サインディスプレイや壁紙などの産業用印刷分野においては多品種少量かつ短納期での高品質な印刷が求められています。そのため産業用インクジェットプリンターでは生産性が重要となってきます。
3ヘッドスタガ配列を採用することで、従来機の2倍以上となる生産性25m²/h*での高速プリントを可能としました。
ワイドフォーマットプロダクションプリンター RICOH Pro L5160e/L5130eは、キャリッジ(インクジェットヘッドやセンサーなどプリントに必要なパーツを載せた部分)がレール上を往復移動しながらプリントを行います。
インクジェットヘッド3個のつなぎ精度を数µmの高精度で位置決めすることで、従来機の1スキャン印字幅(約50mm)の3倍となる、1スキャン印字幅約150mmを実現しました。
図:インクジェットヘッドつなぎ精度説明図
インクジェットヘッドを載せて往復移動するキャリッジの振動が大きいと1つ目のインクジェットヘッドで吐出したインク滴と3つ目のインクジェットヘッドで吐出したインク滴の位置が狙いからずれるため濃度ムラの原因となります。
そのため、キャリッジ振動を抑える高剛性な駆動構成を採用するとともに、キャリッジが走るレールの真直精度を独自の生産技術で高精度に位置決めし、画像へのキャリッジ振動影響をなくしました。
図:レール真直とキャリッジ振動の説明図
3ヘッドスタガ配列構成では印刷にかかる搬送距離が長くなりますが、高品質な印刷画像のためには最初の印字スキャンで形成されるインク滴と150mm先でのインク滴との重なりを高精度に確保する必要がありました。そのため毎回決まった距離を確実に搬送可能な高精度メディア搬送技術を開発、インク滴位置精度を確保することで濃度ムラのない高品質な印刷レベルを実現しました。
2ヘッド並列配置を採用していたRICOH Pro L4160の標準モード生産性11m²/hに対して、同等以上の印刷品質で2倍以上の高生産性を実現しています。
図:RICOH Pro L4160とRICOH Pro L5160eとの比較
リコーが長年培ってきたインクジェット技術とインクジェットヘッド、インク、本体設計から生産までをトータルでもつ技術の強みにより3ヘッドスタガ配列による高生産性と高画質を実現しました。
今後はユーザビリティの向上や印刷準備にかかる工程の簡略化などにより、お客様のトータル生産性の向上に寄与していきます。
本技術の分類:分野別「インクジェット」|製品別「インクジェット」「インクジェットヘッド」