本記事は、日経BPの許可により日経クロステック2025年3月28日-5月16日に掲載した広告を転載したものです。
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※所属・役職はすべて記事公開時点のものです。
最新AI技術を活用し、企業の課題解決に繋がる価値を共創する拠点「RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO(以下RICOH BIL TOKYO)」。RICOH BIL TOKYOを立ち上げた菊地英敏氏にこの場所が生み出す価値創造について話を伺った。
RICOH BIL TOKYOは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための拠点として、ビジネスデザインの設計から、最新のAI技術の実装までを伴走支援している。2018年の開設以来、860社もの企業が来訪したRICOH BIL TOKYOでは、それぞれの顧客に対して状況や環境、経営課題についてヒアリングした上で、業務プロセスの可視化や効率化、最適化を支援するデジタルツール、データの利活用による業務改善の提案、サポートを提供する。単なるデジタルツールの提供にとどまらず、企業が抱える課題やビジョンについて顧客と対話し、共に価値を創出することを目的としている。2024年には場所を品川に移転・拡張し、この1年でも既に399社の企業が来場。リコーのExecutive Briefing Centerとして企業の経営層との対話から新たな「問い」を生み出している。
RICOH BIL TOKYOはこのようにして、業務を効率化させるだけでなく、働く人が創造力を発揮し、人にしかできない仕事へシフトできるよう支援している。
株式会社リコー BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO General Manager
菊地英敏氏
RICOH BIL TOKYOは事前予約制で、顧客に最適な戦略を提供するための専任のビジネスデザイナーが対応する。来場当日は事前のリサーチや課題分析を基に、課題の深掘りや戦略策定のためのディスカッション、デモエリアの見学などを行う。提案は、来場当日の単発の提案にとどまらない。フォローアップや継続的なサポートを行い、顧客に2度、3度と来場していただくことで、より精度の高いソリューションを検討していく。
具体的なソリューション事例として、自然言語処理AIを活用し、情報の分類や仕分けを行うAI技術を実装したサトーホールディングス株式会社との取り組みが挙げられる。サトーホールディングスでは、毎日従業員約2,000人が「三行提報」というものを作成している。三行提報は127文字以内で、会社をよくするための提案をするというものだ。これを経営企画のメンバー10人が内容を精査し、15件を選出。選んだ15件を毎日社長に提出していた。しかしこの選別作業には1人あたり約1時間半、月にして延べ300時間という膨大な時間と労力がかかっているため、AIを活用して効率化できないかとリコーに相談した。
そこでリコーは人間の判断と遜色ないレベルの精度で提案を選別できるAIを実装。最も難しかった点は、提案の意図を正しく判断することだ。例えば、ある社員が否定的なニュアンスを述べながらもその中に前向きな提案を含めていた場合、AIが単純に否定的な意見として排除してしまうと会社にとって価値ある提案を見逃してしまうことになる。パラメーターを調整して約200のモデルを作成し、経営企画チームと同じような基準で社員からの提案の仕分けができるAIを実現した。最終的にAIをAPIでシステムと連携し仕分けを自動化することで、作業負担を大幅に軽減できた。
株式会社Edoやイトーキ株式会社との共創事例では、対話型AIサービス「ぐりん」を共同で開発。元々イトーキはソーシャルインパクトの創出を大切にしており、特に子供たちの教育格差の問題に注目していたという。例えば、塾に通うのに片道1時間以上かかるような山間部に住んでいる子供たちは、もっと勉強したくても移動時間の制約で十分に学ぶことができない場合がある。そこで生まれたのが、AIエージェントを塾講師のかわりにするというアイデア。AIの力で、自宅でも追加学習ができる環境を整えることが可能になった。このプロジェクトでは、AIエージェント「ぐりん」の頭脳となるアルゴリズムと音声認識技術をリコーが提供し、より自然で親しみやすいAIエージェントの実現を支援した。
リコーは、長年にわたり培ってきたドキュメント管理技術とAIを組み合わせたソリューションの提供にも力を注いでいる。特に需要が高いのが、企業の紙のデータを構造化されたデジタルのデータに変換する技術だ。多くの企業では、膨大な紙のファイルの中に重要な情報やノウハウが蓄積されているため、業務において有効に活用できていない。それらを整理して検索しやすくしたい、あるいはAIを活用して業務に役立てたいというニーズが高まっている。
しかし、こうした資料には写真やグラフ、図表、手書き文字などが含まれることが多く、単純な電子化では十分ではない。情報を正しく分類・整理し、構造化データとして扱えるようにするには高度な技術が求められる。
この課題に対応するため、リコーはテキストだけではなく図や表組・画像等も含まれる企業内のドキュメント群を読み取ることができるマルチモーダルLLMを開発している。このプロジェクトは、経済産業省が推進する国内生成AI開発力強化プロジェクト「GENIAC」に採択され、リコーは協力企業と共に各業界に最適化されたAIの学習モデルの構築を進めるなど、積極的に開発を進めている。
このほかにも、AIエージェントを活用して自身の知識や経験を後世に残したいと考える企業経営者や専門家が増えているという。彼らは長年培ってきたノウハウや意思決定のプロセスをAIに学習させることで、組織の持続的な成長に貢献したいと考えている。実際に、社内のドキュメント、稟議書、メールの履歴などをAIに取り込むことで、意思決定を属人的なものから組織全体で共有可能な資産へと転換することができる。
さらに、RICOH BIL TOKYOではでデジタルツインの技術も活用し、施設全体を3D点群データとして仮想空間に再現することで、固定資産の管理や運用の最適化を図る試みも行っている。例えばオフィス内の設備の配置やメンテナンスの状況をリアルタイムで把握し、必要な情報に瞬時にアクセスできる環境を整備しているなど、多岐にわたるプロジェクトが進行している。
また、RICOH BIL TOKYOでは、リコーの社内107部署・総勢約1,000人規模の組織でDXを実施した通称「GGプロジェクト」での知見も活かされている。GGプロジェクトでは、業務プロセスの可視化、最適化を推進するために短期間に全業務にかかる時間を数値化し、改善のための基盤を整備。可視化が完了すると、業務改善の成果を数値で示すことが容易になり、廃止や集約、代替、自動化できる業務を分類して実行に取り組んだ結果、平均で業務時間の約20%を削減することができた。
RICOH BIL TOKYO内部でも大きな成果が出た。それまで来訪企業ごとに業界構造や競合情報を徹底的にリサーチしてオーダーメイドのプレゼンテーションを作成するのに1社あたり約5時間を要しており、大きな負担になっていた。そこで、ノーコードでアプリが開発できる「Dify」を導入し、企業名を入力するとWebサイトなどから自動的に関連情報を収集し、AIがお客様の想定課題とリコーのアセットを掛け合わせた解決策案を提示する仕組みを作成した。作業時間が約5時間から1時間程度に短縮され、76%もの大幅な業務効率化が実現した。
社内の若手メンバーも、GGプロジェクトで習得したDifyを活用して自らアプリケーションを開発し、クライアントの課題に即したデモを提供。実際にデモを見たクライアントからは「これが欲しい」という声が続々と上がっているという。このようにリコーでは社内で実証した成功事例を顧客への提案に活かしているのだ。
最後に、今後の展望について菊地氏に伺った。
「リコーには脈々と築かれてきた技術があります。画像処理、自然言語の認識など、デジタル化における足元の課題から伴走できる技術とノウハウは、どの会社にも負けない自負があります。DXは一度きりのプロジェクトではなく、継続的な進化が必要です。RICOH BIL TOKYOではDXを単なる導入にとどまらず、お客様の課題に深く寄り添い、効果を最大化できるようDXの実行フェーズまで伴走支援していきます。お客様と共に未来を創る共創拠点としてRICOH BIL TOKYOは進化していきたいと思います」