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第122回定時株主総会
第122回定時株主総会質疑応答
主な質疑応答の要旨を記載しています。
- 質問1
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御社の技術があれば、SAMSUNGに負けないスマートフォンを作れると思う。時代と共にスマートフォンの求められている機能が変化している。新たな機能を持ったスマートフォンで世界に挑戦してほしい。
- 回答者
- 山下代表取締役
- 回答
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新型コロナウイルス感染症により、この2年で人々の暮らしや働き方は劇的に変化しスマートフォンに対する人々のニーズも多様化していると感じている。働く人が、上手にスマートフォンを使いこなす働き方変革は当社の事業領域であるが、スマートフォンそのものの生産事業は相当な後発ということもあり、当社の事業領域とは考えていない。
- 質問2
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過去の株主総会の質疑応答で、円安の際には差益が出るとの説明があった。現在の為替水準(ドル135円、ユーロ140円)が継続した場合、2022年度業績は上振れするのか。そうだとすると、足元で急激な円安が進行する中、直近のリコーの株価は弱い動きとなっている。為替以外にどのようなリスクがあるか。また、それらにどのように対応していくのか。
- 回答者
- 山下代表取締役
- 回答
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2022年度の業績見通しは、前提の為替レートをドル125円、ユーロ135円としている。当社の為替感応度は、1円の変動でドル3億円、ユーロ10億円程度の年間営業利益の変動となる。ご質問にあるように、当社前提の為替に対して円安が継続すれば、為替差益による営業利益の上振れが期待できる。その一方で、中国のロックダウンなどによる製品供給への影響、海上輸送費高騰など、依然として厳しい外部環境下にある。見通しには一定程度のリスクを織り込んでいるが、予断を許さない状況である。株価の動きには様々な要因が作用することはご理解の通りだが、資本市場では、今申し上げたようなリスクもある程度考慮されていると思われる。
- 質問3
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デジタルサービスへの変革を掲げながら、スキャナーの会社を買うことの方向性があまり理解できない。戦略上必要だから買収したのだと思うが、買収ではなく20%程度の出資や業務提携を選択しなかった理由を教えてほしい。
- 回答者
- 山下代表取締役
- 回答
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株式会社PFUは、当社がデジタルサービスの会社へ変革するにあたって、欠かせないエッジデバイスであるスキャナーとデジタル人材・ITマネジメントサービスを保有している。現在、急増しているお客様のデジタル化要求に応え、スピーディーなビジネス拡大の為にはグループ会社となって頂くことが最適であると考え、株式取得の判断に至った。また、PFU社の成長を共に支えていただくためにも、残る20%は引き続き富士通様に保有いただく。
- 質問4
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女性管理職比率が低すぎるし、目標も低すぎる。それ以前に、女性の正社員が少ないのは、会社の魅力がないからなのか。女性正社員、女性管理職を増やすためにどういう戦略をもっているのか。
- 回答者
- 山下代表取締役
- 回答
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会社の変革には、多様な人材が個々の能力を活かし協働することが不可欠であり、ダイバーシティは経営戦略の一つと位置付けている。現在のリコー単体の女性社員比率は約16%で、グループ会社全体の約29%を考えると、ご指摘の通り、決して女性社員が多いとは言えない。リコー単体は技術・機能部門が多いことから、国内の理系人材の女性比率が低い影響を受けている面があろうかと考えている。その中でも、マネジャーの意識変革や男性の育児参加奨励など、両立支援に地道に取り組んできた結果、勤続年数では女性社員の方が長くなっている。さらに、近年、女性管理職比率も上昇してきており、着実に成果が出てきている。また、CHROの瀬戸のリーダーシップで、ワークライフ・マネジメントを実現できる働きやすさや、リコー式ジョブ型人事制度の導入など、社員が成長できる環境を整備し、多様で優秀な人材の獲得にも努めている。これからも、波多野取締役をはじめとする取締役会の助言も受けながら、女性活躍を推進する。
- 質問1
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デジタルサービスやITに関しての説明があったが、AIについても説明してほしい。
- 回答者
- 山下代表取締役
- 回答
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AIについても、力を入れて開発、活用を進めている。2021年夏には「仕事のAI」という商品を発売している。お客様のデータをお預かりしてAIで分析して価値提供している。詳しくは坂田CTOから説明する。
- 回答者
- 坂田取締役
- 回答
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AIについては以前から注力しており、2017年には研究センターを設立している。100名超のメンバーで研究を進めてきた。さきほど山下が申しあげた通り、「仕事のAI」という商品を提供しており、リコーリースではお客様の与信判断にAIを活用している。そのほか、トナーの製造プロセスでも効率と品質を上げるためにAIを活用している。今後も強化していく。
- 質問2
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次々と計画や対策が実施されているが、世の中の会社と比べても相対的に株価が低いのではないか。また、業績目標も達成できていない。理由の一つとして、情報機器メーカーが必要とする人材と、経営者、とくに社長の経歴や能力が適合していないのではないか。
- 回答者
- 稲葉取締役会議長
- 回答
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社長のパフォーマンス評価については、指名委員会で年一回CEOを再任すべきか議論する。一次評価、二次評価を経て、CEOが適切に機能しているかを吟味する。山下CEOの再任にあたっては、中期経営計画において確実に改革を実行しており、さまざまな点でCEOの職務を継続してもらうに足る経験を十分持っていると判断している。仮に今後、パフォーマンス評価のプロセスで再任不可と判断されるような場合があれば、次期CEO候補者の中から適任者を議論することになる。
株価についてはその時々の経営環境で大きく変動するため、それをもってただちにCEOの適切性を判断するものではないと考えている。
- 質問3
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指名委員会や報酬委員会での検討や議論について、差し支えない範囲で教えてほしい。
- 回答者
- 稲葉取締役会議長
- 回答
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指名委員会は飯島委員長の卓越した指導力でしっかりした議論がされている。CEO再任可否、および候補者選定については相当細かい議論がなされている。CEOは一年間のパフォーマンスを見ながらこの環境下で再任が適切か、再任にあたって不足がある場合は改善点について議論している。次期候補者の選定にあたっては、外部専門家にもアセスメントをしてもらいながら行い、候補者の不足する資質についてしっかりと自己研鑽してもらうように議論を重ねている。
- 回答者
- 波多野取締役
- 回答
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報酬委員会の構成は過半数を社外取締役、委員長も社外取締役とし、客観性と透明性を確保している。個別報酬額などについて審議している。昨年度は6回の審議を実施し、株主様のご意見を参考に、またさまざまなデータを参照しながら、闊達な議論を交わし、長期的な企業価値向上の実践と報酬制度について議論している。
- 質問4
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社員株主が発言した場合に、一般の株主の発言と同様に扱われるのか。
- 回答者
- 山下代表取締役
- 回答
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一般の株主の発言と同様に回答している。
- 質問5
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会社を経営するにあたって、従業員をどのように位置づけているか。
- 回答者
- 山下代表取締役
- 回答
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人的資本への投資を最重視しており、経営の根幹となるリソースと考えている。従業員が自律的に成果を生み出すことが必要で、そのためには従業員の自律性を重んじ、客観的に評価できる制度に変えていくことが必要。そういう意味で、ダイバーシティの視点を重視し、エンゲージメントスコアの分析もし、施策に落とし込んでいる。CHROの瀬戸からもコメントする。
- 回答者
- 瀬戸コーポレート上席執行役員
- 回答
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エンゲージメントサーベイを重要視しており、毎年全世界の社員の調査への参加率も増えている。昨年は85%以上の社員がコメントを含めて回答している。調査結果をもとに課題を分析し、経営に社員の声を反映することに注力している。ただし、社員自らが自分の職場・会社をよくするという意識が大事だと思っており、社員も巻き込みながら改善に取り組んでいる。ダイバーシティの対応や、リコー式ジョブ型人事制度も導入したが、今後真価が問われる。ただし、社員の声の反映や対話ができる仕組みが担保されており、それらを活かしながら、経営陣がリーダーシップを発揮する基盤が十分できていると考えている。
- 質問6
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SDGsの取り組みについて具体的に教えてほしい。
- 回答者
- 山下代表取締役
- 回答
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創業の精神である三愛精神を軸に「誰一人取り残さない」社会の実現に取り組んでいる。
1998年に環境経営のコンセプトを当時の桜井社長が提唱し、継続的に活動している。
ESGの中でも特に環境視点について、ESG担当の鈴木より説明する。
- 回答者
- 鈴木コーポレート執行役員
- 回答
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リコーのSDGsの取り組みの特徴は、環境経営という話もあるが、経営戦略とSDGs(ESG)が同軸になっていることである。全社ESG目標17個をかかげ、部門に落としPDCAをしっかり回している。CEOの山下の強力なリーダーシップにくわえ、従業員のボトムアップの活動も一生懸命やっている。事業を通じた社会課題解決をすべく、例を挙げると、リコージャパンの全国47支社には510名のSDGsキーパーソンがおり、お客様の社会課題解決に向けた提案、社員への教育を進めている。こうしたことを今後も継続していく。
- 質問7
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ROE目標を2025年度10%、2022年度で7%としており、2021年度実績も開示している。ROICについては2025年度目標を8%としているが、実績を開示しないのか。
- 回答者
- 松石取締役
- 回答
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株主総会の招集通知には記載していないが、2021年度通期決算資料で2.8%と開示している。ビジネスユニットごとにブレイクダウンしたROICも社内では運用しているが、今後、精度をあげながら、開示していきたいと考えている。
- 質問8
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ポートフォリオマネジメントでは、事業再生の位置づけになっているカメラ事業について状況を教えてほしい。
- 回答者
- 山下代表取締役
- 回答
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カメラ事業は将来残るブランドとしてつないでいきたいと考えている。
従来は大量生産・大量消費の競争環境だったが、ペンタックスやGRのお客様の顔が見えており、熱烈なファンクラブも存在している。お客様とデジタルでダイレクトにつながり、要望に即したカメラを工房的なアプローチでご提供するという、大量生産から距離を置いたビジネスモデル構築を進めていく。このように、ペンタックスとGRの2つのブランドを未来に残していくために、ものづくりとお客様の関係性を変えてきている。コロナ禍だが業績は着実に改善しており、再生を果たしつつある。