電子写真方式の複写機やプリンターは、用紙と用紙に乗せられたトナーを、熱と圧力で定着させて印刷をします。この定着プロセスではプリントされる用紙の仕上がり品質を保つために、用紙が安定して搬送されるよう制御することが非常に重要です。定着ユニットでの用紙搬送が不安定になると、用紙に「紙しわ」が発生してしまうためです。
従来、定着ユニットを新しく開発する場合、さまざまな条件や環境の下で繰り返し通紙試験等を行い、安定して用紙搬送が実現できているかを確認していました。しかし、この方法は紙しわが発生するかどうかは評価できるものの、用紙搬送に関わるどの部品がどの程度影響して挙動が不安定になり、結果として紙しわを発生させているか、ということまでは明確にはわかりませんでした。
そこでリコーは、まず紙しわ自体がどのようなメカニズムで発生するのかを明らかにするため「用紙搬送挙動可視化技術」を開発しました。また、定着ユニットを構成する部品の形や、用紙の種類や性質の違いが、用紙挙動にどのくらい影響するかを計測し量的関係を明らかにしました。「この部品の構成をこれだけ変えると、用紙挙動がこれだけ変わる」「このような用紙挙動であれば、紙しわに対してこの程度の不安定さまで許容できる」ということが分かれば、信頼性の高い定着ユニットが設計できます。