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フレキシブル環境発電デバイス

薄く、軽く、曲げられる、屋内/半屋外向けの有機薄膜太陽電池(OPV)

第4次産業革命と言われる「モノのインターネット(Internet of Things;IoT)」社会が到来しています。現在のIoT社会では、センサーやウェアラブルデバイスなどのさまざまな「モノ」が常時ネットワークに接続され、さまざまな情報が絶えずデータとして蓄積され、得られたビッグデータは社会・経済活動に利活用されています。さらに、近年では第5世代移動通信規格である5Gの実用化によってネットワークが超高速化されたことで、動画や音声などを含む大容量データの高速通信も可能となり、次世代IoT社会の本格的な到来がいよいよ間近に迫っています。

フレキシブル環境発電デバイス開発の背景

IoT社会の構築における、最も重要かつ喫緊の課題としてあげられるのが「電源」です。配線不要、メンテナンス不要で小型・軽量という、生活空間のあらゆる場所に柔軟に適応できる自立型電源が求められています。

その中でも、太陽電池は光があればどこでも発電できることから自立型電源として有望視されており、アモルファスシリコン太陽電池(*1)は室内光のような微弱な光においても比較的良好な発電性能を示すことが知られています。しかし、その発電力はまだ十分とはいえない状況です。

これに対して、リコーは2020年1月に世界初の固体型色素増感太陽電池であるRICOH EH DSSCシリーズをリリースし、IoT社会で求められる自立型電源として提供を開始しています。屋内照明等の微弱な光で効率よく発電でき、-30°Cから60°Cまでの幅広い温度帯においても利用できる、屋内用機器に適した自立型電源です。

RICOH EH DSSCシリーズは、既にRICOH EH 環境センサーD101や、無線マウスSMART R MOUSE, バッテリー搭載型デスクLOOPLINE T1などにも搭載されており、屋内照明下での発電性能に対し高い評価を得ています。

RICOH EH DSSCシリーズに関心を持つお客様より、より薄く、より軽く、より広い照度範囲でも使いたい、という声をいただき、さらなる開発を進めてきました。

解決したこと

屋内照明等の微弱な光から屋外の日陰や窓際の明るさまで効率的な発電能力を有し、フィルム型のため割れにくく、薄く、軽く、曲げることもできる、フレキシブル性をもつ次世代太陽電池を開発しました。

フレキシブル環境発電デバイス

フレキシブル環境発電デバイスは、低照度(200 lx)から中照度(10,000 lx)まで照射された光量に応じて、高出力・高変換効率を維持し、かつ高い耐久性を示します。また、特異な層構造によって、部分陰による出力低下が少なく、利用環境を選ばず、さまざまな場所で利用できます。

太陽電池照度域イメージ

200 lxと10,000 lxにおける出力(41×47mmサイズ 昼白色LED 25°C)
照度 最大出力(Pmax)min. 最大出力動作電圧(VPmax)typ. 最大出力動作電流(IPmax)typ.
200 lx 84 µW 3.3V 25 µA
10,000 lx 4,200 µW 3.6V 1,200 µA
最大出力(Pmax):
取り出せる電力の最大値
最大出力動作電圧(VPmax):
電力が最大となる電圧値
最大出力動作電流(IPmax):
電力が最大となる電流値

技術の特徴

リコーは有機光電変換を利用した環境発電の将来性にいち早く着目し、2013年から九州大学・安田研究室との共同研究チームを結成して、有機薄膜太陽電池(Organic Photovoltaic - OPV)の開発に取り組んできました。九州大学の先端材料技術と、リコーの有機感光体開発や固体型色素増感太陽電池の開発で培った材料・プロセス技術の両者の強みを活かした産学連携によって、室内のような微弱光(LED 2900K 200 lx)で世界最高水準の光電変換効率(20%以上)の実証に成功しました。(Arai & Yasuda et al., ACS Appl. Mater. Interfaces 2019, 11, 9259; J. Mater. Chem. A 2019, 7, 20187)

フレキシブル環境発電デバイスの構造

フレキシブル環境発電デバイスは、一般には有機薄膜太陽電池と呼ばれるタイプの太陽電池で、以下の絵に示すような層構成となっています。

リコーが開発した有機薄膜太陽電池(OPV)の構成と機能

発電効率の向上と高耐久化の実現

リコーは、九州大学との共同研究によって、光電変換層(P型有機半導体)の分子構造や材料組成などを精密に制御することで、低照度から中照度でも高い電圧と高い電流が得られる有機光電変換系を開発しました。

さらに、有機デバイス設計技術として、中間層(バッファ層)材料の最適化や界面制御に基づき、さらなる高効率化と高耐久化を実現しました。

広い照度域における高い変換効率

低照度(約200 lx)から中照度(約10,000 lx)まで高い光電変換効率を維持しています。

昼白色LEDにおける変換効率の照度依存性
※自社独自評価による変換効率の代表特性

高照度環境下における高い耐久性

高照度環境下における長時間暴露試験においても、高出力を維持しています。

疑似太陽光(100,000 lx)連続照射試験
※開発中デバイスの参考値

部分陰による影響が少ない遮光特性

リコーのフレキシブル環境発電デバイスは1セルに陰がかかっても急激な出力低下がありません。

遮光セル数イメージと出力変化率

リコーの想い

フレキシブル環境発電デバイスは、フレキシブル性を活かせるウェアラブル端末や持ち歩きされるビーコン、物流や交通において利用されるトレーサビリティー用センサー、広い照度域における発電特性を活かせる道路や橋梁などの社会インフラのモニタリング用センサーなどへの展開を目指しています。

また、本技術は国立研究開発法人科学技術振興機構における令和2年度の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(本格型)に採択されており、より効率を高めて、より広く社会でご利用いただけるフレキシブル環境発電デバイスの実現を目指して、さらなる開発をすすめています。

*1
アモルファスシリコン太陽電池:シランガスを基板上に化学気相成長させた非晶質(アモルファス)で薄いシリコン層を有する太陽電池。アモルファスシリコン太陽電池は約1.8eVのエネルギーギャップを有し、700nm以下の短波長光を吸収して発電する。結晶シリコン太陽電池に比較して微弱光における出力が高いため、室内光で利用する太陽電池にはアモルファスシリコンが主に使用されている。

サンプル提供に関するお問い合わせ

株式会社リコー RICOH Futures BU EH事業センター
お問い合わせフォーム
zjp_dssc@jp.ricoh.com

本技術の分類:分野別「創エネ」「材料」