2017年から、自治体・地域住民といった地域を主体とした様々なステークホルダーの皆さまとリコーグループ社員が一緒に、地域コミュニティの発展に貢献することを目的として、「ステークホルダー協働による森づくり」を行っています。本活動を通じて、生物多様な里山の回復と人々が暮らすコミュニティの活性化を推進しています。
~地球環境保全、次世代育成、コミュニティ発展に貢献~
●場所:岐阜県恵那市
●開始時期:2014年~
●内容: 地域住民と共に豊かな自然環境と共生できる郷土の森を目指す
岐阜県南東部の恵那市に、リコーグループの生産系関連会社リコーエレメックス恵那事業所があります。1963年に工場を建設のために広大な敷地を取得し、事業所を建設した後も周辺40ha以上の森林が残っています。リコーグループでは、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議COP10を機に、50年近くの生産活動でこの地から恩恵を受けてきた感謝と、これからも共存していく思いを込めて森林保全活動をスタートしました。
えなの森の生物多様性評目標、評価
目標:
多様な生物が棲める森を目指し、目標種(ギフチョウ、ハッチョウトンボ)が生息できる生態系を維持する。
実績:
2010年以降、目標種(ギフチョウ、ハッチョウトンボ)の生息が確認できています
2010年の秋、「アファンの森」財団の協力を得て植生調査を行ったころ、長い間人の手が加わっていない付近の森林には絶滅危惧種を含む多様な湿生植物は生息しており、独自の生態系を有していることがわかりました。2011年には、リコーエレメックス社員が中心となって森林の保全活動に着手しましたが、この貴重な森林資源を地域の皆さんと一緒に活用したいと、2014年4月、地元住民の代表者、地元企業、地元NPO団体、リコー関連会社で構成される組織「リコーえなの森中山道里山協議会」を設置し、活動を開始しました。以来、協議会が主体となって、地元のボランティアとリコーグループ社員がともに森林の間伐や、木々と希少生物の保全を進めています。活動の参加者には毎回、買い物券を贈呈しています。これは、恵那市の障がい者福祉施設「恵那たんぽぽ福祉会」との連携によるもので、買い物券は福祉会が運営する野菜・特産品直売所、パン工房などで活用できます。
さらに、地元の子どもたちの自然教室や住民の方々の散策や憩いの場所としての活用をはじめています。リコーグループでは、こういった活動を通じて、環境保全にとどまらず、次世代育成、コミュニティの活性化・発展にむけて貢献を目指します。
豊かな自然環境と共生できる郷土の森
・希少種等、多様な生物が保全されている(地球環境保全)
(主な活動)雑草木の刈払い、枯損木の除去、定期的な植生調査
・地域の子どもたちの環境意識醸成に貢献している(次世代育成)
(主な活動)子ども向け自然教室、観察会、クラフトづくり、森林保全リーダー育成
・地域住民の生きがいづくり、健康増進等に貢献している(コミュニティ発展)
(主な活動)散策道の整備、森林整備ボランティア、体力促進ウォーキング
森林整備ボランティアの様子
子供たちが植物観察をする様子
住民の方々の健康ウォーキング。
展望台から眺望を楽しむ。
(生態系把握のため調査と評価)
えなの森では、定期的に大規模な植生調査を実施し、保全状態を把握し改善してます。
<調査レポート①>
2010年9月の植生調査では、85科289種の植物が確認され、絶滅危惧種も6種確認しています。具体的な森の状況は、全体はコナラやクヌギの薪炭林が中心で、湿地やその水源などに、ホザキノミミカキグサ、谷筋にシデコブシ、サクラバハンノキなどの貴重種が生息しています。昆虫については、湿地エリアにハッチョウトンボが、また春先には林縁でギフチョウが確認されました。
<調査レポート②>
2016年の植生調査では、96科337種の植物(2010年より数多く)が確認され、10種の絶滅危惧種も確認されました。2010年と比較し、植生やその多様性が維持され、ほぼ同等かそれ以上の状態であると考えられます。
帰化率については18種6.2%から26種7.7%と増加しており、2010年に林縁だけで見られた帰化植物が、森の出入口付近やその林道沿いにも見られるようになりました。脅威を感じるほどの群落はないものの、生きた森づくり活動(保全活動)の中で、この帰化植物の駆除活動も行っています。
目標種であるギフチョウ、ハッチョウトンボを中心に昆虫調査を実施した結果、トンボ28種、チョウ23種、甲虫15種、その他11種が確認されました。活動当初に昆虫調査を実施していないので比較できないが、目標種のギフチョウ、ハッチョウトンボは増加傾向にありました。
また、2016年に実施した植生調査や昆虫調査の結果は、生きた森づくり活動(保全活動)に参加していただいた方々の前で、報告会を開催し、参加した皆さんと活動の成果を共有でき、植生豊かな森であることを知っていただく良い機会となりました。これらの調査には地元の動植物保全団体と連携して実施しています。
・関連情報
プロジェクト紹介動画
●場所:福井県坂井市
●開始時期:2017年~
●内容: 手付かずの森林を整備することで生物多様性を保全し人と動植物が共存する里山づくりを目指す
福井県下久米田では、手付かずの森林を整備することで生物多様性を保全し、人と動植物が共存する里山づくりを目指して活動しています。また、この里山を地域の交流や自然環境の学びの場として活用を計画しています。
<ねらい>
※坂井市との包括的協定の活動の一部と位置づけて実施する。
<具体的な活動>
<活動の様子>
坂井市、地域団体、地主様との連携
森林の整備
地域の識者によるレクチャー
●場所:山梨県韮崎市
●開始時期:2018年~
●内容: 自然公園の森林を整備し生物多様性の保全と地域の人々が楽しめる学びの森づくりを目指
山梨県韮崎市では、市の自然公園の森林を定期的に整備することで生物多様性を保全し、地域の人々が楽しめる学びの森づくりを実施しています。
<ねらい>
<具体的な活動>
<活動の様子>
地域環境団体によるレクチャー
森林の整備
自治体やお客様との協働
●場所:沖縄県大宜味村
●開始時期:2016年~
●内容:やんばるの森のチョウが棲む環境の持続的な保全活動
リコーグループリコーグループでは2001年から、やんばる森林保全プロジェクトとして生態系豊かなやんばるの森を守り地域の発展につながる活動支援をしてきました。2016年にはやんばるの森が国立公園として、そして2021年には世界遺産として登録されました。リコーグループは2016年、新たに地域と連携した活動によりチョウの棲む里づくりを開始しました。
<ねらい>
沖縄県大宜味(おおぎみ)村や地域団体等と連携し、同地域に生息する60種類以上いるといわれるチョウの棲む環境を保全していきます。
※大宜味村との包括的協定の活動の一部と位置づけて実施する。
<具体的な活動>
リコーグループの社員や家族、地域団体、住民、学生などと連携して、大宜味村沿道の除草やチョウの成長を助けるためのサンダンカとハイビスカス等の植えつけ、保全を通して豊かなやんばるの自然と人々が触れ合える「里山バタフライガーデン」の実現を目指します。
<活動の様子>
学習院大学との協働
蝶を保全する植樹
●場所:佐賀県佐賀市
●開始時期:2019年~
●内容:地域の生態系豊かな森をつくるとともに水源を守ることを目指します。
活動名を社内公募にてどんぐりの木とリコーをかけた「どんぐりこ~の森」として活動しています。
<ねらい>
佐賀市と連携して本活動を開始し、地元のどんぐりの樹を守り生態系豊かな森をつくるとともに、佐賀の水源を守ることでSDGsへの貢献を目指しています。
<具体的な活動>
定期的に、リコーグループの社員や家族、佐賀県、佐賀市、地域企業、地域団体などと連携して、植樹、森林近辺の除草作業、樹木の枝打、倒木等の除去、間伐材のチップ化と林道への散布などの保全作業に加え、指導員による環境講話なども実施しています。
<活動の様子>
植樹の様子
森林整備の様子
●場所:山口県光市
●開始時期:2022年~
●内容:光市の生態系豊かな里山保全
<ねらい>
光市、株式会社ビークルエッセ、リコーグループが連携し、冠山総合公園の森林整備を通して「ふるさと光の豊かな自然との共生を目指す里づくり」を目指す。
<具体的な活動>
光市住民、リコーグループの社員や家族が定期的に、植樹、森林近辺の除草作業、樹木の枝打、倒木等の除去などの保全作業を実施。
本協定で主な活動フィールドとなる冠山総合公園は、梅を中心に四季を通じて花木が楽しめ、憩える市で唯一の総合公園です。梅の里の他、子どもの森、芝生広場、日本庭園、オートキャンプ場など、豊かな自然を誰もが気軽に楽しむことができます。
<活動の様子>
協定締結式の様子
第1回森林整備
遊歩道整備、森林整備の様子
●場所:山形県山形市
●開始時期:2022年~
●内容:山形市の豊かな自然を未来に引き継ぐ森林保全活動
<ねらい>
山形県、門伝生産森林組合と共同で、山形県が推進する「森林を健全な姿で未来に引き継いでいくための森林整備と、活動を通じて企業、地域などが多くの絆で結ばれ地域の活性化」を目指す。
<具体的な活動>
(1) 活動の目標
(2) 活動項目
<活動の様子>
協定締結式の様子
森林整備の様子