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微細造粒技術

インクジェット技術で微細な粒子を均一に生成し、製剤分野へ適用

背景

医薬品は、有効成分を狙った部位に送り届けて作用させることで、最大限に効果を発揮することができます。
粉末の薬剤を吸い込んで気管支や肺などで作用させる、ドライパウダータイプの吸入薬の場合、粉末微粒子の大きさや組成が均一でないと、適切な部位に必要な量の薬剤が到達せず効果が期待できないばかりか、患部以外の場所に留まって副作用を起こす恐れがあります。

こんな事を解決

狙った部位に届きやすいサイズの揃った粒子を作成可能

狙いの部位に薬剤を効率よく届けるには、粒子の大きさを、送達する部位に適した大きさにする必要があります。例えば、肺の奥にある肺胞には、直径1~5µmの粒子が効果的に作用します。リコーが開発しているインクジェット方式の微粒子作成装置では微細な粒子を極めて均一な大きさで生成する事が出来るため、薬剤を効果的に特定の場所に届けて作用させることが期待できます。

技術の特徴

Fine Droplet Drying(FDD)技術は、インクジェットヘッドから非常に細かな液滴を高頻度で噴射した後、超高速で乾燥させることにより、ミクロンサイズの粒子を均一に生成する事が出来る技術です。
リコーが開発した装置では1秒間に5.2億個もの液滴を噴射することが可能で、微細な粒子を均一かつ大量に生成する事が出来ます。

一般的な微粒子作成技術ではスプレードライ法や粉砕法がありますが、大きさの揃った微粒子を得ることは困難でした。リコーのFDD技術では液滴を連続的に制御して吐出することが可能なため、極めて粒子径の揃った微粒子が得られます。

医薬品に用いられる微粒子は、薬効を持つ薬剤と、賦形剤と呼ばれる成形等のために使われる添加物で構成されています。
FDDでは、薬剤と賦形剤を溶媒内に均一に分散させた状態でインクジェットヘッドから噴射することが出来ます。そのため、薬剤と賦形剤の組成が均一化し、薬の溶解性も一定となり、薬剤成分の吸収性が安定します。

リコーの想い

プリンター開発で培った、インクジェットヘッドや材料技術の強みを活かし、静岡県立大学とのコラボレーションや、静岡県産業振興財団ファルマバレーセンターでの「ファルマバレープロジェクト」への参画を通じて医薬品製造のイノベーションを目指します。

本技術の分類:分野別「インクジェット」