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路面の凍結検知

偏光カメラと人工知能で凍結を見つけて道路を安全に

背景

気温が下がり道路上の水分が凍りつくと、路面が滑りやすくなり、事故などの危険が高まります。

路面が凍結していることが分かれば、ドライバーへの注意喚起の表示や、車のスリップ防止のための制御、凍結している部分への融雪剤の散布などのいろいろな用途に役立ちます。

凍結した路面の検出には、路面温度の監視や、固定型のレーザーの反射光を用いた大規模な検出装置などが提案されています。

ただし、走行しながら広い範囲の凍結部分の検出や、凍結判定の精度で課題がありました。

こんな事を解決

リコーは車で走行しながら、カメラで路面の凍結状態を検知するシステムを開発しました。

なお、偏光情報を用いることで、路面の状態がよく分かると同時に、白線や道の縁も見えやすくなります。

技術の特徴

リコーは、偏光情報を活用し、さらに異常検知の技術と深層学習を組み合わせることで、検出の性能を向上させました。

偏光情報で路面の状態を検知する

光には、振幅(明るさ)、波長(色)、偏光の情報が含まれています。
偏光情報は、人の目では感知することのできない情報ですが、物の形や表面の状態、光の性質や角度を検知することができます。

リコーが開発した偏光カメラは、この偏光情報をリアルタイムに取得できるカメラです。
この偏光カメラを用いることで、色や明るさだけでは分からない、凍結した路面の状態を精度良く検知することに成功しました。

路面凍結検知システム路面に反射した光を偏光カメラで検知すると表面の状態がよく分かる

人工知能に学習させ、検出率を向上する

近年、機械学習(Machine learning)などを使って、機械自体が学習機能を持つ人工知能(AI: artificial intelligence)の研究開発が盛んになってきています。

偏光カメラで検知できる凍結路面の状態は、鏡面のような氷や、シャーベット状態などさまざまです。
一般的に、人工知能に学習させるためには、検知するべき全ての凍結状態の画像を準備する必要があります。
しかし、凍結した路面には多くの状態があるため、画像の準備が大きな課題となっていました。

そこで、リコーは、学習方法として半教師あり異常検知を利用しました。
この方法では、学習に凍結していない路面のみ、つまり、晴れ、雨など凍結していないことが確実な路面の画像だけを利用します。
すると、そこから外れた異常値(晴れでも雨でもない状態)を凍結状態として判定することが出来るため、未知の様々な凍結状態の検出が可能となります。

この方法であれば、気温が一定以上の状態で車を走らせながら画像を撮影すれば、全て凍結無しのサンプル画像となるため、簡単に大量のサンプル画像が取得できます。

学習を深め、誤検出を減らす

一般的に、このようにひとつの状態の情報のみを用いる半教師あり異常検知では精度が劣る傾向があります。
そこで、さらに高精度に異常を検出する方法として、多層のニューラルネットでの学習結果を元に、異常検知を行う方法を新たに開発しました。

この方法により、明るさ(輝度)のみと比較して、偏光画像と輝度画像の組み合わせでは、検出率が同じ場合の誤検出を1ケタ以上下げることができました。

明るさ情報に偏光情報を加え、さらに機械学習に深層学習を加えると、検出率は上がり、検出間違いも減少する。

リコーの想い

今後もリコーの持つ技術資産を活かし、周りの状況をより正確に捉えてフィードバックできるシステムを研究していきます。

関連発表
  • 笠原 亮介, 金箱 裕介, 伊藤 泉, “偏光カメラとDeep learningを用いた異常検知による凍結路面検出,” SSII2016, IS1-31 (2016).
  • R. Kasahara, I. Itoh, and H. Hirai, “Improvement of image quality by polarization mixing,” SPIE OPTO. International Society for Optics and Photonics, 89920U (2014).
  • 笠原 亮介, 伊藤 泉, 小林 正典, “偏光情報の画像認識処理への応用,” SSII2015, IS1-10 (2015).