VIE STYLE株式会社及び株式会社NTTデータ経営研究所との共同研究により、ニューロテクノロジーとゲーミフィケーションを取り入れたジョブクラフティングスキル向上技術を開発しました。
さまざまな国際調査において、日本人の仕事への意欲や満足度は世界最低水準であることが報告されています。そもそも仕事は『楽しい』ものではない、ととらえる固定観念が日本人には根深いという印象があります。
また、人口減少社会に転じた日本において、持続的な経済成長を実現し活力ある社会を維持し、はたらく個々人が生きがいを感じられる社会生活を送るためには、自分の仕事へのとらえ方を変えて、仕事への意欲を高めることが重要と考えられます。
背景の詳細は次のリンクをご覧ください。Works, be Playful! ①人的資本経営時代に楽しさと創造性の二重取りを目指すプレイフルワークデザインとジョブクラフティングの科学(NTTデータ経営研究所)
経営科学の世界では仕事のとらえ方を自ら変え、作り変えるスキルをジョブクラフティングと呼んでいます。このジョブクラフティングにより「自分で仕事を楽しいものに作り変える」ことで、仕事への意欲を高めることができると私たちは考えています。そこで、脳の活動を計測し、望ましい脳波パターンを自ら再現できるようフィードバックしながらトレーニングを行う技術である「ニューロフィードバック」と、ゲームデザイン要素やゲームの原則をゲーム以外の物事へ応用する「ゲーミフィケーション」を利用して、ジョブクラフティングをサポートする技術を開発しました。これにより、仕事に苦痛や不満を感じている一方で、仕事への意欲を高めたいと思っている人を後押しします。
Playful Workは、多くの人が、初めは仕事を楽しいと感じていたのに、いつしか「仕事はつまらないもの」と思うようになってしまう。そのような状況を鑑みて、一見「はたらく」と対極にあるかのように見える「遊び」の要素を仕事に取り入れることで、「仕事が楽しい!」と思いなおすことができたら、という思いで生まれたコンセプトです。遊びは自律的で楽しいものですが、遊びそのものではなく遊びに取り組む際の心理的・感情的な態度である「遊び心」を取り入れることで、仕事へのとらえ方が変わるのではないかと私たちは考えています。
利用シーンとしては、仕事へのモチベーションが落ち込みやすい入社2-3年目の若手社員のフォローアップ研修があります。Playful Workを取り入れることで、若手社員の自信を取り戻し、仕事に対する主体性を高めることができます。研修後も、普段の仕事の中で利用することで、モチベーションを維持しつつ、仕事を楽しいものに変えるスキルを身につけることができます。
ジョブクラフティングには、「認知クラフティング」、「作業クラフティング」、「人間関係クラフティング」の3つの要素があります。
このうちの「認知クラフティング」をVIE STYLE株式会社の持つニューロフィードバック技術でサポートしつつ、ゲーミフィケーションによって楽しみながら「作業クラフティング」と「人間関係クラフティング」を行えるようなソリューションを共同開発しました。
これにより、苦痛で不満に感じている業務を新たにとらえ直すスキルを楽しく身に付け、仕事への意欲を高めることができます。
仕事に対する現状の不満・信念・思い込み(スタックポイント*)を挙げ、認知クラフティングの1手法である「リフレーミング」を行い、仕事をポジティブにとらえ直します。
スタックポイントについてネガティブにとらえている時の脳波と、ポジティブにとらえ直した時の脳波を計測し、AIで学習することで、2つの状態を判別するデコーダー(デジタル情報をアナログに戻し、人が認知できる状態にする装置)を作成します。これを用いて、仕事に対してポジティブに感じている状態を自ら起こせるようトレーニングを行うことで、スタックポイントに対する苦痛度を下げることが可能になりました。
本技術はVIE STYLE株式会社および株式会社NTTデータ経営研究所との共同研究によって開発されました。ニューロフィードバックの詳細や具体的な実験方法・結果は次のリンク先をご覧ください。Works, be Playful! ②ニューロテクノロジーによる新たなジョブクラフティング法の開発(NTTデータ経営研究所)
ゲーミフィケーションを応用し、仕事に対するスタックポイントを解消すればするほどゲーム内の王国が発展していくといった体験をすることで、仕事を新たに作り変えていくスキルを楽しく身に付けることができます。具体的には、スタックポイントに対して、ジョブクラフティングの観点でアクションを設定し、それを実務で実行することがスタックポイントの解消につながり、ゲーム内の王国の発展を通して自身の成長を実感することができます。
リコーは、Human Digital Twin at Workという研究コンセプトのもと、はたらく人の感情や行動、その人を取り囲む空間をデジタル化し、創造的な仕事をするためのサポートをおこなう技術開発に取り組んでいます。
本技術を活用して「つまらない・意味がないと感じている仕事を楽しいものにとらえ直すスキルを身につけ、楽しく仕事がしたい」人をサポートするソリューションを提供し、一人ひとりがはたらく歓びを得られる社会の実現を目指しています。
本技術の分類:分野別「AI(人工知能)」