三菱UFJ信託銀行株式会社(取締役社長:窪田 博、以下 三菱UFJ信託銀行)、株式会社リコー(社長執行役員:大山 晃、以下 リコー)、株式会社メジャメンツ(代表取締役:上濱 直樹、以下 メジャメンツ)は、株主総会をオンライン配信する際にリアルタイムで字幕を提供する「株主総会リアルタイム字幕サービス」(以下 本サービス)の提供を開始しました。
2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、事業者による障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化されました。それに伴い、株主総会においても障がいを持つ株主が総会に参加できる環境整備が求められています。
メジャメンツのアンケート調査*1によると、実際の当事者からは以下の通り、株主総会の参加にハードルを抱えていることがうかがえます。
「(株主総会に)行けない。聞こえない(ので参加しない)」(40代女性)
「(株主総会について)内容が理解できるか分からず参加する勇気が出ない」(40代女性)
民間事業者は、障がい者からの要望の声を受けてから対応するだけでなく、自ら環境整備に努める姿勢が求められています。
株主総会ではかねてより、聴覚障がい者向けの施策として手話通訳を用意する等の取り組みがされてきました。しかし、国内の聴覚障がい者において手話を利用しているのは11.1%ほどとなっています*2。よって、手話通訳だけでは不十分であるという意見もあります。そこで、株主総会では「リアルタイム字幕表示」が実効性の高い施策として、聴覚障がいの当事者から求められています。
また、字幕を用意することで、聞こえづらさがある高齢の株主に対しても、アクセシビリティを向上させることが可能です。
2024年度6月、三菱UFJ信託銀行が提供する株主向けオンラインサイト「Engagement Portal」において総会ライブ配信を行っている企業(105社)の中で、外部ツールなどを使用して字幕を導入した社数は13社でした(当社調べ)。2023年度から比較すると倍以上増えており、2025年度も字幕導入に関する問い合わせ件数は増加傾向にあります。
そこで、三菱UFJ信託銀行、リコー、メジャメンツの3社は新たな字幕サービスを開発し、2025年4月より、三菱UFJ信託銀行に株主名簿管理業務を委託する企業向けに提供を開始することといたしました。
字幕表示の活用では、自動でテキストを文字起こしする、AI音声認識エンジンの利用が増加しています。しかし、AIの活用だけでは総会における発話をすべて正確に表現しきれず、誤字や脱字が表れてしまいます。メジャメンツの「株主総会リアルタイム字幕サービス」では、AI音声認識エンジンを利用した字幕に対し、修正スタッフが誤字の修正をおこない、より正確な情報を伝えるサービスとなっています。
特徴としては、メジャメンツが運営している障がい者専門クラウドソーシングサービス「サニーバンク」に会員登録している障がい当事者(主に発達障がい者や精神障がい者)が修正スタッフとして作業を行います。聴覚に障がいのある人への配慮を他の障がいのある人が対応する(補い合う)環境を構築している点が他社にはない特徴となっています。独自の修正作業のトレーニングを受けた障がい当事者スタッフが連携を取りながら誤変換を修正していくことで、素早く、正確性を担保したサービスの提供を可能としています。
字幕テキストを生成するシステムは、リコーが提供する「聴覚障がい者向けコミュニケーションサービスPekoe(ペコ)」を使用します。「Pekoe(ペコ)」は、聴覚障がい者とのコミュニケーションをサポートする目的で、2022年8月に発売されました。音声を可視化して正しい情報をリアルタイムに伝えることができるコミュニケーションツールで、多くの企業でこれまで得られなかったリアルタイムの正確な情報、双方向コミュニケーションを活用して、聴覚障がいがある方が仕事の幅を広げている事例を数多く生み出しています。また、日本デフ陸上競技選手権大会やリコーブラックラムズ東京の試合の実況可視化に貢献するなど、誰もが楽しめるスポーツ観戦環境の構築への取り組みも進めています。2024年より、株主総会等の大人数での使用を想定した新機能を、3社で共創してきました。
三菱UFJ信託銀行が株主様向けに提供しているオンラインサイト「Engagement Portal」で開催される株主総会において、より多くの企業に本サービスが導入されていくことを目指します。また、株主総会に限らず、株主や投資家を対象とした説明会などでの字幕提供や、リアルタイム字幕サービスに限らず、招集通知や議決権行使等のアクセシビリティ向上に関してもサービス拡張を図っていきます。
以上
メジャメンツはウェブサイトコンサルティングやアクセス解析支援、ウェブアクセシビリティ診断を行うコンサルティングファームです。2018年に障がい者専門クラウドソーシングサービス「サニーバンク」サービスを開始し、「障がい者だからこそ出来る仕事」「障がい者でもやりたい仕事」を創出するためにクラウドソーシングシステムの整備・拡大に取り組んでいます。また、2022年10月に有料職業紹介業も開始し、障がい者雇用支援も行っています。
株式会社リコーのアクセラレータープログラム「TRIBUS」から生まれた、聴覚障がい者向けコミュニケーションサービスです。専用アプリをダウンロードし、記録開始を実行するだけで文字化することが可能です。共有URLを発行すれば、複数人でPekoe(ペコ)を利用することができます。音声認識AIによる自動音声認識と、誤変換をその場で修正できる機能など、双方向コミュニケーション機能を搭載した「みんなで使えるツール」となっています。インキュベーション期間を経て、2025年度からはリコーデジタルサービスBUのもと事業拡大を加速させます。
リコーグループは、お客様のDXを支援し、そのビジネスを成功に導くデジタルサービス、印刷および画像ソリューションなどを世界約200の国と地域で提供しています(2024年3月期グループ連結売上高2兆3,489億円)。
“はたらく”に歓びを 創業以来85年以上にわたり、お客様の“はたらく”に寄り添ってきた私たちは、これからもリーディングカンパニーとして、“はたらく”の未来を想像し、ワークプレイスの変革を通じて、人ならではの創造力の発揮を支え、さらには持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
詳しい情報は、こちらをご覧ください。
このニュースリリースはPDFファイルでもご覧いただけます