出典:2021年度有価証券報告書
「第一部 第2-2【事業等のリスク】」より
(提出日 2022年6月27日)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響があると経営者が認識しているリスクを以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では特筆すべき、又は重要と見なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響や対応については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営成績」を参照ください。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴う業績への影響については、ワクチンや経口薬の開発・普及など明るい兆しが見えてきているものの、地域ごとの状況も異なり、未だに全体を正確に見通すことは難しい状況にあります。
当社グループはグローバルで事業活動を行っており、その主要市場である日本、米国、欧州の経済状況は事業に大きな影響を及ぼします。先に述べた新型コロナウイルス感染症が各市場に及ぼす影響が想定と乖離した場合はもちろんのこと、ロシア/ウクライナ情勢や、先行きが不透明な米中貿易摩擦等、保護主義の台頭による各国の動きについては業績に影響を及ぼしうる主なリスクであると認識しております。
また、その他の想定外の事象により主要国の経済状況が急速に悪化するリスクは潜在的に存在していると認識しております。
当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化を注意深く見守り、状況に応じた対応が取れるように対策を行っております。ロシア/ウクライナ情勢について、従業員とその家族の安全安心の担保を最優先にした危機管理チームを設置し、刻々と進展する状況に対応しています。
米中貿易摩擦については、従来から行ってきたBCP対策(並行生産)を活用し、主力製品の生産を出荷地域別に中国工場とタイ工場に振分け、関税リスク軽減策を実施して参りました。
関税やサプライチェーンの混乱により発生する当社製品の原価コスト増分に対し、お客様のご理解を頂いた上で、製品の価格に一部転嫁させて頂いております。
当社グループが関連するそれぞれの事業分野において、競合会社との競争激化により、業績に悪影響が出る場合があります。
等がリスクとして考えられます。
当社グループでは、各事業分野において顧客の価値を高める新製品を企画し、継続的に導入することを計画しております。
当社グループでは、生産活動及び販売活動の相当部分を日本以外の米国、欧州及び中国等その他地域で行っており、事業活動において部品・原材料の価格変動及び為替レートの変動による影響を受けます。
等がリスクとして考えられます。
当社グループでは、
当社グループは、お客様のニーズの変化に対応して様々な製品・サービスを提供するために必要に応じて他社との業務提携、合弁事業や戦略的投資を行っております。これらの施策は双方の経営資源を有効に活用し、タイムリーに新技術・新製品・新サービスを開発・販売する上で有効な手段と考えております。様々な理由により、
等の状況に陥るリスクが考えられます。
当社グループでは、多様化するニーズに柔軟かつ確実に対応していくために、他社との協業や戦略的投資は今後ますます重要性が増してくると考えており、これを“重点経営(戦略)リスク”と位置づけ、事業ポートフォリオ管理プロセスや意思決定のプロセスの更なる強化に努めております。
当社グループにおける執行の最高意思決定機関であるGMCの諮問機関として“投資委員会”を設立し、投資について、資本コストも踏まえた財務的視点での妥当性、事業戦略視点での収益性や成長性リスク等の観点で投資計画の検証を行っております。多様化する外部への投融資案件について、専門的なメンバーが事前に確認/協議することにより、経営戦略との整合性や投資効果を高め、投資判断のスピードと適確性を向上させることを狙いとしております。
投資委員会の審議結果は、GMCにおける投資案件審議の際に共有され、意思決定をサポートします。また、決裁された外部への投融資案件に関して、投資委員会が進捗モニタリングを行うことにより、継続的にプロセス改善が回る仕組みを構築しております。
また、2019年度からPMI人材育成プログラムを期ごとに開催し、継続的なノウハウ蓄積と人材の育成を実施しております。
近年の急速な技術進化、革新への適切な対応は、当社グループの製品・サービスの競争力の源泉であります。
グローバルでの競争激化の中、お客様や社会が直面する課題をいち早く解決する技術の重要性がますます高まっております。当社グループではこれを“重点経営(戦略)リスク”と位置づけ、新たな社内カンパニー制度の下で意思決定プロセスのさらなる強化に努めております。
グローバルマーケット向けの製品・サービスの技術変化に対応するため、グローバルに研究開発拠点を設け、それぞれの地域特性も活かしつつ、グローバルに拠点間の連携を深めて研究開発を推進しております。また、変化の激しい市場環境に対応するために、自社単独での研究開発にこだわらず、大学・研究機関・企業と積極的に連携し、研究開発活動を加速させるオープンイノベーションを推進しております。
更に、CTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)、CDIO(Chief Digital Innovation Officer:最高デジタルイノベーション責任者)を設置し、全社を通じた研究開発・技術開発の重点領域の選定、CTO/CDIO主催のグループ内連携会議等を通じて、経営戦略と連携した適切な資源配分を行い、技術力強化に向けた活動を推進しております。
加えて、グループ本部機能であるCTO配下の「先端技術研究所」、CDIO配下の「デジタル戦略部」がデジタルサービスの会社に必要な研究開発領域に特化し、カンパニー間の連携強化、及び、グループ横断での技術者の連携の推進・技術力強化と、全体最適に配慮した人材配置を行っております。
当社グループがデジタルサービスの会社への事業変革を成し遂げ、中長期的に成長を続けることは、人材に大きく依存します。
等を継続して獲得、育成しなければ、当社グループの業績、成長に悪影響を及ぼすリスクがあります。
当社グループでは、人材の確保・育成を“重点経営(戦略)リスク”と位置づけ、次のとおり対策を進めております。
当社グループは当社グループ製品の販売及びリースに伴い、一部のお客様に対してファイナンス事業を行っており、
等のリスクが考えられます。
当社グループは、
当社グループは、デジタルサービスの会社への転換に向け、様々なデジタルサービスの活用・提供、自社業務のデジタル化の実践などを行ってまいります。その上で、情報セキュリティを確保する体制・運用を重視し取組んでおります。
当社グループは、各国、国策レベルで対策が求められてきている中、変化し続ける情報セキュリティ情勢を常に把握した上で、グローバルに活動拠点のある当社グループにとって適切な対策を検討・推進していくことを、“重点経営(オペレーショナル)リスク”の中でも最重要課題の一つと位置づけております。
当社グループが製造・販売する製品に、
等が発生することで、お客様や社会の信頼を失墜させ、企業ブランドや製品ブランドが毀損され事業継続が困難になるリスクが考えられます。
当社グループでは、「製造物責任」に対する予防・対応プロセスを強化しております。
大規模地震、津波、政変・騒乱、洪水、感染症の拡大、サプライヤーの供給停止及び地政学リスクによる不測の事態により、
等が発生し、ビジネス機会を損失するリスク等が考えられます。
当社グループでは、「製品の長期供給遅れ/停止」を“重点経営(オペレーショナル)リスク”と位置づけ、予防・対応プロセスを強化しており、BCP在庫の確保、重要部品別に複数仕入先選定を実施しております。
更には仕入先様が被災後、供給再開までの工場稼働停止等によりお客様への製品提供が止まることの無いようにしております。
また、リスク範囲を局部、復旧期間を短期と想定してきましたが、新型コロナウイルス感染症の急速な世界的拡大の経験や地政学リスクから、これまでの活動に加え今後はリスク範囲を局部からエリアへ拡大、復旧期間を短期から長期とし有事に備えた環境整備を行ってまいります。また、想定リスクに基づく行動計画及び机上訓練のみならず一定の実践を常態的に行い、対応策の有効性の確認と改善を継続的に行ってまいります。
当社グループは、知的財産権を重要な経営資源と捉え、現在及び将来の自社事業とそれを支える技術等の保護、差別化とその拡大のために、特許権、意匠権、商標権等の知的財産権を獲得しておりますが、競合他社が同等の技術等を開発して独自性が低下したり、各国特許庁の審査で狙いどおりの権利獲得ができず十分な保護が得られないリスクがあります。
また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害するとして、第三者から、販売の差し止めや損害賠償金の支払い等を求める警告を受けたり、訴訟を提起されるリスクがあります。
更に、当社グループの新規事業立上げで、他社との協業、共同研究や共同開発が活性化していることに伴い、知的財産権に関する契約が増えておりますが、当該契約でトラブル等が発生すると、自社事業に悪影響を与えるリスクが大きくなります。
当社グループでは、特許等の出願前に先行技術調査を徹底するとともに、各国の知的財産に係る法律、審査基準やプロセスを把握し、知的財産権獲得の精度向上に努めております。
また、自社製品・サービスを市場に提供する前に、第三者の知的財産権の調査と、自社製品・サービスと第三者の知的財産権との対比検討を徹底しております。第三者の知的財産権を侵害するリスクがある場合、外部の弁護士や弁理士による鑑定、必要であれば設計変更、ライセンス交渉やライセンス取得を行い、第三者との係争リスクを低減しております。
当社グループでは、「知的財産権の保護」を業績に影響を及ぼすリスクとして重要視し、過去に発生した、知的財産権に関する契約トラブル事例を形式知化し、トラブルの予防とリスク低減をしております。
輸出入関連法違反に対する輸出停止措置等の行政制裁による生産・販売への影響、社会的信用の失墜による取引の機会損失、罰金や刑事罰・国際的有事等の外的要因による各国の輸出規制法違反等のリスクがあります。
当社グループの事業活動を行う中で、独占禁止法/競争法の違反が発生した場合、課徴金(行政処分)の負担や刑事罰、官公庁との取引停止、社会的信用の失墜によるビジネスへの悪影響等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。
当社グループでは、独占禁止法及び各国競争法の遵守徹底のため、各地域の法務部門が主導し教育活動及び発生時対応の強化に努めております。
当社グループの事業活動を行う中で、人事関連の各種・コンプライアンス違反(ハラスメント、雇用関連、人権等)が発生した場合、社会的信頼を失墜し、事業に悪影響を及ぼすリスクがあります。
当社グループでは、「公的な規制への対応(人事)」を“重点経営(オペレーショナル)リスク”と位置づけ、役員・社員一人ひとりが「リコーウェイ」を実践し、社会的責任を果たすために、国内外における関連法令、国際ルール及びその精神を理解し遵守しつつ高い倫理観をもって行動するという観点から「リコーグループ企業行動規範」を定め周知徹底を図っております。
人事関連の各種法規制の制定や改訂に関しては、速やかに対応し、社内ルールの新設、見直し、及び社員教育の実施を行う事で未然防止に努めると共に、発生時の対応体制の整備、ルール化を行っております。また、当社は2019年10月にサプライチェーンにおける企業の社会的責任を推進する企業同盟「Responsible Business Alliance」(RBA)に加盟しました。人権に関しては、国際社会における人権課題の広範化を踏まえ、従来の人権方針の内容を見直し、2021年4月に「リコーグループ人権方針」を策定致しました。
本方針に基づいた事業活動の実践のため、社内教育の徹底に加え、サプライチェーンに属する企業に対しても、RBA行動規範に準じ児童労働や強制労働の排除等を規定した「リコーグループサプライヤー行動規範」の遵守をお願いしております。その遵守状況は定期的な「CSRセルフアセスメント」を通じてモニタリングし、必要な改善を促しております。また、英国現代奴隷法(The UK Modern Slavery Act 2015)に基づくステートメントを公表しております。
当社グループの事業活動を行う中で、各種環境・労働安全衛生関連法の違反が発生した場合、行政処分等による生産への影響や課徴金の負担、刑事罰、社会信用の失墜やブランド価値の毀損によるビジネスへの悪影響等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。
当社グループでは、環境マネジメントシステムを構築し、定期的なアセスメントによる環境関連法の順守徹底とともに、規制変化等のタイムリーな把握・対応に努めています。
また、リスク項目「公的な規制(人事)」に記載しましたとおり、当社はグローバルなサプライチェーンにおける企業の社会的責任を推進する企業同盟RBAにも加盟しRBA規格に準じた社内規範の制定、人材の育成等、グループ全体でESGリスクマネジメントシステムを構築しています。
さらに、RBA規格に基づく第三者監査を通じてESGリスクを把握し、リスクを最小化する改善活動を進めています。
当社グループは、企業買収の際に生じたのれん、事業用の様々な有形固定資産及び無形資産を計上しております。
これらの資産については、今後の業績計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、リスク項目「他社との業務提携、戦略的投資」に記載しましたとおり、投資委員会において買収金額の妥当性審議を行い、投資を決定しております。
確定給付制度債務及び年金制度の資産に関し、一定の会計方針に基づいて当社グループはこれらの給付費用を負担し、政府の規制に従って資金を拠出しております。
現時点では、直ちに多額の資金は不要ですが、株式や債券市場等の予測し得ない市況変動により制度資産の収益性が低下すれば、追加的な資金拠出と費用負担が必要になるリスクがあります。
当社グループは、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しております。
気候変動はグローバルに活動する当社グループにとって重要な課題であると認識し、TCFD(*4)のフレームワークに沿った分析と対策を実施しております。
主なリスクとしては「脱炭素社会移行への対応遅れによるリスク」及び「気候変動による物理的リスク」があります。
(脱炭素社会移行への対応遅れによるリスク)
等がリスクとして考えられます。
(気候変動による物理的リスク)
等がリスクとして考えられます。
気候変動に関する事業影響については、全社リスクマネジメントの枠組みの中で“重点経営(戦略)リスク”の一つとして管理しています。
(脱炭素社会移行への対応遅れによるリスク)
(気候変動による物理的リスク)
詳細は、リスク項目「部品・原材料の価格、為替レートの変動」「製品の長期供給遅れ/停止」「災害等による影響」に記載のとおり、水害リスク分析による設備投資の検討、調達系列の二重化、材料や部品在庫の積み増し等、サプライチェーンに対するリスクマネジメントを強化しています。また、サプライヤーと協力し、事業継続能力向上に取り組むため2021年度にサプライヤー様向けにESG説明会を行いました。サプライヤーにおける気候変動リスクを含めたESGへの対応を強化しコミュニケーションを通じて強靭なサプライチェーンを継続して構築していきます。
当社グループでは、国内外で発生する大規模な自然災害・事件・事故において、人的(家族を含む)/物的被害が生じ、経営に著しい影響を受けるリスクを想定しています。
(想定している災害・事故・事件)
当社グループでは、「災害などによる影響」を“重点経営(オペレーショナル)リスク”と位置づけ、標準において、非常時の初期対応(事業所復旧含む)、報告方法、各対策本部の設置を含めた体制と役割について明記し、災害発生の際に適切な対応が取れるような仕組み(予防策、発生している事案の早期発見/事案発覚後の対応力を高めるための取組み)を構築しております。
災害の発生を防ぎ、万が一災害が生じた場合の被害を最小限に抑えるために、国内グループ合同での災害対応訓練や事業所単位での防災訓練、定期的な設備点検等を実施しております。また地域や事業に応じたBCPを作成し、被災時でも重要な事業を継続し、早期に事業復旧できるよう準備を行っております。
特に近年は気候変動により、国内における水害リスクが高まっております。2020年度は国内の主要19拠点を対象とした水害リスクに関する詳細調査を行い、調査結果に基づく被害想定と対策案を経営会議にて報告しました。その結果、特にリスクが高いと想定される3拠点の重点的対応が決定し、2021年度から必要な工事等に着手するとともに関連自治体等との連携を図りながら対策を実施しています。
また、大地震発生時と同様に大規模な水害発生時の復旧行動計画も策定しており、その計画書に基づいた実地訓練も行っています。
影響度、緊急度、リスクマネジメントレベルの詳細については、リスクマネジメント「重点経営リスク」の決定プロセスを参照ください。