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ケミカルトナー製造工程の品質予測における転移学習の応用

データが少ない場合でも、高性能な機械学習モデルを構築する技術

本技術を用いた取り組みが評価され、リコーは経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2022」に選定されたほか、公益社団法人計測自動制御学会の2022年度計測自動制御学会賞において「技術賞」を受賞しました。

背景

近年、製造業ではIoT(Internet of Things)を用いたデータ収集技術や機械学習を用いたデータ分析技術の発展により、デジタルトランスフォーメーションの取り組みが盛んに行われています。

リコーのケミカルトナー製造工程では、熟練技術者がノウハウを元に手動で品質制御を行っていたため、工程監視や操作量指示などの工数が多く掛かるばかりでなく、制御ミスが大きな損失につながることから、精神的負荷が高いことが課題でした。そこで、機械学習を活用したトナー品質自動制御システム*1を導入することで、熟練技術者のノウハウに頼らない工程を構築し、生産性向上を実現しました。

しかし、製造工程では、環境負荷低減や品質向上などを目的として、生産設備や原材料などの改良がしばしば行われます。その都度、新しく機械学習モデルを構築し直しますが、長期間に及ぶデータの再蓄積が必要となり、この期間は人手による品質制御に頼らざるを得ません。そのため、短期間で高性能な機械学習モデルを構築する技術が求められていました。

*1
機械学習モデルが算出する品質予測結果に基づき、主要な製造条件を自動で最適化することで、安定した品質を得ることができるシステム。

解決したこと

独自の転移学習技術を開発し、過去の類似データを応用活用することで、従来より大幅に少ない学習データで高い推定精度の確保に成功しました。

本技術をケミカルトナーの量産プラントに適用したところ、モデル再構築期間にあたる品質自動制御システムのダウンタイムを、従来の1/4以下に削減することができました。

技術の特徴

本技術は、以下の2つの技術で構成されます。

1. 過去の類似データを活用する技術(転移学習)

転移学習は、「あるタスクの精度を向上させるために、そのタスクの知識の他に、類似した別のタスクの知識も活用する方法」と広く定義されています。従来の転移学習法の多くは、両タスクが同じデータ構造であることや機械学習に関する高度な知見が必要なため、製造現場での活用が難しい状況にありました。

リコーが開発した新しい転移学習法(Frustratingly Easy Heterogeneous Domain Adaptation、FEHDA)では、データそのものを転移させる方法を用いました。この技術により、生産設備や原材料変更などの前後で、両タスクでデータ構造が異なる場合であっても、簡単なデータ拡張により、過去データの重要な知識を活用することができます。

2. 高性能な品質予測技術

機械学習モデルを組み合わせて予測する方法の一つにバギングがあります。複数の機械学習モデルを並列に処理し、これらの学習結果の平均や多数決で結論を導き出すものです。

本技術では、バギングにおける複数の機械学習モデルの中で、特に、予測の信頼性が高いモデルを選別し組み合わせることで、高性能な機械学習モデルの構築を実現しています。

本技術は国立大学法人京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻の加納学教授と株式会社明和eテックの佐藤敏明氏に技術指導いただき共同で取り組みました。

リコーの想い

リコーでは現場に精通した技術者が自らデータサイエンスを習得することで、サプライチェーン、エンジニアリングチェーン全体でDXによる生産革新を検討、実現しています。

今後も現場やオフィスの生産性と働き方の変革に貢献するデジタル技術の活用に取り組みます。