ニュースリリース
金沢大学医薬保健研究域医学系脳老化・神経病態学(脳神経内科学)の山田正仁名誉教授(現・九段坂病院副院長)、医薬保健学総合研究科認知症先制医学講座の篠原もえ子特任准教授、株式会社リコー リコーフューチャーズビジネスユニット メディカルイメージング事業センターの森瀬博史グループリーダーらの共同研究グループは、オプティックフロー(OF)タスク時(※1)の前頭前野背外側皮質(DLPFC)(※2)における脳磁計測がアルツハイマー病による軽度認知障害(AD-MCI)(※3)の検出に有用であることを世界で初めて報告しました。
OFタスク時の左DLPFC脳活動は記憶力スコアと有意な負の相関をみとめ、認知機能低下を反映する指標である可能性が考えられました。脳磁図(※4)は大脳皮質の神経活動で生じる磁場を記録する非侵襲的な検査法であり、高い空間分解能と時間分解能をもつことから、アルツハイマー病等の神経変性疾患によって生じた脳機能変化を早期から捉えることができる検査法となることが期待されます。本研究で用いたOFタスク時の脳磁計測は所要時間15分と短時間であり、高齢者にとって身体的負担の少ない認知症検査法として今後活用されることが期待されます。
本研究成果は、2021年11月5日午後2時(東部時間)にPLOS ONE誌オンライン版に掲載されました。
視空間認知障害はアルツハイマー病でしばしば認める症候です。オプティックフロー(OF)(※1)とは、画面のある一点から周囲に拡大するように流れる点群の動き(図1)のことです。OF知覚には背側視覚路(図2)という、一次・高次視覚野から後部頭頂葉皮質に至る経路が関わるとされており、後部頭頂葉皮質は前頭葉の前頭前野背外側皮質(DLPFC)(※2)と相互結合しています。
視空間認知障害を生じるアルツハイマー病ではOF知覚時の脳活動が変化する可能性があります。本研究の目的は、アルツハイマー病による軽度認知障害(AD-MCI)(※3)においてOFタスク時のDLPFCの脳活動変化の有無を明らかにし、アルツハイマー病の早期診断におけるOFタスクを用いたDLPFCの脳磁計測(※4)の有用性を明らかにすることです。
AD-MCI 11例と認知機能障害なし高齢者(CU)20例についてOF時の脳磁計測を行いました。その結果、左DLPFCでAD-MCI群の脳活動がCU群に比して有意に高値(図3)でした。また、左DLPFC脳活動は記憶スコアと有意な負の相関を認めました(図4)。Receiver Operating Characteristic(ROC)解析ではグラフ曲線下面積(Area under the curve:AUC)0.90とよい精度でAD-MCIを判別できることができました。
本研究は、OFタスク時のDLPFCにおける脳磁計測がAD-MCIの検出に有用であることを見出した初めての研究です。本研究で用いたOFタスク時の脳磁計測は痛みや苦痛を伴わない非侵襲的検査法で、所要時間は15分と短いことから、高齢者にとって身体的負担の少ない認知症検査法として今後活用されることが期待されます。
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