近年、オフィス内においても無線LANは広く普及しており、無線LANだけで運用されるオフィスも登場するなど、複合機やプリンターでも配線が不要となる「レイアウトフリー」なネットワーク構築へのニーズが高まっています。本技術を搭載したオプションボードを装着することにより、無線環境でのプリント出力や“スキャン to E-mail”が、より高速かつ高セキュリティで行えるようになります。
また、近年の急激な無線LAN対応端末増加の環境下で、電波環境変動等に影響されにくい「ストレスフリー」な接続環境が提供可能となります。
安定した高速無線LAN環境を実現するために、本技術の実装は、デスクトップ機向けとフロアスタンド型の複合機/プリンター向けに最適化されたアンテナと、新規開発した制御LSI(CPUとメモリを内蔵)および制御ソフトで構成されています。
リコーは、無線LAN規格IEEE802.11準拠の技術のうち、中核を成す以下のモジュールについて技術開発しました。
デバイスドライバなど上位層からのコマンドを受けてこの副層のハードウェアおよび下位層を制御し、規格準拠のプロトコルにより相手端末との通信を成立させる制御ソフトウェアを開発しました。開発にあたっては、種々の端末との相互接続性を向上させるために徹底した検証を行い、接続性改善などのアルゴリズムを採用しています。
本LSIは、CPU、メモリ、AD/DAコンバータ内蔵のSoC(System On Chip)で、データ・フレーミング、時間管理、暗号機能、変復調機能および複合機/レーザープリンター向けインターフェース機能を有するキーデバイスです。暗号機能としてWEP、TKIP(以上ARC4)、CCMP(AES)に対応し、変復調機能として一次変調DBPSK、DQPSK、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM、二次変調DSSS/CCK、OFDMに対応しています。複合機/レーザープリンター向けに最適化したアーキテクチャで、多機能と十分な性能を実現しながら、高集積化を実現しました。
本回路は、2.4GHz帯と5GHz帯チャネルに対応しています。5GHz帯に対応することで、ユーザに干渉波の少ない環境での高速通信を提供することが可能となりました。また、日本、米国、カナダ、欧州、中国、台湾の各国、地域の法規制認可を取得し、共通基板で仕向地の電波規制に応じた動作をするような仕組みを盛り込んでいます。
通信方式として、無線通信規格IEEE802.11b/gに加えてIEEE802.11a対応を実現しています。従来から一般的に運用されており、近年混雑で帯域不足が懸念されているIEEE802.11b/g(2.4GHz帯)の3チャネルだけでなく、今後普及が予測されるIEEE802.11a(5GHz帯)の8チャネルに対応することで、限られた電波資源をより効率的に活用することが求められる次世代のオフィス内無線LAN運用にも柔軟に対応可能となり、快適な高速通信が実現できます。
また機器の暗号手順/認証手順を規定するセキュリティ規格IEEE802.11iに対応し、さらに複合機/レーザープリンター用無線LANとしては対応例の少ないIEEE802.1X(RADIUS)認証をサポートしています。これにより、有線LANと同等以上の高セキュリティ化を実現しました。
本技術の分類:分野別「ネットワーク」「セキュリティ」|製品別「ネットワーク・セキュリティ」