主な質疑応答の要旨を記載しています。
取締役に、もっと女性を採用してほしい。
大山代表取締役
取締役会の多様性を尊重している。男女をはじめ、さまざまなスキルを持った集合体として、効果的な取締役会構成を目指す。さらなる状況の変化に応じて、多様性を追求していきたい。
リコーの自己資本比率は、一時期ずいぶん下がって心配したが、今期は45%を達成してほっとしている。理研光学以来の伝統ある企業なのでどうしても50%はほしいと思っている。自己資本比率の目標は設定していないのか。出来るだけ自己資本比率を充実させて、その上で企業買収などを実施してほしい。この目標について聞かせてほしい。
川口取締役
自己資本比率についての目標数値は明確には持っていない。第21次中期経営戦略において、最適な純資産額を1兆円前後、為替調整勘定を除いて9,000億円としている。安定事業には負債を当て成長事業については資本を当てていくという方針を持っている。そのバランスをとっていきたい。もちろん格付けや資金調達のためにしっかりとした資本構成が必要であることは十分承知している。さまざまな観点から自己資本比率、最適資本構成について今後とも注意をして経営をしてまいりたい。
現在、インドの経済発展が著しいと注目を浴びているが、リコーのインドでの売上高を教えてほしい。
大山代表取締役
インド単独の売上高に関しては、開示していない。現在、インドだけで切り出すと大きな売上高ではない。経済発展が著しい国なので、引き続きインド市場において状況を踏まえながら適時適切な施策を打っていくつもりである。
リコーのビジネスは、複合機が有名だが斜陽傾向である。デジタルサービスへの移行は良いと思うが、全体として複合機ビジネスに依存している割合がどのくらいか、複合機関連の売上高の構成比は何%程度なのか。
大山代表取締役
複合機はデジタルサービスの入口として、非常に重要である。さらにそのビジネスを強化していく。質・量の双方強化のため、東芝テックとジョイント・ベンチャーを設立する。複合機を含むオフィスプリンティング事業の売上高は外部売上の4割程度の構成比である。
第4号議案の対象は社内取締役だが、山下氏・大山氏・川口氏のほかに誰が対象なのか。
大山代表取締役
前年度、社内取締役として坂田取締役が在任していた。
7月1日に新たにスタートするエトリア株式会社の説明があったが、2025年度デジタルサービス売上高比率目標60%に向けて、どのような貢献・寄与があるのか教えてほしい。
大山代表取締役
デジタルサービスの重要な構成要素として、複合機などのデバイスは非常に重要である。エトリア株式会社は、さらに強力なエンジンをつくり上げ、お客様を広げ、そこからデジタルサービスに繋げていくうえで、重要な役割を果たしていると考えている。
リコーインダストリアルソリューションズのオプティカル事業の売却遅れの理由、影響、現状・今後について教えてほしい。
大山代表取締役
売却時期の遅れは、リリースで発表の通り、手続き上の理由である。本件の業績に関する影響は軽微である。現状のビジネスとしては、自動車向けステレオカメラ、プロジェクターユニットなどを製造している。
ラグビー事業について聞きたい。2023/2024年シーズンの事業成績、事業化の方向・進捗について教えてほしい。また、2023/2024年シーズンは入替戦となったが、来シーズンに向けてトップ4・優勝を目指す強化プランを知りたい。
山下代表取締役
事業成績についてはリコーの中の一部門であるため開示していない。事業会社の方向性・進捗については、現在12チームあるジャパンラグビーリーグワン ディビジョン1の中で、事業会社化しているチームは2チーム。リーグワンの方向性としてはプロリーグということだが、我々はまだ、時期については決定していない。ただ、事業部門としてガバナンスを含め整備しているということで理解をしていただきたい。今年は、若手の育成と同時に戦力強化を進めているのでぜひ期待していただきたい。また12月上旬からリーグが始まるので応援していただければと思う。
国際情勢が不安定だが海外拠点のリスクマネジメント、特に生産拠点のリスク対応について教えてほしい。
中田コーポレート専務執行役員
地政学的なリスクに対して、主力商品、消耗品となるトナーに関しては複数の国で生産している。ただし、主力商品の部品調達に関しては、特定の国に依存しているものがある。1つの国に頼らず部品調達する仕組みをあと少しで完成できるところまで来ている。さらに、7月1日に設立されるエトリア株式会社で加わる新たな工場も有効活用しながらリスクマネジメントを進めていく計画である。
大山代表取締役
リコーとしては海外でのリスクマネジメントは非常に重要なことだと認識しているので引き続き取り組んでいく。
スキルマトリックスにおいて、社長のスキルとして、「ガバナンス・リスクマネジメント」の項目に丸がないことが気になった。経営者として必要ではないか。
大山代表取締役
ガバナンス・リスクマネジメントの観点では、海外での20年以上の現場経験により、多角的な視点で各事業、現場を見て対応してきた。社長として経営していくために必要なスキルは持っていると認識している。
利益率確保のために人的資本コストを削減するやり方は理解する。具体的にどのような施策を実施したのか。また、開発投資などを絞るということだが、投資も必要である。どのような舵取りでROE9%を達成するのか。
大山代表取締役
株主様からお預かりした資金に対して適切なリターンを出すことが非常に重要だと認識している。資金の投入先の選択と集中を行い、確実にリターンを出していく。開発投資について、広く浅く投資するとどれも成功しない可能性があることから、どこに投資すればリターンが高いのか、当社のビジネスと親和性の高い領域に開発投資を集中させていく。
強化しているデジタルサービスの開発の仕方は、従来の複合機の開発と異なることが多い。複合機の開発では、当社内で主要な技術を育成してきたが、デジタルサービスでは、社内外のさまざまなテクノロジーを反映していかなければならない。そういう意味において、オープンイノベーションやアライアンスなどの手法も使いながら開発していく。結果的に、研究開発コストはより効率的に絞られる。
人的資本については、一人あたりの生産性を高めていく。これによって、会社として全体の効率を上げていく。社員の生産性を上げるということは、自律的な社員にもっと会社として投資していくということである。自律的に自らを高めたい社員が会社と方向性を合わせてアウトプットを出す、そうすることによって、会社としても生産性に対してプラスの価値が出る、社員も価値を出すことに対して歓びを感じ、モチベーションを感じる、そしてさらに成長したいと思う、そこに対して会社が投資をしていく、そういうサイクルをうまく回していくということが非常に重要だと思っている。このような人的資本、R&Dなどの総合戦略でROE9%を達成していく。
東芝テックとの提携に関して意気込みを教えていただきたい。
大山代表取締役
東芝テックとのジョイント・ベンチャーは、デバイスの力を高める上で非常に重要だと認識している。ジョイント・ベンチャーの社長となる中田より、意気込みなどを説明する。
中田コーポレート専務執行役員
7月1日のジョイント・ベンチャーの組成日から、開発、生産拠点の効率化、サービスパーツの共同化、さらには共同購買によるコスト削減の実施に向けて、現状の厳しい複合機市場において勝ち残るための活動を進めていく。この事業の準備は数年前から進めており、短期間でやり遂げ、この分野でのリーダーとしてのポジションを確立させていきたい。今後開発する共通エンジンは、東芝テック、リコーの両ブランドで成長させていく。ペーパーレスにより市場は少し右肩下がりではあるが、両社からエトリア株式会社に参画するメンバーで新しい価値の創出を目指していく。我々としても、大きく成長するビジネスに非常にワクワクしており、リコーのビジネスに貢献していきたいと考えている。
将棋やゴルフなどのリコー冠スポンサーは、利益に貢献しているのか。仮に利益貢献しているのであれば、さらに別の冠スポンサーをやったらどうか。リコーの名前がテレビに出てくると嬉しい。
大山代表取締役
リコーが冠スポンサーを務める将棋やゴルフなど、高い宣伝効果があると考えている。当社のお客様でビジネスの意思決定にかかわる方の関心も高い。新たな冠スポンサーの予定はないが、費用対効果を見ながら臨機応変に考えたい。
デジタルサービス企業では人材確保は重要であり、昇給率・インフレ手当・在宅勤務手当の具体的な値を教えてほしい。
長久コーポレート執行役員
この4月の昇給はベースアップ含め3.6%と昨年以上の昇給である。インフレ手当はこの中に包含している。昇給は、社員代表による会議体において審議され、経営において決定している。このプロセスを通じて、市場の競争力や社員のモチベーションの観点を含めて検討しているため、適正な賃金水準は確保できていると考えている。在宅勤務手当に関しては当社ではハイブリッドな働き方として、働く場所を定めていないため、在宅勤務だけに手当を出す考え方はない。
大山代表取締役
デジタルサービスの会社として新たなスキルを身につけていくインセンティブも重要だと認識している。
事業報告について、理念等は理解したが今後の海外展開は成長が見込めるのか。
入佐コーポレート上席執行役員
リコーは2020年にデジタルサービスの会社への変革を宣言しているが、それは全く新しい事業に移行するというより、グローバル140万社のお客様、400万台以上もの複合機を使うお客様との関係性をデジタルの力を使い、さらに深めていくことである。すでに、世界のお客様から働き方の変革をサポートしてほしいとの声を頂戴している。例えば、プロセスオートメーションにより仕事のやり方を簡単にするほか、社員がよりクリエイティブな仕事ができるミーティングの空間を提供することなどである。長年培ってきたお客様との関係の上に、お客様に寄り添いながら、課題を解いていくことがリコーの成長につながる。
大山代表取締役
リコーはグローバルに顧客接点があり、グローバルのお客様にサービスを提供できることに競争優位性がある。引き続き海外展開も充実させていきたい。
昨今、大企業で本社を主要事業所に移転するニュースを見る。リコーでそのような計画はあるか。
大山代表取締役
各社さまざまな考え方で本社所在地を決めていると認識しており、主要事業所に本社を置く利点はあると理解している。現時点で本社を移転する計画はないが、将来どのような形でグローバル組織を運営していくかは考えていく。
社長に就任して1年の実感と反省、これからの目標について、教えてほしい。
大山代表取締役
企業価値向上プロジェクトを立ち上げ、推進をはじめた1年だった。推進にあたっては、社外の株主、アナリストなどにさまざまなご意見を伺い、勉強させていただいた。当年度は、企業価値向上プロジェクトを確実に遂行する1年とし、多様なステークホルダーの期待に応えたいと思っている。