期も見据えて実現可能な「脱炭素ロードマップ」を策定し、
CO2排出量削減の各施策を4つの領域でご提案。お客様の脱炭素経営を支援します。
RICOH Smart MES 照明・空調制御システム、EMS注1、LED化支援、空調、キュービクルなど
「リコー電力販売」再エネメニュー、EV充電器トータルサポートなど
自家消費型太陽光発電システム、リコー太陽光発電O&M注2サービスなど
ポータブル蓄電池、定置型蓄電池、V2H注3導入支援など
スクラムシリーズからリリースした「脱炭素貢献パック」は、企業の脱炭素推進を支援する包括的なソリューションです。6つの脱炭素支援ステップに沿って、目標の戦略的統合からCO2排出量の可視化、脱炭素ソリューションの導入など、お客様の取り組み状況に合わせて脱炭素社会の実現に向けた提案を積極的に進めていきます。これにより、企業の環境への取り組みを支援し、環境負荷の軽減と持続可能な社会の実現に貢献します。
地域社会の再生可能エネルギー導入を支援するため、リコージャパンは穴吹興産株式会社と業務提携し、オフサイトコーポレートPPA注1事業を開始しました。穴吹興産が補助金を得て太陽光発電設備を建設し、リコージャパンはそこから安価に仕入れた再エネ電力を需要家に提供します。発電事業者の穴吹興産、小売電気事業者のリコージャパン、需要家、社会、未来の「五方よし」を実現するスキームとなっています。
2025年4月に開始した香川県さぬき市に展開するプロジェクトでは、約630世帯分のCO2排出削減効果を見込んでおり、本スキームで賄えない部分は他電源由来の電力を供給し、実質再エネ100%を支援します。
香川県さぬき市に設計、施工中の太陽光発電設備
再生プラスチックを使用した複合機やリユース部品を活用した環境循環型複合機など、業界トップクラスの環境配慮型製品を提供しています。
2025年に発売した環境循環型デジタルフルカラー複合機「RICOH IM C4500F CE/C3000F CE」は、従来機を上回る平均86%(質量比)の部品リユース率を実現しました。また、ライフサイクル全体のCO2排出量を新造機と比べて約59%削減、J-クレジット注2を利用してCO2排出量をオフセットするサービスも提供しています。
機能面では、高速出力や直感的に操作できるタッチパネルなど新造機と変わらない操作性です。また、新造機同様の品質を保証しています。加えて、新しい機能をネットワーク経由で追加できる「RICOH Always Current Technology」を再生複合機では初めて採用。さらに、暗号化通信プロトコルTLS1.3に対応しているほか、ICカードを用いた個人認証管理や不正コピー抑止機能などセキュリティ機能も充実させています。
リコーグループは、1997年の再生複合機の販売開始以来、国内ではRC機(リコンディショニング機)の名称で再生複合機を販売してきましたが、このたび環境循環型複合機としてCE機(サーキュラーエコノミー機)に名称を変更し、新造機のみならず再生複合機も大幅に進化させました。
A3カラー複合機「RICOH IM C6010」など7機種16モデルは、前身機(RICOH IM C6000)での再生プラスチック使用率約6%を、A3複合機では世界初注1となる約50%(本体総樹脂量の重量比)に高めています。再生プラスチックの成形は難しいと言われていますが、複数メーカーと材料の開発を進めながら、重量の大きな外装カバーでは使用率を約80%にするなどの試行錯誤の結果、本複合機が誕生しました。また、技術革新により、印刷時の電力の削減およびスリープモード時の消費電力についても前身機の約50%に抑えました。「RICOH IM C6010」の場合、ライフサイクル全体でのCO2排出量を前身機よりも約27%削減しています。
再生プラスチック(左)を約80%使用した
製品前面パネルのプラスチック(右)
リコーは1994年に循環型社会実現のためのコンセプト「コメットサークル™」を打ち出しました。これは、リコーグループだけでなく、上流と下流を含めた製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らしていく考え方を示したものです。このコンセプトに従って、モノづくりの段階から3R注1設計を積極的に行ない、長期間にわたって繰り返し使えるような製品開発を行なってきました。製品のライフサイクル全体を俯瞰した事業活動を行ない、資源を循環させながら付加価値の最大化を目指すという視点は、現在、社会全体が推進しているサーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方とも共通しています。
循環型社会実現のためのコンセプト
「コメットサークル™」
「コメットサークル™」のコンセプトに基づき、ライフサイクル全体で環境負荷の削減を進めています。より具体的な取り組みを推進するための方針や目標値を制定。例としては、1993年に策定したリサイクル対応設計方針(現在の環境適合設計方針)が挙げられます。これは製品を再生して使用するために最も重要なことを、リユース、リサイクル、長期使用の視点であらかじめ設計段階から盛り込むとするもので、時代のニーズに合わせ進化を続けています。この方針に基づくことで環境に配慮し、安心してお使いいただくことができる製品をお客様にお届けしています。
また、リコーでは環境保全を経営の優先課題の一つとし、使用済み製品やトナー、インクカートリッジなどの回収やリサイクルを行なっています。回収後は、リコーの品質基準に基づいた再生工程を経て出荷され、リユース部品として生産ラインへ供給するものや、マテリアルリサイクルされるものもあります。より高い再資源化を実施すべく、回収量の確保、回収品質の向上を推進しています。今後、調達困難な部品を再生品で補うBCP(事業継続計画)対応など、再生事業の可能性を広げ、新規資源の使用量を削減することで脱炭素社会と循環型社会の実現に貢献していきます。
回収品の独自診断システムでの選別、ランク分け
ロボットを導入することで省人化、品質の均一化などを実現
新品と同一品質基準での品質保証
限りある資源を枯渇させず、社会を持続可能に発展させるため、資源の付加価値を高めながら効率的に循環させる「循環型社会の実現」を目指しています。
プラスチックは、廃棄された後の焼却や埋め立ての環境負荷が大きいことが社会課題になっています。目的や用途に応じてさまざまな種類のプラスチックが存在し、混ぜると再資源化ができません。素材ごとに分けることが、資源循環を促進し、社会課題解決の第一歩につながります。
リコーの「RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150」は、ハンディタイプで持ち運びしやすく、特別な知識がなくても素材を判別でき、プラスチックの分別が容易となります。これまでは素材が分からず廃棄していたものを判別することで、資源の効率的な循環と脱炭素に貢献します。既に、製造業、建設業、リサイクル業などのお客様、さらには環境教育の場でもご利用いただいています。
起動後は、樹脂に当ててボタンを押すだけの操作で判別が可能
静岡県御殿場市の「リコー環境事業開発センター」は「脱炭素社会」と「循環型社会」を実現するための課題に取り組む拠点です。複合機のリユース・リサイクルに取り組むだけではなく、産官学連携のオープンイノベーションによる新たな環境事業にも取り組んでいます。
例えば、再エネの需給バランスをAIで予測し、蓄電池の充放電を最適制御するVPP(バーチャルパワープラント=仮想発電所)サービスです。また、「樹脂判別ハンディセンサー」を用いて、廃棄されるプラスチックを素材ごとに分別し、資源循環する仕組みづくりなどにも取り組んでいます。同センターでのさまざまな実践事例、事業開発の成功や失敗から課題解決のヒントが見つかるかもしれません。
リコー環境事業開発センター
新たな社会課題解決型事業を生み出すために、パートナーシップを強化し、新しい価値を提供するソリューションの開発に取り組んでいます。
リコージャパンは、株式会社研文社様と環境価値の共創に取り組んでいます。同社は創業79年以上の歴史を持つ総合印刷会社で、社会から選ばれる企業を目指し、特に環境配慮に注力しています。兵庫県尼崎市が推進する「エネルギーの地産地消」に賛同、市の廃棄物発電から発生するCO2排出量ゼロ電力を尼崎工場に導入し、2023年の第21回印刷産業環境優良工場表彰で「経済産業大臣賞」を受賞しています。また、同社は日本サステナブル印刷協会の立ち上げメンバーでもあり、カーボンゼロプリント工場で印刷する「環境配慮型プリント」の普及を目指すトップランナーとなっています。
こうした中、リコージャパンは研文社様の工場において、環境オペレーションのファシリテーションをお手伝いし、環境に配慮した取り組みをより具体的なものにしています。さらに、全社員を対象とした脱炭素経営基礎教育セミナーなども実施。事業活動のみならず日常生活からの環境意識の醸成にも貢献しています。また、研文社様は、こうした脱炭素経営の取り組みを自社で企画しているサステナビリティレポートに盛り込み、全社員に配布しています。
尼崎工場
労働人口の減少や厳しい競争に直面する中堅および中小企業にとって、DXは環境の変化に合わせてビジネスモデルや業務プロセスを変革し、企業成長に寄与する欠かせない取り組みと言えます。しかしながら、限られた経営資源の中、独力で推進することは難しく、地域の伴走者たる支援機関を必要としています。そこで、リコージャパンとタナベコンサルティングは、デジタルサービスと経営コンサルティングを連携させ、一気通貫でお客様のDXを支援します。
全国規模の経営コンサルティングファームであるタナベコンサルティングは、DXビジョン・戦略の構築、IT化構想支援など上流での経営コンサルティングを得意とし、グループで19,000社以上の支援実績を誇っています。同社は、経営とデジタルを合わせた課題解決型のコンサルティングサービスを提案します。一方、システムエンジニアを擁するリコージャパンは、経済産業省のDX支援取組事例注1に紹介されるなど実装段階で豊富な実績を有し、これまでのデジタルサービスによる課題解決ノウハウをもとに、上流でのご提案内容を実現するスクラムパッケージやスクラムアセット、インフラ構築、セキュリティといったソリューションを提供します。
2024年2月にリニューアルオープンしたRICOH BIL TOKYOは、経営者の皆様との対話を通じて、企業の課題解決と共創を目指すリコーのEBC注2です。2024年度は364社にご来場いただき、AIを軸にした価値シナリオの訴求から対話のきっかけを生み出し、経営課題の本質に迫る共創事例を多数創出しました。また、各地域支社との連携を強めることで、共創の取り組みは全国へと広がりを見せています。2025年度は、伴走型での価値創出を一層強化し、より実践的で広がりのある提案活動を推進していきます。
課題を事前に入手し、仮説をもってシナリオを構築。
当日のご案内に備え、メインラウンジ「Base Camp」での密な対話から課題を掘り下げ、ネクストアクションを共有する
次世代会議空間「RICOH PRISM」に追加されたKABEUCHI。
デジタルヒューマンとお客様の対話を通じて課題感を探っていく
DXへの取り組みが活発化する中、特に中小企業ではIT担当者の不在、知識不足、新しいシステム導入への抵抗感などにより、推進に消極的な企業が少なくありません。そうしたお客様に向けて、AI活用やDX・GXがもたらす価値を最新のソリューションやサービスを通じて体感いただける「RICOH Smart & Innovation Center」を、2025年1月に本社事業所に新設しました。本施設では、リコーが開発したAIエージェントとの対話やデジタル度診断ツールを使い、潜在的な課題を含めて可視化した後、約20種類のソリューションにて、お客様に課題解決後の姿をイメージいただきます。
壁2面を使い、本施設のコンセプト映像をプロジェクターで投映。
お客様の没入感を高める
「RICOH デジタルバディ」、「RICOH kintone plus」といった約20ソリューションをご紹介
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