リコーのDX 4つの主要戦略

戦略3 プロセス・IT・データ 三位一体の推進

リコーはデジタルサービスの会社への変革のために、21次中経で4つの主要戦略を策定しました。その戦略の1つ「プロセス・IT・データ 三位一体の推進」についてご紹介します。

プロセスDXの実践とお客様への価値提供

オペレーショナルエクセレンスの実現に向け、プロセスの一部ではなく全体で変革するために定型的かつ効率的にプロセスDXを実践する「型」を定義し、デジタル技術とデータを活用した業務プロセス改革に取り組んでいます。2023年度は本取り組みの範囲を部門単位から全社レベルに拡大するとともに、リコーグループ内で実践・蓄積した経験を事例に、お客様向けサービスとして価値提供していきます。

プロセスDXの実践とお客様への価値提供のフローを説明します。プロセスDXの実践は「可視化」「最適化」「デジタル化」の3つのフローがあります。「可視化」のフローでは、まず「業務の可視化」により、業務構造/業務量などを可視化し、改善の可能性を把握します。次に「業務モデリング(作業の可視化)」により、改善対象業務をBPMNで業務フロー化して問題を把握したり、プロセスマイニングを活用して業務プロセスの実態を把握したりします。また、実践範囲拡大も行います。「最適化」のフローでは、前段の「可視化」のフローや、データを使った最適化の同時実施・現場での人材育成から、あるべき姿を描き、実現にむけたプロセスの最適化を検討します。そして、BPMによるデジタル化(データ連携)を行います。そして「デジタル化」のフローでは、デジタルツール(SaaS・PaaSなど)を活用します。「最適化」フローのBPMによるデジタル化および「デジタル化」フローにおいては、ナレッジマネジメントにより業務ナレッジを蓄積・利活用します。以上のプロセスDXの実践の「可視化」「最適化」「デジタル化」のフローより、お客様に価値提供・実戦事例・支援を提供します。
  • *1

    BPMN:Business Process Modeling and Notationの略。ISO19510に準拠したビジネスプロセスの表記法

  • *2

    BPM:Business Process Managementの略。業務プロセスの現状を把握し、変更や改善を行うことで、本来あるべきプロセスに継続的に近づけていくための業務管理手法

  • *3

    SaaS:クラウドサービスとして提供されるソフトウェアのこと

  • *4

    PaaS:アプリケーションが稼働する上で必要なサーバーやOS(オペレーティングシステム)、ミドルウェアといったプラットフォームをクラウド上で提供しているサービスのこと

基幹システム刷新に合わせた業務プロセス改革

現在進めている基幹システムの刷新では、エンタープライズアーキテクチャー*の考えに則り、統一化されたSaaSを導入していきます。SaaSの標準プロセスに自社のプロセスを極⼒合わせながらも、変わり続けるプロセス、他社との差別化を図るプロセスについては周辺プロセスとして自社開発することで、今後の変化に迅速、かつ柔軟に対応できるようにします。

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    エンタープライズアーキテクチャー:企業全体のシステムを統一的な手法でモデル化し、業務とシステムの最適化を図る手法のこと

SaaS(標準プロセス)と周辺プロセスの関係性を説明します。SaaSは現状の業務プロセスを標準プロセスに合わせることが基本です。周辺プロセスは変わり続け、差別化プロセスは自社開発です。

ハイパーオートメーション*で社員エクスペリエンスを飛躍的に向上

これまでのプロセスDXの実践により、社員自らが担当している機能の業務プロセスを改革し生産性を上げることについては一定の成果を上げてきました。今後は個人の担当機能の業務だけでなく、その業務が影響を及ぼすすべての社員のオペレーションまでを含めた全体のプロセスを対象とします。デジタルとデータを徹底的に使いこなして社員エクスペリエンスの飛躍的な向上にチャレンジし、変化に強いオペレーショナルエクセレンスな業務プロセスを確立します。

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    ハイパーオートメーション:デジタル技術とデータを活用し、複数業務を連動させて自動化することで、生産性を飛躍的に向上させること。

ハイパーオートメーションによるプロセスの変化を説明します。現状の機能ごとに最適化されたプロセスでは、A機能はAシステム、B機能はBシステム、C機能はCシステムと、システムが機能ごとに分かれており、オペレーションが分断されています。目指す姿の機能横断で最適化されたプロセスでは、ハイパーオートメーションで全体のプロセスを自動化し、A機能、B機能、C機能を横断した1つの〇〇業務プロセスとします。プロセスとハイパーオートメーション実現のためのツール群(RPA・AI・生成AIなど)を連動。ツール群とAシステム、Bシステム、Cシステムを連動し、基幹システムに手を入れることなく、広範囲に自動化します。

社内実践での経験を活かしてお客様の課題を共に解決する

社員各人が所属組織での業務遂行で得た専門機能/分野の知識と、リコーグループ内でのプロセスDXの実践経験で身につけたスキル・ノウハウをもとに、2022年度からは、お客様の課題をお客様と共に解決する取り組みを始めています。お客様へのお役立ちの達成感が、社員の「“はたらく”に歓びを」の実感へもつながる、そんな姿を目指しています。

リコーグループ内でのプロセスDXのソリューション提供について説明します。ソリューション提供は「可視化」「最適化」「デジタル化」のフローに分かれます。「可視化」には業務可視化・業務プロセス診断が含まれます。「最適化」にはプロセス最適化支援が含まれます。デジタル化にはツール活用支援と、全フローのゴールとしてリコー商品・サービスと他社のICT機器やソフトウェアを組み合わせて提供することが含まれます。スキル学習支援(業務フロー/データ分析/AI活用)は、「可視化」「最適化」「デジタル化」すべてのフローで行われます。また、DX戦略策定/仕事の仕方展開/Microsoft 365ガバナンス・使いこなし(方針・戦略、CoE構築、社員の意識改革の支援)なども、「可視化」「最適化」「デジタル化」すべてのフローで行われます。※Microsoft 365は、米国Microsoft Corporationの、米国およびその他の国における登録商標または商標です。

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