リコージャパンでは、自ら掲げた戦略や事業目標などを組織として機能させ、達成するために、内部統制のプロセスを整備、運用するとともに、「事業機会に関連する不確実性」と「事業活動の遂行に関連する不確実性」の双方を含んだ統合的なリスクマネジメントにも取り組んでいます。
また、「リコーウェイ」の価値観の一つである「Customer-Centric(お客様の立場で考え、行動する)」を実践するため、お客様の満足度向上に向けたマネジメントも強化しています。
企業倫理と遵法の精神に基づき、経営の透明性を確保しながら、競争力の強化を目指したコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。
取締役会をコーポレート・ガバナンスの中核機関と位置づけ、経営の透明性と公正な意思決定が行なえるよう機能させています。また、重要テーマに関しては、経営監督を担う取締役会および、業務執行を担う経営会議などで議論を尽くし、衆知を集めた上で意思決定を諮っています。決定した事項は関係各所に共有および周知、そして指示されます。
リコージャパンでは、「リコーウェイ」に込められた価値観に立脚して、企業倫理と遵法の精神に基づき、経営の透明性を確保しつつ、競争力の強化を目指した内部統制システムを整備、運用し、その継続的な改善に努めています。
活動の指針として制定された「リコーグループ経営管理基本原則」をもとに、活動を展開しています。また、リコーグループの共通の規則として定めたグループ標準「リコーグループスタンダード(RGS)」および、会社規定「リコージャパンスタンダード(RJS)」を展開し、遵守するよう推進しています。さらに、財務報告の信頼性の確保、業務の有効性と効率性の向上、企業活動に関連する法令や社内ルールなどの遵守の確認、インシデント未然防止の観点で内部監査を実施し、継続的な業務改善の推進を図っています。
社員一人ひとりが、事業活動の基礎となる「リコーウェイ」を実践することにより、「誠実に、正直に、責任を持って行動する」人財、組織づくりを醸成しています。
高い倫理観を保持していくために「リコーウェイ」の価値観の一つである「ETHICS AND INTEGRITY」をもとに、「リコーグループ企業行動規範」を実践し、社員のコンプライアンス意識向上と日常業務に定着する風土づくりに取り組んでいます。2023年度はリコーグループを取り巻く環境の変化に合わせ「リコーグループ企業行動規範」が改訂され、リコーグループ全社員による行動規範教育と遵守誓約を実施しました。
Plan | 各リスク主管区にてコンプライアンスの優先課題を検討 |
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Do | CSR-Weekによる正しい行動への風土および意識づくり |
Check | コンプライアンスサーベイなどによる浸透状況確認 |
Action | コンプライアンス向上に向けた学習(eラーニングなど) |
コンプライアンス意識の向上と浸透への取り組みとして、リコーグループ全体で展開しているコンプライアンスサーベイやコンプライアンス教育のほか、社員一人ひとりのSDGs/ESGとコンプライアンス意識の浸透を設問方式で確認する「CSR-Week」を全社員対象に毎月実施しています。
リコーウェイの実践に向けたPDCAサイクルの重要な位置づけである「CSR-Week」は、社内で起きた事件や事故、全社展開施策を題材にしており、自らの行動を振り返り、正しい行動へ導くためのきっかけとなっています。
社員向けの「ほっとライン」を外部に開設し、法令、企業倫理、社内規則、行動規範に違反するおそれのある、または違反する行為を知ったときの相談を受けています。なお、「ほっとライン」に通報した社員は、通報者の保護の観点からプライバシーは保護され、不利益な扱いを受けることはありません。
また、万が一、重大な相談が「ほっとライン」に入った際は人事部門が中心となって社内調査を実施し、事実関係の解明と是正処置が行なわれます。「ほっとライン」への相談対応件数は、2022年度では73件でしたが、2023年度では101件まで増加しました。
リスクマネジメントは、企業が経営戦略や事業目的を遂行していくうえで不可欠な活動です。リコージャパンでは、経営リスクを経営幹部と共有し、経営会議での定期的な見直しを行なっています。
経営リスクを識別し、事業活動に付随して起こりうるさまざまなリスクを適切にマネジメントすることで、永続的な事業活動が実現できます。
リコージャパンでは経営リスクを、経営そのものに類する「戦略リスク」と、通常の営業活動の中で発生する「オペレーショナルリスク」に分け、それぞれのリスクに対する経営インパクトを評価し、経営への影響の大きさ、リスク対応時の効果や必要な経営資源などを考慮してその対応を決定しています。経営インパクトが大きいという判断から、本年度より「情報セキュリティ」と「首都直下地震」を戦略リスクに変更しました。
2024年度の重点経営リスク | 経営機構 | |
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戦略リスク | 1.デジタルサービスの会社としての収益構造の移行 | 経営会議 |
2.⼈材の確保、育成、管理 | ||
3.ESGおよびSDGsへの対応 | ||
4.情報セキュリティ | ||
5.DX改革の加速 | ||
オペレーショナル リスク |
6.首都直下地震(BCP) | リスク対応主幹区連絡会を経て、経営会議へ
|
7.不正・コンプライアンス違反 | ||
8.自然災害、大規模な事故、地政学リスク | ||
9.製品・サービスの供給 | ||
10.パートナーリスク | ||
11.販売品質、製品品質 | ||
12.ガバナンスリスク |
リコージャパンでは「万が一の大災害や事故」が発生した場合に、それによる被害を可能な限り抑えるとともに、復旧にかかる時間をできるだけ短縮できるよう、BCP(事業継続計画)を構築しています。あわせて体制も構築し、それぞれのチーム(商品やサプライ、物流、保守サービス、情報システム、コールセンター、人事、経理、広報など)が被害状況を把握して、早期の対策を実施できる仕組みとなっています。
また、チームごとに業務プロセスを見直して日常的にBCPの視点を盛り込むほか、災害発生時の3つのステージ注1を設定し、それぞれのステージで対応内容を明確化して事業回復の早期解決を図るBCM(事業継続マネジメント)を実践しています。
2024年1月1日発生の能登半島地震では、地震発生当日の18時過ぎに災害対策本部を設置し、被災状況の把握に努めました。混乱を避けるため、災害対策本部会議は1月3日まで延期し、その間は事務局メンバーが役割分担して情報収集と取りまとめを行ないました。石川、福井、富山、新潟の各支社に加え、年末年始の帰省で被災地にいる社員も含め、553名の従業員の安否確認を地震発生から24時間以内に完了。office365のMicrosoft Teamsを活用し、被災地域からの情報を集約することで情報の錯綜を防ぎました。1月4日には石川県内の事業所から備蓄品を配布し、5日には福井県のグループ倉庫から不足物資を石川支社に配送。その後、お客様への機器類貸出や自治体を通じた支援物資の提供など、グループ全体で支援活動を実施。災害派遣医療チーム「DMAT」からの要望を受け、「RICOH eWhiteboard」を医療搬送の調整に活用いただくよう、迅速かつ柔軟な対応も行ないました。平時から想定していた災害対応フェーズに沿って、人命救助を最優先に活動し、従業員の生活支援、そしてお客様の事業復旧、復興支援へと段階的に支援活動を進めています。
情報分野を事業領域とするリコージャパンにとって、情報セキュリティ対策は必須の課題です。そのため、全社員が一丸となって各種取り組みを行ない、継続的改善を進めています。
情報セキュリティの基本方針に則って、情報の保護と積極的な活用をバランスよく運用し、自律的なリスクマネジメントの実現を目指しています。
計画から実行に至るまでのPDCA運用状況、Plan(リスクアセスメント)、Do(リスク対応計画の運用)、Check(情報セキュリティ内部監査の実施)、Action(情報セキュリティ運用結果のレビュー)は、すべて管理ツール上で可視化されています。
お客様にセキュリティ関連商品を販売する企業として「事業に寄与するISMS」を展開し、「機密性」はもちろん、情報を活用する「可用性」とのバランスを重視した活動を進めています。複雑化した事業形態や多様な働き方による新たなリスク、近年多発しているサイバー攻撃による個人情報の漏えいに備え、全員参加によるISMS教育・訓練および日々の管理と継続的改善を実践しています。また、基本的なリスク対応も重要であると認識し、情報の保護と活用のバランスをとり、組織職が自律的にマネジメントできるような仕組みを展開しています。
現在リコージャパンの従業員数は約18,000名を数え、情報の取り扱いルールを周知および徹底することが課題となっています。そこで、情報セキュリティ対策の定着のため、一人ひとりが情報活用に伴うリスクを認識し、全員参加で自部門の業務を継続的に改善する自律的なマネジメントを運用しています。社員は「情報セキュリティハンドブック」で社内ルールを学習し、組織職は「情報セキュリティマネジメントガイド」でマネジメントを学習しています。
左:「情報セキュリティハンドブック」(情報利用者向け)
右:「情報セキュリティマネジメントガイド」(組織職向け)
情報の作成・入手から、保管・活用、削除・廃棄までを情報資産のライフサイクルとして整備およびシステム化し、証跡管理しています。情報は情報資産台帳で管理し、特に重要度の高い情報資産(重点管理情報)は、さらに詳細な管理を実施しています。個人情報についてもこのシステム内で同様に管理しています。お客様から情報を預かる際は、預かりから返却までの情報の流れに沿って証跡管理を行なっています。
インシデント対応は、発生した被害の極小化や拡大防止を図り、その再発防止を確実にするため、システム内でインシデント報告運用を実施しています。
ISO/IEC27001認証ロゴマーク
リコーグループでは、サプライチェーン全体で責任ある企業活動に取り組み、サプライヤー様と相互に持続的な発展を実現することで、社会からの期待に応えることを目指しています。
リコーでは、設計から調達において「調達活動の基本的な考え方」、設置から回収において「リコーグループ グリーン調達ガイドライン」を準拠した企業活動を行なっています。また、2019年、グローバルなサプライチェーンにおける企業の社会的責任を推進するRBA注1(責任ある企業同盟)に加盟。サプライヤー・パートナーの皆様に対しても、サステナビリティに関する主要な国際基準に則った「RBA行動規範」に準拠して策定した「リコーグループ サプライヤー・パートナー行動規範」に基づく責任ある企業活動をお願いしています。
リコーとリコージャパンでは、日本の中小企業庁の要請に基づき「パートナーシップ構築宣言」を公表し、サプライチェーン全体の共存共栄と新たな連携に取り組んでいます。
リコーでは、2020年より複合機、プリンター、Interactive Whiteboardといったリコー製品における部材や原材料の重要サプライヤーに、「リコーグループ サプライヤー・パートナー行動規範」への同意をお願いしています。リコージャパンにおいては、リコーグループの事業領域が従来の一般オフィスからさまざまな業種の現場を含めたワークプレイスへと広がり、価値提供領域の拡大に伴い、PCや周辺・ネットワーク機器、ソフトウェアといった他社商品の取り扱いが急増している状況を踏まえ、2022年より取引のあるパートナーのうち、仕入金額の90%に相当する重要パートナー(30社)および新たに取引を開始するパートナーに対して本規範に同意していただくことを推進しています。今後もサプライヤー・パートナーの皆様との相互的な発展、強固な信頼関係と長期的な協力関係の構築に取り組み、双方向のコミュニケーションによってサプライチェーンにおけるサステナビリティ活動のレベルアップを図っていきます。
サステナビリティ指標 | 2022年度実績 | 2023年度実績 |
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サプライヤー・パートナーへの 行動規範署名率 |
53.3%(30社中16社) | 93.3%(30社中28社) |
2006年に「サプライヤー行動規範」が制定および配布され、2008年には「サプライヤー行動規範ガイドブック」の制定および配布、またサプライヤーへの個別指導が実施されました。
2009年に日本で開始した「CSRセルフアセスメント」は、2010年に中国、2013年にはタイでも実施。2013年には紛争鉱物規制への対応、2019年にRBA(責任ある企業同盟)に加盟、2020年にはサプライヤー満足度調査の実施、「サプライヤー行動規範」の改訂があり、RBA基準のリスクアセスメントを開始しました。そして2023年、改めて「サプライヤー行動規範」を見直し、改訂および配布が実施されました。
リコージャパンが目指す“CSのありたい姿”、それは、誰よりもお客様を知り、最も身近な存在として「デジタルのちから」で課題解決を支援することです。そして、最終的には「お客様のビジョン実現や事業成長のパートナー」、つまり「価値共創パートナー」になることです。
リコージャパンは、お客様とのコミュニケーションにより得られた課題に基づき「最適なソリューション」を提供。納入後の活用状況を精査し、「効果検証」までの5つのプロセスを回すことで、お客様の経営課題や業務課題解決を支援しています。また、さらなる期待に応えられるよう、「CS調査」を継続的に実施することで、お客様の声を重視したCS向上を目指しています。
お客様へのヒアリング、継続的なCS調査
最適なソリューション提供、ワンストップサービス
企画設計、ネットワーク構築
モニタリング、トラブルの未然防止
使用状況調査、レポーティング
お客様と共創し、成長し続けるデジタルコンタクトセンターをコンセプトに(2023年10月より)魅せるCXセンターをオープンしました。CXセンターはリコーグループのコンタクトセンターとして全国に9拠点あり、お客様のアフターサポートからカスタマーサクセスまで行なっています。
ご来場いただいたお客様には、リコーのデジタル技術、リモートツールを活用したサポートをリアルに体験いただき、CX注1(顧客体験価値)とCSの同時実現に取り組んでいます。また、お客様との対話、日頃からの声を通じて、新たな課題創造の場としても展開しています。
外部評価においては、コンタクトセンターの国際認定資格であるHDI格付けベンチマークに初挑戦、電話対応の評価において最高評価の三つ星を獲得しました。
HDI-Japanの2024年「HDI格付けベンチマーク」
スマホ活用ビジュアルサポート
リモートによる操作サポートの様子
CSに関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D.パワー ジャパンが実施した2023年顧客満足度調査において3分野で第1位の評価を受けました。
J.D.パワージャパンの2023年「顧客満足度調査」にて第1位を受賞(3分野)
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