近年、商用印刷市場や企業内印刷市場では、印刷物の多品種・少ロット化により必要な時に必要な部数を低コストで印刷できるカラーPOD(Print on Demand)に対するニーズが拡大しています。本技術による感光体を搭載した新開発の高速プリントエンジンにより、従来のプロダクション市場機に対し、大幅にダウンサイジング・軽量化しつつ、「高画質」「高信頼/高耐久性」「高生産性」を有するプロダクションプリンターの製品化が可能となりました。特に、「高信頼/高耐久性」の側面でこの感光体は大きな役割を担っています。
この新開発の高信頼/高耐久感光体は、図1に示すようにアルミ支持体の上に機能分離された積層構成を有しています。これらの各層は、高速機に対応した高感度感光体として以下のように構成されています。
これら機能分離された各層の組み合わせにより、新開発の感光体は、機械的な摩耗耐久と電気的な安定性のバランスを実現し、激しい商用利用に要求される「高信頼/高耐久性」を実現しました。
図1:新開発感光体の構造
耐久性を高めるためにオーバーコートすることは、世の中のさまざまなところで使われる一般的な技術です。しかし、複写機用感光体にオーバーコートしただけでは、その基本特性である電気的な特性(電荷が移動する機能)に障害が生じてしまいます。その結果、画像濃度の低下などの不具合が発生します。そこで、電気的な特性を損なわずに耐久性を高めるための新規材料を自社開発しました。この材料をオーバーコートに採用することで耐久性向上と電気的な特性の安定化を両立し、信頼性の高い感光体を実現しました。これら技術に加え、第二世代ではオーバーコートにフィラーを含有させることで機械的強度の向上を図り、さらに耐久性の高い感光体を実現しています。
これにより、複写機の安定稼動が確保でき、故障対応によるダウンタイムやサービスコストを大幅に削減することが可能になりました。