2021年11月
oVice株式会社様×リコー 対談
バーチャル空間と360°ライブストリーミングの融合により飛躍するハイブリッド型ワークスタイルの未来。
メタバースも視野に入れた共創プロジェクト
新型コロナウイルス感染症の拡大により、急速に、半ば強制的に広まったテレワーク。最初こそ戸惑いが多かったものの、オンラインならではのフレキシブルな働き方は、今やライフスタイルの一つとして定着しています。
oVice様とリコーは、コロナ対策に留まらない未来の働き方、経営革新につながる仕組みづくりに向けて、共創によるプロジェクトを展開しています。バーチャル空間とライブ映像の融合、オン・オフラインのハイブリッド、そして全てがつながるメタバースへ。バーチャル空間と360°ライブストリーミングの融合を皮切りとする共創について紹介します。
ハイブリッド型の施設「RICOH BIL Tokyo METAVERSE」2Fラウンジにて
オンラインはリアルには敵わない?
オン・オフラインのシームレスな融合を目指す共創がスタート
宮本:リコーではコロナ前からWeb会議システムを日常的に活用してきましたが、緊急事態宣言が長引く中、やはり社員同士のコミュニケーションの量、質の低下が課題となっていました。予め決まったテーマを議論するなら従来のWeb会議システムで問題ないのですが、実際の仕事の場では急に相談が必要になったり、目的に合わせてさっと集まりたいということが多々あります。テレワークの浸透とともに、気軽に会話ができないもどかしさや、偶発的な会話の重要性を感じるようになっていました。
株式会社リコー
RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE Tokyo
ゼネラルマネージャー
菊地英敏
菊地:社内のコミュニケーションもそうですが、RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE Tokyo(以下RICOH BIL Tokyo)はお客様との対話を通じて新しい価値を創造していく場であり、偶発的な会話にこそ価値がある空間です。コロナ禍にオンラインでの運営を始めましたが、リアルと同じ、膝と膝を突き合わせて話すような感覚を再現するのは難しかったですね。何か新しい方法はないかと探す中で、使ってみたのがoVice様のサービスでした。
まずは社内ツールとして使ってみたところ、側に相手がいる感覚があってこれは面白いことができそうだ、と。それで今年の5月にoVice様へ共創のお声掛けをしたんです。
ジョン様:私の記憶は少し違っていて、最初に共創を申し出たのはoVice側だったと思うんです。菊地さんからお声掛けいただくよりも少し前に、別のルートでこちらからリコーさんへアプローチしていたことはご存知ですか?RICOH THETAとoViceをつなげられないかと思って、まずはリコーさんの社内でoViceを使ってみませんか、という提案をしていました。
菊地:なるほど、そうだったのですね。では、お互いの想いが通じ合ったのが5月だった、ということですね。そうとは知らず、私がoVice様に共創のお声掛けをしたのも、やはりRICOH THETAとの親和性を感じたからでした。ジョンさんはなぜRICOH THETAに興味を持たれたのですか?
oVice株式会社
代表取締役/CEO
ジョン セーヒョン様
ジョン様:APIが公開されていたことです。リアルとバーチャルのハイブリッドは私たちのマイルストーンにあったのですが、想定以上にユーザーが増え計画を前倒しで進める必要がありました。さまざまな360°カメラを試しましたが、API化されているデバイスはなかなかありません。メーカー側が使い方を決めるのではなく、情報の一部を公開して外部に新しい発想を求める、RICOH THETAのコンセプトに惹かれたんです。
宮本:RICOH THETAは360°カメラの可能性を広げていくために全機種においてAPIを公開しています。さらに今年4月には、安定した接続品質で映像や音声のリアルタイム配信を可能にするRICOH Live Streaming APIもリリースしました。私たちとしてもライブストリーミングの可能性を探っているところだったので、両社のニーズがタイミングよくマッチしたのかもしれないですね。
重神様:共創が実現したのは、リコーさんのスピード感もあると思います。他社から共創のお声掛けをいただくこともありますが、具体的な話が決まらないままフェードアウトしてしまうことも。その点リコーさんの場合、最初は私たちの方が積極的でしたが、oViceを社内ツールとして体験いただいた後、あるタイミングからはリコーさんの方から猛烈にプッシュしてくれて、ネクストアクションがどんどん決まっていく印象があります。
菊地:私の部門で本当にoViceの良さを確信し、この仕組みはすごいと盛り上がったのは、バーチャル空間の背景を変えたタイミングでした。導入当初、会議室のような背景だった時は誰も寄り付いてくれず……。もう好きなようにやってみようと、プールやキャンプ場、バーベキューエリアなどオフィスとはかけ離れた空間にしてみたら一気に会話が生まれ、背景を変更をした当日は30分くらい雑談していたくらいです。コロナ禍で失われていた膝と膝を突き合わせる感覚を取り戻せたような気持ちがしました。
ジョン様:oViceは空間の価値にフォーカスして、現実の世界ではどのようなことが起こっているのかをベースに開発しています。大切にしているのは現実のような自由度です。従来のWeb会議システムは参加も終了も強制できますが、リアルな世界では話すことも移動することももっと自由ですよね。話さないのも自由です。現実の世界と同じように何も話さなくてもアバターを介して相手とのつながりを感じられる、これもoViceの特徴です。
重神様:機能面でいうと、一般的なWeb会議システムが効率を追求しているのに対し、楽しさを大切にしているのもoViceならではの発想だと思います。例えば、チャットボックスはテキストだけではなく拍手の音で気持ちを伝えることができ、みんなで拍手をすれば音も大きくなります。楽しい雰囲気を発信できる企業で在りたいという私たち気持ちが、oViceの機能として盛り込まれているんです。
コロナ対策の域を超えて未来の働き方、
経営革新として期待されるハイブリッド型ワークスタイル
菊地:2021年9月、oViceにRICOH Live Streaming APIとRICOH THETAを連携させたプロトタイプをリリースし、実証実験を開始しました。RICOH BIL Tokyoでは、実際のオフィスにRICOH THETAを設置し、oViceのバーチャルオフィスに出社している社員も、360°のライブ映像で実際のオフィスとつながることができるハイブリッド型ワークスタイルを実験的に運営しています。
株式会社リコー
デジタルサービス開発本部
アドバンストバリュー
開発センター
アドバンストバリュー
サービス開発室
宮本真
宮本:実際にハイブリッド型ワークスタイルを体験した社員の声で一番多いのは「面白い」ですね。
oViceの良さは、会議の予約・承認が不要ですぐにコミュニケーションを始められることですから、今回のプロトタイプでもいかにoViceとRICOH THETAを簡単に接続させるか、ユーザービリティを重視しました。
社内実践で得られる社員の声も反映しながら、商品化に向けてブラッシュアップを重ねていきたいと思っています。
重神様:oViceでは、10月11日のデジタルの日に実施した戦略発表会でこのプロトタイプを紹介したのですが、多くのメディアが集まりテレビやネットニュースで多数取り上げていただきました。急速にコロナ感染者数が減少しているこのタイミングで、これだけ注目されたのは、コロナ対策としてのツールではなく、未来の働き方、これからの経営革新の軸として関心を集めているということだと思います。
RICOH BIL Tokyoでは、お客様とのセッションでも試験運用を始められているのですよね。反響はいかがですか?
oVice株式会社
重神咲也様
菊地:お客様ご自身が自分の画面をグリグリと回し、好きなアングルで興味のある場所や展示品の方へ能動的に視点を変えることができる効果は大きいですね。お客様の興味関心度合が高まりお客様からの発言が非常に多くなりました。体感としては会話量が倍以上に増えています。
宮本:今回はRICOH Live Streaming API、RICOH THETAと連携させましたが、他に可能性を感じるリコーの製品や技術はありますか?
重神様:RICOH Interactive Whiteboardはどうでしょうか。oVice上で書いたものがオフラインでも見えるようになるとかなりシームレスな情報共有が可能になると思います。音声をリアルタイムにイラストに変換するpiglyphも面白いですよね。オンラインならではのアイディア共有や、ブレストのスタイルを提案できそうです。お互いの技術や商品を掛け合わせながら、オフィスという空間の在り方や働き方そのものの提案にもアプローチしていけたらと思っています。
ジョン様:私は、リコーさんのオフィスコンシェルジュとしての価値と、oViceが提供する空間の価値は、非常に親和性があると思っています。
oViceが「空間を提供」する企業であるのに対して、リコーさんは様々な製品やサービスを組み合わせて最適なオフィスを提案する企業、「オフィスの在り方を提案」する企業です。両社の共創は、オン・オフラインのオフィスの在り方や、双方をどうつないでいくかも含めて、ベストな環境、空間をトータルにコーディネイトするようなビジネスにつながっていくのではないかと思っています。
菊地:私たちが注力しなければと思っているのも、まさにその領域です。以前は、「オフィスオートメーション」が私たちのビジネスを表現する言葉でしたが、働く場所の多様化、働くという概念自体の変化を踏まえて、既存事業での顧客基盤やオフィスサービス事業の強みを踏襲しつつ、今までとは異なる軸で価値を生み出していく必要があると感じています。
アフターコロナでさらに加速するリアルとバーチャルの融合、
そして全てがつながるメタバースへ
宮本:日本国内ではコロナ終息の兆しが見えつつあります。皆さんは人々の働き方やビジネスはどう変わっていくと思いますか? 私はコロナが終息しても以前のように出社が当たり前になることはなく、コロナ前とも異なる新しい形へと進化していくのではないかと考えています。
重神様:多くの人がテレワークの楽しさ、オンラインならではの効率の良さを経験し、社会に定着しているので、これを完全に戻すことはできないですよね。オン・オフライン両方のメリットをどうハイブリッドにしていくか、まさに今回の共創で議論したようなことがますます重要になってくると思います。
菊地:この2年弱を振り返ると、コロナという未知の脅威により全く予期していなかった方向へ社会が突然変化してしまったというより、いずれそうなるはずだった未来が少しだけ早く訪れたということではないかと思うんです。では、この先どう進化していくのか? 最近ジョンさんはメタバースとよくおっしゃいますが、やはりこれがキーワードになるでしょうか?
ジョン様:多様なものがデジタル化していけば、データやサービスを結びつけるための受け皿が必要であり、その受け皿はオン・オフラインをつなぐハブの役割も果たす必要があります。その受け皿がメタバースです。oViceを導入することで、リアルとバーチャルが融合し、データが集約され、様々なサービスにもアクセスできる、そういう受け皿としてのメタバースを目指しています。
これからリコーさんと一緒にこの共創について発信する機会も増えていくと思いますので、メタバースでの取り組みをどんどん打ち出していきましょう。
菊地:ぜひよろしくお願いします。今回のoViceと360°ライブストリーミングを融合した仕組みは、オフィスに限らず、イベント、スポーツ、ライブなど、様々な市場に切り込める可能性があり、私たちは今、そのスタートラインに立っているのだと思います。リアルとバーチャルのさらなる融合へ、そしてメタバースへ、ともに取り組んでいきましょう。
oVice×RICOH Live Streaming API×RICOH THETA
RICOH BIL Tokyo METAVERSE
RICOH BIL Tokyoでは、バーチャル空間とリアル空間を融合させたハイブリッド型のワークスタイルを取り入れた施設運営を実践しています。
社員間のコミュニケーション
背景をカスタマイズしてオリジナル空間に
ユニークなレイアウトが、会話のきっかけになったり、コミュニケーションの活性化につながっています。
リアルと同様、1階エントランスに到着されたお客様をスタッフがお出迎えしラウンジへご案内。
2階ラウンジでの活用例
バーチャルオフィスに出社している在宅メンバーがMETAVERSEに集まり、360°の現場映像を見ながら施工状況を確認中。
打ち合わせでの活用例
バーチャルオフィスに出社すれば、実際のオフィスにいる社員と360°の空間映像を見ながら会話が可能に。離れていてもすぐ隣で働いているような感覚に。
プール
南国風のBGMがワーケーション気分を演出。
卓球
水谷・伊藤ペアの金メダルを祝して設置。ちょっと集まって話したい時に人気のエリア。
キャンプエリア
焚火の音は癒し効果大。集中して考え事をしたい時に利用する人も。
音が漏れない会議室
周囲に知られたくない内容の会議は施錠可能なスタジアムに集合。
お客様対応中
お声がけNGゾーン。
お客様情報
oVice株式会社様
2020年2月、新たな技術を創造することを目指すNIMARU TECHNOLOGY(現 oVice )として設立し、同年8月にバーチャル空間「oVice」をリリース。
サービス提供開始から8ヶ月でARR(年間経常収益)は1億円に達し、1周年を迎える2021年8月には2.4億円を突破。
コロナ対策の域を超えて、経営革新につながる価値を提供する企業として注目を集めています。
バーチャル空間「oVice」
空間の価値、距離や向きの概念を取り入れたバーチャル空間。
Web会議システムのような予約・招待は必要なく、自分のアバターを自由に動かし相手のアバターに近づくことで簡単に会話を始めることができます。
導入企業は1200社を超え、毎日3万人以上がoVice上に出勤しています。
詳しい情報は、こちらをご覧ください。
https://ovice.in/ja/