時間の経過に伴いインクが変性すると、インクジェットヘッドはインク滴を正常に吐出できなくなり、一定のインクをノズルから吐き捨てる作業が必要になります。変性の代表的な例として、ノズル周辺でのインクの乾燥や沈降が挙げられます。
一方、機能性の高いインクとして「乾燥しやすいインク」や「沈降しやすいインク」の需要が高まっており、これらのインクに対して吐出信頼性の高いインクジェットヘッドが望まれています。また、インクを吐き捨てる頻度、つまり廃液を減らすことができ、さらに吐き捨てに伴うメンテナンス作業頻度を下げることができるインクジェットヘッドが望まれています。
循環構造を持たないインクジェットヘッドの課題
リコー独自のインク循環構造により、ノズル周辺までインクを常時循環することが可能になります。これにより、吐出信頼性を高めると同時に、インクを吐き捨てる頻度を減らすことが可能となり、廃液による環境負荷の低減およびメンテナンス頻度の低下によるマシンの稼働効率向上を実現します。
循環構造を持つインクジェットヘッド
ノズル周辺のインクが常に入れ替わることで、ノズル開口部のインクが乾燥することを抑制します。また、インクジェットヘッド内のインクが常に流動することで、比重の大きい粒子が沈降することを抑制します。これにより、「速乾性インク」や「白・メタリックといった無機顔料を含む沈降しやすいインク」を使用した際、吐出安定性を高めることが可能です。
インクの乾燥や沈降の影響を小さくでき、プリンターの連続稼働時に定期的にインクを捨てる量を減らすことができます。また、ヘッド内にインクを充填する際に循環流路から空気を排出できるので、充填時にノズルからインクを捨てる量を減らすことができます。これにより、環境負荷の低減に貢献することが可能です。
定期的にインクを吐き捨てる頻度が少なくなるので、吐き捨てに伴うメンテナンス作業の頻度を少なくできます。これにより、単位時間あたりにマシンが稼働する時間の割合を増やすことができ、マシンの稼働効率を向上することが可能です。
リコーの循環ヘッドは、内部のインク流路が立体的に配置されていることが特徴で、奥行きのサイズを小さくすることができました。この特徴を備えるRICOH MH5421F/5421MFヘッドは、循環構造を持たない従来のMH5421ヘッドと同等の奥行きサイズを実現しています。これにより、例えばRICOH MH5421ヘッド向けに設計したヘッド取り付け面に対しても、RICOH MH5421F/5421MFヘッドを取り付けることが可能となります。
個別液室循環なし
個別液室循環あり
本技術の分類:分野別「インクジェット」|製品別「インクジェットヘッド」