自由な発想を掛け合わせ、
住まいとワークプレイスがゆるやかにつながる
新しい価値観を発信、クリエイティブな空間の創造へ
ライフスタイルの多様化や働き方改革の推進により、人々がもつ住まいへの価値観や働く場所の定義、意識は大きく変化しています。さらに、コロナウイルスの影響によりリモートワークが想定をはるかに超えるスピードで普及。新しい時代にあった住まいの形、ワークプレイスの在り方が模索される中、コスモスイニシア様とリコーの共創により、住まいとワークプレイスがゆるやかにつながる「コモリワーク」と「ドマワーク」がリリースされました。
業界も専門性も異なる両社はどのように課題を共有し、発想を掛け合わせ、どんな新しい価値を生み出したのか?これまでの取り組みと共創の価値を、座談会で振り返りました。
菊地:最初にコスモスイニシア様にお声掛けしたのは、2019年の7月頃。コロナウイルスが流行する半年以上前でしたが、働き方改革の推進によりリモートワークは普及しつつある状況でした。働く=オフィスではない時代、リノベーションマンションを多く手掛けられているコスモスイニシア様と共創することで、何か社会にインパクトのあるメッセージを発信できるのではないかと、RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE Tokyo(以下RICOH BIL Tokyo)へお誘いしました。
辻川様:リコーさんというと、やはり複合機などオフィス機器の印象が強かったので、最初にRICOH BIL Tokyoを訪問した時は驚きました。こんなに幅広く新しいことに取り組まれているのか、と。この商品と掛け合わせたらどうだろう、ここも工夫できるのではないか……。そんな可能性を随所に感じ、2時間のセッションはとても面白かったです。
菊地:コスモスイニシア様は多くの企業と共創されていますが、リコーとの共創に至った一番のポイントは何だったのでしょうか?
辻川様:新しいものを生み出すのに他社との共創、化学融合は絶対に必要です。セッションでいろいろなお話を聞き、特に社会課題への意識の高さに刺激を受けました。
岸本様:今の時代、商品開発にも社会課題の視点を入れていかなければ、消費者に受け入れてもらえません。リコーさんの社会課題を踏まえ長期的視点に立ったアプローチを当社にも取り入れたいと考えました。リコーさん側はどんな点に共創の可能性を感じたのでしょうか?
菊地:私はご来場いただいたセッションで『ワークスタイル変革』というキーワードが出た時に、『住まい』×『働く』の掛け算にチャンスがあるのではないかと感じました。そこで、リモートワークを実践している両社の社員へのインタビューとワークショップを提案したのです。
奥田:リコーでは、ニーズや課題を掘り起こす手法としてデザイン思考のメソッドを使った価値創出プログラムを展開しています。私が所属する総合デザインセンターは、商品をデザインする段階になって参加するのではなく、もっと前の段階、新規事業や成長事業を研究する段階から関わっていきます。デザイナーが入ることで、論理や数値に表れない潜在的なニーズや社会課題を掘り起こし、新しい価値を探っていくためです。
今回は、リモートワークを実践している両社の社員にデザイン思考のインタビューを行いました。発言の真意を見極めるため、2時間ほど様々な角度からお話しを伺いましたが、その様子をご覧になっていかがでしたか?
岸本様:通常のインタビューより内容が非常に濃いですよね。自社の社員だけではなく、リコーさん側の社員の考えをじっくり聞けたのは新鮮でした。例えば同じ『リモートワーク』でも、自宅、サテライトオフィス、カフェなど、人によって想定している場所は様々。会社によって運用のルールや業務の領域も違います。新しい気付きが多くありました。
辻川様:インタビューに続いて行われたワークショップもデザイン思考を取り入れたユニークなものでしたね。当社もワークショップはよく行いますが、強制的に発想させるようなスタイルはあまり体験したことがなく、こちらも新鮮でした。
その結果、私たちでは思いつかない発想がリコーさんから生まれたり、難しいと思っていた課題も、視点を変えたら糸口が見つかるなど、自由な発想に基づくアイディアが15個以上も生まれました。
菊地:デザイン思考では、人の感覚を大切にしながら、共感・定義・創造・試作・検証のプロセスを回すことを大切にしています。コスモスイニシア様は不動産の専門家であり、リコーはワークプレイスの専門家です。『専門』というだけあって、通常だとそのフレームから外れた発想をするのは難しいのですが、デザイン思考のワークショップでは専門外の意見もフラットに扱われ、フレームの外側を掘り起こすことができた、ということだと思います。
岸本様:ワークショップで浮彫りになったのは、テレワークにおける仕事のオン・オフの難しさ、自宅にいながらにして仕事のスイッチをどうやってオンにするか、ということでした。仕事に集中できるように完全に隔離するのではなく、ある程度、家族とのつながりも保ちたい、と。
菊地:暮らしと仕事の融合をいかに実現するか、ということですね。RICOH BIL Tokyoではそれを『ワークライフハーモニー』と表現しています。リモートワークが普及し暮らしと仕事の境界が曖昧になる中で、どうやってマインドセットをしていくかが、共通の課題であることが掘り起こされました。
奥田:皆さんから出たアイディアを総合デザインセンターに持ち帰り、練り直し、再提出。再度皆さんの意見を聞き、また練り直して……ということを何度も繰り返しました。
岸本様:そうでしたね。そのやりとりの中で、当社が以前新築マンションで企画した秘密基地のある住まい『ポケットベース』をアレンジする案や、リビングと仕事場を特殊なガラスで区切り、リコーさんの超短焦点プロジェクターのモニターとして活用するアイディアも生まれました。
奥田:それにしてもコスモスイニシア様のスピード感には圧倒されました。私たちの製作したデザインやCGを、動線や家族構成を踏まえて図面化。数か月後には実装、リリースとなったことに感動しました。
辻川様:スピード感は当社が最も重要にしている点です。変化の激しい時代、リスクを恐れず圧倒的なスピードで実現していくことを徹底しています。
今回はちょうどコロナウイルスの流行によりリモートワークに注目が集まる中、共創の第一弾として『コモリワーク』と『ドマワーク』を設けたリノベーションマンションをリリースすることができました。大きな反響をいただいており、新聞各社の取材も受けましたし、業界の異なる企業からお問い合わせもいただいています。
辻川様:今回の共創で、業界を超えてコラボレーションする価値を改めて実感しました。新しい価値を生み出す上で、共創は一番正しいやり方なのではないでしょうか。引き続きリコーさんとの共創を続けていきたいですね。またワークショップを企画してください。
奥田:ありがとうございます。ぜひワークショップを開催しましょう。
リコーは創業以来、人々の『働く』に寄りってきましたが、『働く=オフィス』ではない今、共創を通じて従来の発想を超える多角的なアプローチが求められいることを再確認しました。私たちも住空間についてこれまで以上に向き合っていかなければなりません。このタイミングで御社とタッグを組めたのは非常に貴重な経験になりましたし、ぜひ継続させていただきたいと思っています。
岸本様:今回は想像以上の成果を生み出すことができました。デザイン思考を学べたことも、大きかったですね。
社会は急激に変化しており、特にコロナウイルス流行の前後では、人々の働く意識、職場や住まいへの考え方が劇的に変わっています。今回のワークショップでも、働くためだけのオフィスなら無くてもよいけれど、同僚と雑談したり一緒にランチをする機会はほしい、という新しい価値観も聞かれました。
絶えず変化する社会環境に柔軟に対応するには、共創もスピード感がますます重要になってくると思います。
菊地:私もコロナウイルス流行により、変化への適応力、スピード感の重要性について痛感しているところです。この数か月でリモートワークは一気に普及が進み、これまで不可能と思われていた業種、職種でもできることが実証されました。そうなると、3月以前と全く同じワークスタイルに戻ることはなく、『暮らす』と『働く』の融合はいっそう進み、新しいアプローチが求められていくでしょう。
急激な変化に対応するには、企業の価値創造力を高める必要があり、それを培えるのが今回のような共創なのだと思います。専門内外の意見をフラットに扱い、どう組み合わせていくか、自由な発想を掛け合わせていく。いわばオープンイノベーションで新しい価値を生み出していくイメージですね。今後もコスモスイニシア様とともに、新しい価値を社会に発信していけたらと思っています。
本日はありがとうございました。
コスモスイニシア様は、新築マンション・一戸建、リノベーションマンションなどの住まいを提供するレジデンシャル事業、投資用・事業用不動産の開発・仲介・賃貸管理などを行うソリューション事業、インバウンドをはじめとしたファミリー・グループでの中長期滞在に対応するアパートメントホテルの開発・運営を行う宿泊事業を展開されています。
「Next GOOD」 お客さまへ。社会へ。⼀歩先の発想で、⼀歩先の価値を。お客さまとその先にある社会に“一歩先の価値”を提供する存在でありたいという強い思いで、社会の変化とニーズの多様化に応え、都市環境をプロデュースされています。
詳しい情報は、こちらをご覧ください。
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