RVS技術は、印刷された紙の文書情報とインターネット上のデジタル情報やサービスを結び付けることができる技術です。本技術は、米国シリコンバレーにあるRicoh Innovations Corporationで開発されたものです。2次元バーコードなどを付ける必要はなくなり、リンク情報を印刷後に追加していくことも可能なので、自由度が高く従来ない新しいタイプのアプリケーションやサービスの可能性が広がります。
例えば、図1に示すように、新聞や雑誌記事の一部をスマートフォンのカメラで撮影することにより、インターネット上にある新聞記事の関連情報やサービスをユーザーに提供することができます。ユーザーは携帯端末のカメラで興味ある記事(の一部)を撮影し、撮影画像をRVSサービスに送ります。すると、予め登録されている文書データベースから、撮影された画像に対応するデジタル情報が検索・特定され、ユーザーの携帯端末に送られ、ユーザーは関連情報やサービスを閲覧することができます。
RVS技術は、下記のような特長を有しており、幅広い応用が期待されます。
RVS技術は新しい認識アルゴリズム、データ登録表現および検索技術を含んでいます。いわゆる「指紋認識」のイメージに近い形で、文書の画像の特徴量を利用して、予め登録されたデータベースに対して高速な検索を行います(図2参照)。
RVS技術は、上記にあげた応用例の他にも、新聞・雑誌・書籍・パンフレット・ポスターなどのあらゆる出版・印刷物への応用が考えられます。リンクさせるデジタル情報やサービスについても動画や音声などのマルチメディアコンテンツ・Webサイト・Eコマースサービスやソーシャルネットワークサービスなど何でも構いません。
下記の映像1は、運転教習の教則本から運転技術をわかりやすく説明しているオンラインの動画コンテンツにリンクするアプリケーションの紹介です。このようなアプリケーションにより、紙文書上では表現しにくい、より詳細な情報をユーザーに提供することができるようになります。
パンフレット、カタログなどから、予約・購入用のEコマースサイトにリンクさせるアプリケーションも考えられます。例えば、通信販売用カタログ上の欲しい商品の情報が印刷されている部分をスマートフォンのカメラで撮影することで、そのスマートフォン上で詳細情報を確認した上でそのまま購入処理をすることも出来できます。すなわち、印刷媒体とデジタル情報の組み合わせにより、最新かつ詳細な情報を提供し、ユーザーがその場で簡単に検討して購入することを可能にします。
また、RVS技術は印刷後にも自在にデジタル情報やサービスを追加することができます。例えば、展示会にいるユーザーがスマートフォンで展示会のプログラムの一部を撮影することで、その会場で別途記録した音声、テキストなどの情報をその撮影画像に関連付けておくことができます。すなわち「付箋紙」のような形で関連情報を貼り付けておき、後で活用することが可能です。
このようなアプリケーションにより、モバイル端末で情報をより簡単に管理し活用する方法を提供することが可能となります。