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ニュースリリース

無線ICタグの活用による「著作物の複写利用管理システム」の実証実験に成功

2008年2月15日

株式会社日立製作所
株式会社日立システム九州
株式会社リコー
株式会社ゼンリン

 株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区、執行役社長:古川 一夫/以下、日立製作所)、株式会社日立システム九州(本社:福岡県福岡市、取締役社長:市山 信也/以下、日立システム九州)、株式会社リコー(本社:東京都中央区、社長執行役員:近藤 史朗/以下、リコー)、株式会社ゼンリン(本社:福岡県北九州市、代表取締役社長:原田 康/以下、ゼンリン)の4社は、4社が共同で開発した無線ICタグの活用による「著作物の複写利用管理システム」(以下、本システム)の実用化に向けた実地での実証実験を2ヶ月間実施し、このたび終了しました。
 結果として、著作物の複写状況に応じた課金をはじめ、その管理や回収に至る本システムの有効性が確認できるなど、実証実験に成功しました。

 本システムは、「著作物」の利用状況に応じた複写利用料の支払いを可能にするものです。「著作物」には固体識別が可能な日立製作所の世界最小クラスの無線IC タグ「ミューチップ」を装着し、複写の際には、ミューチップの読み取り装置(ミューチップリーダ)を装備したリコーのデジタル複合機によって複写利用記録を取得し、日立システム九州が開発する「複写利用料管理システム」により管理します。

 今回の実証実験は、2007年11月20日から2008年1月21日まで、西日本シティ銀行(本店:福岡県福岡市、頭取:久保田 勇夫)の北九州営業部、ならびに三井住友銀行(本店:東京都千代田区、頭取:奥 正之)の北九州法人営業部に、それぞれ本システムを設置して実施しました。実際の業務の中で、ゼンリン住宅地図帳を複写利用する際に、本システムによる著作権管理が有効に機能するかなどを検証しました。あわせて、住宅地図の複写利用状況把握やデータ回収処理などを実施することで、実務に必要な情報処理システムやデジタル複合機の操作性の確認や改善要望など、実用化に向けた情報収集を行いました。

 今回の実証実験により、詳細な複写利用状況の把握や複写利用料管理システムの処理が有効に機能したことなどが確認できました。今後4社は今回の実証実験で得た成果に加え、著作権者や著作権管理団体の意見を取り入れた製品・システムやその標準規格についての策定を行うとともに、著作権者や著作権管理団体に対し、本システムを活用したビジネスモデルへの参加を働きかけるなど、本システムの実用化を目指します。

■ 「著作権の複写利用管理システム」開発の背景
 著作物の複写利用については、著作権法で事前に著作権者の許諾を得ることが必要とされていますが、デジタル放送などと違い、利用者からの申告以外に著作物の複写利用状況を把握する手段がないため、不適切な複写利用が日常化しているのが実情です。他方、利用者の立場からしますと著作権者の許諾を得るためには、個々の複写行為について著作権管理団体への申請や利用料の支払い、複写利用の許諾証明といった煩雑な作業が必要となっており、容易に著作物を複写利用できる環境が整備されていないという課題があります。
 このような状況のもと、2007年の著作権法の改正(第119条、第124条)により著作権侵害に係る罰則が強化されたほか、企業等において法令遵守や著作権侵害リスク管理、知的財産権の保護といった意識が高まってきています。

■ 「著作権の複写利用管理システム」の概要
 本システムは、「著作物」に固体識別が可能な日立製作所の世界最小クラスの無線ICタグ「ミューチップ」を装着し、複写の際には、ミューチップの読み取り装置(ミューチップリーダ)を装備したリコーのデジタル複合機によって複写利用記録を取得し、日立システム九州が開発する「複写利用料管理システム」により管理するというものです。ミューチップにより1次複写物の管理ができ、出力した複写物には地紋に牽制文字を埋め込むことで不適切な2次複写による利用を抑止します。
 なお、本システムは、ゼンリン、日立製作所、日立システム九州が、2004年から著作物の著作権管理について共同で進めてきた研究をもとに、日立のサポートを受けてリコーが「ミューチップ読み取り機能付きデジタル複合機」のプロトタイプを開発したことで実現しました。
 本システムが実用化されることにより、著作権者は複写利用に応じた著作権料を受領することが可能となります。また、複写利用者は従来の「複写許諾契約」等に基づく概算見積もり支払いから利用状況に応じた複写利用料を支払うことが可能となります。

■ 実証実験の概要
  • ・時期:2007年11月20日(火)~2008年1月21日(月)
  • ・場所:西日本シティ銀行 北九州営業部、ならびに三井住友銀行 北九州支店
  • ・目的:プロトタイプモデルを実際に利用し、実運用に求められる仕様を確認
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