コミュニケーションに対する不安よりも、自分の「強み」を見てくれた
- どんな学生時代を過ごしましたか?
- 大学1、2年生のときは主に化学実験を行なうサークルに所属したり、3、4年生では化学を中心としつつも周辺分野の知見・技術などを身につけるような学科・コースに進学したりするなど、化学を軸足において日々を過ごしました。修士課程では無機化学分野で固体物性などを研究し、博士課程では有機化学分野で超分子の形成挙動や分子間相互作用等を研究するなど、「化学」と名のつくものを幅広く貪欲に学習していました。
- リコーに入社しようと思った決め手は何ですか?
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私は、大学院生時代に自閉スペクトラム症の診断を受けました。一口に自閉スペクトラム症と言っても、人によって症状や困りごとは多岐にわたります。自分の場合は主に対人関係やコミュニケーション、特に会話の開始・維持や高負荷な状況への対処が苦手で、こうした状況への不適応やそれに起因する不安が直接的な困りごとです。
在学中は、発達障がい学生専門の相談室にお世話になっていたのですが、課程修了後の進路に悩んでいると相談したところ、その相談室のカウンセラーの方とリコーの人事の方がときどきコンタクトを取っていて、その縁でリコーを紹介いただきました。その後、2週間程度のインターンシップを体験したのですが、一人の技術者として意見を問われる場面が多く、また雰囲気も和やかでテーマに没頭しやすい環境づくりをしてくださったことで、自身の強みを生かして貢献でき、しかも弱みをフォローしていただける土壌のある会社だと思えたので、入社を決めました。
個人を尊重し合いながら助け合う意識が根づいている
- 普段の仕事内容を教えてください。
- 現在リコーでは、既存の印刷技術をデジタルの力でアップデートし、新しく優れた技術や技術開発の仕組みを提案していくことを目指しています。そのような技術の一例を挙げると、電池の構成部材(電極など)の材料を印刷することで、さまざまな形状の電池をつくるようになる、などです。そういった材料などの物質をデジタルで扱うためには、これらの物質をデータ化することが必要です。私のいるテーマは、材料データを取得・集積するためにさまざまな実験や計算をしており、私自身は主に分子動力学計算や化学分析を担当しています。
- 仕事をするうえで心がけていることは?
- その業務がテーマや部署、ひいては会社や社会のなかでどのような意味や価値を持ちうるか、またその価値を最大化するためにはどのようなかたちで業務を進めるのが良いかを考え続けることです。入社時からいまもお世話になっている上司の方から教えていただいたこの視点は、とても重要だと思ったので、つねに忘れないようにしています。
- リコーのいちばんの魅力を教えてください。
- 一人ひとりを個として尊重しつつ助け合う、チームワークの文化が醸成されていることです。日々の業務でも、役職や年齢で偉ぶったり卑屈になったりすることなく、風とおしの良い環境で対等な立場から議論を重ねて、テーマや組織のミッションを達成しようとしています。私は以前、会社にまつわる経営層からのメッセージで大きな不安を抱えてしまったことがあり、周囲の人に相談したところ、直属の上司のみならず、本社の人事の方や部門の人事担当の方など多くの方が集まって親身に話を聞いてくださったことがあり、社員一人ひとりを大事にする素晴らしい会社なのだと感じるとともに、自分もその輪に加わって周囲に貢献できるようになりたいと思いました。
化学を軸に、同じような困りごとを抱える人の支えになりたい
- お気に入りの福利厚生は?
- リコーには各事業所に産業医や保健師・看護師の方が在籍されており、またカウンセラーの先生もいらっしゃいます。対人関係や職場環境など、業務内外で不安に感じることや困りごとがある際に、こういった保健スタッフの方々に相談できる体制が整っています。自分自身も成果発表会の準備や経営層の談話発表などに際して不安に感じることがあり、保健スタッフの方々に相談し、アドバイスをいただいたり、ときには社内各所と情報共有して対処・調整していただけたりすることもありました。こういった仕組みがあるからこそ、自分はこれまで勤め続けられていると思います。
- 仕事をとおして、どんな価値を提供したいですか?
- リコーという会社に属しているからには、世界中のあらゆる仕事に対しての、やりがいや喜び、快適性や成長といった「善いことの提供」が大目標であるべきだと考えています。そして、材料技術者として具体的に提供できる価値は、「私たちが日常的に手に取るモノ」「目や鼻で感じ取ったり体に取り入れたりするモノ」をつくり出すためのプロセスをつくり、そのための技術を進化させることだと考えています。私たちが技術にまつわるノウハウや、開発を加速させるための仕組みづくりに注力し、機能材料の製品化を目指すことで、将来的に、それを使用した方から新たな価値が生まれることを願っています。
- リコーのどのような部分に将来性を感じますか?
- リコーは社会問題に対する意識が高く、企業が今後求められる社会貢献に先んじて取り組んでおり、その点で将来において模範的なポジションになりうると思っています。いまでこそニュースなどで頻繁に聞くSDGsについても、以前から社内では半ば常識的な用語になっていました。また、ここ数十年リコーが続けてきた複写機中心の経営方針に関しても、転換の必要性を経営層から従業員に至るまで広く共有していました。素早い社会変化に追随しやすい人事制度を整えたり、デジタルを見据えたミッションを持つ組織構成へと研究系部門を再編したりなど、新たな価値提供を行なうための変革を進めています。
- 自身のスキルアップのために行っていることを教えてください。
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私は、化学を軸にしてさまざまな学問や技術を学んだので、これを活かして、社内の多岐にわたる研究開発などのテーマで得た知識や知見を発揮し、「どこでも活躍できるような人材」を目指しています。また、自身の背負ったハンデをポジティブに昇華するためにも、同じような困りごとを抱えている仲間と助け合い、支えあうような活動にも携わっていきたいと考えています。
そのためのスキルアップとして、業務に関連して未知の事物(装置・機器や物質など)や事象(法則・現象や手順など)に触れた際は、それにまつわる知識・技術を最大限吸収することを心がけています。また、化学系のサークルの出身ということもあり、プライベートでも技術的な情報に触れることがあるため、そのような機会も自身の知識・知見を養う役に立っています。さらに、会社から研修や教育プログラムが提供されているので、積極的に受講しています。加えて、私自身と似た経緯で入社を希望される方に対し、人事の方などからサポートを求められたとき、積極的に協力することで、そのような面でも少しずつではありますが経験を積んでいます。 - 就職活動中の方へメッセージをお願いします!
- リコーは、得手不得手の差がある人も、まわりのメンバーと助け合って、どうしても苦手なところはフォローを受けつつ、自分の強みを最大限活かして輝くことができる会社だと思います。そのような活躍を実現し、またサポートするための組織のポリシーや仕組みもあり、安心して働けます。自分だけでは対処しきれない困りごとがあるけれども自分なりに活躍して社会や世界に貢献してみたい、という方は、ぜひ一度リコーという選択肢を考えていただければと思います。