ニュースリリース
株式会社リコー(社長執行役員:山下 良則、以下 リコー)とエリクサジェン・サイエンティフィック(CEO:洪 実、米国メリーランド州ボルチモア、以下 eSci社)は、リコーがeSci社の株式を過半数取得する契約を締結しました。リコーはこれまでにeSci社の株式の34.5%を取得していますが、eSci社を子会社化することで、高齢化やパンデミックなどの社会課題を解決するための創薬基盤の整備・構築を加速し、人々の健康と安心への貢献を目指します。
eSci社は、iPS細胞*1やES細胞(胚性幹細胞)をさまざまな細胞へ高速分化誘導*2可能な独自の「Quick-Tissue™」技術を有しており、iPS細胞を用いた創薬研究や疾患研究の効率化に貢献しています。また、本技術における分化の過程でmRNA*3を用いることから、mRNAの設計や製造においても、eSci社は強みを有しています。リコーはこれまで培ってきたデジタル化技術やAI(人工知能)技術によりeSci社の技術の活用領域を拡大し、個別化医療*4や創薬研究の加速に貢献します。また、eSci社が保有する豊富な細胞実験データを活用することにより、AI技術を用いた薬剤応答や疾患メカニズムの予測ビジネスの開始を目指します。
eSci社は、2021年9月にアジア・パシフィック地域において初めて*5mRNA医薬品のCDMO(医薬品受託製造)事業を開始しました。2021年11月にはエリクサジェン・サイエンティフィック・ジャパン(eSci社日本子会社、神奈川県藤沢市、以下eSciJ社)を設立し、日本国内での事業を強化しています。リコーは、同社の事業を自動化技術や生産管理ノウハウで支援し、CDMO事業の規模拡大と効率化を推進します。同地域における医療用mRNAの製造能力を強化することで、ワクチンをはじめとするmRNA治験薬およびmRNA原薬の製造を支援していきます。
世界中で新たな感染症の発生や高齢化が進む中、個別化医療の実現が期待されています。一方で、個別化医療に必要となる新薬の研究開発においては、候補物質の製造や薬効を有する物質の選定、安全性検証など、開発期間の短縮が重要な課題となっています。
mRNAを用いた創薬は、新型コロナウイルス感染症のワクチンの迅速な実用化が注目を集めているように、特定の遺伝子情報の一部をコピーするなどにより、短時間で効果のある配列の設計が可能であるため、従来の医薬品と比較して大幅に研究開発期間を短縮することが可能となります。ワクチンやがん治療薬としての活用が期待されています。
また、iPS細胞は多様な細胞に分化させることで、さまざまな遺伝的な背景の患者に対する候補薬の作用の事前確認に用いることができます。その結果、動物実験や臨床試験に用いる候補薬を素早く効率的に絞り込むことができます。
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)。細胞を培養して人工的に作られた多能性の幹細胞であり、さまざまな種類の細胞への分化が可能。
iPS細胞・ES細胞から狙いの細胞を作製すること。
メッセンジャーRNA(messenger RNA)。DNAから遺伝情報の一部を写し取り、たんぱく質を合成する働きを持つ。
疾患の状態や個人の体質(遺伝情報など)に応じた最適な治療を行うこと。
エリクサジェン・サイエンティフィックは、米国メリーランド州ボルチモアを拠点に幹細胞関連製品の研究開発・製造・販売および合成mRNAの受託製造を行っているバイオテクノロジー企業です(2021年11月、日本法人エリクサジェン・サイエンティフィック・ジャパンを設立)。iPS細胞からさまざまな細胞へ、1週間程度で再現性よく分化誘導する技術、および医薬品の製造・品質管理に関する基準であるcGMP準拠環境下でmRNAを合成する技術をベースに、より早くより低コストな創薬を支援することで、人々の生活の質を向上させる未来を目指しています。
詳しい情報は、こちらをご覧ください。
https://jp.elixirgensci.com/
リコーグループは、お客様のデジタル変革を支援し、そのビジネスを成功に導くデジタルサービス、印刷および画像ソリューションなどを世界約200の国と地域で提供しています(2022年3月期グループ連結売上高1兆7,585億円)。
imagine. change. 創業以来85年以上にわたり、お客様の“はたらく”に寄り添ってきた私たちは、これからもリーディングカンパニーとして、“はたらく”の未来を想像し、ワークプレイスの変革を通じて、人々の生活の質の向上、さらには持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
詳しい情報は、こちらをご覧ください。
https://jp.ricoh.com/
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