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レンズ光学とデジタル画像処理の融合:“JOIPO”プラットフォーム

高性能・超小型・高機能な電子光学画像システムを作るために、従来別々に設計していたレンズ光学系と電子画像処理系を総合的に設計するJOIPOプラットフォームを構築しました。

発想の転換から生まれたJOIPO (Joint Optics/Image Processing Optimization)

JOIPOは、産業向けカメラ・車載カメラ・ドキュメントスキャナ・望遠鏡・内視鏡など、多くの画像センサーで用いられる電子光学画像システム設計のために、リコーが構築した新しいプラットフォームです。従来別々に設計していたレンズ光学系と電子画像処理系を同時に、総合的に設計することにより、高性能・超小型・高機能な画像システムを実現できます。

何百年もの昔から、光学設計者は、最終的に人間の目で見ることを前提にして、レンズ光学系だけで高画質の光学画像が得られるような画像システムを追求してきました。しかし近年では、レンズで結像された光学画像はさらに、CMOSセンサー、CCDアレイといったデジタルセンサーでセンシング(感知)され、デジタル的に画像処理された上で、ディスプレイ上で美しいデジタル画像を見ることができるようになりました。

従来の設計手法では、高画質のレンズ光学設計と高品質のデジタル画像処理を別々に設計し、画像システム全体を構成する方法でした。それに対してJOIPOでは、デジタルセンサー上に一時的に形成される中間の光学画像は人間ではなくコンピュータが“見る”に過ぎないので、光学センシングの段階では画像は“美しく見える必要はない”という気付きから生まれたものです。このことによって、より自由で大胆な発想で設計することが可能となり、従来の設計手法による画像システムの限界を超えることが可能になります。

画像:レンズ光学とデジタル画像処理の融合による高画質化
図1:レンズ光学とデジタル画像処理の融合による高画質化

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JOIPOプラットフォームのもたらすメリット

新たな発想で生まれたJOIPOプラットフォームによる画像システムは、これまでにはないさまざまなメリットをもたらします。

JOIPOを用いて設計した画像システムでは、従来のシステムよりレンズ枚数を少なくすることができます。なぜなら、収差・ボケ等の画像劣化を高コストなレンズ光学系だけで吸収する必要がなく、後のデジタル画像処理で修復可能だからです。レンズ枚数が少なくなることで、光学系を格段に小さくすることができます。

また、レンズの収差やボケ量をコントロールし、デジタル画像処理で収差やボケ量を整えて出力することにより、明るさを保ちながら被写界深度を拡大すること(被写界深度拡大カメラ)や、対象物体までの距離を高精度に計測すること(ステレオカメラ)、またマルチスペクトルの画像の取得(マルチスペクトルカメラ)など、従来の画像システムにない機能を付加することも可能となります。

その他にも、例えばレンズの温度特性が非常に重要になるアプリケーションにおいて、温度に対する光学系の変化をデジタル画像処理による収差補正前提で設計することにより、従来よりも非常に広い温度範囲で使用可能な画像システムの実現が可能となります。

このように、JOIPOプラットフォームを活用することにより、従来では考えられないほどコンパクト、かつ高機能な撮影システムが実現可能となります。

本技術の分類:分野別「マシンビジョン」