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高粘度・大径粒子含有インクを大液滴で吐出する次世代インクジェットヘッド「GELART JETヘッド」

粘度が高いインクや大きな固形物を含むインクを巧みに使いこなし、インクジェット技術の活用領域を拡大

背景

インクジェット技術は、持続可能な社会の実現に向けて、アナログなものづくり工程をデジタル化することによる環境負荷や材料ロスの削減が期待されています。さまざまなものづくりの現場でインクジェット技術を活用するには、幅広い特性のインクを印刷、塗布できるインクジェットヘッドが必要です。

解決したこと

これまでのインクジェットヘッド技術とは全く異なる、高粘度・大きな固形物を含むインクを遠くまで吐出できる「GELART JET(ジェラートジェット)ヘッド」を開発しました。自動車ボディのような凹凸面・湾曲面に対する車両塗装や、壁面・道路などの立体・大面積へのデジタル塗装、さらにはインクジェットによる二次電池の製造などを高い生産性で実施することが可能となります。これにより、塗装・生産工程で発生していたマスキング作業や材料ロスの削減、省エネを実現できます。

GELART JETヘッドの使用例

技術の特徴

以下のような技術の搭載により、これまで実現できなかった大面積、凹凸面や湾曲面への塗布や厚塗りなど、さまざまな用途で活用可能なインクジェットヘッドを実現しました。

大面積への印刷や厚塗りを可能にするアクチュエータ変位拡大技術

ピエゾの変位を拡大する機構を搭載することにより、高粘度のインクを大液滴で吐出することが可能となり、高い生産性での印刷・塗布を実現しました。

大径粒子を含むインク漏れを阻止する封止技術

ニードル先端のバルブの材質や形状を最適化することにより、大径粒子を含むインクの封止が可能となりました。

凹凸面や湾曲面への印刷を実現する接合技術

接着剤を使わずに金属材料を高精度に接合する技術を搭載することにより、ヘッドの耐圧性を向上させインクを遠くまでかつ高精度に吐出することが可能となりました。

GELART JETヘッド構造と吐出メカニズム
インクに常時圧力をかけ、ピエゾの動きでニードル先端のバルブの開閉を高速に制御し、インクを吐出する。

GELART JETヘッド外観

GELART JET ヘッドの狙いの特性と既存ヘッド仕様
GELART JETヘッド狙いの特性 [参考]リコー既存ヘッド代表値
RICOH MH5422/5442
方式 積層ピエゾ(d33)バルブ方式 積層ピエゾ(d33)プッシュモード方式
最大駆動
周波数
約2kHz以下 50kHz(2階調),30kHz(4階調)
液圧 約0.5MPa 微負圧
ノズル数 8千鳥配置(4×2列) 1280千鳥配置(320×4列)
ノズルピッチ 約5mm 約0.1693mm
外形寸法 約123(W)×22(D)×172(H) 約89(W)×24.5(D)×66(H)
粘度 <数100mPa・s(cP) 10~12mPa・s(cP)
液滴量 <数100nl(数100,000pl) <21pl
対応粒子径 <100µm
飛翔距離 <100mm(曲面対応) <3mm(平面のみ)

リコーの想い

リコーは、長年培ってきたインクジェットヘッド技術、インク・サプライ技術、プリンティングシステム技術の3つのキーテクノロジーを応用・発展させ、世の中の常識を変える“ものづくりデジタル変換”で、新しい価値の実現を目指しています。次世代インクジェットヘッド「GELART JETヘッド」による新たなジェッティングシステム技術は、従来のインクジェット技術のスケールの限界を超え、さまざまな材料を印刷、塗布することで、環境汚染低減、無駄の削減、省エネ、生活の質の向上など、持続可能な社会の実現に貢献します。

本技術の分類:分野別「インクジェット」「省資源」