Change Country/Area リコーグループ企業・IRサイト

ニュースリリース リコー、図表を含む日本語ドキュメントに対するLLMの読解性能を向上させるワークフローを開発 マルチモーダルLLMと合わせて活用することでAIの回答精度向上、「RICOH オンプレLLMスターターキット」に搭載予定

2026年6月17日
株式会社リコー

株式会社リコー(社長執行役員:大山 晃)は、図表や複雑なレイアウトを含む日本語ドキュメントにおける読解性能を向上させる「ドキュメント読解強化ワークフロー」(特許出願済み)を開発しました。本技術は、今夏から生成AIアプリ開発プラットフォーム「Dify(ディフィ)」のテンプレートとして「RICOH オンプレLLMスターターキット」への搭載を予定しています。これにより、企業におけるドキュメント活用の高度化と業務革新に寄与します。

開発の背景

生成AIの急速な普及に伴い、日本企業では企業内ドキュメントの高度な活用を目的としたAI需要が高まっています。企業内には、請求書や経営資料、マニュアルなど多様なドキュメントが蓄積されていますが、これらには図表や画像も含まれるため、従来のテキスト検索では十分に活用できないという課題があります。また、セキュリティやプライバシー、ガバナンスの観点から、オンプレミス環境や自社データセンターでAIを活用したいというニーズが高まっています。リコーは、こうした企業ニーズに応えるため、「RICOH オンプレLLMスターターキット」を開発し、順次、機能強化を進めています。

さらにリコーは、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する、国内における生成AIの開発力強化を目的としたプロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」*1基盤モデル開発 第2期・第3期に参画し、日本企業がオンプレミス環境で活用可能なマルチモーダル大規模言語モデルおよび性能評価のためのベンチマークの開発に取り組んできました。

また、2026年5月には、中国のアリババクラウドが開発・提供する大規模言語モデルファミリーの「Qwen3.6-27B」をベースに、日本語のリーズニング性能*2を大幅に向上させた「Qwen3.6-Ricoh-27B-20260522」を開発するなど、日本企業の業務で活用できるドキュメント読解に強みを持つAI開発を続けています。今回、これらの知見を活かし、マルチモーダルLLMと組み合わせることで読解性能を向上させるワークフローを開発しました。

本ワークフローの特徴

1. 図表読解性能を向上させるドキュメント解析処理

図表や複雑なレイアウトを含むドキュメントから、テキスト、図、表などの情報を効率的に抽出するドキュメント解析処理技術を採用しています。これにより、本文と図表の関係性を踏まえた回答生成が可能となり、従来の方法に比べて、ビジネスドキュメントの読解精度が向上します。

ドキュメント解析処理の概要

2. Self-MoAによる高効率な推論プロセス

同一LLMから生成される複数の回答候補を統合する「Self-MoA(Self Mixture-of-Agents)」を採用しています。この技術により、複数LLMを組み合わせる従来の「MoA(Mixture-of-Agents)」方式に比べ、GPUリソースを効率的に活用しながら、回答品質の向上を実現しました。

MoA方式とSelf-MoA方式の比較

3. 柔軟なLLM選択が可能

本ワークフローは、合わせて利用するLLMを自由に選択することができます。クラウド・オンプレミス双方の環境で利用可能で、大型商用モデルとの併用にも対応しています。また、LLMに対する追加学習などは不要なため、随時、最先端モデルと合わせて活用するなど、お客様の要望に応じた柔軟な運用が可能です。

4. Difyテンプレートとして「RICOH オンプレLLMスターターキット」に搭載

本ワークフローは、LangGenius社が開発した生成AIアプリケーション開発プラットフォーム「Dify」のテンプレートを活用し、「RICOH オンプレLLMスターターキット」に搭載して今夏から提供予定です。これにより企業は、自社環境内で安全かつ効率的に生成AIを活用し、図表を含むドキュメントの読解性能を最大限に引き出すことができます。

ドキュメント読解強化ワークフローの全体像

評価結果

本ワークフローは、図表を含む日本語ドキュメント理解における AI の推論(リーズニング)性能を評価するベンチマークツール「JDocQA Reasoning Benchmark」を用いて評価を実施しました。その結果、図表を含む日本語ドキュメント読解性能が向上することを確認しています。

「JDocQA Reasoning Benchmark」評価結果

ドキュメント読解強化ワークフロー
モデル 無し 有り
Qwen3-VL-Ricoh-32B-20260227-W4A16 0.791 0.830(+3.9pt)
Qwen3.6-Ricoh-27B-20260522-AWQ-W8A16 0.875 0.904(+2.9pt)
(参考)Gemini 3.1 Pro Preview 0.880
(参考)Gemini 3.5 Flash 0.889

【ご参考】評価条件について

  • 評価はOpenAI APIのgpt-4.1-2025-04-14によるLLM-as-a-Judgeで実施
  • 各評価は、推論および採点を5回実施し、その平均値をスコアとして記載
  • 「JDocQA Reasoning Benchmark」全1,362件のうち、1ページ内の図表やテキストを読み取って回答する単ページ問題1,208件を抽出して評価

今後の展望

リコーは、本ワークフローの提供を通じて、日本企業の業務効率化と付加価値の高い働き方を支援します。今後も、ドキュメント活用のさらなる高度化に向けて、オンプレミス環境における生成AI活用を加速する技術開発を推進し、企業価値の向上に貢献してまいります。

  • *1
    GENIAC(ジーニアック/Generative AI Accelerator Challenge):主に生成 AI のコア技術である基盤モデルの開発に対する計算資源の提供や、データやAIの利活用に向けた実証調査の支援等を実施するプロジェクト
  • *2
    リーズニング性能:LLMが単に情報を検索したりテキストを生成したりするだけでなく、複数のステップからなる論理 的な思考プロセスを経て結論を導き出す性能。

リコーグループでのDifyの活用と市民開発について

Difyは、LangGenius, Inc.が開発したオープンソースのLLMアプリ開発プラットフォームです。RAG(検索拡張生成)エンジンを使用して、AIエージェントから複雑なAIワークフローまで、生成AIを活用したアプリケーションをノーコードで開発・運用できます。

リコーグループでは、国内グループ社員約3万人が利用可能なDify環境を整備し、各部門および個人が業務に即したアプリケーションを開発しています。これまでに約9,300のアプリが作成されるなど、AIの市民開発を推進してきました。これらの実践で得た知見をもとに、公式販売・構築パートナーとして、Difyのライセンス提供や、導入支援、関連ソリューションの展開を行っています。

リコーのAI開発について

リコーは、1980年代にAI開発を開始し、2015年からは画像認識技術を活かした深層学習AIの開発を進め、外観検査や振動モニタリングなど、製造分野への適用を行ってきました。2021年からは自然言語処理技術を活用し、オフィス内の文書やコールセンターに寄せられた顧客の声(VOC)などを分析することで、業務効率化や顧客対応を支援する「仕事のAI」の提供を開始しました。

2022年からは大規模言語モデル(LLM)の研究・開発にもいち早く着手し、2023年3月にはリコー独自のLLMを発表。企業内に蓄積された文書・画像・業務データに内在する暗黙知をAIによって可視化し、業務成果へとつなげるAI開発を推進しています。独自のドキュメント理解技術とLLM/LMMを組み合わせることで、テキストや図表を高精度に解析し、実務で活用可能な知識として展開します。さらに、オンプレミス対応やセキュリティを重視した提供により、安心して利用できる環境を提供しています。

また、リコーはAIを自社業務において積極的に活用し、その知見をサービスに反映しています。社員自らがAIエージェントを構築・活用し、業務の高度化を実践していることが強みです。こうした実践知と、顧客の現場に入り込み業務を深く理解してきた実装力を掛け合わせることで、AIを構想にとどめることなく、継続的に価値を創出・提供していきます。

  • 社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
  • このページの内容は発表時のものです。
    既に販売終了になっている商品や、内容が異なっている場合があります。

| リコーグループについて |

リコーグループは、世界約200の国・地域で、AIをはじめとする先進テクノロジーと、長年培ってきたプリンティング領域の強みを基盤に、ワークプレイスにおける業務変革を支援するサービス・ソリューションを提供しています。また、商用・産業印刷事業や、インクジェット技術を応用した新たなソリューションの展開を通じて、お客様の価値創出を支えています(2026年3月期グループ連結売上高2兆6,083億円)。

“はたらく”に歓びを 創業以来90年にわたり、お客様の“はたらく”に寄り添ってきた私たちは、これからもリーディングカンパニーとして、“はたらく”の未来を想像し、ワークプレイスの変革を通じて、人ならではの創造力の発揮を支え、さらには持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

詳しい情報は、こちらをご覧ください。

PDFダウンロード

このニュースリリースはPDFファイルでもご覧いただけます

PAGE TOP