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リコーグループは早くからオフィスの価値に着目し、働く人の創造性を引き出すオフィスづくりに取り組んできた。そんなリコーのワークプレイスエクスペリエンス事業の中核を担うのが「RICOH Smart Huddle」だ。半世紀にわたり世界の“はたらく”に寄り添ってきたリコーが手がける同サービスの価値や、最新のワークスタイルを体感できる「ViCreA」について、リコージャパン ワークプレイスエクスペリエンス事業センター長の原田尚氏、九州ソリューション推進室 スマートハドル推進グループの酒井美恵氏、東京支社 デジタルプロモーショングループの鈴木健弘氏に聞いた。
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リコーがオフィスオートメーションを提唱したのは、1970年代。人は創造的な仕事に従事すべきという考えのもと、機器やサービスを組み合わせたソリューションを提供してきた。ワークプレイスエクスペリエンス(WE)事業センター長としてRICOH Smart Huddleの企画・開発を主導する原田氏は、同サービスの出発点にはリコーの「ビジュアルコミュニケーション」のサービスがあったと話す。
「液晶ディスプレイを使ったインタラクティブホワイトボード、プロジェクター、会議システムという3つを柱にしたビジュアルコミュニケーション事業で、本格的にデジタルサービスへと踏み出しました」(原田氏)。同時にリコージャパンでは、什器の提案や内装を含むワークプレイスデザインを展開。リコーとしてデジタルサービスを展開する一方で、営業の現場ではオフィスづくりの支援が行われていた。
リコージャパン デジタルサービス企画本部 ワークプレイスエクスペリエンス事業センター長
原田 尚氏
ビジネスの転機は、コロナ禍で起きた働き方の多様化だ。リモートワークや出社と在宅を組み合わせたハイブリッドワークが浸透。Zoomなどのツールを使ったデジタルでのコミュニケーションとリアルなオフィス空間の融合が課題になる中で、デジタルサービスとオフィスづくりを手がけてきたリコーだからこそ、新しい働き方に関する価値提供ができるという確信のもと「RICOH Smart Huddle」はスタートした。
東京支社のデジタルプロモーショングループのリーダーとして、東京23区エリアの顧客と接してきた鈴木氏は、コロナ禍を経てリアルなオフィスの価値が再評価されたことを実感する。
「お客様の多くは、チームビルティングの観点から出社の重要性を感じています。社歴の浅い若手も含めて、組織の一体感を醸成するには顔を合わせる時間が大切。リモートでも働くことができる。それでも会社に行くと、ワクワクと自分らしく働くことができ、成長に繋がる。そういう働きがいを生むオフィスが求められています」(鈴木氏)。
リコージャパン デジタルサービス営業本部 東京支社 事業戦略部 デジタルプロモーショングループ リーダー
鈴木 健弘氏
一方で、リモートワークやハイブリッドワークの導入に不安を感じる企業もまだ多いと鈴木氏。九州エリアのRICOH Smart Huddleの企画推進と営業を担う酒井氏も、「エンゲージメントや人材確保という課題を抱える経営層が多い」と語る。ワークスタイル変革の初期段階にいる企業も多い中で、リモートワークも含めた働き方をトータルで提案する必要があると両氏は感じてきた。
「RICOH Smart Huddle」はそうした課題に、デジタルサービスとワークプレイスデザインの両輪からアプローチするワークスタイルコンセプトだ。その特徴を原田氏はこう語る。「デジタルサービスや機器とワークプレイスデザインの融合によって新しい働く場所を作ること。そして、オフィスの設計から施工、什器やデバイスの選定・運用までをパートナー企業様との共創により支援できるワンストップバリューサークルのエコシステム。これらオフィスに関するすべてのソリューションをトータルでご提供できるのが、RICOH Smart Huddleの強みです」。
RICOH Smart Huddleの本格始動から約2年が経ち、酒井氏が担当する九州エリアでも、RICOH Smart Huddleコンセプトによる事例が次々と生まれている。
「什器メーカーのオフィスで実施したRICOH Smart Huddleのイベントは多くの反響がありました。お客様に、デジタルツールを使った新たなミーティングスタイルやサイネージによるエントランスでのブランディングといった活用シーンをご覧いただいたところ、取引のなかったお客様からオフィスリニューアルを受注。物件のご紹介から内装工事や什器、機器の手配・配置まで、トータルでオフィス移転をご依頼いただける案件も増えています」(酒井氏)。
リコージャパン デジタルサービス営業本部 九州統括センター 九州ソリューション推進室 スマートハドル推進グループ リーダー
酒井 美恵氏
現場の営業スタッフは顧客から、「遠隔地とのコミュニケーションがとりやすくなった」「業務効率だけでなくモチベーションも上がった」また、経営者からは「社員がイキイキと働いている」などの喜びの声を多く受け取っている。提案の幅が広がり、什器のみの商談がICTツールも含めた受注に繋がるなど、売上単価が上がる点も営業スタッフのやりがいにつながっている。酒井氏自身も、「魅力あるオフィスがお客様の"はたらく歓び"につながり、私を含めグループメンバーも、そのお手伝いができることに歓びを感じています。『こんなに素敵なオフィスにしてくれてありがとう』と感謝されることがとても嬉しいですね」と、RICOH Smart Huddleから広がる"はたらく歓び"の輪を実感する。
リニューアル前のオフィス
リニューアル後のオフィス
壁側に集中できる一人席を設置し、フリーアドレスで柔軟な働き方に対応。開放感のある空間で、個とチーム双方のワークスタイルを支援
RICOH Smart Huddleを、リコーの社内実践を通じて体験できるのがLiveOffice「ViCreA」だ。ViCreAはValue innovation Creative Areaの頭文字から作られた名称で、全国80拠点で展開。その目的について、ViCreAの企画・運営も手がける鈴木氏はこう話す。
「ViCreAは、ワークプレイスに関する最新のツールやソリューションの価値を、リコージャパンの社員が実際に働く姿を通じてご紹介する場所です。オープンスペースだけではなくオフィス内もご案内でき、様々なツールを活用して取組んできた成功事例やノウハウ、苦労話などもご紹介しています。ViCreAに来て実際に触れることで、提案書だけでは伝わらない便利さを実感していただけます」(鈴木氏)
道の起点「東京・日本橋」で生まれる“交流と共創”を目指したViCreA 東京
ViCreA 東京は、東京駅からも近い日本の中心に位置する国内最大のLiveOfficeだ。「道の起点『東京・日本橋』で生まれる"交流と共創"」というコンセプトで、2025年2月にリニューアル。約半年で全国から500社を超える企業の担当者が来訪している。「多くの方がViCreA 東京でワクワクするオフィス空間を体感して、リコーのファンになってくださっています」と鈴木氏は笑顔を見せる。
交流と創造を生み出すオープンなスペース
社員が働きやすい環境と共に、お客様やパートナー企業様との交流を促す空間を広く設け、様々なアイデアを生み出す
鈴木氏は、ViCreA 東京で全国の人とつながれることにも歓びを感じている。「全国のリコーグループ社員やお客様、パートナー企業様とお会いして、リコーの取り組みに感動していただいたり、何かを持ち帰っていただけることが自分自身の成長にもつながっています。リコーの創業の精神である『三愛精神』に『国を愛す』とあるように、リコーは地域社会への貢献にも注力しています。ViCreA 東京のオフィスには日本橋をイメージした橋がありますし、山口県の萩営業所は古民家をリノベーションしたオフィスです。各地の特色を生かしたオフィスも含めて、魅力ある働く場所を全国に増やしていくことで、日本を元気にできると思っています。」(鈴木氏)。
ViCreA 東京オフィス内に設置された江戸時代の日本橋をイメージした橋
社員の"はたらく"がより快適になるよう、自然を感じられる要素を取り入れたオフィス
WE事業を主導する立場として原田氏は、リコーグループで働く人の“歓び”を生む仕組み作りも重視する。「我々のミッションは、お客様の幸せに加えて、リコーグループの社員が楽しく働ける環境を作ること。社員が自信を持って笑顔でお客様に対面できるように、これからも価値あるサービスやコンセプトを現場に届けたい。自分の周りにいる人々の笑顔が、私の最大の"はたらく歓び"です」(原田氏)。
原田氏は、リコーがワークプレイスサービスプロバイダーとしての確固たる地位を確立するために、RICOH Smart Huddleの価値創造型提案を加速させたいと話す。「お客様からオフィスチェアが2脚ほしいという相談を受けた時、メーカーや機能などの詳細を詰めて具体化していくのが営業スタイルの基本です。RICOH Smart Huddleの提案においては、なぜ椅子が2脚必要になったのか、中途社員を2人採用したから、その背景には、若手社員が定着しない、在宅勤務ができない環境への不満があるというように、潜在課題を発掘していきます。在宅勤務ができるツールの導入や、コラボレーションスペースの設置といった形で提案を広げていくと、より本質的な顧客課題を解決できます」(原田氏)。
2025年7月には、欧米で先行展開していたワークプレイス管理のプラットフォーム「RICOH Spaces」の提供が日本でもスタート。他のシステムとの連携も可能で、オフィス管理の合理化やコミュニケーションや業務の効率化を実現する。RICOH Smart Huddleのコンセプトをベースとした業務支援のAI開発も進む。「顧客接点力のリコーだからこそ、お客様の"なりたい姿"に寄り添い、共に実現していくオフィスづくりができる」と原田氏は自信を見せる。RICOH Smart Huddleはこの先も、価値ある"はたらく"を更新し続けていく。