人間社会は、地球上の生態系から得られる様々な恵みに大きく依存しており、生物多様性はこの生態系と密接に関係しています。しかし今、生物多様性の損失と生態系の崩壊は深刻度が高まっており、この損失を止め回復させるための取り組みが企業をはじめとする多様なセクターで求められています。2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、2050年ビジョン「自然と共生する世界」と、2030年ミッション「自然を回復軌道に乗せるために、生物多様性の損失を止め、反転させるための緊急の行動をとること」が掲げられました。
リコーグループはこのビジョンとミッションに賛同し、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の重要項目を反映させる形で、2024年「リコーグループ生物多様性方針」を改訂しました。2010年制定「リコーグループ製品の原材料木材に関する規定(2022年改訂)」、2023年制定「用紙調達方針」と併せて、これらの方針・規定に基づいて事業活動に伴う環境負荷を削減すると同時に、森を「守る」「増やす」両面の森林保全活動 を行っています。今後も「ネイチャーポジティブ」と「森林破壊ゼロ」に向けて、様々なステークホルダーと連携して、地球の再生能力の維持・向上に取り組んでいきます。
基本方針
私たちは、生物多様性の恩恵を享受するとともに、生物多様性に影響を与えながら事業活動を営んでいることを認識し、人と自然が共生する社会の実現に向けた活動を積極的に行います。また、生物多様性は気候変動や資源利用と相互に影響することを踏まえて生物多様性保全に取り組みます。
生物多様性方針 (165KB)
地球環境保全並びに生物多様性保護の観点から、リコーグループブランド製品及びそれらの付随品の原材料木材が合法的かつ環境面・社会面で原産地の持続可能性に配慮されて得られたものであることを確認し、調達するために本規定を設ける。
適用範囲
リコーグループで調達する、木材を原料とする以下のもの:
原材料木材に対する要求
リコーグループ製品の原材料木材に関する規定 (146KB)
「用紙*基準」と「サプライヤー基準」の2つの基準で方針としています。
●用紙基準(調達する用紙への要求事項)
●サプライヤー基準(調達取引のための要求事項)
*対象:PPC用紙、ロール紙
環境・社会・ガバナンス分野におけるリコーグループの中長期的な課題を経営レベルで継続的に議論していくため、CEOを委員長とするESG委員会を2018年5月に設置しました。四半期に一度開催される委員会では経営幹部参画の元、生物多様性素分野における取り組み状況や課題・投資判断など経営上の重要なテーマとして位置づけ審議を行っています。審議内容は定期的に取締役会へも報告されESG経営を高次元で実現する執行の監督を行っています。
リコーグループでは、生物多様性への配慮を適切に実施するため、以下のプロセスで対応しています。
事業活動と生態系の関係性(環境影響・リスク)を明確にし、生物多様性に配慮する活動を推進しています。リコーグループでは、事業活動と生態系との関係性を明確にするため、製品のライフサイクルや土地利用などと生態系との関係を一覧できる「企業と生物多様性 の関係性マップ」を作成しています。
対象事業:画像事業、サーマル事業
対象範囲:原材料の調達、設計・製造、輸送・販売、使用・保守、回収・リサイクル上流下流
対象データ:エナルギー資源、鉱物資源、再生可能資源、大気・水質・土壌への化学物質排出、土地利用
※個別の事業サイトについては30by30自然共生サイト認定基準に基づいた評価も実施
企業と生物多様性の関係性マップ(再生デジタル複合機のイメージ)
事業と生物多様性の関係性を評価の結果、紙の調達がサプライチェーンでの評価結果の大部分を占めており 紙パルプなどの原材料の調達で生態系への影響・リスクが大きいことがわかりました。
想定リスク:違法調達等の影響により商品供給不足が生じるリスク、ブランドイメージ低下リスク
環境負荷を削減するために、再生紙や再生材の活用をすすめると同時に、事業部門とステークホルダー(お客様、地域住民、行政、NGO、仕入先など)とが連携し(図1)、生物多様性に配慮した原材料の調達を実施しています。リコーグループでは生物多様性への影響・リスク評価、および対策の結果を随時把握して、対応策を見直していきます。
またTNFDに沿ったLEAPアプローチに沿って自然資本への依存とインパクトの評価、リスク分析を開始しています。
生物多様性依存とインパクト評価図1:原材料木材の調達に関係するステークホルダーと役割
目標:新たに100万本の植林(2020年度~2030年度)
実績 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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植林本数:単年(千本) | 92 | 149 | 97 | 115 |
植林本数:累計(千本) | 92 | 241 | 338 | 453 |
進捗度(%) | 9.2 | 24.1 | 33.8 | 45.3 |
目標:持続可能な紙の調達100%(2026年度)
実績 | 2023年度 |
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持続可能な紙の調達の割合(%)※ | 60% |
※リコーグループ独自の証明書により適切な森林管理が確認できている紙の割合(重量ベース)
2023年度の主な取り組み
グローバル紙調達プロジェクトの活動促進
サプライヤーへのアンケート調査、証明書の入手
その他生物多様性保全への取り組みに関する実績はこちらをご覧ください。