一般的にラテックスインクとは、水性インクでありながら、コーティングされていない非浸透性の基材にも印刷することができる加熱定着型のインクです。水性顔料インクと同様な取り扱いが可能で、かつ従来の水性顔料インクに比較して基材に密着して耐スクラッチ性や耐水性を発揮します。
リコーが開発したインクジェット用ラテックスインクは、水性顔料インク技術が用いられており、排出されるVOC(揮発性有機化合物)を抑える環境配慮型のインクになっていますので、印刷機に特別な排気設備が必要ありません。
リコーのラテックスインクは、プロセスカラー(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に加え、オレンジ、グリーンの特色インクや白インクを揃えています。特色インクは、通常の商品や人物など写真印刷に多く用いられるサイングラフィック用途でも、広い色再現領域を得ることを可能にします。白インクは、隠蔽性が高いため、店頭看板などの透明基材上の下地印刷に用いることで、高いコントラストを得ることができ、視認性の良い画像を得ることが可能です。また、リコーのラテックスインクは、顔料の均一分散化技術を用いることにより、サイングラフィック用途で多く用いられている塩化ビニル(PVC)やPETフィルムなどに対して、安定した画像濃度を得ることができます。更に、プラスチック基材だけでなく紙に対しても高い濃度が得られる特徴を有し、幅広い基材対応性を有するインクです。
インクジェットシステムにおいて信頼性は特に重要な特性です。リコーのラテックスインクは、インク高安定化技術により、高い吐出信頼性を得ることができます。通常、インクジェットシステムにおいて高い信頼性を得るためには、インク、インクジェットヘッド、信頼性維持機構などに多くの工夫が設けられていますが、リコーのラテックスインクを用いることで、ピエゾ方式のインクジェットシステムにおいては複雑な機構を設けることなく高い信頼性を得ることが期待できます。また商用印刷で用いる際に特に重要となる連続印刷においても、独自の自動ヘッドクリーニング技術で安定した連続印刷が可能になっています。