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水口哲也×LIFE STYLE

対談1/3

テクノロジーやプロダクトは、人間の欲求や本能を映し出す「鏡」:水口哲也

March 8, 2016

ゲームや音楽、映像など多様な分野でグローバルな創作活動を続けながら慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で特任教授を務める水口哲也さんと、リコーの研究者・増田憲介による、未来の技術やライフスタイルについての対談(1/3)。前編では、VR (仮想現実)・AR (拡張現実)技術の進歩にはじまり、それらの技術がもたらすライフスタイルの変化、さらにテクノロジーの存在意義へと、2人のディスカッションが発火(IGNITE)していきます。

2016年は「VR元年」になり、徐々にARとマージされていく

  • 増田

    私はワンショットで360度撮影できるカメラRICOH THETA開発プロジェクトの立ち上げに参加して、その後、三次元空間情報を取得する「Light Field Camera」技術の開発に携わってきました。また、農業にICTを導入することで「高付加価値作物を大量生産する」というプロジェクトを立ち上げ現在は、リコーの研究所全体の戦略策定にも携わっています。

  • 水口

    THETAには、私もとても興味を持っています。今後、技術やライフスタイルが未来に向かう方向性のなかで、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)は避けて通れない話題の一つだと思うんですね。私は、2016年は、VRプロダクトがいろいろな形で登場する「VR元年」になると考えています。最初はVRからはじまって、徐々にAR的なものとマージされていく未来を予想しています。

  • 増田

    リコーでも、三次元での奥行き(depth)の情報を取るための要素技術の開発を進めています。

  • 水口

    これまでの映像メディアは、非常に視野の狭い、限られたスクエア(四角形)のなかでの2D空間でしたよね。1890年頃にエジソンやリュミエール兄弟が初めての映像メディアとして白黒フィルムを発明して以来、130年間も、そうした状況が続いてきました。しかし数年前に、奥行き情報も含めて、三次元空間をほぼリアルタイムでスキャンできる技術が全世界でヒットしました。

  • 増田

    それまで2Dで記録していたものが、簡単に3Dで記録できるようになりましたね。

  • 水口

    そうです。視覚的なメディアが「撮像」ではなく「スキャン」に移ったんですね。THETAのような、未来志向のプロダクトも出現しました。でも、これで終わりではなく、この先のシナリオはまだ存在していて、いろいろな配合を繰り返しながら変化し続けていくと考えています。増田さんは、研究開発する立場から見て、どう思われますか?

左:株式会社リコー 未来技術研究所 研究企画室 戦略推進グループ 増田憲介、右:メディアデザイナー 水口哲也

左:株式会社リコー 未来技術研究所 研究企画室 戦略推進グループ 増田憲介、右:メディアデザイナー 水口哲也

VR・AR技術が、「やり直しがきく世界」を創り出す

  • 増田

    今おっしゃられたように、3Dスキャン技術などがコンシューマーに対して提供されたことのインパクトはすごく大きいなと感じています。その結果、従来は職人技を持つ一部のクリエイターがやっていた仕事を、一般の人ができるようになりましたから。技術と人との接点数を考えると、シナジーは巨大に膨らんでいって、将来的には私たち開発側の想像を絶するようなことさえ起こるんじゃないかなと思っています。そして、そういった状況を起こすために、私たち技術者やメーカーが一般の人に対して誘発を行っていかなくてはならないとも感じています。身近な部分では、不動産業界での物件内覧などに大きな価値を創出できるかもしれません。

  • 水口

    なるほど、2036年には、入居希望者が現場に行かなくても、物件の3D空間を遠隔操作しながら実際にその部屋で生活しているかのような体験ができて、好きなように部屋をカスタマイズもできて、そのうえで判断できるというのは当たり前の出来事でしょうね。こういった技術が人間のストレスを打ち消して、世の中が便利になっていくのだと思います。

  • 増田

    「やり直しがきく世界」ともいえるかもしれないですね。家を買う前にVRで生活を体験しておけば、「ここが不便だな」と感じる部分を事前にカスタマイズして、本当に納得いく家ができあがるという、「自分がほしいものが、確実に手に入る」時代になるんじゃないかと思います。

  • 水口

    実際に家を建てる前に、自分にとって最高の家を完成させてしまう。一昔前だったら、スクエアなモニターのなかでマウスを動かして見ていたものが、VRで体験できるのは楽ですね。

  • 増田

    でも、そういったものを体験できてしまうようになると、「もう、家をつくらなくてもいいや」という人も出てくるんでしょうか(笑)

  • 水口

    私は、必ずしもそうはならないと思います。タンジブルな(形のある・触れられる)ものを求めるとか、空想を外在化するという好奇心は消えないと思うんですね。メディアは人間の欲求や本能を映し出す「鏡」だと思っています。VRやARで何らかの体験をしたときに、その場所を本当に気に入れば、実際にそこに行ってみたくなるというのが人間の本質だと思います。

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