ニュースリリース
溶剤・水を使わず固着汚れを洗浄する技術を新開発
中国生産拠点での環境負荷低減に展開
株式会社リコー(社長執行役員:近藤史朗)は、溶剤や水を全く使わずに、固着した汚れ(はんだフラックス)の洗浄を可能にする技術を開発いたしました。この技術は、数ミリ角の薄片状のフィルムを気流で洗浄対象に吹き付け、その衝突・接触により汚れを除去するという原理(※1 ドライ洗浄技術)に基づくもので、従来の方法に比べて、環境負荷を当社比で最大約1/10に削減(※2)することができました。また、洗浄コストも大幅に削減いたしました。
この新技術は、リコーが独自に開発し、製品を再生する際に、部品に付着しているトナーを除去する工程で2006年に導入している技術を基に、さらに応用・改良することで、固着した汚れの洗浄を可能にしたものです。
リコーはこの新技術を、プリント基板の自動はんだ付け工程で繰り返し使用する治具(パレット)の洗浄装置に応用し、実用化いたしました。パレットの洗浄は、溶剤や洗浄液による洗浄方法が一般的で、廃液による環境負荷や処理コストが発生します。今回、新技術を導入することにより、初めて溶液や水を使わないパレット洗浄が可能になりました。リコーが試験的に運用している国内の工場では、これまで2時間以上かかっていた洗浄時間(工程リードタイム)を5分未満に短縮することができました。
この洗浄装置を、中国にあるリコーのグループ会社で、プリント基板の生産拠点である上海リコーオフィス機器株式会社に導入し、今月中の稼動開始に向けて、準備を進めています。この装置を導入することにより、1600kg/月の廃液の削減を見込んでいます。
この洗浄装置は今後、国内外のリコーグループ生産拠点への展開を図ってまいります。
リコーグループは、調達、生産から、物流、お客様のオフィス、リサイクル、廃棄にいたるまで、事業に関わるすべてのステージにおいて、環境負荷の削減に取り組んでいます。今後、更なる技術革新により、持続可能な社会の実現に向け、挑戦をしていきます。
【(※1)ドライ洗浄技術の原理図】 |
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汚れの除去 |
汚れの分離・排出 |

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【(※2) 環境負荷削減の試算】 |

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従来工程 |
新工程 |
工程時間 |
2時間以上 |
3~5分 |
環境負荷(廃液) |
0.1~0.8L/パレット |
0(*1) |
環境負荷(CO2排出) |
0.2~2kg/パレット(*2) |
0.1~0.2kg/パレット(*3) |
(*1)除去した汚れ(フラックス粉)は集塵機で回収
(*2)溶剤製造および焼却処理
(*3) 消耗品、電力、洗浄装置製造、他
数値の幅は、生産拠点により、洗浄方法や生産規模、パレットのサイズが異なることによる。