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リコー 地方創生DXを支援 デジタルサービスの会社への大転身

出典:月刊事業構想 2021年10月号に掲載されました

目次

コロナ禍でオフィスのプリント需要は激減した。一方、リコーでは、各都道府県に営業拠点を設け地域密着のサービスを展開してきた強みを活かし、地域企業のDX支援を行う「オフィスサービス事業」が急成長している。デジタル人材が不足すると言われる中、どのようにして地域のDXを進めているのか。

山下良則の写真

山下 良則 リコー 代表取締役 社長執行役員 CEO

創業100周年に向けて人の仕事を創造的に

昨年来の新型コロナウイルス感染症の拡大で、オフィスを取り巻く環境は大きく変化しました。

現在は広く使われているオフィスオートメーション(OA)というコンセプトは、1977年にリコーが提唱したものです。情報を正確に伝えながら事務作業やオフィスの生産性、効率を上げる、そして機械ができることは機械にやってもらい人は創造的な仕事をする、という趣旨で始まったコンセプトです。

このコンセプトに沿って、リコーは半世紀近くにわたり、オフィスの生産性を向上させてきました。そして、ここへ来て人工知能(AI)やロボティクスなど様々な技術の進展があり、今後はかなりの仕事がそれらに置き換わっていくでしょう。このような動きは新型コロナウイルス感染症の拡大により加速しており、2030年には日本の仕事の49%が機械に置き換わるといわれます。

機械にできることは機械に任せることで、人はより創造的な仕事にシフトすることができます。それが達成感、働く上での歓び、さらには生きる歓びにつながるものと信じています。このため、私たちは一昨年、創業100周年を迎える2036年に向けたビジョン「“はたらく”に歓びを」を打ち出しました。その後はまた1歳からスタートするつもりで、価値観も提供する価値も変えていこうとしています。

地域企業と自治体のDXをサポート

地方創生にかかわる事業にも、積極的に取り組んでいます。

これまでに45の自治体や教育機関など団体と包括連携協定を締結し、「SDGs」「働き方改革」「環境」「防災/BCP」「教育」「賑わい創出」の6つの分野で様々な業務に携わっています。私たちには地域の中小企業の“はたらく”に寄り添ってきた強みがあり、それらの企業のデジタル化を支援しています。オフィスから現場や自宅など、ワークプレイスが拡がるなかで、リコーの提供する価値も、従来のオフィスプリンティングから、オフィスサービス、そしてワークフローをデジタル化してつなぎ、新しい働き方を実現するデジタルサービスへと拡大していきます。

自治体とそれを取り巻く地域へのアプローチの概念図

提供:リコー

地域の中小企業が多くのIT技術者を雇うのは実際には難しいでしょうし、デジタル化と言っても、何から手を付けるべきかとお困りの会社が多いというのが現状です。特に製造業のデジタル化を支援しなければ、日本の強みが衰退してしまいかねません。

2017年からは、業務効率化や生産性向上を実現する「スクラムパッケージ」を提供しています。

中小企業向けの「スクラムパッケージ」は、業種業務ごとに固有のプロセスをデジタル化、効率化するものです。これによって、大規模なIT投資をせずにデジタル化が可能になります。パッケージの累計販売本数は、今年3月には14万本を突破しました。IT導入補助金の採択数でもトップの実績があります。

2020年はコロナ禍でプリンティング部門の売上が大きく落ちましたが、オフィスサービスの売上比率は2~3割伸びました。日本市場の売上では、既に2019年にはオフィスサービスがオフィスプリンティングを超え、この傾向をコロナ禍が後押ししています。

また、各業種には現場がありますが、今は現場がデジタル化されていないため、例えば、集計のような業務はオフィスに持ち帰ってエクセルで作業したりする必要があります。しかし、現場のデジタル化が進めば、オフィスレスになるはずです。リコーのデジタルサービスは、こうしたワークプレイス(オフィス/現場+ホーム)のITインフラを構築することにより、新しい働き方を実現していきます。

地方創生という観点では、地方自治体も大事なお客様です。デジタル庁の動きにも注目しながら、自治体の行政運営の効率化をデジタルで支援し、自治体を取り巻く地域の活性化支援にも貢献していきます。多くの自治体では既にリコーの複写機を使っていただいており、私たちはドキュメントベースでサービス、アプリを提供できます。今後は自治体向けのパッケージも作り、他社にないサービスを提供していきたいと考えています。

社会課題の解決に向けては、環境経営にもいち早く取り組んできました。

リコーでは1990年代後半に環境経営のコンセプトを打ち出し、様々な取り組みを進めてきました。その取り組みが認められ、昨年は「第2回 日経SDGs経営大賞」で大賞も受賞しています。

脱炭素に向けた取り組みでは近年、支社の建物のネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化も進めています。2017年には、事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄う「RE100」の宣言もしました。現在、24ヵ国31社で既に100%を達成していますが、国内はまだ遅れています。再エネ100%の達成は、電力を供給する側の足並みも揃わなければ難しいところです。

自律的な事業運営で顧客に寄り添う会社に

今後の事業の構想について、聞かせてください。

デジタルサービスの会社への事業構造転換や資本収益性向上に向けて、リコーは今年4月、カンパニー制を導入しました。これに伴い、組織体制は事業ドメインごとの5つのビジネスユニットとグループ本社になりました。各ビジネスユニットでは、開発から生産、販売までの一貫体制を構築しています。

また、デジタルサービスの会社では、どのような人材が必要かを昨年から議論し、自律型の人材が必要だという結論に達しました。サービスの会社では、お客様にどのような課題があるのかを理解し、解決に向けた提案をしていくことが重要ですから、事業運営も自律的に行える体制にしていきます。

また、社員が生き生きとして、“はたらく”に歓びを感じられることが何より大切です。このため、社員がそのような意味でデジタルサービスの会社にふさわしいメンバーに変わっていけるような取り組みも重要になります。

国内には現在、約3万人の社員がおり、全社員を対象とした「DX資質適正調査」も実施しています。DX資質といっても、プログラミングスキルを求めるようなことばかりではありません。お客様と接して問題解決の糸口を拾えるような人が増えれば、デジタルサービスの会社として、お客様に寄り添っていけるはずです。それがなければ、会社の転換はできません。今後は自律型人材を育成し、唯一無二の価値を提供できる企業を目指します。

略歴

山下 良則(やました・よしのり)

株式会社リコー 代表取締役 社長執行役員 CEO

1957年兵庫県生まれ。広島大学工学部卒業後、80年リコー入社。フランス工場や中国工場の立ち上げをはじめ英国生産会社の管理部長、米国生産会社の社長を務め、リコーのグローバル化をけん引。総合経営企画室長などを経て、2017年4月より現職。21年4月より経済同友会副代表幹事に就任。

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