人は視覚で多くのものを判断します。商品を見たときに感じる高級感や美しさなど、感性に訴える「質感」は、その商品に魅力を与えます。また、工場等で行われる製品検査では熟練者による目視検査で「質感」の違いを判断し、良し悪しを判断します。
これらの「質感」を表現する際は明確な定義が出来ないため、製品開発においてデザイナーが設計にイメージを伝えにくい、検査において熟練者が必要などの課題があり、“曖昧さの明確化”が求められています。
リコーは言葉にすることが難しい曖昧な「質感」を、数値で明確に定義することができます。
これにより曖昧な言葉で伝えるしかなかったデザイナーの視覚的な感性に関するイメージを明確に次工程に伝えることができます。
感性を数値化して正確なイメージを共有する
製品の美しさを損ねる「むら」の検査は視覚的な感性に基づく目視検査に頼ることが一般的ですが、測定値を用いた検査に置き換えることで、出荷品質を安定させることができます。
スジむらの測定例
一口に“綺麗さ”と言っても、人は、“ざらざらしていない”、“ぼやけていない”、など様々な感性価値に関わる視覚情報をとらえて、“綺麗さ”という感性価値を判断しています。リコーは、印刷物の見やすさ、綺麗さについて長年研究をおこなっています。感性価値に関わる視覚情報の計測パイオニアとして、製品が持つ「美しさ」「上質さ」を創発する視覚情報の解明・数値化を目指します。
リコーは、これまで培った光学技術・画像処理技術を用いて、対象物体からの反射光を高精度に計測し、質感計測に必要な特徴量を抽出します。
光計測装置の例
人の感性は曖昧なため、単純に数値化することは困難です。そこで、適切な心理評価実験を通して、曖昧な人の視覚感性を数値化しています。
心理評価実験
心理実験を通して数値化した視覚感性を、物理計測して得られた特徴量から予測する数値化アルゴリズムを導出します。数値化アルゴリズムには、人の認知・視覚モデルが考慮されており、視覚感性と相関の高い評価値を得ることができます。
質感計測装置を開発、提供することで、美しく上質な製品の創造活動をサポートし、より感性価値の高い製品が作り出される豊かな社会の実現に向けて貢献してまいります。
本技術の分類:分野別「画像処理・解析」