学生時代に身につけた実験への姿勢が、いまの業務に活きている
- どんな学生時代を過ごしましたか?
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講義の時間以外は、ダンス(サークル活動)とアルバイトが中心で、朝・昼・夜、全部予定が詰まっているような生活を送っていました。実践的なことが好きなので、学業でも、理論計算よりも実験が中心の研究室に決め、気泡が液体のなかに引きずり込まれるときや、液体が多孔質物質(多数の細孔をもつ物質)に浸透するときなど、流体が関わる物理現象について法則を導き出す研究をしていました。
当時の研究は、いまの仕事に直接つながってはいませんが、学んできた流体力学や、「仮説立案→実験→文献を参考にしつつ考察」といった、学生時代に身につけた実験に対する取り組み方は現在の業務にも役立っています。 - リコーに入社しようと思った決め手は何ですか?
- 就職活動の際に出会ったリコー社員の方たちが、生き生きと働いていたことが決め手です。実際、リクルーターやリコー社員から、「リコーは若手の意見を吸い上げてくれる」「プライベートの時間も充実させられる仕組みづくりがなされている」などの話を聞き、私自身、仕事もプライベートもしっかり楽しみたいと思っていたので、リコーへの入社を決めました。
ブラックボックスになっていたインクジェットの物理を解き明かす
- 普段の仕事内容を教えてください。
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インク開発の加速化に向けたメカニズム解明に携わっています。具体的には、インクジェットヘッドから吐き出されたインクが、メディア(通常のプリンターでは紙に相当)に着弾するまでの過程を担当しています。
リコーがインクジェットプリントを始めて20年近くになりますが、じつは、インクジェットの物理はわかっていない部分も多いんです。現在は、部署全体でDX化に向けて、ブラックボックスな部分を明らかにする物理モデル構築に取り組んでいます。そのなかでも私は、さまざまなインクに対し、ヘッドの駆動条件やヘッドそのものを変更しながら吐出評価(インク滴の飛翔速度や体積の測定、飛翔形態の観察)を実施したり、新規評価手法の開発や新規評価装置の光学設計も行なったりしています。基本的には出社して実験している場合が多いですが、在宅勤務の日は、論文調査、Pythonを使って解析・分析ツールの検討、資料作成などをしています。 - 仕事をするうえで心がけていることは?
- 心がけていることは3つ。自ら手を動かすこと、早く行動すること、そして特に意識しているのが、業務や作業の目的を意識することです。入社したての頃、ペアリーダー(教育係の先輩)にご指導いただき覚えたのですが、与えられた作業をやるだけでは、考察する視点や、まとめの資料作成のときに、本来の目的から実施項目や考察がずれてしまいがちです。しっかりとゴールを意識することで、必要のない実験をすることもなくなっただけでなく、資料をつくるのも早くなり、テーマリーダーをはじめとするテーマメンバーや上司に対し端的に説明できるようになりました。
装置の設計者の困りごとを解決したときに、研究者としてのやりがいを感じた
- リコーで「はたらく歓び」を感じた瞬間はいつですか?
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1年目のOJT教育で、ある課題が出されたときです。課題の内容は、インクジェットヘッドからインクを吐出している最中に、インク滴の飛翔形態とヘッドのノズル周りの状態を同時に観察する装置をつくる、というもの。従来のやり方では観察できないため、どのようにアプローチすれば良いか作戦を立て、成功する可能性の高いものから検証していきました。実際に装置が開発でき、初めて対象を観察できたときの歓びはいまでも覚えています。
また、評価装置の設計者から困りごとを相談され、装置のメンテナンスや解析プログラムの修正などをしたところ、「すぐに対応してくれてありがとう、助かります」「〇〇(装置の名前)のプロだね」と言われたときはとても嬉しかったです。どんな些細なことでも、設計者の困りごとを解決できるというのは、研究者としてとてもやりがいを感じます。 - リコーの魅力を教えてください。
- 働く場所、時間を自分で自由に決められるところです。新型コロナウイルス感染症が流行する前から、リコーではリモートワークが推奨されており、私も午後から外出する日は午前に在宅勤務をするなどして、時間を有意義に使えていました。現在は、出社して実験する日と、資料や解析ツールを作成する在宅勤務の日とで、分けて働いています。デスクワークと実験を分けることで、それぞれの業務に集中して取り組むことができるようになり、計画に遅れがなくなりました。また、私は朝型の生活スタイルなので、朝の7時30分から業務を開始し、16時前後に退勤しています。早めに退勤できるので、帰りに映画鑑賞や買い物ができたり、夜に近所を散歩したりする余裕があり、プライベートも充実しています。
- 就職活動中の方へメッセージをお願いします!
- 就職活動は辛いものというイメージを持つ人もいると思います。ですが、たくさんの業界や会社の話を聞いたり、現場を見学できたりするのは就職活動のときだけなので、いっそのこと楽しんでみてはいかがでしょうか。私は「こんな考え方があるんだな」と、社員の人間観察をしながら楽しんでいました。そのなかで、「自分にはこんな社風が合いそう」「こんな会社で働きたい」といった、具体的なイメージが見えてくるといいと思います。ご自身が納得のいく就職活動となることを願っています!