出典:2023年度有価証券報告書「第⼀部 第2-3【事業等のリスク】」より
(提出⽇ 2024年6⽉21⽇)
事業の状況、業績の状況等に関する事項のうち、株主・投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のとおりです。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響があると経営者が認識しているリスクを以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現時点で未知のリスク・重要と⾒なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、事業等のリスクは、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
4 | 4 | C |
事業構造の転換が進まず、印刷量の減少による業績影響を受けて、中期的に⽬指しているROE10%超の実現に遅れが⽣じることでPBR1倍を達成できないリスクがあります。
PBR低迷の要因は収益性の低さにあるという分析結果を基に、企業価値向上プロジェクトを⽴ち上げ収益構造の変⾰に向けて以下のテーマを推進しております。
これらを実現するための⼈材ポートフォリオ最適化や新たなリソースを獲得するためのM&A⼈材の育成強化も進めております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル | |
---|---|---|---|
実践型デジタル⼈材 | 5 | 2 | C |
データ利活⽤推進 | 4 | 3 | B |
オペレーショナルエクセレンスの実現 | 4 | 3 | B |
デジタル技術とデータを活⽤するデジタル戦略の推進加速に向け、本社機能と各ビジネスユニットが⼀体となり、実践型デジタル⼈材の育成、事業におけるデータ利活⽤の推進、オペレーショナルエクセレンスの実現等を継続して⾏わなければ当社グループの業績、成⻑に影響を及ぼすリスクがあります。
グローバルでの競争激化の中でレジリエンスを⾼めていくために、デジタル戦略の推進加速が重要であり、例えば以下のような施策の強化に努めております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
4 | 3 | C |
デジタルサービスの会社として、マーケットイン型/オープンイノベーション型のR&Dプロセスにシフトできないことにより、技術投資における投資利益率の向上を実現できないリスクがあります。
また、AI応用等でのELSI*2対応力不足による企業信頼失墜・事業機会損失発生のリスクもあります。
R&D投資の注力領域への集中と、投資配分のガバナンス強化を進め、マーケットイン型/オープンイノベーション型のR&Dプロセスへの移行を進めてまいります。また、技術倫理についての推進体制のもと、倫理啓発活動に加え、価値創出プロセスにおける技術倫理活動等、更なる強化を図ってまいります。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル | |
---|---|---|---|
NIST SP800-171準拠対応 | 5 | 3 | C |
セキュリティ対応 | 4 | 2 | C |
デジタルサービスの会社への変革に向け、様々なデジタルサービスの活用・提供、自社業務のデジタル化の実践等を行ってまいります。その上で、情報セキュリティを確保する体制・運用を重視し取り組んでおりますが、以下のようなリスクがあります。
各国、国策レベルで対策が求められてきている中、変化し続ける情報セキュリティ情勢を常に把握した上で、グローバルに活動拠点のある当社グループにとって適切な対策を検討・推進していくことを、最重要課題の一つと位置づけております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
4 | 2 | C |
デジタルサービスの会社への事業変革を成し遂げ、中長期的に成長を続けることは、人材に大きく依存しております。特に将来の経営人材の育成を継続して行わなければ、当社グループの業績、成長に悪影響を及ぼすリスクがあります。
変革・発展を導くリーダーを継続的に育成するため、将来のリーダー候補の選定やアセスメント、キャリア計画などを包括的に進めております。
また、社員のIDP*5の作成支援、IDPに基づいたキャリア形成、それに必要な自律的な学習環境を作ることで、自律的なキャリア形成を促進する取り組みを進めております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル | |
---|---|---|---|
人権 | 5 | 2 | C |
脱炭素 | 4 | 1 | C |
資源循環/生物多様性 | 4 | 3 | C |
ESG/SDGsへの対応は、当社グループの事業活動に対して中長期的影響を及ぼす新興リスクであり、特に人権、脱炭素、資源循環/生物多様性を重要なリスクと捉え、活動しております。
これらの対応を競合に遅れることなく進めていかないと商談機会の損失等ビジネスへの悪影響にとどまらず、社会的信用の失墜、ブランド価値の毀損等、会社に甚大な損害を与える可能性があります。
以下の対応を強化しています。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
4 | 4 | C |
予防・対応プロセスを強化し、各国法規制情報収集の強化、重要部品別に複数仕入先の選定等、今後も円滑な事業活動を行うため、経営にて審議し、迅速かつ適切な対応に取り組んでまいります。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル | |
---|---|---|---|
感染症 | 2 | 2 | C |
地震・噴⽕・台⾵ | 3 | 2 | B |
⼤規模地震、津波、洪⽔、感染症の拡⼤、サプライヤーの供給停⽌及び地政学リスクによる不測の事態により、以下のような事象が発⽣し、ビジネス機会を損失するリスクが考えられます。
リスク発⽣時を想定した予防・対応プロセスを強化しております。
加えて、机上訓練のみならず⼀定の実践を常態的に⾏っております。令和6年能登半島地震においても対策が奏功し⽣産・供給を継続できました。今後も有効性の確認と改善を継続的に⾏ってまいります。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル | |
---|---|---|---|
国内:地震・噴火 | 1 | 3 | C |
国内:風水雪害 | 5 | 1 | C |
国外:大自然災害・事件事故 | 3 | 1 | C |
国内外で発生する大規模な自然災害・事件・事故において、人的/物的被害が生じ、経営に著しい影響を及ぼすリスクを想定しております。
当該リスク対応において、以下のような対策を行っております。
国内
国外
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
5 | 1 | C |
人事関連の各種コンプライアンス違反が発生し、社会的信用を失墜するリスク等が考えられます。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
5 | 1 | C |
社内外の環境変化が激しい時代において、健全な成長を維持するためにグループガバナンスの強化が非常に重要であると考えております。本社のガバナンスが適切に機能していない場合、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
グループガバナンスのリスクを低減するために、本社機能とビジネスユニット、当社グループ各社のガバナンス体制を再設計しております。ガバナンス機能の更なる強化を進めつつ、デジタルサービスの会社として適切な本社機能の規模・役割に再整備していきます。
本社主管管理部門によるグループ会社のガバナンスについては、2024年7月1日設立予定のエトリア株式会社を含め個別事業の特徴やリスクマネジメントの成熟度に応じて、適切な指導及び管理監督を行ってまいります。また、テクノロジーの活用については、翌事業年度にシステム導入を完了し、グループ全体で発生したコンプライアンス違反や不正行為、内部通報等からの傾向分析を行い、各組織に対しデータに基づく、より効果的な対応アクションを提案していきます。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
4 | 2 | C |
オフィス向け複合機やプリンター市場において、リモートワークの増加やペーパーレス化に伴い印刷量が減少し、業績に影響を与える可能性があります。
既存のオフィスプリンティング事業の顧客基盤の維持・拡大に取り組み、社内プロセスはSCMの徹底効率化やオペレーショナルエクセレンスにより、更なる収益性の向上を図っております。合わせてオフィスサービス分野においては、ビジネスプロセスオートメーション領域とコミュニケーションサービス領域を成長領域と定め、ストック収益の積上げを加速させることでオフィスプリンティング領域のリスクヘッジを図っております。
また、複合機を含むエッジデバイスの供給体制については、他社との協業を進めて最適な生産・開発体制を構築することで競争力のある商品を提供し、利益率の向上によるリスクヘッジを行っております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
4 | 2 | C |
デジタルサービスの成長に向けてはコンサルティング・インテグレーションができるデジタル人材の確保が必要要件の1つとなっております。慢性的な人手不足を背景にしたIoTやAIを活用した業務改革の潮流はより一層強まっており、デジタル人材を確保する動きがより高まっているため十分に確保できない可能性があります。
優秀なデジタル人材の流出防止及び獲得の為に、プロフェッショナル人事制度の構築等の人事制度改革を進めております。また、人的資本戦略を策定し、グループ全体の社員のスキルの底上げに加え、デジタルアカデミーやリスキリングプログラムの策定・実施を通じて、プロセスDXの実践人材やデジタルエキスパート人材の育成に努めております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
4 | 2 | C |
リモートワークやペーパーレスの拡大により企業内の大量印刷需要の減少や印刷量の集約・統合により、商用印刷事業領域における企業内印刷事業の業績が下振れするリスクがあります。
企業内印刷事業での業績下振れリスクを低減するために、未開拓の欧米代理店や新興国の開拓を進めると共に、事業ポートフォリオマネジメントの実施により今後も市場成長が見込まれている商用印刷事業の高付加価値領域やインクジェット技術・製品へのリソース投入を強化し、事業構造変革を進めております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
4 | 2 | C |
サーマル市場は世界的な人口増加に伴う消費財の増加により堅調に成長しているものの、コモディティ化が進行しております。グローバルに事業を展開する中、各地域の景気回復の遅れにより成長が鈍化し、収益性悪化や過剰在庫・設備稼働率悪化となる可能性があります。
市場動向のモニタリング体制を強化し、需要予測の精緻化と日常管理体制の強化を進めております。各地域の景気動向による需要の増減がある中、グローバルの販売網・生産インフラを活用し最適な地域での生産・供給オペレーションを実施することで業績変動リスクの最小化に努めております。
また、包装トップシールに直接印字するスマートパッケージ事業の拡大等独自の技術で差別化をすることにより、社会課題の解決に貢献すると同時に収益の安定化を図っております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
2 | 3 | B |
企業買収の際に生じたのれん、事業用の様々な有形固定資産及び無形資産を計上しております。これらの資産については、今後の業績計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
資産の取得に際して、投資金額及び内容に応じた所定の手続きを実施し、投資対効果の検討等様々な点を考慮し実行の是非を決定しております。また、外部への投資案件は、GMCの諮問委員会である投資委員会にて、財務、戦略、リスク視点での妥当性を審議し、GMCへ見解を上申しております。決裁された投資案件に関して、同委員会が進捗モニタリングを定期的に行うことによりリスクへの対策を講じていく仕組みを構築しております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
2 | 3 | C |
税効果会計を適用し、将来減算一時差異及び繰越欠損金等に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、事業計画を基礎とした将来の課税所得に対して回収可能性を検討しております。将来の課税所得の見積りが、現在の課税所得の見積りよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産の評価にあたり、繰延税金負債の実現予定時期、将来の課税所得の見積り及び税務戦略を考慮しております。将来の課税所得の見積りに関しては事業計画を基礎として、各ビジネスユニットが業績の進捗をモニタリングし、計画の達成を阻む要因があれば、自律的かつ迅速に対応できる体制を構築しております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
2 | 1 | B |
知的財産権を重要な経営資源と捉え、現在及び将来の自社事業とそれを支える技術等の保護、差別化とその拡大のために、特許権、意匠権、商標権等の知的財産権を獲得しておりますが、競合他社が同等の技術等を開発して独自性が低下するリスクや、各国特許庁の審査で狙いどおりの権利獲得ができず十分な保護が得られないリスクがあります。また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害するとして、第三者から、販売の差し止めや損害賠償金の支払い等を求める警告を受けるリスクや、訴訟を提起されるリスクがあります。更に、新規事業立上げで、他社との協業、共同研究や共同開発が活性化していることに伴い、知的財産権に関する契約が増えておりますが、当該契約でトラブル等が発生すると、自社事業に悪影響を与えるリスクが大きくなります。
特許等の出願前に先行技術調査を徹底すると共に、各国の知的財産に係る法律、審査基準やプロセスを把握し、知的財産権獲得の精度向上に努めております。また、自社製品・サービスを市場に提供する前に、第三者の知的財産権の調査と、自社製品・サービスと第三者の知的財産権との対比検討を徹底しております。第三者の知的財産権を侵害するリスクがある場合、外部の弁護士や弁理士による鑑定、必要であれば設計変更、ライセンス交渉やライセンス取得を行い、第三者との係争リスクを低減しております。
「知的財産権の保護」を業績に影響を及ぼすリスクとして重要視し、過去に発生した、知的財産権に関する契約トラブル事例を形式知化し、トラブルの予防とリスク低減をしております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
2 | 2 | B |
当社グループが製造・販売する製品に、
等が発生することで、お客様の信頼や社会的信用を失墜させ、企業ブランドや製品ブランドが毀損され事業継続が困難になるリスクが考えられます。
「製品品質・製造物責任」に対する予防・対応プロセスを強化しております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
5 | 3 | B |
事業活動を行う中で、例えば以下のような要因により会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
5 | 2 | B |
事業活動を行う中で、独占禁止法及び競争法の違反が発生した場合、課徴金納付命令等の行政当局による処分や刑事罰、官公庁との取引停止、社会的信用の失墜によるビジネスへの悪影響等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。
独占禁止法及び各国競争法の遵守徹底のため、各地域の法務部門が主導し、各国競争法の遵守、教育活動及び発生時対応の強化に努めております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
5 | 2 | B |
事業活動を行う中で、各種環境関連法の違反が発生した場合、行政処分等による生産への影響、課徴金の負担、刑事罰、社会的信用の失墜やブランド価値の毀損によるビジネスへの悪影響等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。
環境マネジメントシステムを構築し、定期的なアセスメントによる環境関連法の遵守徹底と共に、規制変化等のタイムリーな把握・対応を行っております。また、M&Aにおいても環境デューデリジェンスを適切に実施しリスクの未然防止を行っております。
収集した環境パフォーマンスデータを積極的に開示すると共に、主要データに関しては第三者検証を受ける等、透明性・信頼性の確保に努めております。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
4 | 3 | C |
生産活動及び販売活動の相当部分を日本以外の米国、欧州及び中国等その他地域で行っており、事業活動において以下のような為替レートの変動による影響を受けます。
緊急度 | 影響度 | リスクマネジメントレベル |
---|---|---|
2 | 2 | B |
確定給付制度債務及び年金制度の資産に関し、一定の会計方針に基づいてこれらの給付費用を負担し、政府の規制に従って資金を拠出しております。
現時点では、直ちに多額の資金は不要ですが、株式や債券市場等の予測し得ない市況変動により制度資産の収益性が低下すれば、追加的な資金拠出と費用負担が必要になるリスクがあります。
政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。
緊急度、影響度、リスクマネジメントレベルの詳細については、リスクマネジメント「重点経営リスク」の決定プロセスを参照ください。