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リコー所属の女子プロゴルファーとして、着実な成長を続けてきた河本結選手。今季はすでに2勝を挙げ、賞金・ポイントともに年間ランキングの上位につけるなど、世代を代表するゴルファーに成長。そんな河本選手に「自身の挑戦」について振り返ってもらった。(取材:2025年10月27日)
私の両親、特に母が大のゴルフ好きだったこともあり、5歳からゴルフを始めました。当時は、弟(※河本力選手。現在も共にプロゴルファーとして活躍)と2人でゴルフスクールに通っていました。練習は厳しかったのですが「1人じゃなかった」ということが、かなり大きかったですね。
努力した甲斐もあり、小学4年生の頃には西日本のゴルフ大会で初めて優勝。それがすごく嬉しくて、その頃からプロゴルファーを意識し始めました。
アメリカ挑戦に対しては「まだ早い」という声もあったのですが、私自身が挑戦したいと強く思ったから、渡米しました。
ただ、私はそこで自分のスイングや球筋など、ゴルフスタイルを変えてしまったんです。その結果、自分にはうまくはまらなくて、方向性も見失って、ご飯も喉を通らなくなって……という状況でした。
もしかすると私が日本に帰ってくることは、周りから見れば「諦めて帰ってくる」という格好悪いイメージだったかもしれません。それでも自分の中では「ゴルフで生きていくには、この諦めも大事かもしれない」という気持ちが芽生え、帰国を決断しました。
今までよりもがむしゃらに、ゴルフをするようになりましたね。辛いし辞めたいし、やりたくないけど、もう私にはゴルフしかない。さまざまな誘惑をすべて断ち切って、ゴルフに100%向き合う覚悟を決めました。
だから帰国してすぐのうちは、めちゃくちゃ練習したんですよ。でも、今振り返ってみると「私にはゴルフしかないからやらなきゃ…」「やらないといけない」というネガティブな感情でトレーニングをしていた感覚ですね。
ゴルフへの向き合い方、接し方とか、自分のあり方がガラッと変わった気がします。自分のことを見つめ直して再発見できたのが「ゴルフを通して、少しでも多くの人に感動、元気、笑顔とか、ちょっとの幸せを届けたい」という思いだったんです。
またメンタルトレーニングを始めてからは、こうしなきゃいけないというより「したいから、する」とか「こうなるために、自分は今こう過ごしている」というポジティブなメンタルへ変わりましたね。
それから、何かをコントロールできるのは、今ここに居る自分だけ。そこに気持ちを向けるようになりました。他人の行動や環境など、コントロールできないことに気分を持っていかれるのではなく、「自分の機嫌は自分で取る」ことを大事にしています。
やっぱり、多くの人の愛ですかね。 事務所の方、家族、サポートしてくれるスポンサーの方、懸命に応援してくれるファンの方々だったりと、どんなに苦しいときでも私から離れることなく、そばにいてくれる方がいて、愛をすごく感じました。
スポーツの世界って、成績が出なければ契約を切られてしまうことが普通なんです。成績が伸びないときにも支えてくれる人がいるのは、もうその人たちの愛でしかないな、と心から思いましたね。
一緒にプレイしていた憧れの先輩方が引退されていく姿を見て、先輩たちが今の時代を作ってくれたんだなと思ったんです。だから、今度は次の世代に幸せな環境を繋いでいくことが、私たちの役目だと考えています。
YouTubeでの発信や子どもたちへのファンサービスに力を入れるのも、「ゴルフをしてみたい、私もこういう選手になりたい!」と感じてくれる方が1人でも増えてほしいから。そういう子たちが次の世代で入ってきてくれて、女子ゴルフの世代を築いてくれたらいいなと思います。
私は「今日が一番若い」と思って生きています。1時間後、明日には現在よりも歳をとっていく。今が一番若いから、できることをしようと。これが何年か先の自分の肥やしになっていく。そう思うと、勝手に体が動きますし、それが習慣化されて、億劫じゃなくなっていきますね。
私が送りたいメッセージは「現実に生きず、未来の自分のイメージに生きてほしい」ということです。
私自身、ここ数年は年間女王になってる自分をイメージして、日常生活を送っているんです。「年間女王になっている自分なら、こういう選択をするよね。こういう意見を取り入れるよね」という風に、その目標をイメージするだけじゃなくて、自分がまさにその立場になっていると思って、過ごしてみると、勝手に体が動くのだと思っています。
そういった意味でも、リコーカップはもちろん優勝したいと思っています。自分ができることを全力でやって、ゴルフができる歓びをプレーやそれ以外の部分も通じて伝えていきたいですね。
未来を見据え、自分の挑戦を歓びに変えていく河本結選手。彼女の姿勢は、リコーグループの使命と目指す姿「"はたらく"に歓びを」とも響き合う。 リコー所属アスリートとして挑戦を続ける彼女から、これからも目が離せない。